臨床栄養士のひとり言

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第677回 読者から嬉しいニュース  カンジダ菌の除菌

もうこの時期になれば「早いもので今年もあと・・」ということばが飛び交う季節になりましたね。
体感気温はまだまだ暖かいですが、予報では来週には「木枯らし1号」が吹くそうですから、11月に入り一段と寒さは増すのでしょう。インフルエンザのこともあるので、今まで以上に外出から帰宅したらうがい、手洗いは忘れずに! 

さて、週末の今日はブログ読者からの嬉しい便りがとどきましたので少し紹介します。
7月9日のブログで紹介した「バクテリオシン」とカンジダ菌のバクテリア補充療法ですが、今朝、岡山県から届いたメールは、口腔カンジダで長年悩んでいた30歳代半ばの女性です。
25歳のときに発症したアトピー性皮膚炎の治療でステロイド剤を6年間継続し、一時的に皮膚の症状は良くなったこともあったようですが、完治はせず、ステロイドによる副作用が増すばかりで、口の中のカンジダ菌の増殖も、3年前に歯科治療で受診したクリニックで判明したそうです。この時点で主治医に相談してステロイドを切ることになったそうですが、ステロイドを処方された10年ほど前にはあれほどステロイドを強く勧めていた医師も、今回ステロイドを切りたいと相談したところ、あっさりOKがでたそうで、その点にも不審と不安を覚えたようです。そんなこともあって、もう1度アトピー性皮膚炎の改善に真剣に取り組みたいと考え、薬の類は一切使わない自分なりの方針を決め、食事や運動を取り入れた改善をスタートさせた矢先だったそうです。
ミコナゾールという抗カンジダ菌薬を処方されたものの、ステロイドの影響が残っているのか、期待するほどの効果がでずにストレスがたまるばかりの中、バクテリア補充療法を試してみようと、7月中旬から「しば漬け」の漬け汁を薄めたものと植物性乳酸菌で毎朝毎晩うがいを継続した結果、歯科医での検査ではカンジダ菌の増殖がかなり抑えられたことを確認したそうです。この期間、ステロイドはもちろんミコナゾールも一切使っていないということなので、バクテリオシンの効果があったということです。

年齢、食事やストレスの環境などの背景によっても効果は異なるのですべての方に効果があるとは断言できませんが、科学的に合成された医薬品ではなく、人間と同じ生き物であるバクテリアの働きでカンジダ菌の増殖を抑えることができるということは、大きなメリットがあることです。
by nutmed | 2009-10-30 17:38

第676回 α-リポ酸が低血糖を引き起こす可能性がある

今日のテーマは、特定の人にα-リポ酸が低血糖症状を引き起こす可能性が高いという内容で、私の知人の姉妹に起きた出来事の紹介です。
従来、薬の分類であったチオクト酸(α-リポ酸)が食品の分類になったのはつい数年前のことで、今ではサプリメントや健康食品の中でα-リポ酸を配合した商品は、健康食品の上位を占めます。私自身、10年まえから1日あたり800mgのα-リポ酸を服用していますし、カウンセリングで糖代謝の良好でないクライアントや、水銀などの重金属の排泄を促す目的でα-リポ酸を勧めることが多いです。α-リポ酸は健康食品として多くの人が愛用常用している機能性分の1つだと思われますが、その働きは、強力な抗酸化作用で、代表的な抗酸化成分のビタミンCやビタミンEと異なり、水溶性、脂溶性のどちらの環境下でも作用することのほか、インスリンの感受性の向上、重金属の排泄促進、ミトコンドリアでのエネルギー生産向上などがあります。

