臨床栄養士のひとり言

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週末歳時記 明日からアメリカへ

今日の昼過ぎは、ここ新富町界隈でも人の流れがいつもより少なくなるほどでした。
それにしても真央ちゃんは、残念でしたがよくやってくれたと思います。決してストレスには強いほうではないようですが、あれだけの期待を背負った中での滑走は立派なものでしたし、何よりも演技が終わってからすがすがしい表情を見せていたのが何よりです。

さて、明日から10日間久々のアメリカ出張で日本を離れます。今のロングランテーマの食物過敏症もこの期間はお休みさせていただきます。その代わりにアメリカからのトピックスをお届けしたいと思います。
久しぶりのカリフォルニアの青い空、今から楽しみです。

日本も今週末から来週以降一段と暖かくなるようです。

それではみなさん良い週末を!
by nutmed | 2010-02-26 14:59

第750回 食物過敏症について レクチン不耐性 その5

今朝は起きたときに気温もすでに上がって暖かい1日になりうそうだったので、久しぶりにスクーターで新富町まで走ってきました。昨年あれだけ悩まされた花粉症ですが、今年は飛散量も少なく悲惨度も低いようです。
今回の食物過敏症については、少しだけ3月20日に予定している私のセミナーで話してみようかと思っています。
さて、今日はレクチンの性質についてです。
レクチンの多くは熱に強く、70℃で30分以上加熱によって活性が失われます。また、消化酵素にも強く、タンパク質分解(プロテアーゼ)でも分解することは容易ではありません。さらに、1部のレクチンは酸に対しても強いことがわかっています。
したがって、レクチンに不耐性がある方の場合には、レクチンを失活(活性を無くし作用しないようにする)させるために、食材を十分加熱し、胃酸と消化酵素を十分生産した状態で食事をすることを心がけるべきです。
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特に、穀物(小麦など)、マメ科植物(ピーナッツ、大豆、インゲンなど)、ナス科植物(ナス、トマト、トウガラシ、ジャガイモ、クコ、ピーマン、パプリカなど)、グルテンなどは、前回紹介しました血液型別のIgG抗体のスコアを見ても、大なり小なり日本人の多くを占めるA型(A型:約40%・O型:約30%・B型:約20%・AB型:約10%)とO型に反応しやすいグルテン含有の穀類、豆類、それに乳製品、卵の食材を食べる時には加熱を十分にしたほうがいいでしょうね。
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動物実験のデータではありますが、腸の膜の細胞に取り付いて反応を引き起こしてしまうレクチンの5%ほどが、本来侵入することのできない腸の膜を通じて体内に侵入することが報告されています。これを人間に置き換えると、食材に含まれるレクチンの5%という数字は「著しく多い」と言えるでしょう。
牛乳(乳製品)については話が少し複雑になります。牛乳に含まれるレクチンの活性を抑制する方法は中途半端に熱をかけないことかもしれません。
最近の牛乳や乳製品の加工段階で行われる、高温殺菌処理は逆効果になることがあります。その理由は、牛乳(人の母乳も同じ)に含まれる抗体(分泌型IgA抗体:SIgA)がレクチンと結合してレクチンの活性を抑制してくれるのですが、高温で処理されることによって、熱に弱いSIgAが壊れてしまうことがあるからです。したがって牛乳や乳加工食品については、レクチンをしっかりと失活させるために70℃で30分以上加熱処理をすることが望ましいでしょう。
by nutmed | 2010-02-25 10:36

第749回 食物過敏症について レクチン不耐性 その4

今朝起きたときには、ひょっとして桜でも咲いているのでは?と思わせるほど暖かな朝です。毎週水曜日は栄養カウンセリングの日なので、起床は午前5時。午前7時前には栄養医学研究所へ出てメールのチェックや雑務をこなしますが、少し前まではまだ暗かった朝も、日の出の時間が早くなり、オフィスにつくころには朝陽がまぶいしい季節になりました。もうすぐそこまできてますよ、桜の開花が!

