臨床栄養士のひとり言

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第956回 感染症の予防 その1

先週の土曜日、日曜日はセミナーが連チャンで、さすがに喉も疲労しているようで、今朝から声がカスれ気味。
今日1日はおとなしくしていることにします。土曜日は茅ケ崎の友人のカフェで初めてのサロンセミナーでしたが、ゆったりとした空間の中でいつものセミナーとはまた違った趣の講義ができ、来年も継続していきたいと思います。日曜日は、日本サプリメント協会主催の医療従事者向けの専門講義でしたが、こちらも参加者が真剣に聴衆していただき、あっと言う間の持ち時間消化でした。年内は、来週末にサンフランシスコ郊外のコンコードで行われる南北アメリカ重金属学会でのセミナー講演を含めあと3回の講演が控えているので、喉は労らないといけません。

さて、季節がら、今日から少し感染症の予防についてお話していきます。
まず、カゼとインフルエンザを混同している人が多いと思われますので、両者の違いを少し説明してみましょう。 発熱、鼻水、くしゃみ、のどの痛み、関節の痛み、悪寒、吐き気など、現れる症状から見て風邪に似たものを「風邪様症候群」と言い、この中にいわゆる風邪とインフルエンザがあると考えればいいでしょう。風邪様症候群の中には、インフルエンザのほかに、気管支炎や肺炎などもはいります。
症状は風邪もインフルエンザも共通して似ているものがありますが、症状を引き起こす原因となるものが異なります。
実は風邪という病気はなく、熱が出たり、鼻やのどの炎症、関節などの痛みなどの症状を総称して「風邪症候群」としています。風邪症候群は、流行性感冒、インフルエンザ、咽頭炎、気管支炎、肺炎などのいくつかのタイプに分けられます。 下の図を参考にしていただくとわかりやすいかもしれませんね。
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ここで注意しなければいけないのは、風邪の原因の90%はウィルス(10%が細菌など)であることを考えると、風邪様の症状の原因がウィルスなのか細菌なのかを確認しないと、その後の治療、特に薬による症状の改善には効果がないということです。幸いにも、現在ではインフルエンザが感染したのかどうかを短時間で確認する検査方法があり、ほとんどの医療施設では、この検査でインフルエンザ感染の確認をして、ウィルスに有効な抗ウィルス剤を使います。一方で、風邪様の症状を訴える多くの人が、その症状の原因の9割がウィルスによるものにも関わらず、クリニックや病院で処方されてくるのはウィルスには効果のない抗生物質です。
現代の抗生物質は広範囲な細菌を殺菌するように設計されているため、ウィルスには効果がなくても人間に有益な乳酸菌も殺菌してしまう可能性があります。
ワクチン接種という方法で予防する選択肢と同時に、ウィルスに感染しない予防生活を十分に意識することと、症状の原因が細菌なのかウィルスなのかはっきりとしない段階で、不用意に抗生物質を飲むことはさけるようにする、少なくとも抗生物質が必要な場合であっても、腸内の乳酸菌の環境を整えるために、乳酸菌も一緒に処方してもらうことを強くお勧めします。
by nutmed | 2010-11-29 11:14

第955回 ビタミンB12の不足について バクテリア

11月の第4木曜日はアメリカでは感謝祭(Thanks Giving Day)の祝日です。 どうりで今朝はアメリカからのメールがいつもの1/10ほどだったわけです。私も以前カナダ、アメリカに留学をしていたときには、友人宅に招かれてグレービーソースやアップルソースをたっぷりとかけた七面鳥のローストを食べたことを思い出します。

