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季節感がなくなったとは言え、確実に日ごと秋めいてくるようで、少し安心しています。今朝の東京は雨です。
午前中、用事があって中央区の商工会議所に行った際、築地・新富町近辺の歴史を紹介するパンフレットをいただいてきました。10年近くここで仕事しているにもかかわらず、近隣の歴史は全く知りませんでした。ここ新富町、築地、明石町の界隈は、明石にある聖路加病院を中心に沢山の史跡があることに驚きました。芥川龍之介の生家、日本海軍発祥の地、印刷業発祥の地を筆頭に、慶応義塾、青山学院、立教など、東京近郊にある有名私立学校の発祥の地がそこかしこにあります。今度時間を見つけて秋の散策でもしてみようかと思います。

さて、今日は久々にカウンセリングを行ったクライアントさんの経過報告を紹介したいと思います。
調度1年前からカウンセリング栄養指導してきたこのクライアントさんは、遠方から新幹線に乗っていらっしゃる女性なので、2カ月に1度しかお会いすることができませんが、今回2カ月ぶりにお会いして、明らかに体調の変化がみられました。この方は、胃腸の調子が悪く、不眠、またメンタル的なストレス耐性が低い状態を改善希望でいらっしゃいました。当初、胃酸の分泌状態を疑って、レモン水と消化酵素で症状に改善が出てくるかの確認をしましたが、期待するほどの効果がなく、3か月前に、IgGレベルの食物耐性反応の血液検査をお願いしました。検査の結果では、やはり小麦製品と小麦グルテンに強い耐性反応があり、加えて牛乳を含む乳製品にもかなりの反応が出ていました。この結果をもとに、約2カ月間の除去食指導を行い、まずはパン、麺類、菓子類とヨーグルトを含む乳製品の摂取を可能な範囲で行っていただき、体調の様子を2カ月ほど見てもらうことにしました。
2カ月半ぶりにカウンセリングに来ていただいた彼女に会ったときに、顔の血色がいいことと、いつもよりも明るい様子がうかがえましたが、本人が報告してくれたこの2ヶ月間の除去食による体調の変化は、本人も驚くほどの効果があったようです。 まず体が軽くなった感じが訪れたようで、これは吸収機能を担う腸にあった、食後のもたれや張るような状態がなくなったことが大きな理由だと思われますが、実際に2カ月半前に会ったときに比べて、体が明らかに絞れているようでした。次に睡眠についてですが、仕事の関係で毎日午後11時過ぎまでの勤務が多く、帰宅後まで緊張感やストレスが続くため、ベッドに入っても安定した眠りにつけずに、中途覚醒や寝不足で、日中に眠気が襲うこともしばしばであった状態が、この2カ月の間に、同じ勤務就労環境の中で、帰宅後には緊張感や興奮状態もなく、自然に睡眠できるようになり、朝も目覚めが爽快になったことには、本人も驚いているようでした。食欲についての変化は、以前は勤務中に甘いもの、特にチョコレートなどの間食が頻繁であったのに、今ではチョコレートがあっても食べたいという欲求もなくなり、それは甘いもの全般について言えるとのことでした。以前からあったストレスによる精神的な落ち込みもかなり軽減され、本人が満足するに至る体調まで改善することができたようです。
サプリメントを飲んだり、増しては薬を飲んだり、除去食はあったものの、特別な食事メニューをしなければならないわけでもなく、小麦製品と乳製品を可能な限りの範囲で避けてきただけで、自分の体調がこれほど変化したことに、本人が一番驚く状況でした。次回は12月に再度カウンセリングを行う予定でいますが、本人も除去食を継続することは辛くはなく、むしろ体調がいいので継続していただくこととしました。

