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残念と言えば、残念でしたね・・。さすがにサッカーに興味のない我が家でも今朝のニュースを見て、もう少しの差だったのに・・と思いました。寝ずの応援サポーターの皆さん、お疲れさまでした。

さて、今日は胃酸と吸収の葉酸についてです。
葉酸については、つい先日のブログで、最新トピックスをテーマにしたばかりですので、葉酸の働きについてはそちらをご覧いただくといいと思います。
したがって今回ここで説明する葉酸は「folic acid」ではなく「folate」です。胃酸が葉酸の吸収に影響を与えるのは、胃酸が少ない、または胃酸のpHがアルカリ性になることによって、吸収を担う小腸のpHが極端にアルカリ性になることによるものだと考えられます。1993年と1994年に、アメリカはボストンのTufts大学の研究チームが、ビタミンミネラルB12、葉酸を含むビタミンが、胃酸分泌の不足またはpHが十分に酸性にならない被験者、特に高齢者では吸収率が著しく低下することを報告しています。研究チームは胃酸分泌量の少ない被験者に、塩酸ベタインを飲ませたところ、ビタミンB12と葉酸を含む多くのビタミンの吸収が平均で54%向上したことも報告しています。
葉酸の吸収も胃酸が十分で、pHも十分酸性にならないと低下することは間違いないですが、ここにパラドックス的な要素があることも事実です。胃酸の分泌の不足またはpHが十分に酸性なっていない高齢者の中にも、血液中の葉酸レベルが十分である人も珍しくはないことがわかっています。Tufts大学の研究チームの発表内容からいえば、通常はこのような人の場合、葉酸の吸収は低下するはずなので、血中レベルは必然的に低いはずなんですが、予想以上に葉酸の血中レベルは高い。なぜこのようなことが起こるのか???
この点については、自然の摂理ともいうべきユニークな背景があり、その背景はバクテリアの関与があります。胃酸の働きの1つに、その強力な酸による殺菌作用がありますが、胃酸が少ないまたはpHが殺菌能力を発揮するには十分に酸性ではない状態の人の場合、胃および小腸においてバクテリアの不用意な繁殖が起こります。細菌の多くは代謝に葉酸が必須で、自ら葉酸を作り出します。つまり、胃酸分泌が少なく、pHが十分酸性でない場合でも、繁殖した細菌自らがつくる葉酸によって、宿主である人間の血中の葉酸レベルは予想以上に高いということです。
実はこのバクテリアの性格を利用した薬の恩恵に皆さんも預かっているんです。サルファ剤という抗菌薬を処方されたことがある人は少なくないと思います。ポピュラーな感染症治療薬なので処方されるチャンスも多い薬です。このサルファ剤はバクテリアがつくる葉酸の構成成分であるパラアミノ安息香酸という物質に似た構造の薬で、細菌が自らつくる葉酸と競合する「葉酸合成阻害剤」とも呼ばれています。サルファ剤は細菌を直接的というよりも、代謝に必須の葉酸の合成を邪魔することで、バクテリアの繁殖を拡大させない、いわば間接的抗菌薬なので、服用を中止し、薬の効果が無くなると場合によっては再び細菌の繁殖が起こることになります。
細菌が葉酸をつくってくれるのであれば、胃酸不足でもいいじゃないか・・と思う人がいるかもしれませんが、そうではないですよね。葉酸を自らつくってくれはしますが、バクテリアは一方で人に必須なビタミンミネラルなどを「盗んで」繁殖をする性格も持っていますから、不用意に繁殖することはご法度です。
by nutmed | 2010-06-30 07:59

先日、知り合いの女性に「iPhoneに換えたのよ!もっと早く換えればよかった。信じられる?この小さなスマートフォンに文庫本が150冊もまるまる収まってるんだから!」と言われ、実際に電子書籍なるものを見せていただくと、想像していたよりも見やすいことに驚きました。そろそろ老眼鏡のお世話域にはいりつつあるわたしにも無理なく、それも普通の文庫本のように読めるのは感激でした。ということで5年間使っていたNokiaのスマートフォンを7月1日からiphoneに切り替え決定しました・・