さて、この知人の姉妹がある日突然、極度の体力、集中力の低下を覚え、ベッドから起き上がるのも辛い状態に陥り、病院で血液検査、診察をしたところ、極度の低血糖状態であることがわかりました。本人は低血糖症ではないことはもちろん、最近の食生活に変わったところがなく、すい臓に与える外傷もないだけでなく、インスリンの自己注射をするような状況でもなく、原因不明の状態でした。ところが主治医が、日本のある研究報告を見つけ、そこに報告されている内容が彼女の低血糖症状の背景にかなり近いことがわかりました。
その背景にあったのがα-リポ酸です。

その報告にn書かれていたのは「インスリン自己免疫症候群」という症状で、今から40年ほど前に東京女医性医大糖尿病センターの当時の所長だった平田先生が世界ではじめて報告し命名したもので、別名「平田病」「IAS:insulin autoimmune syndrome」と呼ばれています。
このインスリン自己免疫症候群は、インスリンに対する抗体がつくられ、体内で大量に作られたインスリンのほとんどがこの抗体と結合してしまい、そのインスリンによって低血糖症状が引き起こされるものです。
私もこのインスリン自己免疫症候群については知るところでしたが、2007年の6月にα-リポ酸がインスリン自己免疫症候群を誘発する報告がされていたことはしりませんでした。
インスリン自己抗体症候群は、臓器移植のときに組織の適合性をみるために使われるHLA(ヒト白血球型抗原)と強い関係があることは報告されていて、特定のHLA(DRB1*0406)を持っている人が発症しやすいことが今までにわかっています。このHLA(DRB1*0406)は日本をはじめとする東アジア圏の民族に多く、日本人では30人に1人(約3.3%)が持っていると言われています。

HLA(DRB1*0406)を持っている人が全てインスリン自己免疫症候群を発症するといういことではありませんが、今までに、このHLAを持っていて、SH基の成分が配合された薬を飲むことでインスリン自己免疫症候群が引き起こされる可能性が非常に高いことが報告されています。SH基(スルフヒドリル基)は簡単に言えばその多くは「硫黄」の成分を持った比較的悪臭のある物質です。
SH基を含んだ薬剤は比較的多く、以下の処方薬に含まれています。
・ カプトプリル (血圧降下剤)
・ チオプロニン (肝臓機能改善剤)
・グルタチオン、D-ペニシラミン (解毒用剤)
・6-メルカプトプリン(代謝拮抗剤)
・チアマゾール、プロピルチオウラシル(抗甲状腺ホルモン)

α-リポ酸もこのSH基を含んだ物質で、2007年6月に神戸大学内科から発表された研究報告(α-Lipoic Acid and Insulin Autoimmune Syndrome )によれば、32歳のインスリン注射歴がなく、糖尿病家族歴もなく、上記の薬剤の服用もない一方、HLAタイプはDRB1*0406で、唯一α-リポ酸の健康食品を飲んでいたこの女性に突然低血糖症状が現れていて、少なくともこの研究報告の中ではそれまでにこの女性のほかに、44歳女性と55歳男性が同様の症状と背景が確認されています。ただ、いずれの症例もα-リポ酸の摂取を中止すると低血糖症状は治まりもとに戻っています。

ここまで書いてしまうと、日本人の性格から、α-リポ酸があたかも危険な素材のように思われてしまう恐れがありますので、ここは正確に理解していただきたいと思います。インスリン自己免疫症候群のように低血糖を誘発してしまう可能性のあるα-リポ酸ですが、体内環境、特にストレスフルな現代社会の生活習慣や飽食化した食生活を考えた場合、α-リポ酸の持つ機能性は余りあるものがあることは事実ですし、その有効性は私自身もまた私のクライアントでも確認しているところです。
30人に1人という数字は確かに少なくはありません。1人1人がHLAのタイピングを確認していればいいことですが、それは生活感のない話です。
以前からこのブログでも言い続けていることですが、サプリメントや健康食品、もっと言えばビタミンミネラルは薬ではないので安全であるということは決してありません。
今回のα-リポ酸のことだけでなく、私が日頃から感じていることは、あまりにも目的なくサプリメントや健康食品を摂取している方が多い、特にマスコミメディアの啓発で簡単に手を伸ばしてしまう方が多い、「何となく飲まないより飲んだほうがいいだろう・・」という方が多いことです。TVや雑誌で紹介されている自分と同じ悩みを抱えた人が飲んで、症状が改善したから自分も同じように改善することは決して100%ではないということ、100人の人がいれば100人ともに体内環境が異なるということを自覚するべきだと思います。

