食とエコの両立 その3

昨日の金曜日、鶴見大学歯学部で1回目の講義をしてきました。100名ほど入る講堂の60%くらいが埋まりまして、「歯科医が知って得する栄養素学」というテーマで予定時間を30分もオーバーして熱弁しました。しかし、全員が白衣を着ている前での講義は威圧感がありましたが、それ以上にこちらはテンション上がって爽快な講義でした。

さて、今日は冷蔵庫と食材の話です。
前回、ドイツと日本の冷蔵庫の大きさの比較をお話しましたが、何故ドイツの一般的な家庭の冷蔵庫はサイズが日本やアメリカよりも小さくても十分生活には困らないのかわかりますか?
3年前にニュールンベルグ在住の私の師匠でもあるドクター・ブッシュ宅を訪問したときに、彼女から言われたのは、「では何故日本ではそんなに大きな冷蔵庫が必要になるの?」でした。
ドイツでは都心、郊外、地方の村部など、住んでいる場所に関係なく、食材の買出しは多くてもせいぜい2日分、生鮮食料品の多くはその日に食べる分を購入し、パン、牛乳、チーズ、ハム、ソーセージであってもせいぜい3日を限度に購入するために、どこかの国のように、スーパーに行ってどっさり食材を購入し、詰めるだけ冷蔵庫に詰め、挙句の果てに賞味期限が切れたものまでも冷蔵しつづけて最終的には生ゴミにななり果てることはドイツではほとんどないと言ってもよいそうです。
さあ、ここからいよいよエコが見えてきませんか?!
まず、サイズがコンパクトであり、庫内には1-2日分の食材しか冷蔵しないわけですから、庫内スペースに余裕があり、冷却能力が低く設定されていても十分冷蔵できるわけです。
したがって使用電気量も大幅に少なくなるわけです。次に、明らかに賞味期限内に食べる予定で食材を購入するわけですから、ゴミの量は圧倒的に少なくなりますね。これによって焼却光熱費が少なくなるだけでなく、CO2の排出量は減ります。
もちろん1回目に話したようにポリ袋が皆無に等しいドイツですから、各家庭から出るゴミにポリ袋はほとんどでません。当然CO2の排出量は減ります。私の記憶に間違いがなければドイツでは現在13種類のゴミ分別が各自治州の法で義務付けられているはずです。エコの話題がメディアで出るときにこのドイツのゴミ分別がよく引き合いにだされ、日本もドイツを見習ってゴミの多種分別細分化を提唱するエコロジストさんが少なくありませんが、ドイツが13種類ものゴミ分別が可能になった背景には、買い物の量と頻度、それに冷蔵庫のサイズに反映されるように、ゲルマン人のエコに対する考え方、食に対する考え方、そして何よりも、自分の国を自分達の手で守り、後世に残すために、この60年間忍耐強くポリシーを貫いたことであると思います。
ドイツに旅されたことのある方はご存知だと思いますが、ドイツには日本やアメリカのようなコンビニエンスストアーが多くありません。まして24時間オープンしているようなコンビニは皆無です。人が更なる利益をもたらした便利なコンビニではありますが、ドイツでは、深夜まで煌々と明かりをつけ電気とCO2の消費排泄量が増えること、車の往来が深夜まで続くことによるCO2の排泄量が増えることを良しとしせずのポリシーを貫いてきたことにあるでしょう。

さあ、いよいよ次回からエコと食、そして食育と健康のテーマにはいります。
by nutmed | 2007-09-08 21:37