さて、今日はカルシウムの2回目です。
カルシウムにはいくつかのフォームがあります。元素としてのカルシウムがパートナーとして結合している物質と一緒になってカルシウムのフォームを形成し、薬やサプリメントとしての形になります。サプリメントで最も多く使われるカルシウムフォームは、牡蠣殻や石灰岩などから得られる炭酸カルシウム(Calcium carbonate)でしょう。このほかにも、クエン酸カルシウム(Calcium citrate使用制限があり)、リンゴ酸カルシウム(Calcium Malate)、グルコン酸カルシウム(Calcium gluconate)などがあります。
炭酸カルシウムの利点は元素としてのカルシウム量が他のカルシウムフォームに比べ多く、平均すると40%ほどの含有量(1,000mgの炭酸カルシウムには約400mgのカルシウム元素が含まれる)がありますが、以前にもお話したように、食後の強力な酸性の胃酸を中和するほどのアルカリ性の性質を持っています。胃酸と反応して中和した炭酸カルシウムは胃の中で塩化カルシウム(Calcium chloride)に変化し、小腸で吸収のしやすいカルシウムになりますが、元素として吸収できるカルシウム量は低下するだけでなく、食物が消化分解中の胃液が急激にアルカリ性に傾くことになります。
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次回からは胃酸と葉酸の吸収についてです。
by nutmed | 2010-06-29 17:26

やはり今年はカラ梅雨のようですね・・東日本の水かめは大丈夫でしょうか・・

さて、今日から胃酸とカルシウムの吸収です。
カルシウムは、骨、歯の形成に不可欠なミネラルであることは言うまでもありませんね。体内環境では数百からの働きにかかわる重要なミネラルの1つです。例えば、骨以外にも脳内神経の情報伝達、筋肉のリラックス、心臓の鼓動にもかかわる重要なミネラルでもあります。加齢によってカルシウムの吸収は低下することが知られていますが、最近では加齢に関係なく、食事内容によっても若くしてカルシウム不足になることもわかりはじめてきました。
カルシウムの吸収に胃酸が重要な役割を担っていることが証明されたのは、今から50年ほどまえになります。1960代当初、胃潰瘍の治療用に大量のカルシウム(炭酸カルシウム:商品名はTums)が用いられていました。当時、尋常ではないカルシウムを胃潰瘍の治療に用いていたわけですが、多くの医師がカルシウムの吸収過剰を懸念していました。しかし、1967年に発表されている研究報告によると、胃潰瘍の治療に使われていた非常に大量の炭酸カルシウムの吸収率を調査したところ、対象となった胃潰瘍の患者が吸収できていたカルシウムは2%にとどまっていたことがわかりました。これらの胃潰瘍患者の多くの胃酸の分泌量は低いだけでなく、そのpHは平均で6.5と通常よりもアルカリ性傾向であることがわかりました。これらの患者の何人かに、塩酸のサプリメントを飲んでもらい、胃酸のpHを1.0まで下げ、胃潰瘍治療用の炭酸カルシウムを同時に摂取してもらったところ、カルシウムの吸収は10%にまで上昇しました。
カルシウム(イオン)の吸収のしくみは、大きく分けて2つありますが、胃酸はカルシウムを吸収する際には重要なファクターでもあります。詳しくは以前のブログを参照ください。
by nutmed | 2010-06-28 12:38

今朝は交通機関の中はサッカーの勝利の話で大盛り上がりでしたね。今朝は午前5時少し前に、隣の家の中学生の男の子の歓喜の叫びで目が覚めました・・・。サッカーには興味がない我が家でも、さすがに日本の勝利には笑みがこぼれます。