昨日、ビタミンB12の不足で、血液中のビタミンB12が高くなるケースを紹介しましたが、血液中のビタミンB12が高くなるケースの中にはバクテリア(細菌)の異常繁殖による背景もあることを紹介しておきましょう。
ビタミンB12は動物性たんぱく質に含まれるビタミンB群の1つですが、いくつかのバクテリアにはビタミンB12を合成して作りだす能力があることが、1980年には報告されていて(Albert, M.J., V.I. Mathan, and S.J. Baker, Vitamin B12 synthesis by human small intestinal bacteria. Nature, 1980. 283(5749): p. 781-2. )この報告で、少なくとも緑膿菌の仲間であるシュードモナス菌や、クラブシエラ菌という人間の腸の中に存在するようなバクテリアが、自らビタミンB12(コバラミン)を合成することがわかっています。その後も世界中でバクテリアが合成するビタミン(特にビタミンB群)の研究は続けられており、乳酸菌や土の中に生息しているバクテリアでもビタミンB12を合成する種類が存在することがわかってきました。
これらのバクテリアの中には、人間の腸(小腸)に生息するような種類もいて、バクテリアが生息する環境が整い、異常繁殖をした場合には、理論的には血液中のビタミンB12が高くなる可能性は高いと考えられます。
下の図はこのブログでは何回も登場しているのでおなじみの図ですが、この図を見てもらうとわかるように、ビタミンB12が吸収される場所は、小腸のパートの最後にあたる回腸付近です。
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したがって、小腸付近に生息するこれらのバクテリアが合成したビタミンB12は、回腸付近で十分吸収は可能であることがわかります。しかし、以前にもお話したように、ビタミンB12が回腸で吸収されるためには、胃の中で結合されたたんぱく質が必要になります。人間がビタミンB12を吸収する方法には、確かにたんぱく質を必要とせず、コバラミンを直接吸収するしくみがあることはわかっていますが、その量はわずかなもので、体内にあるビタミンB12のせいぜい1%とされています。 実はここにビタミンB12の吸収の複雑なところがあって、バクテリアが合成したビタミンB12がどのように吸収されるのかについては、未だに明確なことがわかっていません。

一方で、サプリメントに使われているビタミンB12の多くは、やはりバクテリアが合成したものを配合していることが多く、放線菌の1つであるストレプトマイセス菌(Streptomyces griseus)を培養して作られています。
今回でビタミンB12のテーマは最終回となります。
来週からは季節がら、感染症の予防についてのテーマを少しお届けしようと思っています。

明日から週末ですが、もう11月も終わり、来週から師走です。 この週末風邪などひかぬように、皆さんよい週末を!
by nutmed | 2010-11-26 15:35

第954回 ビタミンB12の不足について ビタミンB12の高値

ブログの読者の方の中にも海外ドラマシリーズが好きな方がいらっしゃるようで、私がつぶやいたLOSTのファイナルシーズン最終話に食いついてくれた方が多数いました。ローハイド、ララミー牧場、それいけスマート、ブラボー火星人、名犬ロンドン、拳銃無宿、ハワイ5-0など、私は子供のころからTVっ子で、海外ドラマは大好物でした。学生時代にカナダ、社会に出てからアメリカに留学した背景の1つは、子供のころのアメリカへの憧れがあったことは事実ですね。何年先になるかわかりませんが、いずれはアメリカに移り住む計画は決して諦めてはいません。

さて、今日は血液検査でわかったビタミンB12の不足のケースを紹介します。
日本でもアメリカでも、かつてはビタミンB12の血液検査の信頼性はあまり高いものとは言えませんでした。その理由は、本来人間の体内で活性のないビタミンB12(コバラミン)と活性のあるビタミンB12(コバラミン)の両方を捉えてしまうような検査方法(試薬)であったことが背景にあります。しかし、この十数年の間に検査方法が進歩し、現在では活性のあるビタミンB12(コバラミン)だけを捉えることができるようになったため、ビタミンB12の過不足を確認するための方法として、血液中のビタミンB12を検査することは非常に有効な方法となりました。
以前にも書きましたが、断念なことに日本ではビタミンB12の不足を体系的に検査して確認するドクターは少ないように思います。悪性貧血、骨髄性の症状、がんなど、特殊な症状を疑うことがない限り、まずビタミンB12の不足の確認検査をすることはほとんど無いと言ってもいいでしょう。
最近、栄養カウンセリングで出会ったクライアントの中に、手の指先に針で刺されたような鋭い痛みが頻繁に起こり、以前はなかった立ちくらみやめまいも起こるという60歳を超えた男性に出会いました。これらの症状はビタミンB12が不足することで起きる症状の中でも典型的な症状です。この男性は、1年ほど前から何かの原因によって、肺の細胞の1部が繊維化(細胞が硬くなる)するとともに、手の指の関節が曲がりにくくなり、リウマチのようにこわばりも出ており、都内の大学病院に通院していますが、症状の改善のための栄養指導を受けたいとのことで先日カウンセリングに来られました。 上記のような症状があったため、血液検査でビタミンB12の検査をするようにお願いし、昨日検査の結果が出ました。 私はビタミンB12の不足の確認で血液検査のビタミンB12の数値を見るときに、250(pg/ml)を1つの目安とするようにアメリカで研修中に教え込まれているので、この数値よりも低い場合にはビタミンB12不足を強く疑います。この男性の結果はその数値をはるかにオーバーする4,000(pg/ml)でした。この数値は、素人が見ても「ビタミンB12がたくさんあってよかったね」という数値ではなく、ある意味では異常な数値であるとも言えます。 当然私も異常な数値と判断しましたが、その背景には以下の4つの理由があります。
1、60歳を超えた年齢であり、ビタミンB12を吸収するための前提条件である胃酸の分泌は明らかに少ない
2、現在の症状を治療している病院からビタミンB12製剤や筋肉注射を処方されたことはないことと、ビタミンB12のサプリメントは以前から飲んだことがない
3、少なくともこの1年ほどの食事内容を見ると、明らかに肉や魚などの動物性たんぱく質の摂取量は少ない
4、これまでに乳酸菌の摂取はなく、繊維質の積極的な摂取もない

