第681回 アルギニンが血糖を抑える

今日のテーマはアミノ酸の1つ、アルギニンの血糖低下作用についてです。
アルギニンというアミノ酸は、体内で作ることができないために食材などから摂取しないと賄うことができない「必須アミノ酸」という分類をされていますが、幼児期から思春期にかけてアスパラギン酸とグルタミン酸によって体内でも合成できるアミノ酸なので、性格には「準必須アミノ酸」ということになると思います。
アルギニンの働きの1つには、血糖の代謝にかかわるインスリンとグルカゴンの合成というものがあるので、栄養療法では2型糖尿病患者や予備軍となる方に、アルギニン(L-Arginine)の摂取を勧めることがありましたが、人での臨床研究の数がそれほど多くはないために、糖尿病患者の栄養管理(特に日本では)の中に取り入れられることは多くなかったように思います。

2009年7月にイタリアの循環器糖尿病研究所の研究チームが、人によるアルギニンの血糖低下作用の検討結果を発表しましたが、この報告によると、アルギニンには従来から言われているように、インスリンの感受性を向上させ血糖(空腹時)を抑える作用があることが改めて報告されています。

2型糖尿病の合併症予防に対する栄養療法では、アルギニン単独を使うことは稀ですが、それでも1日あたり3,000mgのL-アルギニンを3回にわけて接取してもらうことで、血糖値の管理は良好になることが少なくありません。糖尿病の家族歴がある場合や、血糖値が高くなりやすいことが心配な方の場合には、アルギニンが豊富に含まれている食材を積極的に食べてもらうことでも十分予防効果はあります。
アルギニンが豊富に含まれる食材としては、豆類、ビール酵母、玄米、カカオ、チーズ、ゴマ、大豆、ひまわりの種、ホエイ、アボカドがありますが、アボカドについては先日のブログで紹介したマンノヘプツロースという糖がインスリンの生産を低下させる働きがあることがあるため、注意をしていただいたほうがいいかもしれません。私が最もお勧めする素材としてはやはりヒマワリの種ですね。

アルギニンにはこのほかにも以下のような働きがあります。
・コラーゲン、エラスチン、血液に含まれるヘモグロビンの合成
・精液の合成(精液の80%はアルギニン)
・アンモニアの代謝
・クレアチンの合成
・窒素(NO)の合成
・手術の前後、傷の回復促進
・マンガン欠乏症改善(マンガンの体内吸収に必要なキレートエージェント)
・コレステロール抑制(脂質代謝を促進)
・老化抑制(成長ホルモンの生産促進)

アルギニンの摂取に際しては注意してもらうべきことがあります。単純ヘルペスに感染し症状が現れている場合には、アルギニンの摂取を控えるてください。これはアルギニンには単純ヘルペスウィルスのDNAの複製を促進する作用があるためで、ヘルペスの症状を悪化させてしまうことがあります。
余談ですが、単純ヘルペスウィルスの症状がでた場合には、同じアミノ酸のリジン(L-Lysine)を摂取するといいでしょう。リジンにはアルギニンと逆の作用として単純ヘルペスウィルスのDNAの複製を阻害する作用があります。
by nutmed | 2009-11-05 13:53

栄養・健康・食に関する気ままな日記


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