第715回 乳酸菌療法-糖化菌

昨日のクリスマスイブ、皆さんはどこでどのように過ごされましたか? 私は家族と一緒に近所の立教大学のチャペルに礼拝に行ってきました。 いつものことながらチャペルに入り、讃美歌を歌いはじめると穏やかな気持ちになります。
第715回 乳酸菌療法-糖化菌_d0070361_1352102.jpg
第715回 乳酸菌療法-糖化菌_d0070361_13522032.jpg

さて、今日は乳酸菌療法(NPT:natural Probiotics Therapies)についてです。
過去にこのブログで乳酸菌の効用については幾度となく紹介してきましたが、最近乳酸菌のリサーチをしていたところ、糖化菌乳酸菌の共生効果について書かれた文献をいくつか見つけて、この糖化菌の性質を調べていくうちに、乳酸菌と一緒に摂ることで乳酸菌の作用が数十倍も向上する可能性がわかりはじめました。
糖化菌は単独で整腸作用、瀉下作用の目的で日本でも医薬品として使われている歴史がありますが、これらの目的以上に糖化菌には優れた性質があることから、日常的に乳酸菌とともに摂取することは有効だと思われます。
糖化菌は納豆をつくるときに使われる「納豆菌(Bacillus natto)」が有名ですが、乾燥した芽包生菌の状態で存在可能で、胃酸の強い酸性、アルカリ性、熱やタンパク質の変性の影響を受けずにほぼ100%安定した状態で腸まで届けることができます。
この5年間にアメリカ、韓国、イタリア、オランダで発表されている研究報告を見ると、糖化菌の1つであるポリファーメンチカス菌(Bacillus polyfermenticus)には、過敏性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病といった腸の症状の背景にある腸粘膜の炎症の治癒促進をする作用があることがわかりはじめています。
そのほか、糖化菌は乳酸菌と共生することが確認されていて、腸内で乳酸菌の増殖に一役も二役もかっていることがわかっています。乳酸菌の共生菌としては糖化菌のほかに酪酸菌が知られていますが、糖化菌は酪酸菌との相乗作用が期待でき、乳酸菌・酪酸菌・糖化菌のコンビネーションによって腸の炎症や便通の改善に非常に有効であると思います。
さらに、お隣韓国の研究グループの報告では、糖化菌の1つであるポリファーメンチカス菌(Bacillus polyfermenticus)にはコレステロール、中性脂肪の抑制作用が確認されています。
日本でも薬局で処方箋なしに購入できる乳酸菌・酪酸菌・糖化菌のコンビネーション菌製剤がいくつか販売されています。
代表的なものは「ビオスリー」「ビオスカイ」という商品です。過敏性腸炎で便秘や下痢を繰り返すような症状を持った方、脂質代謝を良好にしたい方には日常的に使っていただきたいプロバイオティクスバクテリアの1つです。

さて、栄養医学研究所は今日25日で御用納めになります。個人的には新年早々に提出の原稿締め切りのために仕事は残りますが・・・
ブログは年末まで継続して書く予定ではいますが、仕事場でこのブログを購読してくれている方も多いので、ひとまず今年の締めにしましょう。
2010年が皆さんにとって幸せで穏やかな年となりますように!
by nutmed | 2009-12-25 13:56