さて、今日はいよいよ血液型とレクチンの関係についてです。
まずは最初に以下のグラフを見てください。これはアメリカで血液型と食物過敏症の研究を長年にわたって続けているDr.Powerの研究所が、1985年から2004年までの20年間にわたって500人の異なる血液型の患者とボランティアに行った食物過敏症の研究データの中の1つです。
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このグラフは、血液型によって主要な食材にアレルギー反応(IgG抗体)の程度が異なる傾向を証明した報告です。この研究結果の評価はアメリカでも非常に高いものですが、この中に日本人が含まれていないこと、ABO血液型(一部RhとMN型の報告もあり)のみであること、また、Rh型の違い(日本人は0.5%がRh陰性、極東の黄色人種では1%がRh陰性、一方白人では15%がRh陰性で、黒人は黄色人種と白人の中間)やアジア人の血球や組織の抗原特異性や頻度は白人とは異なることもあり、全ての食物過敏症がABO血液型で解明できるとは思いませんが、このような長期にわたった研究が世界初であることと、いままでに説明してきたレクチンという物質がABO血液型を決定する背景にあり、赤血球を凝集させる性質をもつこと、そしてその凝集の原因になるABO抗原は体内のあらゆる細胞膜にも存在するという、従来からのエビデンスを考慮すると、今後の食物過敏症(アレルギーを含む)の予防や改善には大いに役立つ研究報告であることはまちがいありません。
食材に対する反応の程度は、黄色線まではIgG抗体の反応が弱い、オレンジ色線まではIgG抗体の反応が中程度、赤色線を越えるとIgG抗体の反応は非常に強いと判断します。
興味深いのは、乳製品と卵に対しては、全ての血液型で中程度以上の反応を示していることに対して、肉類と魚貝類に対してはほぼ全ての血液型で反応は比較的弱いということです。また、全体を通してA型ではIgG抗体をつくってしまう食材反応がほかの血液型に比べ比較的弱いということです。
最近日本でも栄養療法、アレルギーを専門に扱うクリニックや病院でも食物に対するIgG抗体検査を行う施設が増え、検査結果による食事指導を行っていますが、このときに血液型との関係を考えてみることによって、すでに症状とし現れているものもいないものも、その改善の手段と幅が広がると私は考えています。
もう1つ、このブログを購読していただいている読者の中にはドクターや看護師などの医療従事者や栄養士の方もいるようですが、中には既にクライアントのIgG抗体検査を行ったことがある方もいることでしょう。私も青山外苑前クリニックの栄養カウンセリングで何人かのクライアントの食物に対するIgG抗体検査結果を見せてもらったことがあります。症状は腸の働き、神経的な症状、慢性的な栄養吸収障害など、明らかに食物過敏の症状があるにも関わらず、中には明らかにこのABO血液型とは無関係の傾向が表れているクライアントが少なくありません。この中にはレクチン不耐性の影響よりも、もう少し大きな異物の塊(免疫複合体)が関わっている食物過敏症があるのではないかと思っています。免疫複合体と食物過敏症の関係は、今後紹介していきます。
by nutmed | 2010-02-24 07:31

第748回 食物過敏症について レクチン不耐性 その3

今日の東京は朝はそれなりに寒いはじまりでしたが、時間の経過とともに昼前には小春日和のようにな暖かい1日でした。そろそろ桜の話題がではじめる季節でしょうか。今週末土曜日から1週間、久々にアメリカ出張です。今回の目的地はサンフランシスコのコンコードで行われる栄養療法セミナーへの出席と、ロスアンジェルス郊外のアーバインのサプリメント工場への定期訪問と、新商品の打ち合わせのためです。昨年は新型インフルエンザのおかげで海外出張も控えていたので、久しぶりのカリフォルニアの青い空・・です。

