第905回 2010.9 ビタミンD トピックス VDの合成

10月23日のセミナーですが、本日の午後6時現在31名の参加申し込みがありまして、まだまだ余裕がありますので、参加を考えている方はお早めにお申し込みください。今年はこの回で最後のセミナーになり、来年の春先までは開催予定がありません。また、今回のセミナーでは胃酸と消化分解、吸収をテーマにしているので、参加のみなさんには、実際にご自分の胃酸の分泌能力をご自宅で実感してもらうためのキットをお渡しする予定でおりますので、ご期待ください。

さて、今日はビタミンDのテーマの6回目で、ビタミンDの合成についてです。
ビタミンDが体内で合成されるしくみを、復習の意味でも再度紹介しますので、覚えておくといいでしょう。今回の話は少し専門用語が多く難しいかもしれませんが、ついてきてくださいね。人間の体内で有効に働く主なビタミンDは、主に植物由来で、シイタケ、肝油、肝臓、酵母、小麦胚芽油、ホウレンソウ、キャベツ、菌類などに多く含まれるビタミンD2(エルゴカルシフェロール)と、もう1つは、魚の脂などにも含まれますが、人間の皮膚で合成ができるビタミンD3(コレカルシフェロール)です。サプリメントで供給されるエルゴカルシフェロールの多くは、ビール酵母やシイタケを培養した菌体から抽出されたエルゴステロールという物質に紫外線や熱を加えて合成されたものです。
食材やサプリメントから得られたビタミンDは腸から吸収され肝臓に送られます。一方、皮膚付近の細胞には、ビタミンD3(コレカルシフェロール)の前駆物質である、デヒドロコレステロールと呼ばれる脂質のコレステロールが多く存在していて、紫外線を浴びることで、これがビタミンD3に変化し、血液を流れて肝臓に向かいます。ここまでのビタミンD(2も3も)はまだその本領を発揮できる活性のあるビタミンDではありません。
下の図を見てもらうとわかるように、皮膚で合成されたビタミンD3も食材から得られたビタミンD2も肝臓へ送られます。肝臓ではビタミンDを25(OH)ビタミンDという形に換える作業が行われます。その後、25(OH)ビタミンDは腎臓へ送られ、酵素(水酸化酵素)の作用によって、活性のあるビタミンD(1-α,25(OH)2ビタミンD:別名カルシトリオール)と24,25(OH)2ビタミンDに変化します。
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後日の話でこの水酸化酵素(1-α水酸化酵素)が再び登場しますので、記憶にとどめておいてください。最近では腎臓で活性のあるビタミンDに変化した1-α,25(OH)2ビタミンDを「腎臓で作られるステロイドホルモン」と呼ぶこともあるほど、まさにホルモンと同じように、カルシウムやリンの吸収、代謝、また甲状腺の働きをコントロールする作用を持つことがわかってきました。
by nutmed | 2010-09-13 22:18