2009年 05月 21日
第575回 エンテロラクトン その1
さて、今日からのテーマは男性向きの前立腺がんの予防にかかわる話題です。
皆さんはリグナンという成分を耳にしたことがありますか? リグナンは植物の実、花、茎、根に含まれているポリフェノールの1種類です。特に多く含まれているのが亜麻の実(フラックス)やゴマです。ゴマに含まれるセサミンもこのリグナンの1つになります。
リグナンには様々な働きがあることが研究報告されており、抗がん作用もその1つです。リグナンの持つ抗がん作用の背景にあるのはエンテロラクトンと呼ばれる物質です。このエンテロラクトンは植物では作られず、リグナンを摂取した動物の体内(腸)で作られる物質です。我々人間の腸でも作ることができるエンテロラクトンですが、残念ながら人間自ら作り出すものではなく、乳酸菌がリグナンを分解して作ってくれる物質なんです。 ここ数年、某ビール会社が莫大な宣伝費を費やしてセサミンをPRしており、売上も伸びていますね。
あの宣伝を見ていて少し疑問に思っている私は、乳酸菌も合わせて摂取して腸内の乳酸菌の環境を整えないと意味がないのに・・と思っていました。
それは別としても、確かにこのエンテロラクトンの抗がん作用は強力で、特にホルモンが深くかかわるがんの予防、一部は治療には有効であることが数々の人による臨床研究によってわかっています。
次回はエンテロラクトンとホルモンについて・・・