第1176回 脂肪酸 その3

昨晩深夜午前2時少し前に、我が家は私のIPhoneと娘のスマホの緊急地震速報がけたたましく鳴り、寝入りを襲われ寝不足気味で起床すると、早朝から雪の洗礼です。
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今日は神尾記念病院のカウンセリングの日なので、神田に来ていますが、川越のオフィスの駐車場は写真のような状況だそうです。夕方までには止むようですが、交通機関への影響もありそうなので、足元に注意して今日は早目に仕事を切り上げて帰宅した方がいいと思います。

さて、今日は脂肪酸の3回目で、トランス脂肪酸の予定でしたが、変更して、遊離脂肪酸について紹介したいと思います。
遊離脂肪酸(Free Fatty Acid:FFA)は皆さんのとってはあまり馴染みのない脂肪酸の1つかもしれませんね。FFAは筋肉を動かす時には不可欠なエネルギー源となるもので、元々は中性脂肪が分解して作られる脂肪です。人間は状況に応じてエネルギー源となるFFAを、中性脂肪を分解して作るわけです。ダイエットの目的でジムで運動したり、走ったりする時に、最低でも20分は続けて!とよく言われることがありますが、この背景には、中性脂肪が分解してFFAを作るまでには約20分を要するということでもあるんです。このFFAはエネルギー源でもあることから、慢性披露や甲状腺の働き、糖のコントロール、骨や歯に関わるカルシウムの吸収にも深く関わっています。エネルギー源としてのFFAが低下することは直接的に慢性披露に関わりますが、中性脂肪の分解を促進させて、FFAの生産を増加させるために作用する甲状腺の機能が低下することでもFFAは低下します。糖尿病の人が、血中のFFAを定期的に検査する背景には、糖が細胞に取り込まれる時に作用するインスリンの働きにFFAが影響を受けるためです。FFAを作るために中性脂肪の分解を促進するホルモン、酵素などがある一方、その分解を抑制するホルモンや酵素があることが確認されています。先に紹介した甲状腺ホルモンや成長ホルモンは、中性脂肪の分解を促進するホルモンですが、中性脂肪の分解の際に最も活躍するホルモンは、「ホルモン感受性リパーゼ」という酵素です。一方、インスリンは逆に中性脂肪の分解を抑えるために作用するホルモンです。従って、糖尿病、特にインスリンの出方が悪い人や、治療で食後にインスリンの注射をしているような人では、インスリンの過不足と共に働きを確認する目的で定期的にFFAを血液で検査するわけです。
骨や歯の成長に関わるカルシウムとFFAの関係は少し変わっています。FFAは石鹸の材料になる脂肪酸と同じですが、食事から摂取したFFAが腸内にたくさん存在することによって、しょくじやサプリメントで摂取したカルシウムとFFAが腸内で結合し石鹸を合成してしまい、カルシウムの吸収が低下します。
甲状腺機能低下の人が慢性披露や倦怠感を持つ背景には、代謝に関わる甲状腺ホルモンの生産が低下するということが最も大きな理由ですが、同時にエネルギー源となるFFAを作り出す中性脂肪の分解を促進する甲状腺ホルモンが低下するという背景もあるわけです。この他、コーヒーなどに含まれるカフェインには、中性脂肪の分解を促進する作用があることが確認されていますので、最近ダイエットや肥満の改善にコーヒーがいいと言われる背景はここにかもしていれませんね。
by nutmed | 2012-02-29 13:05