α-リポ酸がSH基(スルフヒドリル基)を持った素材はα-リポ酸のほかにも多く、アミノ酸のシステインやグリシンもその1つで、これらのアミノ酸が含まれている食材は少なくありません。臭いの強い野菜、たとえばブロッコリ、ニンニク、タマネギ、豚肉などの食材にも含まれています。

今回のようにα-リポ酸が引き金となって特定のHLAタイプを持っている人が低血糖症状を招く可能性が高いことがわかったわけですから、少なくともα-リポ酸を摂取して、急に気力が低下したり、疲労が増したり、特に食事の前後で急激に疲れやダルさ、眠気などの症状が現れるようなことがあった場合には、ただちにα-リポ酸の服用を中止して、しばらくの後にそれらの症状が治まるようであれば、α-リポ酸がその症状にかかわっている可能性を疑うこと、また、システインやグリシンなどSH基(スルフヒドリル基)を含んだ食材を食べて、多かれ少なかれ上記のような症状が現れるような場合には、それらの食材には十分注意するとともに、チャンスがあれば糖尿病の専門医が在籍する施設でインスリン自己免疫症候群のことを相談してみることをお勧めします。




   
by nutmed | 2009-10-29 15:58

第675回 妊娠中期からの魚油が新生児の食物アレルギーを予防 その2

今朝の東京は、昨晩の放射冷却のせいか朝から少し肌寒いですが、すがすがしい秋晴れの1日になりそうです。

さて今日は妊婦と魚油についての2回目です。
前回紹介したスウェーデンの研究者らの臨床検討では145人の妊婦さんにボランティア参加をお願し、妊娠5カ月目から出産3-4か月後の授乳期まで毎日1600mgのEPAと1100mg(両者ともに魚油から抽出)を摂取してもらっています。その後、新生児の血液検査したところ、DHA/EPAを摂取した妊婦から出産した新生児ではIgE抗体価は低く、摂取していな妊婦から出産した新生児では高いことが報告されています。
彼らの臨床検討が従来の多くの検討と異なる点は、妊娠中期の5か月から授乳期までのロングランで摂取されていたことです。従来の報告では妊娠10か月目ころからの摂取によるものが多く、摂取期間の長さが予防効果を左右するものと推測できます。
スウェーデンの研究者らが引用していた過去(2003年と2006年)の研究報告を追跡してみると、3つの興味ある点がみつかりました。1つは、妊婦である女性自身が卵や牛乳、小麦などの日常的に食べる食材に対してアレルギーを持っていない場合のほうがさらに予防効果が高いこと、2つめが配偶者の夫も日常的に食べる食材に対してアレルギーを持っていない場合のほうがさらに予防効果が高いこと、3つ目は第1子が日常的に食べる食材に対してアレルギーを持っていない場合のほうがさらに予防効果が高いことです。さらに、この2つの研究報告では、少なくとも妊婦である女性自身が日常的に食べる食材に対してアレルギーを持っていない場合には、スウェーデンの研究者らが報告しているような大量のDHA/EPAを摂取しなくても、1日あたりDHA/EPAともに80mg前後の摂取でも、妊娠5か月目から摂取することによって、新生児のアレルギー予防効果はあると判断しています。
従来の研究で報告されてきた、妊娠中から魚油のDHA/EPAを摂取することによる新生児のアレルギーの予防効果率が想像しているよりも低かった背景には、魚油の摂取期間、研究に参加した妊婦自身と家族のアレルギー歴に関係があることだと思われます。
これらの研究報告から考えられることは、単純に言えば、こどもの親となる両親、少なくとも母親となる女性が、食物性のアレルギーを持たないような食事環境と食事の仕方に留意することが大切であるといえるでしょう。
by nutmed | 2009-10-28 07:54

