第T116回 ビタミンAの落とし穴 その3

第T116回 ビタミンAの落とし穴 その3_d0070361_7183375.jpg 昨日は日帰り弾丸出張で京都に行ってきました。空はどこまでも高く、晴れ晴れした京都ですが、1カ月ほど前の暑さはなく、すぐそこまで来ている秋の気配を感じました。この時期の京都駅は、修学旅行生でごった返しです。
この秋は私にとっても初めて経験する仕事もいくつか控えていますが、その中でも注目の1つは、堀知佐子さんとのコラボです。堀さんは、京都に本店がある名料亭『菊乃井』でお総菜の開発担当や広報として活躍する、異色の管理栄養士ですが、一方で、白金にベーカリーカフェ『リール』をオープンし、アンチエイジングクイジーンをプロデュースするオーナーシェフでもあります。 堀さんとのコラボでは「LongeBauty Food」長寿美食をテーマにした活動をする予定で、今から楽しみです!

さて、今日はビタミンAの最終回です。
アメリカでも日本でも、以前に比べて、サプリメントとしてのビタミンAの摂取量は減っています。その背景の1つは、以前にも紹介したビタミンA(レチノール)の「過剰摂取」による体内環境や胎児への影響の警鐘ではないでしょうか。私自身はこの警鐘は「過剰警鐘」があると思っていますが。いずれにしても、ビタミンA(レチノール)に代わり、ProビタミンAとしてのβ-カロテンの摂取量は増えたことは間違いありません。 ビタミンAの復習のところで紹介したように、摂取したβ-カロテンは、体内では30%がビタミンAに変換されますが、ビタミンAへの変換には、鉄や亜鉛などのミネラル、ビタミンB6、酵素が必要になります。さらにこれらのビタミンミネラルに加えて、β-カロテンがビタミンAに変換するためには、甲状腺ホルモンのT3(トリヨードサイロニン:
Tri iodothyronine)が不可欠です。甲状腺が作るホルモンのT3は、強力な作用をもつホルモンで、下垂体腫瘍、甲状腺機能低下症、橋本病などでは、T3の数値が低くなります。T3についてはここでの詳細な説明は省略しますので、根とで調べてください。

つまり、ビタミンAの不足にかかわるような症状を持っている場合に、β-カロテンを摂取していてもその効果が実感できない場合には、ご自分の甲状腺ホルモンを作る能力や働きを確認してみること、また、すでにTSHが高く、T3やT4(サイロキシン)の数値が低くなり始めているような、甲状腺の機能が低下している可能性が診断されている場合には、ビタミンA(レチノール)の摂取を意識する必要があるということでもあります。
甲状腺機能低下症は女性に比較的多い症状で、中年以降の3-5人に1人に症状が見られると言う報告もあるほどですが、甲状腺機能のチェックはよほどのことがない限りしないことが多いので、30歳を過ぎたら、チャンスがあれば甲状腺機能検査をしてみるといいと思います。
by nutmed | 2011-09-28 08:02