以前にも小麦の除去を行った結果、体調が大幅に改善された女性のケースを紹介させていただきましたが、今回の女性を含めて、今までに食物耐性反応のある食材(予想に反して小麦が圧倒的に反応する食材でした)を可能な限り避けてもらう食事をしてもらうことで、体内環境、特に腸の状態が改善され、体調が大きくポジティブに変化したクライアントさんは沢山います。 私が何回も「可能な限りの範囲で・・」ということには理由があります。日本にも小麦のグルテン耐性や、最近ではLGSを考えた栄養療法を施すドクターも多くなったようですが、私が耳にする限り、小麦などの食材に反応が出たクライアントに対する食事指導では、いわゆるエリミネーションダイエットと言った完全除去食指導をするドクターが多いようです。中には「これ以上症状を悪化させたくなければ100%完全に反応している食材を除去しなさい」と指導するケースもあるようです。
この点については正直私の気持ちも同じではあります。ただし、クライアントさんも人間です。年齢、性別以上に、性格、嗜好、仕事や就学の環境も千差万別ですから、「食べるな!」と言うのは簡単なことなんですが、折角反応している食材を突き止めて、除去食をスタートしてもらったところで、本人がストレスをためるような環境で行っても、かえって逆効果になることは少なくありませんし、私はこのようなケースをイヤと言うほど経験してきました。 私がカウンセリングで除去食の指導をするときに、必ず「可能な範囲でストレスをためずに進めてください」というのはこのためです。人間、食べたいものを我慢することほど辛いことはありません。また、普段の食生活と異なることをすることほどストレスがたまることはありません。今までに除去食の指導とカウンセリングを行ってきたクライアントさんの100%がカウンセリングの最後に「頑張ってやってみます・・」と言ってくれますが、私は必ず「頑張ってやらなくてもいいですから」と言います。頑張るということは、今まで自分が行ってきた何かを我慢したり、避けて通らないといけないわけですが、これがストレスをためる原因になるわけです。そして、そのストレスが、食物耐性の改善には重要な役割を持っている「副腎」という臓器に大きな負担となって、想像以上に結果がでず、また期待するするほどの効果がでない原因になります。
ドクターをはじめ、除去食を指導する側にとっては、「結果」を期待していることはもちろんですが、クライアントさんにしてみれば、ドクターや私にいい結果が出たことを喜んでもらおうと思って除去食をする必要はなく、自分の生活環境の中で、可能な限りできる範囲からスタートさせ、ストレスを受けないように段階的に除去食を進めていくことが、実は最も近道であるのだと実感しています。
そして、そこに栄養療法の難しさもあると実感しています。
by nutmed | 2010-09-30 14:45

今日は、全国的に秋雨の晴れ間。貯まった洗濯物も今日の晴れ間を利用して一気に乾燥です。
愛犬家の方には馴染みのある「woofwoof」というフリーペーパーの雑誌があります。このたびこの雑誌で犬の毛髪ミネラル分析の紹介と、犬の飼い主の健康について寄稿したものが発刊されまして、今月号に紹介されています。
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栄養医学研究所では犬の毛髪ミネラル分析を10年前から受託していますが、日本では欧米のようにそこまでは中々ペットのオーナーさんも気が回らなかったようですが、最近犬や猫用のサプリメントも市場に多く出回るようになり、人間同様に犬の健康管理にも気を配るオーナーさんも増えてきたようです。

さて、しばらく継続してきました糖化抑制のテーマも今回が最終回になります。
今まで紹介してきたように、糖化は生活習慣によって引き起こされる症状の多くの背景に潜んでいると言ってもいいと思います。だから糖化を抑制することが重要であることに間違いはありませんが、以前、抗酸化のテーマでも少し触れたように、生きている限り細胞の酸化も糖化も、言わば自然に起こる現象でもあります。
人間には自ら酸化を抑えたり、糖化が進むことを抑える機能が備わっていますが、加齢や病気の進行によって、それらの機能がジワジワと衰えてくることも事実です。しかし、この100年ほどの間に起きた飛躍的な文明の発達、生活様式と食生活の変化やストレスは、人間が永い営みの中で築いてきた、酸化や糖化を抑える機能が追いつかないほど、人間の細胞組織にダメージを与えているとも言えるのではないでしょうか。
マスコミメディアで「抗酸化物質」が話題になると、商品を作る側もそれを消費する側も、日本人の老若男女はこぞって抗酸化商品に群がり、時間の経過とともに、今度は「糖化」が話題になるとまた同じことを繰り返してしまう、このようなことがもう何十年も続けられてきました。
今回テーマにしてきた糖化について言えば、糖とたんぱく質は、人間にとって不可欠な栄養素であり、また糖とたんぱく質と生命の繋がりは、人間が死ぬまで続けられるものであることを考えれば、過剰な糖とたんぱくの結合による糖化を抑えることは、流行や話題にのって行うべきものではないことは明らかですね。
私は10年以上も前に、今の私の基本的な考え方を学んだDr.ライトが「人間が生きる絶対的な基本は栄養だが、それは本来サプリメントで得るべきものではなく、その人の年齢、性別、仕事、住居の環境を考慮した、日常の食生活で考えられるべきものだ。栄養療法の基本もまたサプリメントや薬ではなく、食事、特に自分の消化分解と吸収代謝を理解した食生活だにある」という言葉を常に忘れないように心がけています。
糖化についても全く同じで、この基本を忘れて、糖化抑制に効果のあるサプリメントや健康食品を摂ったところで、何も役にたたないとは言いませんが、糖化による症状を作ってきてしまった食生活、生活習慣と真剣に向かい合わずに、サプリメントや健康食品にその解決策を見出すことはできないということです。
by nutmed | 2010-09-29 07:57