さて、今日はレクチン不耐性の3回目です。自分で書いていいながら言うのも変ですが、回を重ねるごとに少しずつ難しくなってしまっているようで申し訳ないですが、今回のロングランテーマである食物過敏症が終わったときには、皆さんも食物過敏症の予防に対する心構えは万全のはずですから、ついてきてくださいね。

糖と特異的に結び付くたんぱく質で、特に細胞膜表面に存在する糖と結合し、別な細胞同士を結合させる働きを持ったレクチンは、世界中で進められている糖(糖鎖)に関する研究によって、様々な性格や機能がわかりはじめたばかりで、その種類は研究の成果とともに増えています。レクチン(レクチンファミリー)は、全てが毒性があり、細胞にダメージを及ぼすなど、体内環境にとって良くない種類ばかりではなく、細胞の働きやホルモン、免疫などの働きを向上させてくれる可能性のあるレクチン類の存在も報告されはじめています。しかし、一方で、穀物(小麦など)、マメ科植物(ピーナッツ、大豆、インゲンなど)、ナス科植物(ナス、トマト、トウガラシ、ジャガイモ、クコ、ピーマン、パプリカなど)などに含まれるレクチンには程度の差はありますが、毒性のあるものや、細胞膜に影響を与え、細胞臓器の働きに大きな影響を与えるレクチンもたくさん存在しています。
私も含め読者の中で中高年の方はヒマシ油(蓖麻子油)という名前を聞くと眉をひそめる方がいるかもしれませんが、この蓖麻(トウゴマ:castor bean)を絞ったヒマシ油に含まれるレクチンの毒性は比較的強いほうだと思います。
これからしばらくレクチンのテーマが続きますが、レクチンと食物過敏を考えるときに、「レクチンが鍵で、人の細胞膜表面にある糖が鍵穴」と考えて見ると分かりやすいかもしれません。つまり、鍵であるレクチンが細胞膜表面に存在する特定の糖でできた鍵穴に正しく合う鍵であれば、細胞膜のドアを開けてしまい、その細胞に様々な影響を及ぼすということです。ここでは「細胞膜表面に存在する特定の糖」がポイントになります。
たとえば腸の表面膜の細胞の膜に存在する特定の糖でできた鍵穴を開けてしまう鍵をもったレクチンが接触することによって、腸の表面膜がダメージを受け、腸の働きに影響を与えるだけでなく、LGS(LGSについては過去のブログで沢山扱っているので検索してみてください)を発症させてしまう可能性がないとは言えません。この状態が慢性化することで、免疫システムが働きはじめ、場合によっては正常な腸の表面膜の細胞に対する攻撃をはじめることにもなります。
by nutmed | 2010-02-23 16:52

第747回 食物過敏症について レクチン不耐性 その2

週末はバイク仲間のおじさんたちと伊豆半島への2リングにでかけてきました。宿泊した川奈の鮨長(http://www.sushicho.jp/)は、「和のオーベルジュ」というだけあって、川奈近辺で捕れた旬の新鮮な魚と地のものの料理がおいしい宿です。オーナーで料理長の話によれば、今では伊豆の名物ともなった「キンキ」は、よほどのことがない限り、旬なとき以外で食べられるキンキは海外で取られた冷凍物、アジは宮崎か長崎産だそうで、料理長のこの話を先に聞いておいたので、夕食のときに出されたキンキの煮付けを前にして「やっぱりキンキは伊豆だね!」などと知ったかぶりをせずに済みました(笑)。

