第575回 エンテロラクトン その1

昨日、今日と全国的に夏日のところが多いようですね。気温が高くてもまだ空気が乾燥している分、真夏に比べて楽ではありますが・・・。行政の対応方針が少し緩和されたことで新型インフルエンザに対する国民の意識も少し楽になるだろうと思っていた矢先、東京でも新型インフルエンザ感染者が出たことで、マスコミメディアが相も変わらず煽りたてるために医療施設で必要なマスクや消毒剤の不足が新たな問題になってきました。「報道の義務と自由」を盾にするなら最後のケアのことまで考えていただきたいものです。

さて、今日からのテーマは男性向きの前立腺がんの予防にかかわる話題です。
皆さんはリグナンという成分を耳にしたことがありますか? リグナンは植物の実、花、茎、根に含まれているポリフェノールの1種類です。特に多く含まれているのが亜麻の実(フラックス)やゴマです。ゴマに含まれるセサミンもこのリグナンの1つになります。
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リグナンには様々な働きがあることが研究報告されており、抗がん作用もその1つです。リグナンの持つ抗がん作用の背景にあるのはエンテロラクトンと呼ばれる物質です。このエンテロラクトンは植物では作られず、リグナンを摂取した動物の体内(腸)で作られる物質です。我々人間の腸でも作ることができるエンテロラクトンですが、残念ながら人間自ら作り出すものではなく、乳酸菌がリグナンを分解して作ってくれる物質なんです。 ここ数年、某ビール会社が莫大な宣伝費を費やしてセサミンをPRしており、売上も伸びていますね。
あの宣伝を見ていて少し疑問に思っている私は、乳酸菌も合わせて摂取して腸内の乳酸菌の環境を整えないと意味がないのに・・と思っていました。
それは別としても、確かにこのエンテロラクトンの抗がん作用は強力で、特にホルモンが深くかかわるがんの予防、一部は治療には有効であることが数々の人による臨床研究によってわかっています。

次回はエンテロラクトンとホルモンについて・・・
by nutmed | 2009-05-21 14:00