第T86回 栄養医学トピックス 乳・卵巣がん予防にアピジェニン その2

d0070361_1134661.jpg 日本海側から群馬、茨城を通過して太平洋岸に至る地域は、昨日午後からの豪雨で大変な被害を受けたようです。同じ低気圧はその前日から朝鮮半島でも猛威をふるって多くの死傷者がでたようです。この10年ほど、この時期になると気圧の急激な変化がもたらす豪雨が、以前よりも増えました。ゲリラ豪雨という言葉ができ、日常的に使われるほどです。 これも明らかに地球規模で環境が変化していることが原因なのでしょうが、私自身は単純に二酸化炭素(CO2)の排出量増加、温暖化ということだけでは解決できない、自然界の大きな渦が巻いているように感じています。

さて、今日は昨日のテーマに続いてアピジェニンについて、今日は乳がんとアピジェニンです。
2011年4月のCancer Prevention Research誌で、アメリカUniversity of Missouri-Columbia循環器研究センターの研究チームが、セロリ、パセリ、リンゴなどに含まれるアピジェニンが、ホルモン療法(HRT)で使われる合成黄体ホルモン(プロゲスチン:Progestin)による、乳がん発症リスクの抑制に有効であることを発表しました。 彼らはラットを使った動物実験で、合成黄体ホルモンのプロゲスチン(商品名:プロベラ、ヒスロンH、プロゲストン)が引き金となって細胞ががん化する可能性の高い乳がんの発症リスクを、アピジェニンが抑制することを確認しました。
彼らは、発がん物質を注射したラットと、正常なラットの2グループを準備し、さらに両グループのラットを各2つに分け、アピジェニンを与えたグループと与えないグループにわけ、3週間にわたって観察しています。
結果として、発がん物質を注射して植えこまれたラットでは、アピジェニンを与えたラットのほうが明らかにガン細胞の増殖スピードが抑えられていることを確認できました。
前回の卵巣がんとアピジェニンでも同様ですが、アピジェニンには炎症の原因となるCOX-2を抑制する作用だけでなく、ガン細胞のたんぱく質構成を変えてしまう可能性、女性ホルモン(エストロゲンおよびプロゲステロン)の血中濃度を下げる可能性、そして、体外から侵入する発がん物質によるDNAの突然変異などによる細胞のがん化とその増殖を抑える作用がある可能性が強いものと考えられます。

乳がんも卵巣がんもそうであるように、細胞組織にはホルモンが原因でがん化する細胞組織がたくさんあります。ホルモンはそれ自体ではほとんど機能することはなく、特定の組織の細胞(卵巣や乳房、子宮、甲状腺、睾丸など)に働くことで機能をしますが、それぞれの細胞組織にはこのホルモンを受け入れる鍵穴のような受容体というものが存在します。ホルモンはこの受容体と結び付くことでスイッチが入り機能するわけですが、何らかの原因によって、受容体にホルモンが結び付き、スイッチが入ることで細胞ががん化してしまうことがあります。アピジェニンだけでなく、レスベラトロール、γ-マンゴスチン、イソフラボン、ケルセチン、ケンフェロール、クルクミン、クリシン、フムロンなど、天然の動植物が持つフラボノイドには、単に強力な抗酸化作用があるだけでなく、たんぱく質の形を変えたり、DNAの損傷を予防したり、ホルモンそのものを抑制したりと言った、何らかの抗がん作用があることが徐々に解明されはじめています。

その中でもアピジェニンの持つ抗がん作用は強いと期待されています。私がお勧めする卵巣がん、乳がんの予防のためのアピジェニンレシピは、パセリとセロリのトマト仕立てスープですね。
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アピジェニンは熱にも強いので、コンソメで薄味をつけたスープに、セロリ30gほど(筋をとらない)を2mmほどにスライスしたものと、トマトソース(缶詰でもいいでしょう)を加え、いただく前にパセリと大葉のみじん切りを10gほどちらして。 夏は冷性スープで、冬はこれにニンニクやカイエンペッパーを少し加えて温性スープで召し上がってみたらいいですね。 できれば週に2-3回は食してほしいですね。

明日から週末、もう7月も終わりですね。 
皆さんよい週末を!
by nutmed | 2011-07-29 13:22