これらの背景は、この男性がはじめてカウンセリングに来たときの食生活のアンケートの回答によって確認したもので、この4つの背景から見て、血液中のビタミンB12が4,000という異常に高い数値になることは考えにくいものです。 4,000と言う数値はビタミンB12が十分すぎるほど体内に存在しているということとは逆に、ビタミンB12が不足している状態である可能性が非常に高いと私は判断しました。では、何故これほど数値が高くなるのか?と言うことですが、本来体内に蓄積され、体内の細胞や組織臓器が働くために必要なビタミンB12が何かの原因によって、不必要に血液中に流れ出している状態と考えてもらえればいいかもしれません。一方では、上記の4つの状況から見て、体の中にはビタミンB12が入ってくる背景はほとんどない状態ですから、体が必要とするときにビタミンB12が不足しているためめに、この男性が現在持っているビタミンB12が不足しているときの典型的な症状が出てくると考えられます。 現在、この男性には神尾記念病院でビタミンB12の定期的な筋肉注射によってビタミンB12の不足を改善することをお願いしているので、その有効性を見守っているところですが、血液中のビタミンB12が高くなる原因については、大学病院の主治医のドクターに相談しながら、根本的な解決に向けて準備を進めています。文献や研究報告を検索する中で、アメリカから報告されている文献の中に、肺や肝臓の細胞が硬くなる線維化によって、血液中のビタミンB12が高くなり、実際にはビタミンB12の不足となることでビタミンB12の不足の症状が現れることが報告されていることから、この男性のビタミンB12が不足している可能性の背景には繊維化というキーワードがあるのかもしれません。
by nutmed | 2010-11-25 16:29

第953回 ビタミンB12の不足について 小児のVB12不足

昨日の祝日は1日文献の整理をして過ごしました。年末までに読まないといけない文献がまだ100以上あるので、来月のアメリカ出張のときには持参して文献の読み漁りをしないといけません。
さて、前回のビタミンB12の不足判定ですが、皆さんやってみましたか? 1昨日の夜から昨夜までに、実際に自分で判定してみたという読者の方々から100通以上のメールをいただきました。「ビタミンB12の不足の傾向があるようです・・」や「普段はビタミンB12なんてあまり関心のないビタミンなので、まさか不足傾向にあるとは思っていませんでした・・」などなど。いただいたメールを集計してみると40%ほどの人が不足の傾向にあるという結果だったようです。 この判定はあくまでも目安ですが、スコアが高かった場合には、クリニックや病院で血液検査(検査可能なものだけでも)をして確認をすることをお勧めします。