さて、今日は胃酸と吸収、鉄の吸収の最終回です。
鉄の吸収の1回目にも紹介したように、多くの日本人がサプリメントで摂る鉄(非ヘム鉄)の吸収には酸が重要な役割を担います。
今から半世紀ほど前の1963年に、すでに胃酸と鉄の吸収の関係については報告されていますが、以下のグラフはその時に報告されたものです。この研究では、鉄欠乏性貧血の患者に、水に鉄(非ヘム鉄)を加えたものと、塩酸を見ずに溶かしたものに鉄を加えたものを飲ませ、血液中の鉄濃度を分析した結果になります。
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赤いグラフが塩酸+鉄ですが、いずれの患者でも塩酸と鉄を一緒に摂ったほうが鉄の吸収が高いことがわかります。
腸での鉄の吸収は様々な要因によって左右されますが、胃酸がその後の腸における吸収に与える影響は大きいと言えます。
胃酸分泌の重要性についてはこのブログでも何十回も紹介していますが、ご自分の胃酸の分泌状態が今どの程度なのかを定期的に確認することは、鉄のみならず多くのミネラルやビタミンの吸収の改善にもなりますので、是非セルフチェックをしてみてください。

準 備
1、大さじに1杯のレモン果汁100%液をコップに入れ、水で3倍に薄める
2、夕食時に食事を食べながらレモン水を飲む。一口食べたら一口レモン水を飲む要領で。
判 定
*食後2-3時間後に胃が重く、不快感を覚えた方
・・・・・胃酸の分泌はある程度十分と考えられます
 
*食後2-3時間後、いつもよりスッキリした感じを覚えたり、空腹感を感じた方
・・・・・胃酸の分泌が足りないと思われます。


さて、日曜日はパラグアイとの一戦のようですが、寝不足にならないように!
それではよい週末を・・
by nutmed | 2010-06-25 11:23

今朝、銀行に用事があるため銀座通りを歩いていたら、Appleストアの前から100m以上の行列! 何かと思えば、今日は新型iPhone4の発売日なんですね。それにしてもスマートフォンといいiPADといい、アップルの一人勝ちの様相になってきましたね。Nokiaのスマートフォンをずっと愛用している私としては、Nokiaが日本を撤退してしまった今となっては、iPhoneに乗り換えたい気持ちもありますが、使用感や便利さではやはりNokiaに軍配があがります。

今日のテーマに入る前に、皆さんの多くが鉄のサプリメントを摂るときにはビタミンCを一緒に摂ったほうがいいことを知っているのではないでしょうか。
その理由はご存じですか? 中にはpHが関係していると思われる方もいるのではないでしょうか。確かに直接的ではないものの、pHも関係はしていますが、鉄の吸収や輸送のために必要となるパートナーであるリガンドという物質の1つがアスコルビン酸(ビタミンC)になります。リガンドについては難しくなるのでここでは割愛しますが、VCのほかアミノ酸(ヒスチジンやフェニルアラニン)、糖類が鉄の働きには必要なパートナー(リガンド)になります。つまり、ビタミンCは、鉄の吸収を導いてくれるリガンドなので、鉄とビタミンCは一緒に摂ったほうがいいというわけです。

