臨床栄養士のひとり言

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第974回 年末歳時記

今日は朝から大掃除です。
私の担当は、世の旦那衆と同じく、窓拭きと風呂掃除です。これに加えて昨年から始めた餅つきです。もう何十年も餅つきなんぞはしていませんでしたが、昨年バイク仲間からおいしいもち米をいただき、それならば折角なので、餅つきをしてみようと思いたちました。残念ながら杵と臼と言うわけにはいかず、当代流の電気餅つき器を使ってですが、自宅で餅つきもなかなかいいものです。一升餅を4枚つき、最初のつきあがりは、大根おろしと納豆をからめていただきました。今年は、ハーブを練りこんだ変わり餅に挑戦! ローズマリー、セージにパクチーです。パクチー!?と思われるかもしれませんが、塩梅の塩とパクチーの葉を手でちぎりいれ、練りこんだ餅、なかなか高評価でした! 胸焼けもなく、胃にも重苦しくなく、意外にパクチー餅はいいかもしれませんね。
by nutmed | 2010-12-29 16:58

第973回 小児ぜんそくの改善 その2

今日27日で栄養医学研究所は仕事納めになります。 とは言っても私は原稿の執筆があるので31日までは自宅でお仕事モード全開です。

さて、今日は小児ぜんそくの2回目です。
前回、小児ぜんそくのお子さんの80%で胃酸の分泌が悪いことを紹介しました。何故小児ぜんそくの子供たちで胃酸の分泌が悪いのか? 
100年以上も前に、欧米の小児科医の何人もが、水痘(水ほうそう)、麻疹といったウィルスに感染した子供の胃酸の分泌能力が著しく低下することを報告しています。その状態は、症状の回復とともに改善し、だいたい1カ月ほどで胃酸の分泌状態は戻ることも報告されています。 また、アメリカの大学で行われた、学生ボランティアが参加した胃の機能に関する臨床実験でも偶発的に同じことが起きました。このボランティアは、週に1回大学の研究室で胃の機能を調べる実験に参加していましたが、あるとき地域でインフルエンザが流行し、実験は一時中止になりました。流行が去った数週間後、臨床実験が再開し、ボランティアたちは研究室で胃の機能検査を行いましたが、多くのボランティアで、それ以前に比べ胃酸の分泌が著しく低下していることが確認されました。ボランティアの多くは2-3週間で胃酸の分泌状態は正常に回復しましたが、数カ月間胃酸の分泌が低下したままのボランティアが少なくありませんでした。
1960-70年代に、2-5歳の小児期に水痘、麻疹、インフルエンザ、風疹などのウィルスに感染した子供の中には、その後も胃酸の分泌能力が低下したままの状態が続き、アレルギーやぜんそくの背景を作る可能性が高いことが報告されています。

ウィルス感染が胃酸分泌の機能だけでなく、様々な組織臓器へ影響を与え、その影響が継続してしまうことは、各国の研究者が報告していますが、最大のポイントは成人になってからのウィルス感染よりも、小児期のウィルス感染が、アレルギー症状、ぜんそくなど、その後の体内環境に落とす影は想像以上に大きいということです。 ウィルス感染に加えて、牛乳などの食物アレルギー反応が、相乗的に症状の進展に拍車をかけることもあります。(これは来年テーマとして取り上げる予定です)

これからのシーズンはウィルス感染しやすくなる時期でもあります。日本は世界的に見ても感染症の予防に対しては先進国と言ってもいいかもしれませんが、発熱、頭痛などの一過性の感染症状だけでなく、症状が回復した後の体内環境への影響、特に小児ではこの影響が見逃せないということですね。

さて、2010年、皆さんにとってどんな年だったでしょうか。
年末年始、体調を崩さぬようにお過ごしください。そして皆さんよい年末年始を!

