第1309回 原因は自分の体の中にある

今日の午前中は知人の素材メーカーの営業の方が、新たな素材の紹介にいらっしゃいました。
ひとしきり、話題はサプリメントの実感の話になりました。もちろん、日本ではサプリメントは食品の部類に入るので、効果効能については言及できないわけです。一方でサプリメントを手にとる消費者のほとんどは、目的とする効果の実感を期待してサプリメントを購入して飲み始めることも事実です。この30年でサプリメント、健康食品の市場は右肩上がりに成長しており、その背景には日本人の健康意識が高くなり、予防の考え方がようやく根付いてきたからだと結論づける経済評論家がいます。確かに、それは一理あるとは思いますが、実際のところ濃く人1人あたりが年間に購入(ここは間違わないようにしてください、消費ではなく「購入」ですので)したサプリメントや健康食品の平均種類数が増加しているのではないかと私は考えています。
何を言いたいかと言うと、購入して飲み始めてはみたものの、期待するほどの実感がなく、最期まで消費せずに、新たな商品を購入し、そしてまた同じことを繰り返しているということです。
次に、以前に比べて消費者が購入の基準とする対象が変化していると言うことです。以前であれば、F社、D社、O社、某ビール会社、飲料水会社というように、製造販売しているメーカーが購入基準の対象であったものが、この5年ほどで、その対象はメーカーのネームバリューから、配合されている栄養素や機能性素材の具体的な成分名にシフトしつつあることではないでしょうか。
それは、グルコサミンやコンドロイチンであったり、ゴマの抽出成分のセサミンであったり、ブルーベリーに含まれるアントシアニンであったり、トマトに含まれるリコピンであったりと。つまり、某ビールメーカーのセサミンを飲んだけれど期待する効果の実感がなく、D社の黒ゴマに含まれるセサミンに鞍替えするというような具合でしょうか。
その性せいあってか、私の実感としては、10年ほど前に比べ、他メーカーが販売していない新しい素材成分の商品よりも、すでにどこかのメーカーが販売している既成成分の量や原料を変えただけのような商品が多くなっているような気がします。
これらの背景は、良くも悪くも、製造メーカーが巨額の広告宣伝費を使って、全国津々浦々まで、素材成分の名前を連呼して、消費者に刷り込みを行ってきたことによるのかもしれません。
この刷り込みは、50歳以降の購買意識の高い年齢層には効果的に効いているようで、総人口数が減少しているにもかかわらず商品の売り上げは伸びるのだと思います。
市場調査会社に勤める知人の話では、20歳から70歳までの幅広い成人男女が、1年間に購入するサプリメントの「種類」は、平均すると1人あたり2.6種類だそうです。この数字は従来に比べて多いのか少ないのかという点ですが、私は従来よりも多くなっていると考えています。
サプリメントや健康食品を購入する動機と購入基準が従来よりも変化し、「飲まないよりも何かを飲んでおいたほうがいいだろう」という購入動機から、「膝の痛みを緩和したい」「血圧を下げたい」「血糖値を下げたい」「シミやシワができにくくしたい」と言うような、より具体的な購入動機に変化してきている背景があるように感じています。
目的と購入動機が具体的で明確が故に、効果実感んに対する期待は大きくなり、A社の商品を飲んで効果が実感できなければ、B社の同じ素材成分の商品に、B社で効果が実感できなければC社へと、購入連鎖していくのではないでしょうか。
さて、前置きが長くなりましたが、ほぼ100%の消費者が、「効果が実感できない理由は商品が悪い」と結論付けているからこそ、商品の購入連鎖がはじまるのでしょうが、本当に商品が悪いからなんでしょうか?
私はこのブログでも、再三消化分解と吸収についてお話してきましたように、サプリメント、健康食品と言えども、その多くが腸の粘膜を通過して体内に吸収されなければ、成分は作用しないわけです。飲めば必ず吸収され作用することはないと言うことです。これはサプリメントだけでなく食材でも同じことですね。
サプリメントに含まれる栄養素、機能成分が正しく吸収できるような腸の環境を作ることができなければ、作用もしませんから、効果を実感できるはずもないわけです。
日本では、、ビタミン、ミネラル、たんぱく質、炭水化物、脂質の良し悪しについては、事の是非は別としても情報は溢れすぎていますが、残念ながら、それらの栄養素や機能成分が細胞を機能させ、作用するためには消化分解と吸収というプロセスを経る必要性について誰も教えないし、注目もされていません。
私の経験から見ても、サプリメントだけでなく食材に含まれる栄養素や機能成分の恩恵を実感できない人の多くが消化分解と吸収の機能が十分でないことは間違いないと思います。
歯や舌の働きから始まり、胃酸、消化酵素の生産分泌、腸内細菌の環境、自律神経のバランスだけではなく、食事の仕方、食事の環境も大きく影響力を持った要因です。
自分の体内環境を棚に上げてしまうことなく、正面から向き合ってみることは大切なことだと思います。
by nutmed | 2013-08-20 14:40