第909回 糖化について 糖化抑制の素材

昨日の雨が嘘のように晴れ渡った今朝の東京です。気温も上昇していますが、今までのような蒸し暑さはないので、さわやかな暑さですね。

さて、今日は糖化抑制の素材についてです。
糖化の影響による体内環境への影響は、皮膚のシワや弛みだけでなく、糖尿病、高血圧、白内障、腎臓病、アルツハイマー性痴呆症、免疫低下症、ガンなどの慢性疾患をジワジワと作りだしてしまうことです。ただ、生きている限りは体内のいたるところで糖化は起きているわけですから、いかに不用意に糖化を促進させないかということが、糖化を抑制するAnti-AGEingのポイントになります。
今日からは、糖化を抑制するために有効な3つの素材について紹介をします。
1回目の今日は「カルノシン(Carnosine)」です。
カルノシンはアミノ酸のβ-アラニンとL-ヒスチジンによって構成されているアミノ酸複合体で、人の筋肉や神経細胞に多く存在する物質です。カルノシンは3年前からアメリカやイギリスで話題になった素材で、糖化によるAGEが原因の1つとされる白内障の症状改善、緑内障や加齢性黄班変性の症状緩和といった、目の症状の改善、予防に優れた効果があることが、動物実験だけでなく人の臨床検討でも報告され、カルノシンが配合された点眼薬(商品名:Can-C)が発売されています。因みに、私の師匠でもあるTAHOMA CLINICのDr.ライトや、アメリカで栄養療法を行っている友人のドクターの多くが、白内障の症状改善にカルノシン(N-Acetyl Carnosine)が配合された点眼薬Can-Cや、自分でカルノシン(N-Acetyl Carnosine)を調合した点眼薬を処方していますが、治療効果は非常に高いです。白内障の予防、初期治療、手術を敬遠する患者に、カルノシン(N-Acetyl Carnosine)は有効な素材だと思います。
カルノシンは、多彩な働きを持っていて、糖化のプロセスの初期段階よりも、糖化によって作られるAGE(糖化最終産物)の形成を抑制する作用が強い素材です。AGEが作られる糖化の最終プロセスで作られる物質(カルボニル)を除去する働きのほか、昨日紹介した、たんぱく質(コラーゲン)とたんぱく質(コラーゲン)をくっつけてしまう橋(架橋)が作られることを抑制したり、最強の抗酸化物質と言ってもいいグルタチオンの働きをサポートもしてくれます。グルタチオンは、アルコールやウィルス、薬剤、毒物などによってダメージを受けた肝臓の働きを改善する目的で、薬(タチオン)として使われたり、最近では、アンチエイジング(Anti-aging)療法の中で、美白の目的で静脈注射するようにもなりました。カルノシンについては、日本でもネットなどで見かけるようになり、「白内障の改善に有効!・・」のようなことが書かれていますが、糖化を原因とする白内障の治療改善について言えば、「L-カルノシン」は効果が低く、「N-アセチルカルノシン(N-Acetyl Carnosine)」のほうが有効性が高いことは、多くの動物、人による検討によって報告されています。また、点眼として使うことが最も有効でしょう。その理由の1つには、眼球の液体の中には、カルノシンを分解するカルノシナーゼ(Carnosinase)が高濃度で存在するため、カルノシンの構造が単純なL-カルノシンでは、カルノシンが目のレンズに到達する前に分解されてしまう可能性が高いということです。反面、N-アセチルカルノシンは構造から言って、カルノシナーゼに分解されにくいため、目のレンズに到達するカルノシンの量が多いということです。
もちろん点眼だけでなく、口から摂取するカルノシンは白内障をはじめ、糖化によるAGEの影響を改善予防するために非常に有効で、サプリメントで摂る場合には、1日あたり300-500mgが妥当な量だと考えます。500mg以上の量では、場合によってアレルギー症状を起こす例も確認されているので、50mgくらいからスタートして徐々に増量をしていくことがいいかもしれません。
カルノシンを食材から得る場合には、鳥の胸・もも肉、キジのもも肉、ウサギのもも肉がカルノシンを豊富に含む素材としてお勧めですが、鳥については、ケージに入れて育てられたブロイラーにカルノシンはそれほど多くないので、放し飼いで育った鳥がいいかもしれませんね。

今日から3連休の方も多いと思います。私の連休は土曜日は秋のシーズンに向かってバイクのメンテナンス、日曜日は茅ケ崎にある友人のCafeに顔をだして、月曜日は原稿書きで過ごします。
それでは皆さん よい週末を!
by nutmed | 2010-09-17 12:53