来年も臨床栄養士のひとり言、よろしくお願いします。
by nutmed | 2010-12-27 18:16

第972回 小児ぜんそくの改善 その1

今日はクリスマスイブです。街を彩る光のページェントが1年で一番きれいな日かもしれませんね。
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さて、今日は小児ぜんそくについてです。
成人(15歳以上)に現れるぜんそくの原因の約80%は、2-5歳の小児期にその背景が作られるという報告があります。実際、小児期にしっかりとぜんそくの原因となる原因を、ステロイドなどによる薬物療法ではなく、根本的な背景を確認して治療と生活改善をすることで、成人にんあってからのぜんそく症状を抑えることができます。
これは最近の研究発表などではなく、今から300年以上もまえの1698年に英国のドクターが報告している、小児ぜんそくに関わる体内環境の変化に端を発しおり、その後も英国で研究が続けられ、1931年にその「ある背景」と小児ぜんそくに確実性の高い背景があることが報告されています。
その「ある背景」とは胃酸の分泌量です。1931年にロンドンの小児ぜんそく専門病院のどDr.Brayは、6-12歳までの200人のぜんそくを持った小児の体内環境を調べていたところ、実に80%の小児で胃酸が全く分泌されていないか、分泌されていても僅かな量しか胃酸がでていないことを確認しました。
一方で、ぜんそく患者に特有のゼーゼーと言う呼吸音(喘鳴音)は、ぜんそく患者、特に小児では呼吸困難に至る非常に厄介な症状でもありますが、この喘鳴音の軽減にビタミンB12が非常に有効であることは、1950年代に多くの研究報告が発表されています。何故ビタミンB12が喘鳴音を抑える働きがあるかについては、詳細な原因背景はわかっていませんが、小児ぜんそくの子供にビタミンB12の点滴または筋肉注射を一定期間行うことで、喘鳴音は明らかに低下し、ある報告ではビタミンB12の筋肉注射を行った83%の小児で喘鳴音が著しく改善したことが報告されています。私がこれまでにカウンセリングをした小児ぜんそくのお子さんの中で、主治医にお願いをして1カ月から3カ月間筋肉注射を一定の間隔で行ってもらったお子さん14人については、10人が明確に喘鳴音が減り、そのうち6人では喘鳴音が全くなくなりました。

何故小児ぜんそくのお子さんにビタミンB12が有効であるかの背景ですが、ここまできて「わかった!」という人は、私のブログのヘビーリーダーかつ良く理解している方ですね。
このブログでは何度も紹介していますが、ビタミンB12が腸で吸収されえるためには、胃酸は必要不可欠なものです。したがって、1931年に英国のDr.Brayが報告しているように、小児ぜんそくの子供の多くが胃酸の分泌が悪いために、ビタミンB12の不足を来すというわけです。

では何故小児ぜんそくの子供たちの80%以上で胃酸の分泌がわるいのでしょうか?
その背景は次回に・・・

クリスマスイブの今日、皆さんの多くが色々なイブの過ごし方をすることと思います。
家族で過ごす時、恋人と過ごす時、友人と過ごす時、ひとりで過ごす時、全ての時が穏やかで幸せな時間でありますように。
そして、くれふれも暴飲暴食には注意してくださいね。

I wish you all have very Merry Christmas !
by nutmed | 2010-12-24 16:13

第971回 追い込み最中の受験生の食事

昨晩は夕方からの大雨。もちろん皆既月食は見ることはできませんでしたが、銀座のメインストリートを飾るクリスマスツリーのイルミネーションが、雨のおかげで道路に反射して映え、幻想的な夜でした。

さて、今日のテーマは追い込み最中にあり、最終段階にきている受験生の食事についてです。本来ならばもっと早く紹介するべきでしたが、今からでも間に合う注意点について紹介します。
今年の3月に、長期テーマであつかってきたセリアック病の中でも何回となく登場したグルテンとカゼインが今日の主役です。
グルテンは、小麦、大麦、ライムギ、及び、オートムギのような草食物に含まれる蛋白質です。カゼインは、母乳、牛乳、アイスクリーム、チーズ、及び、ヨーグルトなどの乳製品に含まれる同じく蛋白質です。
グルテンやカゼインは人間にも有用なたんぱく質ですが、年齢、吸収能力を考えて摂取しないと、逆効果にもなるたんぱく質で、これらの食物に含まれるグルテンとカゼインが幼児のアレルギーの原因および神経系統の働きに支障を来す可能性が高いことは、この20年ほどの間に、世界中の研究者らによって報告されてきました。

グルテンとカゼインは、腸でタンパク分子(2個以上のアミノ酸が結合したペプチドと呼ばれる分子)に分解され、最終的にアミノ酸に分解されます。グルテンとカゼインが、腸でタンパク分子に分解されるとモルフィン(グリアジノモルフィン、カソモルフィン)と呼ばれる物質になります。血液を通して体内に入ったモルフィンは、麻酔薬のモルヒネに似た作用を持つことが知られており、このモルフィンは脳膜を通過して脳内に入り、脳、特に、言語や聴覚機能を司る側頭葉の働きに影響を与えることや、集中力、記憶力に影響を与える可能性が報告されています。
深夜まで励む受験生には心強い味方である夜食ですが、お母さん方もその食材選びに四苦八苦されていることと思います。集中力が決めてとなる受験生にとっては、グルテンやカゼインはあまりお勧めできない食材であると思います。ただでさえ、志望校の難関を突破するための精神的なストレスが蓄積し、胃酸の分泌が低下していると思われる状態の受験生には、グルテンとカゼインが含まれる食材は避けるべきでしょう。