緊急トピックス 新型インフルエンザワクチンについて(私見)

この話題は先週紹介しようと思っていたのですが、このところ以前にも増して「新型インフルエンザワクチンは接種したほうがいいでしょうか?」や「佐藤先生は新型インフルエンザワクチンを接種するのでしょうか?」というメールが非常に増えているので、私個人としての新型インフルエンザワクチンについての意見をお話します。
インターネットがここまで普及し、事の良し悪しは別としても、世界中で起きている事がタイムリーにわかるようになり、今回の新型インフルエンザワクチンに関する記事や研究者のコメント、各国政府の対応が手に摂るようにわかりますので、皆さんも辞書を片手に、世界中で起きている新型インフルエンザワクチンに関する報道を、極力中立的な立場で見ていただくといいかもしれませんね。この時期、世界中の国では新型インフルエンザワクチンに対する賛否両論が連日飛び交い報道されていますが、日本ではこの件についての報道や情報は少ないと感じているのは私だけではないと思いたいです。

新型インフルエンザに限らず、依然として、ワクチン接種に対して懐疑的、場合によっては危険視する人やグループが世界各国には想像以上に多いです。この日本でも少なからずワクチンに対してそのような意見を持っている人が少なくないでしょう。むしろ従来よりも増えていると言えます。
私はワクチンという予防手段のコンセプト意義は大いにあると思っていますが、ワクチンに添加される防腐剤(水銀もその1つ)やワクチンの免疫力を高める目的でワクチンと一緒に体に注射されるアジュバント(Adjuvant)による体内環境への影響については大いに懸念材料として持ち続けています。

ワクチンと言えば今の時期はどうしても新型インフルエンザが話題の中心ですが、成人になった皆さんのほぼすべてが、生まれてからしばらくの期間中に、はしか、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオウィルス、水疱瘡など、数えきれないほどのワクチンを接種されてきているはずです。

多くのワクチンが国の施策の中で行われていますが、本来ワクチンを接種するか否かは本人または親族の意思で決定選択されるもので、幸い日本では「強制的に」接種を強いられることはありません。

その一方で、ワクチンはどのように作られていて、その中にはどのような成分が何の目的で添加され、仮に100万分の1の確率であろうが、接種した後に現れる可能性のある副作用がどのようなものかを国民に知らしめ、本人が接種をするかどうかを決定するための選択事前情報として、国民の衆目に公開されているとは言い難いと言わざるをえないと思っています。

今回の新型インフルエンザワクチンについては、「パンデミック」いわゆる感染者が非常に多くなり、感染によって死亡を含め重い症状が現れる可能性が高いウィルス感染であることは、日本だけでなく世界中が認識しているために、国民が各種情報によって不安にさらされている状況が日を追うごとに増しています。増しては、国民全員にワクチンが行き渡るかどうかわからないとい言った報道が連日されるものだから、不安はなおさら募ります。

さてさて、前置きが長くまりましたが、私自身は、自分で判断できる歳になって以降、季節性インフルエンザを含めワクチンという類を接種したことがありません。今回の新型インフルエンザワクチンも同様に接種するつもりはありません。
こんなことを書くと、これからインフルエンザのワクチン接種を考えている方へマイナスの心理的な影響を与えてしまうかもしれませんが、少なくとも新型インフルエンザワクチンについては、年齢的なことと過去に感染し抗体がつくられている可能性、またその抗体が多少なりとも新型インフルエンザの感染をし難くしている可能性など、私なりに情報を集めた結果の判断です。また、日本だけでなく各国のウィルス学者や免疫専門の研究者のコメントも参考にしてのことです。
これもまたマイナスの心理的な影響を与えてしまうかもしれませんが、つい先日アメリカのニュース番組で報道されたインフルエンザワクチン接種による副作用(ジストニア)のニュートラルな情報を紹介しておきます。

