第457回 脳に影響を与える7つの原因 ストレス

この連休は友人のドクターと共通の知り合いが東京から移住した山形県鶴岡へ行ってきました。東京から飛行機で1時間の日本海に面した城下町の鶴岡は、東京から比べると確かに人間の刺激や活気には乏しい街ですが、野菜や果物、水には驚くほどの活気に満ちていて、野菜や果物から自然の恵みだけでなく、エネルギーをもらうことができました。
都会に住んでいると「音」と「刺激」に埋もれて生活をしているために、静けさの中にいると人間の五感の範囲を超えた感性が湧き上がることを感じます。

さて、今日は脳に影響を与える7つの原因の6つ目、ストレスについてです。 
以前のブログでもお話ししたコルチゾールというホルモンは、ストレスホルモンと呼ばれるほど、体が受けるストレスのコントロールに深くかかわっています。
コルチゾールの生産と分泌量は男性よりも女性のほうが多いといわれていますが、この背景には一生の間に起こる女性特有のイベントにかかわっているのかもしれません。
神経にかかわる病気や症状におけるコルチゾールの生産量を調べた研究によると、たとえばアルツハイマー症ではその進行度合によってコルチゾールが作られる量が増加することがわかっています。また、うつ病などでもコルチゾールの生産と放出量は増加します。コルチゾールは様々なホルモンの生産や分泌にも影響を与えますが、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、テストステロン(男性ホルモン)、エストロゲン(女性ホルモン)といった重要な働きを担っているホルモンにも多大な影響を与え、同時にこれらのホルモンのバランスが変わることによって、脳神経にかかわる症状や病気へと発展します。2006年に発表されたJeongらによるマウスを使った実験は非常に興味深い結果をだしています。長い時間慢性的なストレスを与えられたマウスの脳細胞にはアルツハイマー症状特有の状況が現れ、そのストレスをさらに継続することによって記憶力だけでなく、ホルモンの生産量にも大きな変化がみられるようになったというものです。
現代、特に都会で生活している人の受けるストレス状態はまさにこのマウスに近い状態だと言ってもいいと思います。すべての病気は症状が表面や自覚的に現れる以前から進行していることを忘れてはいけないと思います。そしてそれを食い止めることは可能であることも。
by nutmed | 2008-09-16 11:21