今日の東京は秋真っ只中。先日の台風が一気に秋めいた気圧配置を整えてくれたようです。それでも紅葉でにぎわう観光地では、例年に比べ葉の色の変化が遅いということです。

さて、今日は糖化抑制の素材の5回目です。今日の素材テーマはビタミンB6です。
前回までに紹介してきた素材は、糖化最終産物(AGE)ができる過程で作られるいくつかの物質の合成を阻害する作用を持っていましたが、今日紹介するビタミンB6は、体内でたんぱく質と糖が結合する初期の段階で、たんぱく質と糖の合成を阻害する作用をもったビタミンです。糖化の過程でAGEが作られる少し前の段階で、糖化の進捗を抑えるための抗酸化物質として、同じビタミンのビタミンCやビタミンEが、AGEを抑えるために効果を発揮してくれますが、ビタミンB6の場合は、直接的に糖化物質の合成を抑えてくれる強力なビタミンと言えます。ビタミンB6の活性型を持った構成成分はピリドキシン(Pyridoxine)で、この成分には糖化の初期段階でたんぱく質と糖が不用意に結合することを抑える作用があります。日本で市販されているビタミンB6のほとんどは、塩酸ピリドキシンと言って、このままでは活性型のピリドキシンではなく、体内でいくつかの変化をしてはじめて活性型のピリドキシンになりますが、医薬品として処方されるリン酸ピリドキシン(P5P)は、ほぼそのままで活性型のピリドキシンとして作用してくれます。つまり、サプリメントとして販売されている塩酸ピリドキシンよりもP5Pのほうが糖化を抑える効果は高いということです。最近の研究では、ピロドキシンには腎臓の働きの改善、特に血圧上昇や尿たんぱくの低下に有効なビタミンであることが報告されています。
また、糖化による影響によって起こることが報告されている脳の働きにかかわる症状、特にアルツハイマー性痴呆症の予防と改善にも有効であると報告されています。
ビタミンB6はマグネシウムと同様に、体内では補酵素として働く、欠かすことのできないビタミンの1つでもあります。
糖化抑制のテーマが始まって以降、読者のかたから「佐藤先生は糖化抑制のために何かやっているのでしょうか?」というメールが多く寄せられてきます。私自身、遺伝的に糖尿病の家系であることもあって、今から12年前から糖化抑制については、食生活もそれなりに糖化コントロール素材を考えていますが、1昨年からメトホルミン、グアニジン、カルノシン、アルギニンのサプリメントに加え、今年はじめから、1週間に1回600mgのグルタチオンを静脈注射しています。体調には明らかに変化はあります。一番効果があるのはやはり糖の代謝産物の量の低下ですが、目の機能や肌の弾力は家族が触ってもわかるほど違いがわかるほどです。
by nutmed | 2010-09-27 17:54

1昨日から降り続いていた雨の影響と気圧配置がようやく秋めいてきたこともあって、昨日今日は気温が一気に晩秋を思わせる陽気になりましたね。体温調節が非常に難しくなる季節ですが、体調管理は万全に、早めの衣替え準備も忘れずにしてください。インフルエンザもタミフルに耐性を持ったウィルス株が発見されたということですし、この冬は一段と体調管理に注意が必要のようです。

今日のテーマはアミノグアニジンですが、その前に前回書き忘れたことがあるので1つ紹介しておきます。メトホルミンは乳酸を蓄積させやすいという報告がありますが、最近の研究では、以前に報告されているほど乳酸の蓄積が増えることはないという報告があります。また、メトホルミンを飲むときに乳酸の蓄積が心配な場合には、第909回で紹介しているL-カルノシンを一緒に飲むことで、乳酸の合成を抑えてくれます。日本でもアスリートやランナー、ボディビルダーのサイトで運動前後のL-カルノシンが有効であることが紹介されているようですが、これはL-カルノシンには乳酸の体内での合成を阻害する作用があるためです。