さて、今日のテーマは小児のビタミンB12不足についてです。
最近では少なくなりましたが、私は以前から自閉症児の栄養カウンセリングを行っています。今でも鮮明に覚えているクライアントの中に、結果的にビタミンB12の不足であった4歳の男児のケースがあります。言葉が遅い、目が合わない、社交性に欠ける、笑わないといった自閉症児特有の症状のいくつかがあったこのお子さんは、それまでにいくつかの医療施設で、レット症候群、テイサック病、自閉症の疑いと言われ、栄養医学研究所に栄養カウンセリングにやってきました。体内の水銀や鉛の濃度が高いわけでもなく、ウィルス感染もない、また偶然ではあったものの、3種混合ワクチンの接種も1回しか受けていなかったお子さんでした。都内の自閉症児をケアしている有名なクリニックで診てもらったところ、自閉症という診断を受けていたお子さんでした。私がそれまでにケアしてきた自閉症児たちとは少し症状が異なるケースでもありましたが、ご両親の意向もあって、そのクリニックにケアをしてもらいながら療育をすることになりました。何か気になることもあって、後日、私の師匠でもあるDr.ライトにこの男児のケースを相談したところ、「その母親の食生活、特にベジタリアンではなかったかを確認してみなさい。それからその男児のこの2年ほどの食生活を確認したほうがいい」とアドバイスを受けました。その時点では、Dr.ライトが、この男児がビタミンB12不足であることを疑っていることなど想像もできませんでしたが、後にそれが的確なアドバイスであることがわかりました。
ご両親に説明し、納得していただいたうえで、妊娠前後の母親の食生活と男児の食事内容を確認したところ、母親はベジタリアンではありませんでしたが、酷いつわりがあり、特に豚肉、魚は一切口にすることができなくなったようで、その食生活は出産後も続いていたそうです。また、出産直後に貧血がひどくなり、鉄剤を服用していたために酷い便秘で悩んでいた経緯がありました。 一方、男児の食生活は過度の偏食があって、肉と魚、穀類、野菜はほとんど食べず、卵、バナナ、うどん、豆乳が主食になっていました。この内容をDr.ライトに話したところ「この子はビタミンB12が不足している可能性が高い。今の主治医にお願いしてビタミンB12の投与を2-3週間ほど続けて症状の変化をみたほうがいい」とのアドバイスをもらいました。
主治医を説得するのには時間がかかりましたが、1992年から2000年にかけてアメリカ、イタリアの研究チームによって発表されていた、小児の自閉症様の症状とビタミンB12の不足の関係についての文献を60ページ添えて説明し、納得していただいたうえで、舌下から吸収が可能な小児用のビタミンB12(シアノコバラミン)を3週間処方してもらいました。 まず最初に現れた男児の変化は言葉の発語です。これはビタミンB12を服用して11日目に現れました。15日目には母親からの電話で、男児が母親の目を見て笑いはじめたことがわかり、その後、グズるような態度も徐々になくなってきたそうです。主治医からは「半信半疑で進めてきたビタミンB12の投与がここまで効果があるとは驚きました。いただいた文献に書かれていた症例を再度読み返して今後の診療の参考にします」と言っていただいたこともさることながら、5歳になったこのお子さんが再び栄養医学研究所を訪れてくれたときの満面の笑顔は今でも忘れることができません。その彼も来年中学へ進学です。
by nutmed | 2010-11-24 08:04

第952回 ビタミンB12の不足について リスクの自己判定

今日は、栄養医学研究所の創設にも協力してくださった、以前の上司と久々に会い昼食をしながら旧交を温めました。この上司には色々なことを学ばせてもらいましたが、10年間信念を貫いて頑張っているとお褒めの言葉をいただき、改めて「想い」を持ち続けることの難しさと大切さを感じました。

さて、今日は少し長くなりますが、ビタミンB12が不足しているかもしれないリスクを、ある程度自分でチェックする方法を伝授しますので、皆さん自分でやってみてください。

ビタミンB12不足の自己確認チェック(無断使用、転載厳禁)
以下の6つのグループ内にある設問に該当するものに○をしてください。
各グループ内のポイントを合計し、最後に6つのグループのスコアの総合計ポイントを算出してください。なお、1から4のグループでは、以下に該当するものが1つだった場合には2ポイント、2つ以上だった場合には、2つ目以降の該当する設問を1ポイントとして、最初の2ポイントと合算してください。
(例:4つに該当する場合は2+1+1+1=5ポイント)
  5と6については該当する設問全て1ポイントとして合算してください。

1、神経リスク要因
①この数カ月以内に、手・足・腕のどこかに針で刺されたようなチクチクする痛みやしびれを感じたことがある
②この数年以内に糖尿病と診断された
③手・足・腕の筋力が低下したと感じる
④この数カ月以内に、軽い頭痛やめまいを感じたことがある
⑤この数カ月以内に、意識が低下したことがある
⑥この数カ月以内に、歩き方がぎこちなくなったり、歩き方が少しおかしいと他人から指摘されたことがある
⑦この数カ月、記憶力が低下したと感じる。特に、加減乗除の計算がすぐにできなくなったり、人名や地名がすぐに出てこなくなったりする
⑧この数カ月、感触や痛みを感じにくくなった
⑨この数カ月、足や手に原因不明のけいれんがおきるようになった
⑩この数カ月、温度に関係なく全身に震えを感じるようになった
⑪この数カ月以内に失禁したことがある

