2011年 09月 05日
第T105回 想像以上に多いカンジダ菌の影響 その5
さて、今日はカンジダ菌の影響の5回目、カンジダ菌と女性ホルモンについてです。
日本では臨床現場ではカンジダ菌症といえば、婦人科で扱われる女性特有の「膣カンジダ症」がほとんどであるが、体内には常に存在する菌(常在菌)のカンジダ菌ではあるものの、それが体内環境に及ぼす影響ははかりしれません。女性ホルモンのエストロゲンとのかかわりもその1つです。多くの女性が悩まされている閉経前後のいろいろな症状の背景にはエストロゲン(エストロンとエストラジオール-17β)を体が作る能力とその量が減り低くなることによるものと考えられており、実際、多くの閉経前症候群を発症した女性の血液と尿の検査でエストロゲン量は低下しており、加齢とともにエストロゲンをはじめとする女性ホルモンの生産と分泌量は低下していきます。
世界的にも更年期症状が出にくく、他民族に比べ日本人女性は症状が出る年齢が遅いと言われていたのはつい50年ほど前の話で、食生活や生活習慣が欧米化したこの50年で、閉経前症候群の症状を持つ女性がこれほど増加していることは、不思議と言えば不思議ではありますね。この原因の1つとして考えられる背景に、カンジダ菌がある可能性は高いと言えます。
カンジダ菌はそのDNAの中に、エストロゲン(エストロンとエストラジオール-17β)と結合するタンパク質(EBP)を合成するコードを持っていることがわかりました。カンジダ菌が異常繁殖をすることによって、このタンパク質が沢山作られることになり、血液中を流れ、体はあたかもエストロゲンが十分に作られていると錯覚し、エストロゲンを作らなくなる可能性が高いことが報告されています。本当のエストロゲンが必要な状態であるにもかかわらず、実はエストロゲンは不足していたということになるわけです。
カンジダ菌は生命誕生と同じ時期から地球上に存在してきた真菌ですから、この50年間で突然姿を現したものではありません。この50年という短い時間で劇的に変化した1つは、良くも悪くも食生活で、その食生活の内容をひも解くと、確実にカンジダ菌が繁殖しやすい環境を作り出すものであったと考えられます。
カンジダ菌の好物の最たるものが糖分で、炭水化物・アルコールを含めたこの糖分の摂取量はこの50年で、劇的に増えています。言い換えれば、カンジダ菌の過剰繁殖による、「体の勘違い反応」ということかもしれません。
女性ホルモンのバランスが変わり、何らかの症状で悩んでいる方は、一度カンジダ菌の状態を確認するとともに、自分の食生活を振り返って、カンジダ菌の繁殖に結び付くような食生活になっていないかを、確認してみてはいかがでしょうか。