グルテンとカゼインは添加物としても使用されていることが多く、現代食生活の中では、避けることが非常に難しいたんぱく質であると言えますが、明らかにグルテンとカゼインが含まれている食材を毎日のように継続して食べさせることは避け、食材をローテーションさせ、なるべくグルテンとカゼインを分解する負担と蓄積を抑えることを考えた食事のメニューをお勧めします。

*受験生の夜食には避けるべき食材
・小麦、大麦、ライムギなどの麦類
うどん、パン、スパゲッティ、シリアル、肉まん、あんまん、クッキー、ピザ、ケーキ、オートミールなど
・乳製品
牛乳、ホットミルク、チーズ、ピザ、ヨーグルト、アイスクリーム
・グルテンをつなぎとして添加している加工食品
そば、ラーメン、ハンバーグ、餃子、ミートボール、アイスクリーム、マッシュポテトなど


中学受験のお子さんはこの1カ月がラストスパート、高校大学受験のお子さんも、本番まで残り僅かです。
風邪をひかせないことはもちろんですが、食事にも十分注意して、サクラサク新春を迎えられるように頑張ってくださいね!
by nutmed | 2010-12-22 07:07

第970回 季節がら痛風にご注意ください

今晩は全国的に皆既月食の天体ショーが観測される日なのですが、関東地方では生憎夕方から雨模様の予報です。すでにここ新富町でも空は今にも泣き出しそうですから、残念ながら見ることはできそうにもありませんね。
さて、今日のテーマは忘年会、クリスマスパーティーで、通常よりも暴飲暴食のチャンスが増えるこの季節には、ご注意の話「痛風」についてです。
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以前にもこのブログで紹介していますが、最近は痛風発作が現れる年齢層が若年化しているだけでなく、以前はほとんどいないと言われていた女性の痛風発作が増えているようです。
痛風は、自分の体内の環境を分析し、栄養素をコントロールすることによって、特有の痛みとは無縁の生活も不可能ではありません。そうは言っても、やはり食材に依存するところの大きな症状ですので、尿酸値があがるような、肉、臓物、ビール、魚貝類など、年末年始には欠かせない食材の暴飲暴食には要注意ですね。

予防のための食事
日本の痛風治療には食事療法があります。アルコール(特にビール)を控える、プリン体の多い魚介類・もつ類・牛肉を控える、ダイエット、水分を多く飲むなど、見るだけでクリスマスから年末年始の食の楽しみを奪われたような気になってしまうような内容です。食事療法によって痛風と「上手に付き合う」ことは可能ですが、ビタミン・ミネラルなどの栄養素を考え、コントロールすることによって、痛風の痛みに苦しむことなく穏やかな生活を送ることは夢ではありません。


すでに尿酸値が高い方や以前から発作が出ている方
①オメガ-3脂肪酸
良質のオメガ-3脂肪酸が豊富に含まれる素材としてはフラックス(亜麻)油が最強だと考えます。フラックスオイルには、炎症と痛みを抑える働きがあります。
②ビタミンC
ビタミンCには血液中に大量に放出された尿酸を減少させる働きがあります。
③フラボノイド
フラボノイドの中でも、クルクミン、アントシアニン、ケルセチンは尿酸を抑える働きをもっています。また、クルクミンには強力な抗炎症作用があります。
④葉酸
葉酸には尿酸の生成に関わる酵素を抑える働きがあります。
⑤亜鉛
痛風には鉛性痛風というタイプもあります。体内に蓄積された鉛が増加することによって発症する痛風で、鉛によるタンパク質の合成阻害が生じるものです。このタイプには亜鉛が有効です。

by nutmed | 2010-12-21 14:26

第969回 ビタミンKについて

いよいよクリスマスまでカウントダウンに入りましたね。12月に入ると世界中の友人、恩師、仕事の仲間からクリスマスカードが届き始め、先週末がピークになります。今年は昨年の78枚から102枚に増えました。アメリカとカナダでの仕事の知人が増えたためです。私も5年前から仕事では年賀状をやめ、12月中旬に出すクリスマスカードにしました。年始に挨拶をすることもいいのですが、今はメールというものがあるのと、12月のクリスマスの時期に、それまでの1年の感謝をカードに込めて、そして翌年の幸福を願ってカードにしたためています。
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さて、今日のテーマはビタミンKについてです。ビタミンDに続いてアメリカでは、摂取量が見直されつつあるビタミンの1つです。
ビタミンKは別名、ビタミンK1、フィロキノン(ビタミンK1)、メノキノン(ビタミンK2)、ネメジオン(ビタミンK3)とも呼ばれています。
ビタミンKが多く含まれる食材は、ブロッコリー、キャベツ、ホウレンソウ、レタス、カブ、緑茶、牛肉肝臓、卵黄、全粒小麦粉、オートムギ、大豆、ジャガイモ、バター、チーズ、アスパラガス、トマト。特にホウレンソウには多く含まれています。
ビタミンKは脂溶性ビタミンの1つで、広範囲の食物から摂取できるほか、腸内細菌によって合成されるビタミンでもあります。胆液、膵液から吸収され、食事から摂取した脂肪によって吸収が高めら、吸収されたビタミンKは、リンパ管を通して「カイロミクロン」という極微小な脂肪粒子によって体中へ運ばれます。カイロミクロンはコレステロールとも密接な関係にある物質なので、過激なダイエットを行うことでビタミンKの吸収は落ちてしまい、ビタミンKの不足の症状が現れることが少なくありません。

