第973回 小児ぜんそくの改善 その2

今日27日で栄養医学研究所は仕事納めになります。 とは言っても私は原稿の執筆があるので31日までは自宅でお仕事モード全開です。

さて、今日は小児ぜんそくの2回目です。
前回、小児ぜんそくのお子さんの80%で胃酸の分泌が悪いことを紹介しました。何故小児ぜんそくの子供たちで胃酸の分泌が悪いのか? 
100年以上も前に、欧米の小児科医の何人もが、水痘(水ほうそう)、麻疹といったウィルスに感染した子供の胃酸の分泌能力が著しく低下することを報告しています。その状態は、症状の回復とともに改善し、だいたい1カ月ほどで胃酸の分泌状態は戻ることも報告されています。 また、アメリカの大学で行われた、学生ボランティアが参加した胃の機能に関する臨床実験でも偶発的に同じことが起きました。このボランティアは、週に1回大学の研究室で胃の機能を調べる実験に参加していましたが、あるとき地域でインフルエンザが流行し、実験は一時中止になりました。流行が去った数週間後、臨床実験が再開し、ボランティアたちは研究室で胃の機能検査を行いましたが、多くのボランティアで、それ以前に比べ胃酸の分泌が著しく低下していることが確認されました。ボランティアの多くは2-3週間で胃酸の分泌状態は正常に回復しましたが、数カ月間胃酸の分泌が低下したままのボランティアが少なくありませんでした。
1960-70年代に、2-5歳の小児期に水痘、麻疹、インフルエンザ、風疹などのウィルスに感染した子供の中には、その後も胃酸の分泌能力が低下したままの状態が続き、アレルギーやぜんそくの背景を作る可能性が高いことが報告されています。

ウィルス感染が胃酸分泌の機能だけでなく、様々な組織臓器へ影響を与え、その影響が継続してしまうことは、各国の研究者が報告していますが、最大のポイントは成人になってからのウィルス感染よりも、小児期のウィルス感染が、アレルギー症状、ぜんそくなど、その後の体内環境に落とす影は想像以上に大きいということです。 ウィルス感染に加えて、牛乳などの食物アレルギー反応が、相乗的に症状の進展に拍車をかけることもあります。(これは来年テーマとして取り上げる予定です)

これからのシーズンはウィルス感染しやすくなる時期でもあります。日本は世界的に見ても感染症の予防に対しては先進国と言ってもいいかもしれませんが、発熱、頭痛などの一過性の感染症状だけでなく、症状が回復した後の体内環境への影響、特に小児ではこの影響が見逃せないということですね。

さて、2010年、皆さんにとってどんな年だったでしょうか。
年末年始、体調を崩さぬようにお過ごしください。そして皆さんよい年末年始を!

来年も臨床栄養士のひとり言、よろしくお願いします。
by nutmed | 2010-12-27 18:16