さて、今日はレクチン不耐性の2回目ですが、今日は改めてレクチンと関係が深く、食物過敏症とも深い関係がある可能性が高い、血液型について少し説明しておくことにします。
下の図をみてもらうとわかりますが、血液型がA型の人の場合、赤血球の表面にA抗原があり、血清の中にはB型の血液を固めてしまう抗Bといわれる抗体が含まれています。血液型がB型の人では赤血球の表面にB抗原と、血清の中にはA型血液を固める抗Aという抗体をもっています。つまり、A型とB型の血液が混じると、抗原抗体反応により血液が固まったり、赤血球が壊れてしまう(溶血という)状態を引き起こします。一方、血液型O型の人の場合、抗原はありませんが、抗Aと抗Bの両方の抗体があり、血液型AB型の人では、A抗原、B抗原ともありますが、抗Aと抗Bどちらの抗体も持ちません。
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難しくなるかもしれませんが、もう少し詳しく解説すると、ABO血液型の場合、A型もB型もO型も、そしてAB型の人も赤血球の膜表面にある抗原は、ある場所まではどの血液型の人でも同じ構造を持っています。そして最後の末端にある物質(糖)が、以下のようにそれぞれの血液型で異なり、血液型を決定しています。
A型抗原の最終末端:N-アセチルガラクトサミン(N-acetyl-D-galactosamine)
B型抗原の最終末端:D-ガラクトース(D-galactose)
O型抗原の最終末端:L-フコース(L-fucose)
AB型抗原の最終末端:N-アセチルガラクトサミンとD-ガラクトース

このような血液の性質によってABO血液型が決定されており、そのしくみには赤血球の表面にある抗原と、それに反応して血液を固めてしまう(凝固)性質が関わっています。
このテーマの初回で説明したように、赤血球の表面に存在している膜抗原は、前回紹介したように以下のような赤血球細胞表面以外の細胞や組織の表面にも存在しています。
上皮細胞(皮膚、眼、鼻、口、耳管、咽頭、肺、食道、胃、腸、膀胱、尿道、膣)
関節の滑膜
血管内皮細胞(血管、リンパ節、心臓、肺、腹部、骨盤)
分泌液(唾液、消化液、鼻の粘液、母乳、涙、汗、精液、膣分泌液)

さらに、これらの血液型特有に持つ抗原に結合して血液を凝固させてしまう抗体(血液を凝固させるので凝集素ともいう)と同じ働きをする物質をヘマグルチニン(hemagglutinins:HA)といい、レクチンもその仲間です。特に植物に含まれるヘマグルチニンをフィトヘマグルチニン(植物性ヘメグルチニン:Phytohemagglutinins:PHA)と呼びます。

さて、ここまでなるべく理解していただきやすいように説明してきましたが、少し難しくなってしまったようで、ご容赦ください。今日のポイントは・・・
1、ABO血液型を決定するのは、赤血球の表面にある抗原に結合し、血液を凝固させてしまう物質(ヘマグルチニン)であること。
2、赤血球の表面にある抗原と同類の抗原は、体の様々な細胞組織にも存在すること。
3、血液を凝固させてしまう物質(ヘマグルチニン)は自然界の植物や動物が持っていること。


ここまでを理解していただくと次回からのレクチンが食物過敏症にどのようにかかわっているかが分かりやすくなると思います。

次回は血液型によって異なる食物に含まれるレクチンの反応について・・
by nutmed | 2010-02-22 17:40

週末歳時記 誕生日は雪の長岡へ

今日は朝から仕事で新潟県長岡に行ってきました。東京の雪で驚いていたら、三国峠の向こう側は一面雪の世界でした。足元からしんしんと冷えます。
今日は私の50云回目の誕生日です。この歳になると誕生日が嬉しいのか嬉しくないのか・・ま、1年が過ぎるのは一段と早く感じるようになりました。
明日からの週末は毎年恒例になっている趣味のバイク仲間のオヤジたちと、年初のツーリングなので、今日は早々に長岡を引き上げ、定時に帰宅して明日の準備です。例年、西伊豆の戸田にある宿でキンキ鯛ずくしを楽しみにしていましたが、今年は東伊豆は川奈に趣向を変え、旬の魚ずくしだそうで今から楽しみにしています。