さて、今日のテーマ「胃薬と鉄の吸収」に入りましょう。
まず、日本で市販されている鉄のサプリメントの多くは、非ヘム鉄の硫酸第一鉄です。前回、非ヘム鉄は、鉄を吸収に導くプロセスで強い酸が必要になることをお話しましたね。胃薬には逆流性食道炎のテーマでも紹介した、胃酸の生産分泌の根元を止めたり、抑えてしまうような薬(H2ブロッカーまたはプロトンポンプインヒビター)と、酸をアルカリ性物質で中和させてしまう、いわゆる制酸剤があります。
酸を中和させる制酸剤に配合使用されている物質は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、重曹といった強力なアルカリ性のミネラルです。つまり、胃酸が分泌しているいないに関わらず、胃の中のpHをアルカリ性方向にしてしまう薬です。
1976年ノルウェーの研究者が、市販されている液体タイプの胃薬(アルミニウム、マグネシウムが配合されたもの)を飲んだ場合に、サプリメントで摂った鉄(硫酸第一鉄)の吸収にどれほど変化が表れるかについて調査した研究が報告されています。これによると、胃薬を飲んだ場合には鉄の吸収が平均で38%低下したことが報告されています。その後、アメリカ、イギリスでも同様な調査研究がこの30年ほどの間に行われていますが、いずれも同様に、強アルカリ性の胃薬は、サプリメントで摂った非ヘム鉄(硫酸第一鉄など)の吸収に影響を与えることが報告されています。
端的に言えば、食後にこのようなアルカリ性ミネラルを主成分とした胃薬を飲むことで、食材やサプリメントから摂取できる鉄の吸収は著しく低下するということです。
ここまで、来て「そう言えば・・」と思った人は私のブログをしっかり購読してきた人ですね。カルシウム、マグネシウムは何も胃薬に配合するためだけのミネラルではないですよね?そう、カルシウム、マグネシウムのサプリメントは数多く市場に出ています。これらのアルカリ性ミネラルが配合されたサプリメントの飲むタイミングを間違えると、同じミネラルの鉄の吸収を妨げることになるということです。もちろん鉄欠乏性の貧血傾向にある方は、胃薬を不用意かつ安易に飲まないように注意したほうがいいということでもありますね。
by nutmed | 2010-06-24 09:56

昨晩は、講談社の会員制健康雑誌の取材を受けてきました。私もこの手の会員制の雑誌ははじめてですが、健康に気を使う方(多くは女性だそうです)の情報誌として、話題になっているそうです。

さて、今日は逆流性食道炎からの継続テーマの1つ、胃酸の働きについてです。
胃酸は食物を消化分解するための強力な酸であることは誰でもが知っていることですが、胃酸過多という言葉はTVのコマーシャルで刷り込まれていても、胃酸が少ないことによってあらわれる症状については、知られていないことは残念です。
今日からしばらく、胃酸が少ない「胃酸過小」によって、消化分解から吸収に与える影響が大きな栄養素について紹介をします。
1回目の今日は鉄についてです。
鉄は人間の体にとって不可欠なミネラルの1つでもあり、その役割には皆さんも良く知っている血液のヘモグロビンをつくるときの役割がありますね。鉄分が不足する貧血になることで、酸素が細胞に供給できなくなり、めまい様のしょうじょうや疲労感が現れます。
胃酸と鉄の関わりについては、1930年代はじめに、アメリカの研究者がすでに報告しています。13人の貧血と診断された小児の栄養状態と胃酸の分泌を調査したものですが、実に13人中、11人の貧血の小児の胃酸分泌が過小であったことがわかり、胃酸の分泌状態が鉄の吸収に影響を与え、貧血症状の背景には胃酸の分泌が関わっていることを報告しています。その後1960年代にも、44人の慢性貧血の成人男女の胃酸分泌能力を調査した報告があり、ここでも80%の慢性貧血の成人男女で、胃酸がほとんど分泌されていないか、分泌量が非常に少ないことがわかりました。
通常、食材から摂取できる鉄分は、動物の肉に含まれる「ヘム鉄(Hem iron)」と穀類、豆類、野菜に含まれる「非ヘム鉄(Non-Hem iron)」があります。ヘム鉄はpHが7(中性)またはアルカリ性の状態でも比較的吸収はできる鉄ですが、非ヘム鉄は難消化性の繊維質に結合しているために、鉄(元素)を吸収させるためには、強い酸が必要になります。
1990年のイギリスの研究チームの報告では、非ヘム鉄から鉄を分離するためには、少なくとも胃酸のpHは4.0以下であることが条件と報告しています。
慢性的な貧血で、鉄の吸収が不良なクライアントの胃酸の分泌能力と、pHを調べてみると、60%くらいの人に胃酸分泌の低下またはpHが十分に酸性にならない人がいるため、栄養療法ではこのような人に、胃酸を補うための塩酸(塩酸ベタイン+ペプシン)のサプリメントを使ってもらうことが少なくありません。その効果は高く、このような背景で慢性貧血の人の80%は貧血症状が大幅に改善します。