ポイント小計  ポイント
2、精神リスク要因
①周囲の人から「最近人が変わった・・」「最近怒りっぽくなった・・」など喜怒哀楽や情緒に変化があることを指摘されることが増えた
②この数カ月以内に、うつ病と診断された
③最近ものごとに無関心になることが多い
④この数カ月、幻覚を見たりや妄想にふけることがある
⑤この数カ月、暴力的な行為を起こしたことがある

ポイント小計  ポイント
3、血液の機能リスク要因
①この数カ月以内に、鉄欠乏性の貧血と診断されたことがある
②この数カ月以内に、血液検査を受けてヘモグロビン、血小板、白血球が少ないと言われたことがある
③この数カ月以内に、血液検査を受けて赤血球が異常に大きいと言われたことがある

ポイント小計  ポイント
4、消化器系リスク要因
①この数カ月以内に、委縮性胃炎、胃粘膜が炎症を起こしているなどと言われたことがある
②この数カ月以内に、胃酸の分泌量が少ないと言われたことがある
③この数カ月以内に、胃潰瘍または胃潰瘍の痕跡があると言われたことがある
④この数カ月以内に、逆流性食道炎と診断された
⑤この数カ月以内に、胃憩室炎と診断された
⑥この数カ月以内に、胃がんと診断された
⑦この数カ月以内に、胃、十二指腸の摘出手術をした
⑧この数カ月以内に、過敏性腸炎、潰瘍性腸炎、クローン病と診断された
⑨以前から小麦を使った食材を食べると胃がもたれたり、ガスが貯まりやす
⑩家族の中に悪性貧血の人がいる
⑪過去にカンジダ菌症と診断されたことがある

ポイント小計  ポイント
5、その他のリスク要因
①年齢は60歳以上である
②甲状腺の病気または自己免疫疾患(リウマチ、1型糖尿病、橋本病、SLE、アジソン病、シェーグレンなど)を患っている
③がんを患っていて放射線治療、化学療法を行っている
④数か月以内に、笑気ガスを使った外科治療を行った
⑤菜食主義、またはベーガン食を実践している
⑥1週間に5日以上、コップ1杯以上の飲酒をする
⑦過去数か月、以下の薬を服用している
プロトンポンプ阻害剤、メトホルミン(糖尿病薬)、低用量ピル、結核治療薬、胃酸を中和する薬

ポイント小計  ポイント
6、症状のリスク要因
①過去数か月、慢性的な疲労、気力の低下が続いている
②過去数か月、筋力の低下、やる気のなさを感じる
③過去数か月、食欲が低下し、体重が減少している(明確な原因不明の)
④数か月以内に、白斑症と診断された
⑤過去数か月、胸に痛みを感じたり、わずかな運動で呼吸が乱れる
⑥過去数か月、舌の上が鮮明な赤いになることや、舌の上に口内炎のような炎症がおきる
⑦過去数か月、耳鳴りがする
⑧過去数年間、不妊治療をしている

ポイント小計  ポイント

総合計ポイント  ポイント


ビタミンB12不足のリスク判定

・総合計ポイントが3ポイント以下の場合

ビタミンB12の不足リスクは低いと言えます

・総合計ポイントが4-7ポイント以下の場合

ビタミンB12の不足リスクは中レベルですが、ビタミンB12が含まれる動物性たんぱく質(アレルギー反応のないもの)を積極的に食べるとともに、胃酸を十分に分泌するように食材を噛んで、時間をかけて食事をしましょう。小麦製品は頻繁に継続して食べないようにするといいでしょう。

・総合計ポイントが8ポイント以上の場合

ビタミンB12の不足リスクは高いと言えます。なるべく早い段階に医療施設でビタミンB12の過不足を正確に判定してもらうべきです。そのうえで、現在のビタミンB12の不足の原因背景を明確にするとともに、ビタミンB12を適切な方法で補うことをお勧めします。
なお、原因となっている背景の改善にも着手するべきです。

by nutmed | 2010-11-22 17:10

第951回 ビタミンB12の不足について 笑気ガス

今日は久しぶりにホテルランチを食べてきました。新橋駅前にある高層ホテルの最上階のレストランで、手ごろな値段のランチを、銀座やスカイツリーを見ながら楽しんできました。値段が手ごろなこともあって、近隣のサラリーマンらしき男性も多いのですが、気になったのは食事が終わるまでの時間がなんと早いこと! まるで街角にある立ち食い蕎麦屋で食べているかのような食事時間には驚きました。