インフルエンザワクチンの接種については皆さん自身が情報を集め、中立的な立場でその内容を確認したうえで接種するかどうかを決定していただきたいと思います。
by nutmed | 2009-10-27 14:02

第674回 妊娠中期からの魚油が新生児の食物アレルギーを予防

今回の台風は前回のものと比べて甚大な被害をもたらすことはなくひと安心でした。今朝の東京の空は限りなく高いです。
さて、今日は新生児のアレルギー症状の予防に魚油が有効であることについての紹介です。
魚油、特にタラ、サケ、イワシ、最近ではオキアミの脂に含まれているDHA(ドコサヘキサ塩酸)とEPA(エイコサペンタ塩酸)、それにビタミンA・Eが豊富に含まれていることは皆さんも知るところですね。
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以前からの研究で、妊娠中と出産後の授乳期に、EPA、DHA、ビタミンEが含まれる魚油を摂取することで、新生児が卵や牛乳、小麦(グルテン)など食物アレルギーの発症を予防する効果がある程度あることが報告されていました。日本では産科、小児科のドクターや管理栄養士が妊婦に対して魚油の摂取効果を説明したり、食事指導の中に魚を積極的な摂取を盛り込むことは、欧米に比べると少ないかもしれません。あるとすれば魚を摂取することでカルシウムが摂れるからという理由のほうが多いかもしれませんね。
ただ、この背景には今までに発表されている各国の研究報告の内容にも少なからず原因があると私は感じていました。従来報告されている妊娠中の魚油摂取と新生児アレルギー予防の有効数値を見ると、「これなら!」と思えるほどの有効数値や有効例が報告されていないのが実情です。逆に私自身は今までに自分の周囲で妊娠した女性がいたり、クライアントの中に妊娠を予定している女性がいたときには、必ずタラの肝油の摂取を勧めてきて、実際に出産後、離乳食期の赤ちゃんが周囲の赤ちゃんに比べて卵や牛乳、小麦などにアレルギー反応しない状況を沢山経験していたので、これらの研究報告を見て不思議に思うことがなかったわけでもありません。
今年の6月にスウェーデンの研究者らによって発表されているある報告を見つけました。この研究報告の中で引用されている2003年と2006年に発表されている報告とを併せて見ていると、私が持っていた不思議の原因かもしれない内容を解明してくれました。
結論から言うと、EPA、DHA、ビタミンEの摂取量に問題があったのではなく、今までに報告されてきた臨床検討に参加していた妊婦さんたちの背景と、配偶者である夫の背景、それに妊娠のどの時期から魚油を摂取させてきたかというこの3つが鍵であったようです。

続きは次回に・・・
by nutmed | 2009-10-27 11:34

第673回 アルツハイマーとニコチン酸アミド

今朝の天気予報を見たら1日を通して降水確率100%となっていましたが、こんな確率を見るのははじめてかもしれません。台風の影響もあって秋雨前線が刺激され本当に1日肌寒い雨でしたね。

さて、今日はアルツハイマー(Alzheimer's)の予防にニコチン酸(ナイアシン)アミド:ビタミンB3が有望視されているお話を紹介します。
アルツハイマーの原因背景にはタウタンパク(Tau Protein)という物質(ここでは難しくまた長くなるのでタウタンパクの説明は省かせていただきます)が深くかかわっていることはすでに多くの研究者が動物および人の臨床実験でも証明報告をしているところです。もう10年以上もまえにカリフォルニア大学(アーバイン校)の研究チームが、動物実験によってナイアシンアミドがタウタンパクの発現を560%近く抑えることを証明し,その後人においても同様の結果が報告されました。
実際に私の師匠のDr.ライトのタホマクリニックではアルツハイマーの症状改善と予防にナイアシンアミドをポピュラーに使用していますし、アメリカの栄養療法だけでなく西洋医学のドクターの多くが今日、ナイアシンアミドをアルツハイマーの治療に取り入れて成果をあげています。
ナイアシンアミドはアルツハイマーの改善予防だけでなく、うつ病、パニック症候群、不安恐怖症など多くの精神神経症状の改善に有効であることが報告されています。

