第693回 ノコギリヤシ Saw Palmetto

今日は朝から全国的に冷たい雨ですね。いやな話ですが昨晩のニュースで新型インフルエンザワクチンの接種で亡くなった方がまた出てきました。これで8人になります。国には原因と対策の究明を急いでほしいことも事実ですが、この時期ですから確かな情報を正確に報道してもらいたいものです。

さて、今日はノコギリヤシについてです。
日本でもノコギリヤシは前立腺肥大予防作用が注目され、最近ではクリニックでも前立腺肥大症状の改善、予防に使用されることが多くなりました。
男性の前立腺はストステロンが5α-DHA(5α-ジヒドロテストステロン)に変化し、過剰に作られることによって前立腺肥大が発症します。

この10年ほどの間に報告されている研究では、ノコギリヤシには、男性ホルモン(テストステロン)の働きに影響を与える機能があることが報告され、女性の多毛症における最近の研究によって、男性ホルモン(アンドロジェン)であるテストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)に変換させる酵素である、5-アルファ還元酵素が、女性の多毛症および薄毛、脱毛に深く関与していることが判ってきました。
米国では、男性の前立腺肥大治療薬として、5-アルファ還元酵素の働きを阻害する「プロスカー(ProscarR)」と言う処方薬が一般的に用いられていますが、一部の医師はこの薬を女性の多毛症に処方しています。この処方薬は男性の前立腺肥大専用の薬であると同時に、ステロイドホルモンを人工的に合成したもので、ホルモンバランスの異常を来す副作用があることが欠点でした。
同じように5-アルファ還元酵素の働きを阻害する物質として研究成果が報告されているのがsaw palmetto(ノコギリヤシ)で、このノコギリヤシには、「プロスカー(ProscarR)」のような副作用がありません。
そこで米国の研究者によって、多毛に悩む11人の女性に「プロスカー(ProscarR)」と、12人の女性にsaw palmetto(ノコギリヤシ)がそれぞれ6ヶ月間与えられた結果、年齢が異なる23人の女性で、血中テストステロンの値に変化が見られ、多毛の原因も多様であったにもかかわらず、23名のうち、1人を除いて22名の女性に多毛症症状の改善が見られました。
また、5-アルファ還元酵素を抑制することは、皮膚のニキビや吹き出物を抑制することにも効果があると考えられており、これはニキビや吹き出物は、テストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)に変換させる酵素である5-アルファ還元酵素が集中的に生産されることによって起こると考えられているためです。

ノコギリヤシは男性専用のハーブではなく、女性にも恩恵を与えてくれるハーブでもいあります。
by nutmed | 2009-11-19 13:35