次回は胃薬と鉄の吸収についてです・・
by nutmed | 2010-06-23 07:52

今日は胃酸のテーマの予定ですが、私の先輩でもあり、山田式栄養学で話題の、杏林予防医学研究所所長でもある山田豊文先生の健康セミナーの紹介をしたいと思います。
今週木曜日、6月24日に横浜の関内で山田所長のセミナーが開催されます。京都に母体があるため、東京方面でのセミナーは中々貴重なセミナーになると思います。
山田所長もまた、サプリメント以前に食の大切さを説く1人でもあり、食を変えることで人生まで変わると常々お話しています。私もこの点については同感ですね。
平日の午後ですが、お時間がある方は是非山田所長のセミナーを聞いてみると、また違ったウロコが目から落ちることでしょう。

日時:6月24日(木) 午後2-4時(開場は午後1時30分)
場所:横浜市中区関内ホール(小ホール)
神奈川県横浜市中区住吉町4丁目42−1‎045-662-1221‎
費用:無料
主催:神奈川区歯科医師会
by nutmed | 2010-06-22 10:21

最近はテレビ番組も想像以上に低俗化していると感じることが多いため、テレビのスイッチをONにするのは、懐かしい海外の映画のDVDやドキュメンタリードラマを見るときになりつつあります。
最近のアメリカのドラマでは「24」、「LOST」がMY HITでしたが、ロスアンジェルスに住む友人から「FRINGE」(フリンジ)のことを聞いて、先週DVDレンタルをして見始めました。
これが面白い! ストーリー展開もさることながら、テンポが軽快で、ありそうでなさそうなシナリオも私ははまってしまいました。
梅雨の間は雨で遠出ができない週末は、しばらくフリンジで楽しめそうです・・
by nutmed | 2010-06-19 10:13

6月に入ったと思っていたら、もうあっという間に中旬がやってきてしまいました。今日の東京は本当に梅雨なのかな・・と思わせるような天気ですが、やはり湿気はそれなりに感じます。

ここ数カ月、週末は、梅雨前の晴れ間を使ってバイクに乗って距離を走るか、バイクのメンテナンスをしてストレスを解消することが多かったので、今月から梅雨に入りバイクに乗る時間も減るので、溜まっていた最近の文献や論文検索を昨晩からゆるりと始めました。 私は、師匠のDr.ライトの教えもあって、栄養素や臨床栄養、栄養療法、ハーブにかかわる最新の研究発表、論文については、そのテーマと研究者名のインデックスを、自分でプログラム(と言ってもエクセルで簡単につくったものですが・・)に放り込んでおくことを習慣にしています。本来なら、毎週、少なくとも月に1回はこのリストを見て、興味のありそうなもの、トピックスをピックアップして、文献検索サイトにアクセスし、詳細内容をレビューすることにしています。こうしておくことで、自分のオリジナルのキーワード検索ができるため、調べたい内容やエビデンスの有無の確認調査が短時間でできるようになります。
昨晩、久々にリストBOXを開けて見ると、この数カ月間に放り込んでおいたインデックスが421もあって、これを分類するのは大変でもありますが、楽しみでもあります。
昨晩最初に見つけたのが、今日のテーマの「カプサイシンが頭痛の痛みの緩和に有効」という研究報告で、今年の2月にInternational Journal of Clinical Practice誌(国際臨床実習)(Cianchetti C. Capsaicin jelly against migraine pain. Int J Clin Pract 2010;64:457-9.)にイタリアの研究チームが発表したものです。以前からトウガラシなどに含まれている辛味の成分でもあるカプサイシンには痛みを抑える鎮痛作用があることは多くの報告があり、日本でも古くからトウガラシ、タカの爪を使った鎮痛効果についての報告や商品がいくつかあります。
カプサイシンには痛みの情報を神経・細胞間で伝達するたんぱく質(サブスタンスP)の働きを抑制する作用があることがわかっていますので、欧米でも日本でもカプサイシンを配合したクリームやローションは少なくありません。
今回の報告では、0.1mlという非常に少ない量のカプサイシンを配合したクリームを、頭痛が発生してからすぐに頭のコメカミに塗ることで、その後30分以内に痛みがどのように変化するかを検証した研究です。
結果は被験者23人(女性20人男性3人)のうち、カプサイシンクリームを塗った後30分以内に、痛みの程度が半分ほどまで低減した被験者は17人(女性15人男性2人)で、従来から言われているように、カプサイシンの持つナチュラルな鎮痛作用が高いことが証明されたことと、同時に、頭痛発作が起きてから速やかにコメカミに塗ることで効果は高くなることがわかりました。
私は頭痛持ちではないので、頭痛に悩む人(特に女性)の苦しみやストレスはなかなか分かりませんが、多くの頭痛持ちの方が、ピリン系、非ピリン系、イブプロフェンなど合成された鎮痛剤を常用しているようなので、一度カプサイシンのナチュラルな鎮痛作用を試してみてはいかがかなと思います。
ただし、トウガラシなどのスパイスに対してアレルギーや耐性を持っている方は避けるべきですし、使うに際しては、直接カプサイシンのクリームなどに触れるのではなく、ビニールの手袋(ヘアカラーのときに使うような)をしてもらったほうがいいでしょう。カプサイシンは想像以上に指や手に残るので、その指や手で、目や口、鼻など、肌が敏感な部分を触ると大変なことになるかもしれませんので・・