さて、それでは今日のテーマアミノグアニジンについて紹介します。
アミノグアニジンは、前回までに紹介したグアニジンに似た物質で、この10年ほどの間に世界中で様々な機能性が研究報告されています。アミノグアニジンが注目を集めた当初、動物実験によって、心臓の肥大を予防する作用が報告されて以来、イタリアのミラン大学の研究チームによって、HDL-コレステロールの低下作用およびHDL-コレステロールの酸化を阻害する作用があることが報告され、薬に匹敵する効果があることがわかりました。その後、アメリカ、欧州の研究者によって、糖化の過程で作られる物質の形成を阻害し、糖化最終産物(AGE)を抑制する作用があることが報告されています。
前回紹介しているグアニジン同様、アミノグアニジンは、2型糖尿病の合併症、白内障や末梢血管の損傷など、AGEが原因背景の1つとされる症状の予防、改善緩和には効果のある素材であることは、動物実験、人の臨床検討でも報告されています。2型糖尿病の人は、そうでない人に比べ糖化の進行度とスピードが2-3倍速く、AGEがつくられてしまうことによる目や腎臓などに対する合併症が、時間と治療の有無によって進みますが、アミノグアニジンの機能作用には、これらの進行を抑える作用があると考えられます。
これらに加えて、AGEによる皮膚の機能にも有効な素材でしょう。以前のブログで紹介しているように、AGEの進行によって皮膚の下にあり、皮膚の弾力や張りを保ち、シワや弛みに影響のあるコラーゲンの弾力性が低下しますが、アミノグアニジンには皮膚の弾性を向上させ、シワや弛みを予防、改善する働きがあります。
アミノグアニジンを飲むときの注意点として覚えておいていただきたいことがあります。
アミノグアニジンの摂取量の目安としては、成人男女で1日あたり300mgで、最大でも500mgを超えないようにしてください。また、アミノグアニジンの体内での代謝は比較的早く、4時間ほどで50-60%が代謝されてしまうため、1回あたりに50-80mgを、1日数回にわけて飲むことがお勧めです。
さらに、アミノグアニジンはビタミンB6の吸収を抑えてしまう作用が確認されているので、必ずビタミンB6を一緒に飲むことを忘れずに。

明日から終末。気温の変化と体調管理には注意して、みなさんよい週末を!
by nutmed | 2010-09-24 13:35

「暑さ寒さも彼岸まで・・」という言葉があるように、この夏からの残暑もどうやら今日で一段落するようです。
今週末にかけて、私は先日作った月見草の花のハーブティーで、秋に向けた体調の修正をする予定です。

さて、今日は、糖化抑制の素材 グアニジン(Guanidine)の2回目です。
グアニジンを主要な成分として含むのは薬ばかりではありません。例えば、アミノ酸のアルギニンもその1つです。私がアメリカで研修していた時の栄養療法クリニックでも、2型糖尿病の患者には、必ずアルギニンのサプリメントを出していました。これはアルギニンを構成する成分に、インスリンの抵抗性を低下させ、糖の代謝を向上させるグアニジンが含まれているからです。だからと言って、低血糖傾向の人がアルギニンを多く含む食材を食べ過ぎると血糖がさらに低下するという心配はいりませんが。

さて、本題のグアニジンの糖化最終産物(AGE)を抑制する作用ですが、糖とたんぱく質が結合して糖化が進んでいく過程で、いくつもの化合物をつくりますが、グアニジンやアミノグアニジンは、これらの化合物が変化して次の化合物をつくる工程を阻止する作用を持っていると考えられています。もちろん糖化最終産物も最後にできる化合物で、この合成も阻止する作用を持っていると考えられます。
糖化が進むことを阻止し、糖化最終産物ができてしまうことを阻止できる可能性が非常に高いグアニジンですが、前回紹介したグアニジンを含んだゴーツルーをたくさん飲めばいいかというとそううまくはいきません。確かにゴーツルーはアルギニン同様、栄養療法やハーブ療法で2型糖尿病の患者や、白内障など糖化による影響改善のために使われる素材です。しかし、ゴーツルーには血圧上昇というもう1つの作用がありますので、この点に注意することと、ハーブに詳しい医療関係者のもとで使うことが肝要です。
この条件を考えると、比較的安全に糖化抑制を行うための素材として、私はメトホルミンが最適な素材だと思っています。ただ、幸か不幸か日本をはじめ海外でもメトホルミンは医薬品ですから、サプリメントのように簡単に使うことができないだけでなく、シワや皮膚の弛みの予防では保険が認められないために、日本の医療施設では処方されることはまずありません。
ただ、もし現在2型糖尿病と診断されていて、以下の条件に合う人では、私は今の主治医に相談しメトホルミン(日本での商品名「メルビン」)を飲んでみることをお勧めします。
1、食事療法に加えて血糖を下げる薬を処方されている人
2、年齢も65歳以下で腎臓の働きが悪くない人
3、血液中のクレアチニンが高くない(男性で1.3、女性で1.2以下)人
4、メトホルミン以外の薬を継続して飲んでいる人

