第1379回 副腎疲労とアドレナリンラッシュ

日本にもようやく定着してきた「副腎疲労」という考え方ですが、それがもたらす症状には、単なる疲労やうつ様症状だけでなく、現代人の多くが抱えている様々な症状がリンクしていると言っても過言ではないでしょう。中でもアドレナリン(交感神経の働きにかかわるホルモン)に影響を受ける症状は、「アドレナリンラッシュ」といわれるように。最も見逃せないものであると同時に、アドレナリンが必要以上に分泌されることによって、副腎へのダメージをマスクしてしまうような症状も現れてしまう可能性があることです。
私の栄養カウンセリングでケアする副腎疲労の疑いのあるクライアントの80%ほどが共通して持つ症状に「腹部膨満(多くがSIBOの背景)、便秘、下痢、貧血(鉄不足)」があります。これらの症状は、最近日本語でもたくさん翻訳されている副腎疲労に関する書籍やネット情報で紹介されている副腎疲労に多く見られる症状です。一見すると副腎疲労とこれらの症状の因果関係が理解しにくいかもしれませんが、これらの症状の背景こそがアドレナリンラッシュと呼ばれる、アドレナリンの過剰(場合によって)分泌の影響による症状と言ってもいいかもしれません。これらの症状の共通項は「腸」ですが、アドレナリンもまた腸の正常なはたらいには不可欠なホルモンです。アドレナリンは興奮するときや血圧を上昇するときに分泌されますが、腸管の筋肉(平滑筋)を緩めるために腸にも分泌されるホルモンです。アドレナリンには腸内のバクテリアの繁殖を増長させる作用があることから、腸(小腸)で繁殖する大腸菌、ウェルシュ菌、サルモネラ菌などの繁殖が旺盛になり、腸内の細菌環境を一変させることになります。また、これら多くのバクテリアが増殖に際して必要となる栄養素の鉄を略奪するために、宿主である人の鉄分不足の傾向が現れ、これが長期間にわたれば、ことは深刻な状況にもなりえます。
アドレナリンラッシュによるバクテリアの影響は、歯科医の多くには馴染みのあるテーマだと思います。歯肉炎の原因となる口腔内のバクテリアの繁殖にアドレナリンラッシュの存在についての研究報告は少なくないですね。
副腎疲労におけるフラッシュを改善することは、副腎へのダメージを軽減する重要な手がかりであるといえでしょう。
by nutmed | 2015-01-16 08:42