では皆さん良い週末を!
by nutmed | 2010-06-18 10:21

今朝の天気予報では、「今日は貴重な梅雨の晴れ間・・」と言っておりましたが、今年も雨が降らないカラ梅雨になるような気がしていますが、大丈夫なんでしょうかね。予報でも明確に梅雨入り宣言が無くなり、「梅雨に入ったようだ・・」と自身なさげなコメント。どうも曖昧さが残ってシャキっとしない最近の予報ですね。

さて、今日は逆流性食道炎の5回目。胃酸が出すぎるという逆流性食道炎のアプローチについてです。
前回紹介したように、現在の逆流性食道炎の治療アプローチでは、胃酸の分泌を止めてしまうプロトンポンプ阻害剤が主流になっています。その根底には、「胃酸が出すぎている」という逆流性食道炎のスタート時点の考え方があるように感じます。
しかし、よく考えて見ると逆流性食道炎の原因である、胃酸や未消化の食物が逆流してしまうことと、胃酸が沢山分泌されていることは決定的な因果関係ではないとDr.ライトは言いますが、私自身もそう思っています。胃酸の量が少なくても、食道下部の括約筋の働きに問題があったり、食事の仕方、食事の時間や量によって、胃酸が逆流して食道の粘膜に炎症を起こすことはあります。また、プロトンポンプ阻害剤を使用しても、逆流性食道炎の治療効果が見られないケースが少なくないことと、プロトンポンプ阻害剤を汎用することに疑問を持っているドクターも少なくないことも事実です。一時的に、胸やけ、ムカムカするような症状など、逆流性食道炎の症状を抑えることは可能かもしれませんが、逆流性食道炎や一過性LES弛緩の原因が、胃酸ではなく、食道下部の括約筋の働きにあることはわかっているわけですから、「食物から、生きるために不可欠な栄養素を消化分解する役割をもった胃酸」の働きを考えるのであれば、生活の質(QOL)だけでなく、体内環境にも大きな影響を与える可能性のある胃酸の分泌を止めてしまうことは、十分に考慮したうえでのアプローチであるべきで、また安易に胃酸の分泌を止めてしまう方法を患者がドクターに求めることも、十分に説明を聞いて理解したうえでということが望ましいと思います。

次回からは胃酸分泌が低下がもたらす影響についてです・・
by nutmed | 2010-06-17 09:42