第1429回 タウリン

進俊初のテーマはタウリンです。
タウリンは新生児を除き、体内で合成が可能な含硫アミノ酸(硫黄成分を含むアミノ酸)の1つです。動物性のタンパク質からは摂取が可能ですが、植物性タンパク質からの摂取はできないアミノ酸です。したがってベジタリアンにおいては不足傾向が高いアミノ酸でもあります。タウリンは肝臓において含硫アミノ酸であるメチオニンとシステインから合成されますが、このときにビタミンB6(ピリドキシン)が補酵素として働くため、ビタミンB6が不足していると必然的にタウリン不足に陥ります。肝臓におけるタウリンの合成は、女性ホルモンのエストラジオールによって抑制されるため、男性に比べ女性のほうが1日あたりの必要摂取量は高いアミノ酸です。

動物実験では、成長ホルモンの生産を促進することが報告されているほか、中枢神経系統、特に脳内に多く存在し、このほか骨格筋、心臓、および血小板で確認されています。
タウリンが含まれる食材としては赤身肉、魚介類のタンパク質ですが、特に魚介類の脳に多く含まれています。
1、働き
・神経伝達機能の抑制作用
・胆汁酸塩と結合し脂質およびコレステロールの代謝をコントロール
・細胞膜内外を移動するカリウム、ナトリウム、カルシウム、及び、マグネシウムの働きを助け神経伝達機能を向上させる(亜鉛はタウリンの持つこの機能を促進させる)
・胆嚢、眼、及び、血管における抗酸化作用
・肝臓の解毒機能
・鎮静作用
・血糖降下作用

沢山食べるわけではないのに、また脂には気をつけているのに、コレステロールが高いと医者に言われたり、目の機能調節がうまくできない肉嫌いの子どもや、炭水化物や野菜ばかり食べ、肉を敬遠する成人の場合、血液中のアミノ酸分析をすると以外にタウリンが不足してことが少なくありません。

原因がわからない脇腹、背中、肩後部の鈍痛の原因の中に、胆のうにたまった胆泥(ヘドロのような液体)が原因であることが少なくありません。外傷でもない、筋肉通でもない、打撲でもなく、整体やマッサージなどの施術でも改善をしないこのような鈍痛の原因に胆のうの機能不全が挙げられます。 このような胆泥による鈍痛の改善に、胆泥の排泄を促進する作用を持つタウリンは非常に有効なアミノ酸です。
胆泥が原因だと分かった場合、腹腔鏡手術がポピュラーになった最近では、比較的胆のうの摘出の選択肢の優先順位が高くなる傾向にあるようですが、胆のうを摘出した後の食事環境とその制約を考えても、摘出の前にタウリンで症状が改善する選択肢を考えてみてもいいと思います。
by nutmed | 2016-01-16 15:10