メトホルミンはインスリンの抵抗性を抑えてくれる薬ですが、それ以上に、白内障、末梢神経障害など、糖化による細胞臓器への影響を改善緩和してくれる作用があります。事実、アメリカでは栄養療法を行うクリニックでも2型糖尿病患者の症状改善にメトホルミンは処方されることが多いだけでなく、糖尿病専門のドクターの多くが糖化の抑制による合併症の予防改善のためにメトホルミンを処方することが多く、2型糖尿病の人の合併症予防に効果を発揮しています。メトホルミンには体内の乳酸を上げてしまうことで、体が酸性に傾き、疲れやすくなるなどの副作用が知られていますが、専門医の指導のもと、上記の条件とこの点に注意することで、糖化による合併症の改善には有効な素材だと考えます。
by nutmed | 2010-09-22 06:36

今日は朝から年に1回の人間ドッグでした。1日で胃カメラと大腸スコープを一緒に受けるので、1日がかりです。 1日で上と下からカメラを入れるのはかなり負担が多いので、1日で両方受ける人はあまりいないそうですが、時間ももったいないので、私はもう5年間一緒に受けています。 結果は今年も胃も大腸もまったく問題なしの優等生でした。

さて、今日は糖化についての4回目。2つ目の糖化抑制の素材グアニジン(Guanidine)についてです。
今日は初めにグアニジンの歴史を少し紹介します。
グアニジン、アミノグアニジン、ビグアニド、いずれもインスリンに依存しない(インスリンは分泌できる)糖尿病(2型糖尿病)の人に処方されてきた薬の主要成分で、ビグアナイド剤と呼ばれ、代表的な薬の名前は「メトホルミン(metformin)」と言います。
メトホルミンの歴史は古く、1957年に世の中に発売処方され、日本でも1961年に発売されています。しかし、1979年にこの薬の副作用とも言える、乳酸が貯まりやすいことが原因によって、高齢者を中心に死亡例が出たことで、日本をはじめとする世界各国で使用されなくなりました。ただ、これには原因背景があり、その後の調査で対象となる人と量に注意することで、2型糖尿病の血糖改善効果が高いことが再認識されています。アメリカでは1996年に、インスリンに対して抵抗性を持ってしまうことで血糖値が下がらない、2型糖尿病患者の血糖降下作用が強く、副作用もほとんどないことが報告され、1998年には、糖尿病の合併症の原因となる糖化最終産物(AGE)の抑制効果が高いことが報告され、アメリカではこの20年間でメトホルミンの処方が劇的に増加しています。
残念ながら日本では遅れること8年、2005年になってようやくメトホルミンの有効性が見直され始めたところです。それでも、私の知り得る限り日本では、メトホルミンを2型糖尿病患者に処方する医師はまだまだ少ないように思います。
余談ですが、2010年5月に「メトグルコ」という新薬が日本で承認され発売されましたが、この新薬の基本的な構造はメトホルミンと同じグアニジンを主成分とする薬です。
あれほどメトホルミンを処方しなかった日本なのに、ここに医薬品メーカーと国のどのような思惑があるかは私にはわかりませんが。
さて。前置きが長くなりましたが、今から50年以上も前に開発されたメトホルミンの主要成分であるグアニジンは、元々ゴーツルー(Goat’s rue)と言う植物の花から抽出されたものです。和名をガレガソウ(Galega Officinalis)と言い、ハーブではゴーツルー(Goat’s rue)と呼ばれるマメ科の植物で、別名フレンチライラック(French Lilac)とも呼ばれています。ゴーツルーはヨーロッパを中心に昔からハーブ療法の素材として使われていて、もっとも有名な使い方は、牛や羊の乳の量を増やす目的です。餌としてゴーツルーを食べさせることで、最大50%も乳の量が増えると言う報告があります。名前の「galega」は「乳を増やす」という意味があるのもうなずけます。もちろん人間の授乳期の女性の母乳を増やす効果もあるので、昔から産後の授乳期の女性には重宝されてきたハーブでもあります。

