第1282回 再びビタミンDについて その1

今年は下半期から個人及び栄養医学研究所でビタミンDの強化キャンペーンを行おうと計画しています。
ビタミンDの働きについてはまだまだ十分に解明されていないことも事実で、この10年間、特にこの5年間ほどで動物、人による様々な働きや機能が究明されており、1日あたりの必要摂取量も従来~言われてきた摂取量よりもはるかに多い量が推奨されています。
ビタミンという名前はついていても、その素性はホルモン(ステロイド)にかなり近い機能を持っていて、ビタミンDの不足が思いのほか生活習慣病を作り出したり、症状を悪化させる背景にあることが報告されはじめました。
一方で、想像以上にビタミンDの不足傾向が現代人に多いことも各国から報告されていますが、我が国日本でも同じ状況があると私は感じています。
多くの臨床家が、日光浴をシテ紫外線を1日15分も浴びていれば自分の皮膚でビタミンD3が合成できることを声高に言います。決して間違いではありません。確かに肌の露出率とビタミンD3の合成量が比例すると言う報告もあります。ただここには補足をするべき事項があり、紫外線なら何でもイイというわけではありません。ビタミンD3を合成してくれるのは紫外線のB波(UVB)と呼ばれる紫外線です。
産科や小児科の医師の中には屋外に出さなくても屋内でガラス越
しに日光浴をさせてあげればビタミンDの合成は十分だと言う話もあります。しかし、マンションだけでなく戸建ての一般家庭の窓ガラスは紫外線のB波の大部分を透過させないガラスで、逆に合成されたビタミンD3を破壊する可能性が高い紫外線A波を透過させることが少なくありません。
したがって、屋内で乳幼児や高齢者に日光浴をさせるのであれば窓ガラスを明けて、直射日光を浴びるか、窓から入ってくる紫外線B波が屋内の床や壁に反射したものを日光浴する方法がベストだと考えます。
最近アメリカやドイツではうつ病の背景にビタミンD3の不足が深く関わっていることが報告されています。年間日照量が少ないと言われるアメリカワシントン州シアトルやオレゴン州の一部では、全米の平均よりもうつ病之発症率が多いことがかなり以前から報告されてきましたが、ここ最近になって血液中のビタミンD3の分析をしてみるとビタミンD3が不足傾向にあることがわかりました。
日本でも同様で、朝は出勤前に高数値のSPFのクリームを塗って出勤し、外は晴天の快晴デモ紫外線のAB波さえそそがないインテリジェントビル内のオフィスで1日9時間仕事をする環境が続けば、いやでも皮膚でのビタミンD3の合成量は低下することになります。
マルチビタミンミネラルやビタミンCもいいですが、日本人、特に都会で生活している人たちは。もっとビタミンD3の積極的な補充をするべきだと感じますね。
by nutmed | 2013-05-22 12:53