第816回 胃酸と吸収 葉酸 その2

今日から7月、下半期のスタートです!暑さに負けずに体調管理をしっかりといきましょう!

さて、今日は葉酸の2回目です。
胃酸のpHが葉酸の吸収に与える影響について、1988年にアメリカの農務省(USDA)の研究チームが調査を行い報告しています。
30人の年齢55歳以上の男女に、1日あたり200マイクログラムの葉酸が含まれた食材を食べてもらい、食後直ちに胃酸のpHを中和する炭酸カルシウム、胃酸の分泌を抑える2種類の胃薬を飲んでもらい血液中の葉酸を分析しています。酸の分泌を抑える薬はアメリカでは最もポピュラーで、古くから処方されている「タガメット(一般名:シメチジン)」と「ザンタック(一般名:ラニチジン)」で、日本でも処方されている薬です。この2つの薬は「ヒスタミン受容体拮抗薬」と呼ばれる薬ですが、先日の逆流性食道炎のブログでも紹介していますね。
タガメットやザンタックは胃酸のpHにも大きな影響があり、胃酸pHが1.0から2.0の状態で飲ませるとpHは6.0前後のアルカリ性になります。
USDAの調査の結果では、以下のグラフのように、葉酸の吸収量はの違いは明らかで、胃酸のpHが葉酸の吸収に与える影響は大きいと言えます。
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葉酸の吸収が低下し、体内での葉酸量が低下することによって、ホモシステインを増やすことになり、心臓をはじめとする循環器系への影響が増えることになります。
by nutmed | 2010-07-01 12:35