第721回 ビタミンDについて その2 血液中ビタミンD

国民の祝祭日が連休になるようなシステムになって久しいですが、来週の月曜日は成人式で祝日になるため、土曜日から3連休の方が多いことと思います。11日の日曜日は鏡開きですから我が家でも正月から飾ってある鏡餅を割って特製雑煮にして食べようかと思っています。

さて、今日はビタミンDの2回目、血液中のビタミンDの検査についてです。今日は少し専門的な話でもあり難しいかもしれませんが、ついてきてくださいね。
一般に体内におけるビタミンD量を確認する際には、ビタミンDの代謝産物である血液中(血清中)で活性のある25-OH-ビタミンD(25-hydroxy-Vitamin D)を検査します。25-OH-ビタミンDは肝臓で合成され、その後腎臓で活性型ビタミンDに変わり、カルシウムとリンの量をコントロールします。
いわゆる基準の数値(Normal Value)は検査方法や検査センターによって異なりますが、日本では7-40ng/ml前後に設定されています。一方アメリカでは前回紹介した研究などによる実態調査の結果から、2005年から2008年にかけて25-OH-ビタミンDの基準となる数値(Normal Value)が大幅にあがって32-100ng/ml前後に設定されました。 
アメリカではこの数年、インフルエンザをはじめとして、小児の気管支や肺の呼吸器の感染症が増加していますが、感染した小児の血液中の25-OH-ビタミンDを検査してみると20ng/mlを下回る小児が多く、食生活および生活環境の調査をすると、明らかにビタミンDが含まれる食材(動物性たんぱく質、特にタラ、サバ、イワシなどの魚類)の摂取量が少ないことがわかりました。また、興味深いことにこれらの小児では圧倒的に屋外で紫外線を浴びる時間が少なく、この背景にはテレビゲームなどの流行があるのではないかと研究者はコメントしていますが、この状況は日本でも同様であり、日本の場合にはこれに加えて学習塾通いなどあるため、日本でアメリカと同様の調査をした場合には、場合によってはアメリカ以上に深刻な問題となって浮上する可能性も否めないのではないでしょうか。
1994年にインドの研究者が報告した内容では、インフルエンザなどによるウィルス性の気管支炎を発症しやすい小児に60,000IU(1,500マイクログラム)という大量をビタミンミDを6週間服用させたところ、その後6カ月間は感染しなかったことも報告されています。これはかなり極端な量でビタミンDの過剰服用による毒性も危惧されるところですが、ビタミンDによる予防効果であることは間違いのないことだと思います。

アメリカの一般的な医療施設では体内のビタミンDの適切な維持量として血液中の25-OH-ビタミンDの下限数値を30ng/mlとしているところが多く、また栄養療法を行うクリニックでは下限を50ng/mlとし、少なくともこの数値以上を維持することが健康管理には必要と考えています。

次回は最適なビタミンDの体内量とそれを維持するための摂取量について・・・
by nutmed | 2010-01-08 17:04