月曜日からは再び食物過敏症のシリーズへ・・・・
それではみなさんもよい週末を!
by nutmed | 2010-02-19 19:12

第746回 食物過敏症について レクチン不耐性 その1

今年9回目の雪の東京です。はやく温かくなって欲しいものです・・
さて今日は、レクチン不耐性(タイプ2) その1
前回に続いて今日は4つの食物過敏症の2つ目、レクチン不耐性について紹介します。きょうのタイプは話が長くなるので数回にわけて説明します。また話が少し難しくなるかもしれませんが、ついて来てくださいね。
レクチン不耐性は厳密にいえば一般に言われるアレルギーとは異なります。このタイプの食物不耐性には別名がいくつかあり、「抗体依存性細胞毒性(ADCC)」と呼ばれることや、「レクチン起因細胞毒性(lectin mediated cytotoxicity)」と呼ばれることもあります。このタイプの主役にはIgG抗体(1部はIgM抗体)とナチュラルキラー細胞(NK Cell)、それにレクチンという物質が深くかかわります。
ナチュラルキラー細胞とレクチンがどんな役割を担っているのかが理解できないと、このタイプの食物不耐性の理解が進まないと思いますので、今日はこの2つの役者について理解を深めていただくことにしましょう。
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1、ナチュラルキラー細胞とは?
体内へのウィルス、バクテリアなど異物の侵入や、正常な細胞ががん化したがん細胞の増殖から体を守ってくれる免疫のしくみを私たちは生まれながらに持っています。その多くを白血球が担ってくれていますが、その白血球の2割ほどを占める細胞がナチュラルキラー細胞で、24時間、365日、常に体内をめぐって、体にとって異物の存在を見回り、それらの異物を発見すると攻撃をしかけ無害化させる殺し屋です。NK細胞は抗体が作られる以前に活躍してくれています。ただし、時として正常な細胞に対しても攻撃をしかけてしまうことがあり、その1つがタイプ2アレルギーのようにIgG抗体を介して正常な細胞を異物と認識し、攻撃をしかけることです。
2、レクチンとは?
レクチンは特異的に糖と結び付くたんぱく質で、特に細胞膜表面に存在する糖と結合し、別な細胞同士を結合させる働きがあります。植物だけでなく動物でも確認されているたんぱく質です。簡単に言うと、細胞と細胞(場合によっては抗体)をくっ付ける(凝集という)糊のような物質と考えてもらうといいでしょう。今でもレクチンについては世界中の研究者が研究を続けていて、今までに数十種類のレクチンが発見されています。身近なところにあるレクチンの働きとしては、血液型の判定検査があります。赤血球(細胞)の膜表面には糖で構成された抗原が存在し、この抗原(以下ABOマーカーといいます)にレクチンが反応して赤血球同士をくっつけて凝集させます。血液にある種のレクチンを混ぜると赤血球が固まり凝集をしますが、A,B,O,ABの型によって凝集の強さがかわります。このしくみを使ってABO血液型が判定できますが、現在の血液型判定にはレクチンを使うことはありません。
ちなみに、2006年にTVの健康番組で白いんげん豆に含まれるレクチンの一種であるファセオリンがダイエット効果があると紹介され、加熱不十分で摂取した視聴者の間で下痢や嘔吐などの症状が多発したことがありましたが、これはレクチンの細胞凝集反応によるものでしょう。レクチンは比較的熱や消化酵素、酸に強いため、70℃以上で30分ほど加熱調理することで活性はなくなります。
レクチンと反応し細胞を凝集させるABOマーカーは赤血球だけでなく、以下のような体内の多くの細胞に存在しており、食物不耐性の症状に深くかかわっている可能性が高いと言えます。
上皮細胞(皮膚、眼、鼻、口、耳管、咽頭、肺、食道、胃、腸、膀胱、尿道、膣)
関節の滑膜
血管内皮細胞(血管、リンパ節、心臓、肺、腹部、骨盤)
分泌液(唾液、消化液、鼻の粘液、母乳、涙、汗、精液、膣分泌液)


今日はここまでにしますが、今日のポイントはこのレクチン、特にレクチンに反応するABOマーカーが体内のあらゆる細胞の表面にも存在している部分は今後重要なポイントになりますから、よく理解してくださいね。
by nutmed | 2010-02-18 13:39