ただし、ナイアシンアミドの使用量に際しては留意する点があり、インスリン抵抗性を持った人の場合には、通常量よりも必要量が多いということです。インスリン抵抗性はアルツハイマーのリスクが高くなるという研究報告がいくつか発表されています。2型糖尿病を発症した人の多くがインスリン抵抗性を持っていることが報告されていますが、アルツハイマーのリスクファクターともなる2型糖尿病の人では、1日あたり500-800mgのナイアシンアミドを3回に分けての摂取が有効であると思います。加えて、現在2型糖尿病は発症していなくても家族の中に2型糖尿病を持つ人がいる場合には同様と考えてもいいと思います。
一方でインスリン抵抗性を持たない人の場合には、1日あたり50-100mgを3回に分けての摂取が有効であると思います。
ちなみに私はすでにインスリン抵抗性があり、両親が2型糖尿病であるため、2年ほど前から1日あたり650mgのナイアシンアミドとそれに伴ってその他のビタミンB群のバランスを考えて飲んでいます。

ナイアシンアミドはいわゆる「flush」という顔や皮膚の紅潮が少ないナイアシンのタイプでもありますが、これだけの大量服用に際しては他のビタミンB群の摂取のこともあるので、専門家の指示に従って服用をすることが望まれます。
by nutmed | 2009-10-26 17:17

週末歳時記 久々に家族でブランチ

このところ週末になるとバイクいじりになっていたり、娘が外出(彼氏ができたのならいいけれど・・)続きで家族3人揃って食事する時間ががなかなかとれなかったので、今日の日曜日は3人揃ってブランチを楽しみに出かけることにした。以前からこのレストランの絶品!パイ包みのコンソメスープを娘にも飲んでみてもらいたくて、渋川・伊香保ICからすぐのシジョルゼに向かった。
金曜日の夜に高橋シェフに予約の連絡を入れておいたので、11時には店を開けて待っていてくれた。今年で3年目、通算4回目のこのレストランも東京でこのメニューを食べれば1人前で福沢諭吉が1人は飛んでいきそうなのに、渋川という場所柄、夏目漱石が3人で「これが!」という料理が堪能できる。今日は秋のランチコースメニュー「チーズフォンデュ」と「エスカルゴ」。もちろんパイ包みコンソメが前菜で登場。
高橋シェフが「娘さんは初めてのコンソメだろうから、評価が楽しみだね」と言いながらコンソメスープを運んできてくれた。ここのパイ包みコンソメは他店のパイに比べてかなり肉厚。バターがこってり利いたパイで、まずはパイを少し崩して3昼夜煮込んで濾した澄み切ったコンソメを一口ふた口。体に染み入るとはこのことだ。それからパイを全部スープに投入してバターのこってりした味と風味でスープの性格がガラっと変わる。1度で2度美味しい。女房殿はこのスープだけでもランチは十分だといつも言う。初めて食した娘の反応もいい。
その後のエスカルゴもこの値段では非常にお値打ちの逸品だし、メインのフォンデュもまた8種類のチーズ100%+ワインで最後まで飽きない味を堪能した。
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写真の水に浸してある白い四角いものは乾燥した餅。これがチーズに絡むと絶品だった!
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シェフいわく、高速道路週末1000円と景気低迷のWパンチで客足が激減しているそうだ。
ひょっとすると22年間続けてきたこの店も今年いっぱいで閉店させなければならない事態になるかもしれないとのことで、何とか折を見ては通いたい少ない店の1つになった。
by nutmed | 2009-10-25 21:50

