大豆イソフラボンで前立腺がん予防

立秋が過ぎて暦のうえでは秋です。猛暑の8月だというのに心なしか陽が少しずつ短くなってきた夕刻の西の空を見ると、秋の雲らしきものが見えはじめているようです。そういえば子どもの時のような入道雲って最近見なくなりましたね・・
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さて、今日は大豆イソフラボンの最新の研究報告を紹介します。

アメリカで発行されている歴史と権威のある栄養学誌Journal Nutritionの8月号(J. Nutr. 137:1974-1979, August 2007)で大豆イソフラボンに含まれるダイゼイン、ゲニステインが前立腺がんのリスクを抑制する研究報告がありました。これは日本の札幌医大(公衆衛生学教室と泌尿器科)、つくば大学(泌尿器科)、奈良医大(泌尿器科)それに九州大学(泌尿器科)の合同研究によるものです。
イソフラボンについては、1昨年末に過剰摂取の危険性が話題になったことは記憶に新しいですね。
今回の研究報告では、200名の前立腺がんのリスクが高いグループと、200名の正常な男性の合計400名に対して行われました。家族歴、運動歴、職業との関係についても調査されていますが、これらの要素と前立腺がんの関連性は見出されてはいません。
一方、大豆イソフラボン摂取と前立腺がんの関係を見ると、明らかに大豆イソフラボンを摂取していたグループのほうが前立腺がんのリスクは低く、その摂取量は平均で1日あたり89.9mgを摂取していたグループは、平均で1日あたり30.5mg以下を摂取していたグループよりもリスクは低いことがわかりました。
この研究では、同時に大豆に含まれる必須脂肪酸とマグネシウムと前立腺がんリスクの関係を調査しましたが、明らかな差と影響は見られませんでした。
1日あたり90mgの大豆イソフラボンを摂取しようとした場合、豆腐であれば300g(約1丁)、きな粉であれば約40g、納豆であれば120g(約2パック)になります。
最近日本でも前立腺がんは女性の乳がん同様に非常に増えていますが、その原因が大豆を食べる機会が減ったという報告はまだどこからも出てはいません。しかし、男性の皆さんがご自分の食生活を考えたときに、明らかに昔よりも大豆を食す機会が減っていることを感じませんか?
大豆にはイソフラボンのほかにビタミンB群、必須脂肪酸、マグネシウム、カルシウム、アミノ酸が豊富に含まれていますので、前立腺がんの予防ということだけでなく、積極的に食べて欲しい食材の1つですね。
ただし、食べすぎはいけませんよ。
by nutmed | 2007-08-09 09:44