第745回 食物過敏症について IgEアレルギー(タイプ1)

栄養医学研究所が関わっている医療施設向けの「医科向けサプリメント(Medicinal Supplement)」を専門に販売する会社、NMPSが今年で3年目を迎え、ホームページのリニューアルをしました。このブログを購読していただいている読者の中には医療従事者も多いようですが、1度是非のぞいてみてください。

さて、今日は食物過敏症の2回目、IgEアレルギーについてです。
食物過敏は、「食物に対する誇張された免疫反応」と定義されていますが、簡単に言えば、食べた食材に対して免疫システムが過敏に反応してしまう状態のことです。前回も紹介したように、一般に知られているアレルギー反応は、体の免疫システムが反応して、その食材の持つたんぱく質に対するIgE抗体をつくることによって発症する、いわゆるIgEアレルギー(IgE特異抗原アレルギー)ですが、最近では、食物過敏反応をもう少し細分化してみることができます。食物に対するアレルギー反応は、人によってその程度も強さも異なるだけでなく、食材によっても、また今後紹介する血液型によっても異なることがわかってきました。
食物に対する過敏は、肉体的な症状、精神的な症状を含め様々な症状を招きますが、反応が早いもの(即時型)や、遅いもの(遅延型)、症状が慢性化するもの、一過性で終わるものなど、バラエティに富んでいます。加えて、一般に言われるような、かゆみ、じんましん、涙目、くしゃみ、不眠、下痢、嘔吐など体の内外に自覚症状として現れるものだけでなく、自覚症状として現れなくとも体内の細胞臓器に影響を与え、慢性化していくものまで様々です。
今日は、4つのタイプの中でも一般的なIgEアレルギー(タイプ1)について説明してみましょう。
IgEアレルギーの主役となるIgE抗体は免疫グロブリンの中の1つで、体にとって異物として認識された物質から細胞の働きを守るために作られるもので、肥満細胞の膜に付着して異物となる食材と結合することで反応がスタートします。この反応がスタートすることによって、ヒスタミンという化学物質が細胞の外に放出され血液中を循環することによって炎症をともなうアレルギー症状を発症します。
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通常、この反応がスタートし症状が現れるまでに1-60分程度と言われています。食物だけでなく、花粉、ダニ、ほこり、化学物質などに対する反応の多くもこのIgE抗体によっておこります。IgE抗体の有無は血液検査によって確認することができます。
一般的な治療としては、日本ではまだまだ対症療法としてステロイドによる炎症を抑えることが少なくないようですが、反応をしてしまう食材が確認できた時点から、その食材およびその食材の仲間の食材をしばらく避ける「除去食」や食べる回数を一定のサイクルで減らすような「ローテーションダイエット」などを厳格に行うことが重要です。
by nutmed | 2010-02-17 08:06

第744回 食物過敏症について プロローグ

今日は東京でもこれから雪の予報です。帰宅を急ぐ人の波で駅も混雑しているようです。
さて、今日から数回にわたって、食物過敏について紹介をしていきます。皆さんがご存じのアレルギー反応を含め、アレルギーとは異なるメカニズムでいろいろな体の反応を引き起こす食物過敏は、ここ20年ほどで劇的に増加しています。また、そのメカニズムも各国の研究報告によって、今まで以上に詳細にわかってきました。

50年前に比べ明らかに増加をたどっている食物に対する過敏反応ですが、一般的には「食物性アレルギー」として考えられています。1967年に米国のコロラド大学とスウェーデンのカロリンスカ研究所の共同研究チームによって、現在言われているIgEアレルギーが解明されて以降、食物を食べて、かゆくなったり、じんましんができたり、また腸の働きが悪くなったり、神経症状を来たしたりといった反応を起こす状態の背景には、IgE抗体が作られることによるアレルギー反応だけではないことがわかりはじめました。
最近では、食物を食べて体が何らかの反応を起こす状態を「食物過敏症状(Food Hypersensitivity)」と呼ぶようになり、4つのカテゴリーに分けるようになりました。
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最近、この4つのカテゴリーの食物過敏をABOの血液型によって傾向を区分けする研究報告もあり、以前に比べ、アレルギーを含めた食物に過敏に反応する体の状況がより詳細に区別し、予防や改善に役立つようになってきました。

