第1213回 節電意識と食生活

ここ連日の気温が真夏日前後をウロウロする季節になり、また明日から6月ということもあって、メディアの報道でも「猛暑」「電力不足」「節電」が連呼されるようになってきました。 今後は更に企業、自治体だけでなく、全国の各家庭で節電対策が進められていくのでしょうか。
昨年の同じころにも、電力不足と節電意識の向上が連呼されていましたが、栄養と健康に関わる立場の私が感じた節電意識向上と節電対策は、食生活環境の見直しと節電の両立ということでした。この考え方は今年も変わっておらず、逆に今年はその思いが昨年以上に強くなっています。
私の考える節電対策の1つは、「食材の買い出しは小まめに行って無駄なものを買わない」という全くもって言い尽くされてきたことですが、その実践のための方法として「冷蔵庫のサイズを小さくする」という提案です。
かつて、私のミネラル学の師でもある、ドイツ、ニュールンベルグ在住のドクター・ブッシュ宅を訪問したときに、ドイツの冷蔵庫のサイズは日本よりもかなり小さいと言ったところ、彼女から「何故日本ではそんなに大きな冷蔵庫が必要になるの?」と言われたことがあります。
ドイツでは住んでいる場所に関係なく、食材の買出しは多くてもせいぜい2日分、生鮮食料品の多くはその日に食べる分を購入し、パン、牛乳、チーズ、ハム、ソーセージであってもせいぜい3日を限度に購入するために、どこかの国のように、スーパーに行ってどっさり食材を購入し、詰めるだけ冷蔵庫に詰め、挙句の果てに賞味期限が切れたものまでも冷蔵しつづけて最終的には生ゴミにななり果てることはドイツではありえないわけです。サイズがコンパクトであり、庫内には1-2日分の食材しか冷蔵しないわけですから、庫内スペースに余裕があり、冷却能力が低く設定されていても十分冷蔵できるわけですし、使用電気量も大幅に少なくなるわけです。食材を庫内で腐らせてしまうこともなくなり、バクテリアの温床を作ることもなく衛生面でも有効な方法です。多くも日本人が冷蔵庫を買い替える時の目安は「電気消費量」でしょう。確かに技術の進歩で、今や5年前に比べると電気の使用量は1/2なんていう機種もあるくらいです。電気消費量も節電対策の重要なポイントですが、日常生活の中で、食生活環境を少し見直すだけで無駄な電力を消費することを防ぐことができるだけでなく、食材の選び方、保存が利くもの利かないものなど、食と健康に対する取り組み方にも変化が出てくるはずです。
だからと言って、これからサイズの小さな冷蔵庫に買い替えることは、これもまた本末転倒は話になりますね。私が昨年秋から我家で提唱して実践してきている方法は、現在の冷蔵庫のスペースをサイズダウンさせる方法でした。週末に冷蔵庫内の全てを一度外に出し、庫内を空にします。百円ショップで売られているようなサイズの異なるプラスティック製のカゴをいくつか用意し、あえて冷蔵庫内の棚にこのカゴを置いて、いわゆるデッドスペースを作る方法です。カゴが置いてある場所は冷気は通ることはできますが食材を置くことはできなくなります。我家でもすでに半年以上このデッドスペース冷蔵庫を行っていますが、食材の買い物の回数とタイミングに変化はあったものの、特段の不都合は出ていません。実際の電気代の変化はまだ調査していませんが、私を始め家族全員が実感したのは、キッチンの体感温度が明らかに低くなっていることと、冷蔵庫のモーターのスイッチが入る回数が少なくなっているようです。これは庫内が従来のように目いっぱいぎっしりと詰め込まれていた状態に比べて、デッドスペースの存在によって冷気がスムーズに流れることで効率的に冷却できるようになったためだと思います。
お金をかけずに手軽に参加意識を持って、継続できる節電対策と方法だと思いますので、お試しください。
by nutmed | 2012-05-31 17:24