今日はこの辺にしておきましょう。次回はグアニジンのAGE抑制効果についてです。
by nutmed | 2010-09-21 16:13

昨日の雨が嘘のように晴れ渡った今朝の東京です。気温も上昇していますが、今までのような蒸し暑さはないので、さわやかな暑さですね。

さて、今日は糖化抑制の素材についてです。
糖化の影響による体内環境への影響は、皮膚のシワや弛みだけでなく、糖尿病、高血圧、白内障、腎臓病、アルツハイマー性痴呆症、免疫低下症、ガンなどの慢性疾患をジワジワと作りだしてしまうことです。ただ、生きている限りは体内のいたるところで糖化は起きているわけですから、いかに不用意に糖化を促進させないかということが、糖化を抑制するAnti-AGEingのポイントになります。
今日からは、糖化を抑制するために有効な3つの素材について紹介をします。
1回目の今日は「カルノシン(Carnosine)」です。
カルノシンはアミノ酸のβ-アラニンとL-ヒスチジンによって構成されているアミノ酸複合体で、人の筋肉や神経細胞に多く存在する物質です。カルノシンは3年前からアメリカやイギリスで話題になった素材で、糖化によるAGEが原因の1つとされる白内障の症状改善、緑内障や加齢性黄班変性の症状緩和といった、目の症状の改善、予防に優れた効果があることが、動物実験だけでなく人の臨床検討でも報告され、カルノシンが配合された点眼薬(商品名:Can-C)が発売されています。因みに、私の師匠でもあるTAHOMA CLINICのDr.ライトや、アメリカで栄養療法を行っている友人のドクターの多くが、白内障の症状改善にカルノシン(N-Acetyl Carnosine)が配合された点眼薬Can-Cや、自分でカルノシン(N-Acetyl Carnosine)を調合した点眼薬を処方していますが、治療効果は非常に高いです。白内障の予防、初期治療、手術を敬遠する患者に、カルノシン(N-Acetyl Carnosine)は有効な素材だと思います。
カルノシンは、多彩な働きを持っていて、糖化のプロセスの初期段階よりも、糖化によって作られるAGE(糖化最終産物)の形成を抑制する作用が強い素材です。AGEが作られる糖化の最終プロセスで作られる物質(カルボニル)を除去する働きのほか、昨日紹介した、たんぱく質(コラーゲン)とたんぱく質(コラーゲン)をくっつけてしまう橋(架橋)が作られることを抑制したり、最強の抗酸化物質と言ってもいいグルタチオンの働きをサポートもしてくれます。グルタチオンは、アルコールやウィルス、薬剤、毒物などによってダメージを受けた肝臓の働きを改善する目的で、薬(タチオン)として使われたり、最近では、アンチエイジング(Anti-aging)療法の中で、美白の目的で静脈注射するようにもなりました。カルノシンについては、日本でもネットなどで見かけるようになり、「白内障の改善に有効!・・」のようなことが書かれていますが、糖化を原因とする白内障の治療改善について言えば、「L-カルノシン」は効果が低く、「N-アセチルカルノシン(N-Acetyl Carnosine)」のほうが有効性が高いことは、多くの動物、人による検討によって報告されています。また、点眼として使うことが最も有効でしょう。その理由の1つには、眼球の液体の中には、カルノシンを分解するカルノシナーゼ(Carnosinase)が高濃度で存在するため、カルノシンの構造が単純なL-カルノシンでは、カルノシンが目のレンズに到達する前に分解されてしまう可能性が高いということです。反面、N-アセチルカルノシンは構造から言って、カルノシナーゼに分解されにくいため、目のレンズに到達するカルノシンの量が多いということです。
もちろん点眼だけでなく、口から摂取するカルノシンは白内障をはじめ、糖化によるAGEの影響を改善予防するために非常に有効で、サプリメントで摂る場合には、1日あたり300-500mgが妥当な量だと考えます。500mg以上の量では、場合によってアレルギー症状を起こす例も確認されているので、50mgくらいからスタートして徐々に増量をしていくことがいいかもしれません。
カルノシンを食材から得る場合には、鳥の胸・もも肉、キジのもも肉、ウサギのもも肉がカルノシンを豊富に含む素材としてお勧めですが、鳥については、ケージに入れて育てられたブロイラーにカルノシンはそれほど多くないので、放し飼いで育った鳥がいいかもしれませんね。

今日から3連休の方も多いと思います。私の連休は土曜日は秋のシーズンに向かってバイクのメンテナンス、日曜日は茅ケ崎にある友人のCafeに顔をだして、月曜日は原稿書きで過ごします。
それでは皆さん よい週末を!
by nutmed | 2010-09-17 12:53

最近気になっていたtwitter(ツイッター)。日本語のサイトが運営される以前からIDは取得していたのですが、なかなか手がつかずにいました。昨晩、出版関係の知り合いにお願いして、twitterを使いこなしている若い専門家に勉強会を開いてもらうことになり、しっかり勉強してきました。このブログの左の下のほうにtwitterのバナーを張り付けておきました。twitterのIDをお持ちの方はフォローしてもらえれば、当日のブログの内容を少し紹介したり、ブログで紹介できないようなタイムリーな情報をtwitterでフォローしてもらえると思います。