食物過敏の背景や原因を理解することで、今ある症状の改善方法を的確に進めることができる可能性もたかくなります。
by nutmed | 2010-02-16 18:54

第743回 妊娠中のタラの肝油のアレルギー症状予防効果

いよいよバンクーバーオリンピックが開幕しました。開会式が行われたドームには最大で7万人が収容できるそうですが、今から35年前、私がバンクーバーに留学していたころには一面が湿地帯だったところです。私が住んでいたバンクーバー島のナナイモという町の郊外には、30年ほど前に日本でも流行した「カウチンセーター」を編む先住民族カウチン族が住んでいて、当時親しくしていたカウチン族の友人の孫が、今回の開会式で民族衣装を纏って踊っていました。さて、日本はメダルをいくつ獲得できるでしょうかね。そんなことよりも、選手の皆さんには日頃の成果を存分に発揮してオリンピックを楽しんでもらいたいものです。

さて、今日はタラの肝油についてです。
タラの肝油などの魚油に含まれるオメガ-3系必須脂肪酸については、その作用効果が世界中の研究者によって膨大な報告がされているところですが、中でも、妊娠中および授乳期の女性がタラの肝油などに含まれるDHA・EPAを摂取することによって、乳幼児の皮膚の症状、精神機能などに有効である報告が沢山発表されています。
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2009年の9月、スェーデンのLinköping大学の研究チームが発表した魚油の持つアレルギー予防効果の報告は、、妊娠中および授乳期の女性が魚油に含まれるDHA・EPAを摂取することで乳幼児のアレルギー症状を改善することを証明した最新の報告だと言えます。
この研究では、自身がアレルギー症状を持っている、または前回出産した子供にアレルギー症状がある145人の妊婦を2つのグループにわけ、1つのグループには1日あたり3000mgのタラの肝油(DHA:1600mg/EPA:1100mg) を、もう1つのグループにはプラシボ(偽薬)を、妊娠25週目から出産3カ月後の授乳期まで飲んでっもらいました。結果として、出産後の乳幼児に皮膚のアレルギー症状、腸の過敏症状などを含む食物性アレルギーの症状が発症したのは、タラの肝油を飲んでいた妊婦では52中1人(約2%)に対して、飲んでいなかった妊婦では65人中10人(約15%)となり、有意な差がありました。

スェーデンでは、生後9カ月直前からタラやニシン、イワシなどDHA・EPAが豊富に含まれた魚を積極的に食べさせる食文化があります。これは北欧諸国だけでなくエスキモー民族でも同様です。日本でも妊婦や乳幼児には魚を積極的に食べさせる食習慣がありましたが、時代の流れとともに、このような食習慣を伝承する先達が少なくなったことや、魚を敬遠する女性や子供が増えたことが大きな原因かもしれません。

私は講演会や、ブログでも度々魚油の作用効果については言及していますが、魚を食べるように勧めると「魚は臭う・・」とか「魚には水銀などの重金属が入っているから・・」という答えが返ってくることが少なくありません。
確かに水際で危険なものを避けることは大切です。人間には、元来体外から入ってくる重金属などを自分の力で排泄する能力がありますが、その能力を高めることを避け、棚に上げてしまって、症状が出てから合成ステロイドのような薬の厄介になる前に、自分自身と子供の持っている能力を高めてあげることは重要なことではないでしょうか。
先日のブログでも紹介したオキアミなどは、妊婦だけでなく幼児にも格好の魚油の摂取源ですから、これから妊娠を考えている女性には、積極的に使ってもらいたいものです。
by nutmed | 2010-02-15 11:42