第672回 IBSについて 最終回

ここにきて、新型インフルエンザのワクチン接種の件で行政と研究機関の間で見解の相違があるなど、少しすったもんだしているようです。私もこの数カ月間、感染して死亡したり症状が重篤になっているのは若い人が圧倒的に多いので、成人、少なくとも40歳以上の人の場合には過去に感染したインフルエンザによってできた抗体(免疫)が、少なからず新型インフルエンザにも効果があるのかなと思っていました。そんな中昨日の報道では、やはりそのような背景があるようだと言っていましたね。
これから本格的な乾燥シーズンになるので、予防が要になります。外出先から帰宅したらうがいは忘れないでください。

さて、今日はIBSの最終回です。
漢方でも知られる苦味のある成分の素材の多くは、IBSの治療改善にはポピュラーに選択されるものです。ショウガ、タンポポの根、カラクサケマンの葉、ニガヨモギ、ゲンチアナの根、それに前回紹介したアーティチョークの葉など、苦味を持ったハーブは胃酸の分泌を促すだけでなく、腸のぜんどう運動を促してくれる成分を持っています。
これに加え、リコリス(Licorice:甘草)はIBSの治療改善に有効な素材でしょう。
リコリスについてはここを参照
これらの機能性ハーブは食事の30分ほど前に服用するのが有効です。漢方同様これらのハーブも1つだけで有効に作用する場合と、いくつかの組み合せで作用が現れることがありますが、私が今までにクライアントにお勧めして有効だった組み合せは、ゲンチアナの根とリコリスのコンビネーションです。リコリスについてはグリチルリチンの活性を抑制させたジグリチルリチン(DGL)のタイプのリコリスが継続摂取には向いています。
ゲンチアナは煎じ生薬として漢方薬局などでも入手はできますが、取扱いが難しいので、医療施設を受診して相談のうえ処方してもらうほうがいいでしょう。
以下のクリニックではIBSの改善のためにリコリス(チュワブル)とゲンチアナを処方してくれます。
神尾記念病院アンチエイジング外来
青山外苑前クリニック
岡田クリニック

このほかIBSの改善に有効な素材としてアミノ酸のトリプトファン(Tryptophan.5-HTP)があります。詳細はここを参照
トリプトファンから合成されるセロトニンは脳内ホルモンとして重要な神経ホルモンですが、体内でトリプトファンから合成されるセロトニンの約95%は腸で合成されています。セロトニン(ヒドロキシトリプタミン(5-hydroxytryptamine)が合成され分泌されると、そのレセプターと反応しはじめます。これらのレセプターは腸の動きを促したり抑制したり、腸を弛緩させたり緊張させたりといった相互作用を持っています。お腹がゴロゴロ鳴ったり、張ったような状態、不快な感じを受けたり、逆にこれらの症状を抑えてくれるような作用も持っています。精神的なストレスに対応するために脳内ではセロトニンをはじめ様々な脳内ホルモン、神経伝達物質が活発に働きますが、腸でf合成され分泌されるセロトニンとそのレセプターの働きが、何らかの原因で影響を受け正しく作用しなくなることによって、IBSの症状を作り出すことが考えられます。
うつ病に処方される抗うつ薬のSSRI(selective serotonin reuptake inhibitor:セロトニン再取り込み阻害薬)は、これらのレセプターにも影響を与えることになるので、SSRIを服用している方の中にIBSと同じ症状が現れることは珍しくありません。