さて、今日は糖化の2回目です。
今日から少し具体的な糖化の影響について紹介をしていきますが、最初に覚えておいていただきたいのは、糖化そのものは恐れることはないということです。糖化は糖とたんぱく質(アミノ酸)が反応することで起きますが、糖もたんぱく質も人間の営みには不可欠な栄養素、エネルギー源ですから、人間は生きている限り糖化とは無縁でいることはできないとも言えます。注意をしなければならないのは、糖化によって作られてしまう副産物で、この副産物が細胞、組織、臓器の働きに様々な影響を及ぼすということです。
この副産物のことを「糖化最終(または終末)産物(AGE: advanced glycation end-product)と言います。以前のブログで私が、「本当の意味でのアンチエイジングはAnti-Aging(老化抑制)ではなく、Anti-AGEing(糖化抑制)」と言い続けてきた背景はここにあります。

糖化を考えるときに、避けて通ることができないのが架橋形成(Cross-linking)という現象です。少し難しい言葉かもしれませんが、下の写真のスパゲティーを想像してみてください。
アルデンテで茹でたてのスパゲティーや、オリーブオイルで和えたスパゲティーは、フォークもスルリと通るほどサラッとしていますが、冷めてしまったり、茹でた後にそのまま放置されたスパゲティーは、麺同士がくっついて塊になってしまいますね。
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この塊は麺同士が、麺の原料である小麦のでんぷんによってくっ付きあってしまった状態です。この状態を架橋形成(Cross-linking)と言います。

これを人間の体内の皮膚で例えてみましょう。
日本の女性の多くが魅力を感じて、肌に塗ったり、あるいは細かくナノ処理されたサプリメントやドリンク剤として飲んでいるコラーゲンがあります。コラーゲンは皮膚の弾力性をつくるために必要なたんぱく質で、このたんぱく質のおかげで、シワや弛みを作らず若々しい健康な肌を維持することができます。
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コラーゲンはたんぱく質でできたらせん状の繊維で、繊維同士が絡み合うことなく自由度を持っています。コラーゲン同士をつなげて、一定の弾力を維持するための橋(架橋)がありますが、これは自然に作られた橋(架橋)で「生理的架橋」と言います。一方、たんぱく質であるコラーゲン同士が、糖化によって生まれるAGE(糖化最終産物)によって作られた橋(非生理的架橋)によってくっつき、この架橋の数が多くなることによって、コラーゲン線維の自由度は低下し、皮膚のシワや弛みをつくりだしてしまいます。
若い人に比べ、年齢が高くなるにしたがってコラーゲン線維は固くなりますが、これは、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸など皮膚を形成するたんぱく質の代謝が遅くなることで、糖分との接触時間も長くなり、糖化がいたるところで発生するためだと考えられます。

シワや弛みの予防のためにコラーゲンやエラスチンを塗ったり、飲んだりしても、意味はないとは言いませんが、まずは体内で起きている糖化反応のことをもっと真剣に考え、糖化を抑制することを考えるほうが先決だと私は思いますが・・・
by nutmed | 2010-09-16 15:35

今日の東京は急に秋めいてきたような風です。今までの残暑が嘘のように気温もさがりはじめました。週刊予報を見ると、今週末までは30℃を境に残暑は残るようですが、朝晩の風は確実に秋の色が濃くなっているのは嬉しい限りです。

さて、今日は糖化(Glycation)につてです。数回にわけて紹介する予定です。
私は、2009年の12月のブログで、今年2010年は糖化抑制が日本でも話題になるだろうとお話しましたが、今年に入り、医学会だけでなく、一般の方が見る雑誌や番組でもようやく糖化とその抑制についての話題が多く出るようになりました。
糖化を理解するときにわかりやすい例えになるのが「メイラード反応」、別名「褐色反応」という化学反応です。メイラード反応については小中学校の理科の時間に習ったはずですね。
少し難しく説明すると、物質(動植物)の中にある糖とたんぱく質(アミノ酸)が反応して、褐色に変化する反応です。物質が何かに変化する場合には、酵素(触媒)がかかわることが多いですが、メイラード反応の場合には酵素が関与しません。メイラード反応によってモノの色が褐色に変化する反応には、温度とpH(酸度/アルカリ度)が深くかかわっています。
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たとえばこの切ったリンゴ、皆さんも経験があるでしょうが、切ったリンゴをいつまでも放置しておくと、果肉が褐色に変化しますが、これがメイラード反応、つまりリンゴの果肉の細胞が「糖化」しているということです。
メイラード反応はpHの数値が大きくなる(アルカリ性方向に進む)ほど反応が進んで褐色が現れやすく、また色も濃くなり、pH3-9の間が最も反応が進むと言われています。また、温度が高いほど反応が進み、温度が10℃高くなることで反応は5倍進むとも言われています。
下の写真を見てください。最近は日本でもこんな朝食メニューがホテルやレストランだけでなく、自宅でも振る舞われることも増えてきましたね。
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ここに出されているワッフル、メイプルシロップ、ハッシュドポテト、トーストはすべてメイラード反応によって作られたものです。茶色く焦げたワッフル、トースト、ハッシュドポテト、火で煮詰められたメイプルシロップやカラメルシロップの茶色も全てメイラード反応の賜物なんですね。
メイラード反応は糖がたんぱく質(アミノ酸)と反応して起こる糖化のプロセスですが、これと同じような反応が体内で起こることによって、細胞に様々な影響をもたらすことになります。常に血糖が高くなる糖尿病や白内障、皮膚のシワ、弾力の低下などがこの糖化によって作られているものだとすれば、いかに日常生活で不必要な体内での糖化を促進させないようにするかが、生活習慣病や老化の予防につながるということが理解できるでしょう。
by nutmed | 2010-09-15 14:44

