2010年 09月 02日
第897回 緑茶のカテキンに肺がんの進行を押さえる作用
なんとか年内に1,000回完執を達成できるように頑張ります。
さて、今日は緑茶の話題です。
2010年5月にアメリカのがんの予防に関する雑誌(Cancer Prevention Research.2010 May;3(5):670-9)で、アメリカミネソタ大学の研究チームが発表した検討によれば、緑茶に含まれるフラボノイド成分のエピガロカテキンガレアート(EGCG:epigallocatechin gallate)には、肺がんのがん細胞の増殖進行を抑制する作用がある可能性を報告しています。
以前から、カテキンファミリーの中でもEGCGには強力な抗酸化作用のほか、がん細胞の成長阻止作用があることが報告されてきましたが、今回の検討では、肺がんの中でも喫煙に因果関係の深い小細胞がんに対してもEGCGの進行抑制作用があることが報告されています。
この背景には、肺がんの細胞が持つ増殖に関わる遺伝子の働きを抑える可能性が報告されています。
最近日本でも死因の上位に位置する肺がんですが、WHO(世界保健機構)の報告書によれば、人口密度あたりの肺がん発症率は、お隣の韓国、中国やアメリカが州国、カナダよりも低い状況があります。だからと言って、EGCGを豊富に含む緑茶を飲む習慣があるためだということが言えるかどうかはわかりませんが、EGCGの含有率からいえば同じ茶の木から作られる紅茶、ウーロン茶などの中国茶に比べて、我が国の緑茶に含まれるEGCGの量は多いので、この因果関係の背景は全くないということでもないかもしれませんね。