さて、今日はビタミンB12の不足をもたらす少し変わった原因について紹介しましょう。
皆さんは「亜急性連合性脊髄変性症」という病名を聞いたことがあるでしょうか?初めから少し難しい病名がでてきましたが、医療系ドラマやサスペンス小説が好きな人は、今年の4月に放映された「チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋」の第2話でこの病名が劇中で扱われたことを覚えているのではないでしょうか?
亜急性連合性脊髄変性症は、悪性貧血と同様、ビタミンB12の不足または欠乏によって起こる症状で、握力や背筋、足の筋力が突然低下し、まっすぐに歩くことができなくなり、全身を刺すような痛みが襲い、意識がモウロウとするような症状が現れる病気です。以前は1万人に1人くらいの発症率と言われてきましたが、この5年ほどでその発症率は増えているのが現状です。 背景にあるのはビタミンB12の不足や欠乏によるもので、野菜しか食べない厳格な菜食主義者の中でも、胃酸の分泌が低下している人や、肉や魚を食べないダイエットをしてきた人、また胃酸の分泌が著しく低下している人、胃酸を止めてしまうような薬を不必要に飲む人では、亜急性連合性脊髄変性症が現れる可能性は少なくありません。

「チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋」の第2話でこの病名が扱われたときに、笑気ガスのことが扱われていましたが、笑気ガスもビタミンB12を低下させ不足へ導く原因にもなります。
笑気ガスの正式な名前は亜酸化窒素(N2O)と言い、このガスは200年ほど前にイギリス人によって発見され、その後、吸うことによって麻酔様の作用をもつことから、外科手術に応用されてきました。顔面がひきつり、笑うような顔になることから笑気ガスの名がついたものです。日本でも1部の外科手術や歯科医が抜歯などの麻酔用として今でも使われています。
笑気ガスに含まれる亜酸化窒素は体内でビタミンB12を不活性化、つまりビタミンB12の働きを著しく阻害してしまう作用があります。笑気ガスは世界中で日常的に医療で使われていますが、通常、笑気ガスを使用する場合には、必ずビタミンB12の不足の状態を確認することが重要なこととなります。私がシアトルで研修していた時代に、一緒に栄養療法を進めていた歯科医がいましたが、彼女のクリニックでも頻繁に笑気ガスは使われていました。当時から彼女は笑気ガスを使用する患者に対しては、事前に食事の内容のカウンセリングをするとともに、血液と尿でビタミンB12、メチルマロン酸、ホモシステインの検査をしてビタミンB12の不足の確認をし、さらに胃酸の分泌状態を確認したうえで笑気ガスを使うことを徹底していたことを記憶しています。
以前、日本で、ある歯科医師のグループに栄養療法の講演をした際、笑気ガスを日常的に使っている歯科医に、ビタミンB12の不足を確認しているかを聞いたことがあります。会場の50%くらいの歯科医が笑気ガスを使っていると答えてくれましたが、ビタミンB12の不足を確認、少なくとも血液でビタミンB12の検査している歯科医は残念ながら1人もいなかったことを覚えています。 その理由を聞くと、多くの歯科医が「動物性のたんぱく質摂取は以前よりも多くなっているので、よほどのことがない限りビタミンB12が不足していることはない」ということでした。ここにもまた「摂取量」と「吸収量」の誤解があるわけです。
外科手術で笑気ガスを使う場合、事前にビタミンB12の筋肉または静脈注射を施すこともあるようですが、過不足の確認検査は、現代の食生活を考えれば必須であると思います。
読者の皆さんの中に、今後笑気ガスを使った治療を受けることがあるような場合には、少なくともビタミンB12の不足の確認をしてもらったうえで治療を進めてもらうことをお勧めすると同時に、主治医に確認をすることをお勧めします。

さて、明日から週末です。来週は火曜日が祝日なので少しラッキーな気分でもありますね。
それでは皆さん 良い週末を!
by nutmed | 2010-11-19 17:17