新聞を読まなくなって数カ月が経ちます。この数カ月間で大きく変わったのは、色々な出来事の分析力が研ぎ澄まされたこと、これは確実に変化がありました。極力中立的な立場で、自ら情報にアクセスして分析する。時間はかかりますが、今まで見えなかったことが見えるようにもなり、何よりも新鮮な気持ちになります。

さて、今日はビタミンDの7回目、ビタミンDと乳がんについてです。今日もまた少し難しくなるかもしれませんが、ついてきてくださいね。
マスコミメディアを通じて、日本人の乳がん発症率、死亡率が年々増加していることは、皆さんもご存じのことですね。以下は、国立がんセンターが発表している、乳がんの発症率、年齢別の発症率、それに死亡率のグラフです。まず、このグラフを覚えておいてください。
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このグラフ見てもわかるように、1975年以降乳がんの発症数は年々増加をしていることと、死亡率も少しずつではありますが増加していることがわかります。年齢で見ると、35歳以上から50歳までの乳がん発症数が圧倒的に多いことがわかります。早期発見が生存率を左右すると言われてきて、全国的な乳がん検診の普及もあってか、死亡率の伸びは確かに鈍化はしているようですね。
ただ、私が見てもらいたいのは、年齢別の乳がん罹患率のグラフです。早期発見、早期治療とともに、治療方法の発達によって、死亡率は鈍化しているものの、同じ年齢でみると、1975年に比べ明らかに2003年のほうが罹患率は高いということです。

さて、ビタミンDが乳がんにどのように関わっているかということですが、2002年の4月にイギリスのバーミンガム大学(The University of Birmingham)の研究チームが、乳がん細胞の抑制とビタミンDの関係を裏付ける報告を発表しています。乳がんとビタミンD、そのほか前立腺がん、大腸がんとビタミンDの関係については、ビタミンDの活性をもった型である、1-α,25(OH)2ビタミンDががん細胞の増殖を抑制する研究報告が2000年以前から発表されていましたが、2002年のバーミンガム大学の報告で、その関係性が強いことが報告されています。前回のブログで、ビタミンDの合成について紹介しましたが、腎臓において水酸化酵素(1-α水酸化酵素)の働きによって1-α,25(OH)2ビタミンDという、ステロイドにも似た強い活性をもつビタミンDが作られることを説明しました。この報告によれば、1-α水酸化酵素は、腎臓だけでなく、胸部、前立腺、大腸のほか、様々な臓器組織に存在することが報告されています。つまり、1-α,25(OH)2ビタミンDには、がん細胞の増殖を抑える働きがあること、その1-α,25(OH)2ビタミンDは、1-α水酸化酵素によってビタミンDからつくられること、そして、そのためにはビタミンDが紫外線を浴びることによって、皮膚の細胞で合成されることと、ビタミンDが豊富に含まれる食材を食べ、正しく吸収されることによってビタミンDが補充できるということにもなります。
そこで、先ほどのグラフですが、乳がんの罹患率が、同じ年齢でも昔よりも増えていることと、乳がん発症年齢自体が低年齢化している背景の1つには、紫外線に浴する機会が減ったこともさることながら、ビタミンDの含まれた食材を食べなくなってきていることもあるのではないかと、私は思っています。 イギリスやドイツ、カナダでは、乳がん、前立腺がん、大腸がんの予防に、1日5分ー10分程度の日光浴と、ビタミンDが豊富に含まれる食材、特に魚を積極的に食べることを、国や州をあげておこないはじめています。
早期発見の技術の進歩も歓迎ですが、それ以前にビタミンDの積極的な摂取、日光浴を行うことも大事なのではないでしょうか。

ビタミンDのトピックスは今回で終了です。ビタミンDについては毎回お話しているように、アメリカを中心にこれからもホットな話題が続くでしょう。機を見てまたビタミンDについてのトピックスを紹介することにします。
by nutmed | 2010-09-14 16:03