by nutmed | 2009-10-23 11:04

第671回 Ⅱ型糖尿病の人はアボカドの摂取に注意

今日は2つ目のトピックスになります。

以前から私は事あるごとに「アボカド」を優れた機能食材として幾度となく紹介しお勧めしています。アボカドに含まれるビタミン、ミネラル、アミノ酸、それに脂肪を考えると、アボカドは「天然のマルチビタミンミネラル」と言っても過言ではないほどなので、毎日でも食べていただきたい食材です。
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最近、アボカドのことを詳細に調べていく過程で、アボカドに含まれている糖の1つ、マンノヘプツロース(D-Mannoheptulose)という7つの炭素が結合してできた糖分には、インスリンの生産分泌を抑える強い作用があることが、1986年以降アメリカやイスラエルの研究者による動物実験と人間の臨床実験によって報告されていることを見つけました。つまり、このマンノヘプツロースは糖を代謝するために必要なインスリンの生産と分泌を抑えてしまうことになるので、インスリンの生産分泌と働きが問題になるⅡ型糖尿病の方は、アボカドの過剰な、そして頻繁な摂取には注意する必要があるということです。

このように書いてしまうと、アボカドに対する見方が変わってしまうかもしれませんが、そんなことはありませんのでご安心ください。

・反応性低血糖には有効なマンノヘプツロース

確かにアボカドという素材が天然に持っているマンノヘプツロースにはこのような作用がありますが、逆に、同じ糖代謝に問題を抱えている低血糖、その中でもインスリンが過剰に作られてしまうことによって血糖が低下する反応性低血糖の方には、アボカドの持つマンノヘプツロースの作用は有効な成分であるとも言えます。

マンノヘプツロースについては世界中で研究がすすめられているところで、イスラエルの研究グループの報告では、抗がん作用があることもわかってきまし、糖代謝が高くなり中性脂肪を貯めこむようなタイプの肥満の改善にも有効であることもわかりました。

最近の研究では、マンノヘプツロースの合成に成功したという報告もありますので、ごく近い将来マンノヘプツロースを配合した薬やサプリメントの開発が始まることは間違いないことでしょうが、できる限り自然の形(私はこれをCopy Natureと呼んでいますが)で摂取することが一番だと考えています。
by nutmed | 2009-10-22 12:19

第670回 緊急トピックス

IBSのテーマの途中ですが、今回は緊急にお知らせしておくべきトピックスを紹介したいと思います。

抗うつ剤「パキシル」の服用で先天異常児出産
10月21日の毎日新聞の記事をすでに見た方もいると思いますが。民間医薬品監視団体「薬害オンブズパースン会議」(代表、鈴木利広弁護士)の調査によると、過去8年間で、日本では最もポピュラーに処方服用されている抗うつ剤「パキシル」を服用した妊婦から生まれた新生児で、先天異常を含む副作用の被害報告が30件あったことが公表されました。この副作用報告の中には新生児の心臓の一部が欠損する先天異常が7件、生まれた直後にけいれんや呼吸困難などを起こす「新生児薬物離脱症候群」が21件含まれていました。パキシルはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)で、従来の同じ種類の薬に比べ副作用が少ないとされていました。パキシルは2009年5月に販売元のグラクソ・スミスクラインに対して厚労省が、重要な基本的注意として「自殺企図」の中に「攻撃性」のリスクを添付文章として追加改定するよう指示がでたばかりです。同「薬害オンブズパースン会議」の調査では、同種の他の抗うつ剤と比べ先天異常児出産の報告数が突出しているとして、厚生労働省とグラクソ・スミスクラインに対して実態調査と添付文書の改訂を要望することになったようです。
先天異常報告のほかに、流産や子宮内胎児死亡の報告もあり、他の抗うつ剤では、先天異常の報告はなく、離脱症候群も同期間で数件であることと比較してもパキシルの副作用は多いと思われます。
パキシルは以前から依存性も高く、本来は妊娠可能な患者へは原則禁止すべき薬として注意喚起が強く求められていました。
今更ながら、パキシルの服用には十分注意が必要だと思います。特に、これから妊娠を考えている女性の方は、主治医と十分相談してパキシルの服用をするべきだと思います。
by nutmed | 2009-10-22 11:43