第950回 ビタミンB12の不足について 不妊

このブログ今日で950回目を迎えます。最初の大きな節目である1000回まで50回を残すばかりとなりました。この調子で進めば、2011年の2月中旬ころには1000回到達になる予定です。できればそのころには1000回記念セミナーを新年初セミナーとして開催したいと思っています。

さて、今日はビタミンB12の不足の原因の予定でしたが、その前に、ビタミンB12の不足が原因の1つではないかということが報告されている不妊について紹介します。
不妊の原因と考えられているものには、子宮内膜、骨盤、卵巣、ホルモンなど女性の背景にあるもの、精子、ホルモンなど男性の背景にあるものが存在しています。これらの背景によって、排卵されないことや、受精しないこと、受精しても受精卵が胎盤に着床しないことなど、不妊には様々な背景があります。
ビタミンB12の不足と男女の不妊がはじめて研究報告されたのは、1990年代前半のことで、それ以降、ビタミンB12の不足が不妊、特に受精卵が着床後の早い段階に流産してしまう現象に深くかかわっていることと、男性の精子の数と活動率に影響を及ぼすことが世界中の研究者によって報告されています。男性の精子の数とビタミンB12の不足についての研究では、日本の研究チームによる研究が世界的にも最も進んでいます。精子を作る際にはビタミンB12が不可欠なビタミンであることがわかりはじめ、実際、男性側不妊の男性に、1日1000-6000μg(マイクログラム)のビタミンB12を数週間服用してもらったところ、平均で40%精子の数が増え、精子の活動率も向上したことを日本の研究チームが報告しています。
一方、女性の不妊とビタミンB12の関係については、習慣性流産の女性の体内のビタミンB12が不足傾向にあるという調査報告に端を発し、その後、ビタミンB12が卵巣、胎盤、子宮といった生殖臓器の細胞の成長や働きに不可欠であることや、女性ホルモンのエストロゲンの分泌(エストロゲンが高くなることで受精卵の着床を阻害する)にかかわっていることがわかりはじめました。
日本でも、不妊外来を持ついくつかの産婦人科では、不妊治療にさきだって、男性女性のビタミンB12の不足を検査し、不足があった場合には本格的な不妊治療の前に、ビタミンB12(ビタミンB6、マグネシウム、葉酸もあわせて)の補充を行うクリニックや病院があるようです。
今回のビタミンB12の不足のテーマのどこかで詳しく紹介するつもりでいますが、ビタミンB12の過不足の検査については、血液中(血清)のビタミンB12を検査するだけでは不十分で、ビタミンB12の代謝の背景を同時に検査することで、正確なビタミンB12の過不足を確認できると言えます。
ビタミンB12の正確な確認のための検査としては以下の3種類になります。
1、血液中(血清)ビタミンB12
2、尿中メチルマロン酸(ビタミンB12の代謝を確認)
3、血液中(血漿)ホモシステイン


このブログを書くために、これら3種類の検査が日本で受けることができるのかを私なりに確認してみました。これら3つの検査を自前で行っているクリニックや病院はほとんどないので、通常は臨床検査を受託する検査センターに外注をして検査します。血液中のビタミンB12とホモシステインについては、検査センターで実施していますが、それでもホモシステインについて実施している検査センターは多くはないようです。
また、残念ながら尿中メチルマロン酸を実施している検査センターは、私の調査した範囲ではありませんでした。ただ、アメリカ外注をしてくれるセンターはありましたが、検査にかかる費用は生活感のある価格ではありませんでした。アメリカをはじめ欧州諸国では、日常的に行われている検査であると同時に、ビタミンB12の不足がもたらす影響への関心度が日本に比べて高いということなのでしょうか。

ビタミンB12の過不足の確認をお願いする際には、少なくとも血液中のビタミンB12およびホモシステインの検査は必ず受けることをお勧めします。
by nutmed | 2010-11-18 12:50

第949回 オリジナルトートバッグプレゼント抽選発送終了

第942回のブログでお知らせしました、オリジナルトートバッグのプレゼント企画は、おかげさまで予想を上回る128人の方からの応募がありました。 抽選の結果7人の方を選びまして、昨日発送しました。
バッグが到着した方はおめでとうございますですが、残念ながらハズレたかたはまたのプレゼント企画をお楽しみにしてください。

by nutmed | 2010-11-17 08:43

第948回 ビタミンB12の不足について 症状その2

今朝の東京は比較的温かいかな、と思ったのは午前5時過ぎのことで、空が明るくなってきたところで雨模様となり、風が冷たくなってきました。

さて、今日からビタミンB12の不足の症状にはいりましょう。
日本では、ビタミンb12の不足の症状と言えば、圧倒的に悪性貧血が取り上げられますが、ビタミンb12が不足することによって現れる症状はたくさんあります。日本でビタミンB12に焦点があわない、関心が向けられない背景の1つには、先日紹介した、動物性たんぱく質の摂取量の誤解と、胃酸の不足への関心がないことがあるのかもしれません。

ビタミンB12の不足の症状を理解するには、ビタミンB12の働きを理解することが必要です。 ビタミンB12の働きの中で、もっとも大きな働きは4つで、「神経」「血液」「免疫」、それと「DNAの合成」に関わるものです。つまり、ビタミンB12が不足や欠乏を来すことで、これらの働きに影響を及ぼすということでもあります。
以下にあげるものはビタミンB12の不足や欠乏によって現れることが報告されている症状です。
1、精神的影響
・イライラ ・無関心  ・不眠  ・癇癪(かんしゃく)  ・情緒不安  ・うつ状態  ・記憶喪失  ・物忘れ
・幻覚  ・暴力行為  ・小児の発達遅延
2、神経への影響
・手足に針で刺されたような突然の痛み  
・温度、痛みなどの感覚が鈍感になる
・まっすぐに歩けなくなったり、バランスがとれなくなる
・手足、腰に力がはいらない
・手足が異常に振るえる
・パーキンソン病、多発性硬化症のような症状
・全身性の筋肉のけいれん
・失禁
・視力の急激な低下
3、血管の働きにかかわる影響
・虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)
・脳梗塞
・冠状動脈疾患
・心不全(うっ血性)
・不整脈
4、その他
・浅い呼吸
・慢性疲労
・食欲不振
・消化不良
・慢性栄養吸収障害
・骨そしょう症
・感染症への容易な感染
・耳鳴り
・めまい
・白髪
・老化速度が速くなる



次回は症状の背景にあるビタミンB12の不足の原因について・・
by nutmed | 2010-11-17 08:00

第947回 ビタミンB12の不足について 症状

昨晩の雨の後、一気に大陸から冬将軍がやってきたような日本列島です。今朝の東京は快晴ですが、吹く風は北風で12月中旬の陽気です。
さて、今日からビタミンB12の不足による症状についてですが、その前にビタミンB12の吸収のしくみを復習の意味で説明したいと思います。
日本人の動物性たんぱく質摂取量は、戦後、劇的に伸びてきているので、ビタミンB12の不足はそれほどではないと思われる人がいるかもしれませんね。しかし、日本人よりも動物性たんぱく質の摂取量が多いアメリカ人の、ビタミンB12の体内蓄積量を調査検討した報告をみると、そうでもない現状があるようです。2000年にアメリカのタフツ大学(Tufts University)の研究チームが発表した論文によると、26歳から83歳までの男女について血液中のビタミンB12の摂取状況を調査した結果、約40%の人は不足の状態ではないものの、ボーダーラインにある状態で、いつ不足になってもおかしくはないこと、また16%は明らかに不足の状態にあったことを報告しています。 この原因と考えられる要因にはいくつかの背景があると思われますが、最大の原因はビタミンB12を吸収するためのプロセスがあるでしょう。 そこには、このブログでは何回も説明している胃酸がかかわってきます。胃酸とビタミンB12の吸収プロセスについては今年の7月のブログで詳しく扱っていますので、そちらを参照ください。 
下の図はビタミンB12が腸(回腸)で吸収される前に、胃酸と酵素の働きが不可欠になることを表したものです。
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この図を見てもらうとわかるように、ビタミンB12が体内に吸収されるためには、ほかのビタミンに比べて少し複雑なプロセスを経ないといけないことがわかると思いますが、そのプロセスでの主役が、何度の紹介してきている胃酸になるわけです。
ビタミンB12の不足の症状が現れる原因の多くに、つまりビタミンB12の不足を作る背景には、胃酸の分泌量や働きが深くかかわっているということになるわけです。
次回からビタミンB12の不足による症状のことを紹介していきますが、その不足の背景のかなりの原因に、この胃酸がかかわっていることを理解しておいてください。
by nutmed | 2010-11-16 10:34