ビタミンKは適度に光に熱に安定していますが、酸、及び、アルカリに対しては不安定なビタミンです。
食物から得られるビタミンKの多くは、K1(フィロキノン)の形で、腸内細菌が合成するビタミンKはK2(メノキノン)の形で、そして、薬などで用いるために合成されるビタミンKはK3(ネメジオン)の形で存在しています。因みに薬で処方されるビタミンK3(ネメジオン)は、体内に摂取された後、腸内細菌によってビタミンK2(メノキノン)に変換されて活性を持つので、ネメジオンを処方され服用する時には乳酸菌を補うことをお勧めします。

ビタミンKは、傷などによって出血した血液が固(凝固)まる際に必要不可欠なビタミンで、「フィブリン」というたんぱく質が重要な役割を担っています。この「フィブリン」を生産する際に、「トロンビン」「プロトロンビン」というたんぱく質が必要になり、ビタミンKは「プロトロンビン」を合成する際には必要不可欠なビタミンです。
また、ビタミンKにはグルタミン酸の代謝、骨そしょう症、抗ガン作用があることがわかっています。
ウサギ、リス、ねずみなど多くのげっ歯類の動物が持つ毒性の中には、ビタミンKの活性を抑制させる物質が少なくないことから、これらの動物に噛まれた場合、血液が凝固しなくなり出血多量による死にいたることがあるので要注意です。
働 き
①手術前および手術中の出血を予防
②出産時の出血を予防
③重度の火傷などにともなう出血を予防
④生理の際の出血過剰
⑤生理痛軽減
⑥体内pHのバランス調整


ビタミンKは、傷、鼻血などによる過度の出血のほか、クローン病、潰瘍性大腸炎、寝小便、血友病、月経困難、月経過多、痔、及び、膵嚢胞性繊維症の予防改善に効果があります。

次の様な場合にビタミンKが不足しているため補給が必要
①腸の状態が悪い場合
②腸に疾患を持っている場合
③抗生物質の多用
④肝臓病
⑤グルコース6リン酸(G6PDH)の不足
⑥膵嚢胞性繊維症
⑦慢性的な下痢
⑧慢性的な腸障害
⑨手術前
⑩妊娠後期
⑪授乳期


by nutmed | 2010-12-20 15:15

第968回 水銀について

今日は久々に銀座と有楽町あたりを歩いてみました。有楽町のチャンスセンターに、年末ジャンボ宝くじを求めて並ぶ長蛇の列は、もはや東京の年末の風景になりましたね。

さて、今日のテーマは少し難しくなるかもしれませんが、ついて来てくださいね。
多くの慢性疾患と同様に、自閉症の大部分の症例は、いくつかの環境問題が引きがねとなり、遺伝的な原因とあいまって引き起こされるように思われます。
自閉症発生率に関して10年ほど前に発表された報告では、250人に1人の小児に自閉症の「流行」が見られるとされています。1999年にカリフォルニア州政府に提出された報告書によると、小児の自閉症は年々増加しており、その発生率は人口増加率とほぼ同等のものであるとされています。
Dr.Yazbak(F.E. Yazbak, M.D.)は、彼の著書である「Autism99A National Emergency」で、他の州でも同様の小児自閉症発生率を報告しています。
しかし、小児科医師は、自閉症の発生要因が、個人の環境および行動に依存するため、単純にはこの「流行」説を受け入れがたいとは思いますが、何らかの手がかりになることは疑う余地はないでしょう。
Dr. Bernardらによって書かれた、水銀中毒と自閉症の関係についての優れた論文があり、彼らは、臨床検査によって、水銀中毒と自閉症の兆候、症状の分析を行い、水銀中毒症と自閉症の間には明白な因果関係があることを突き止めました。
この報告は、それ以前に報告されている、体内に蓄積された水銀を除去排泄することによって自閉症症状が改善された症例と適合しています。

何故体内にそれほどの水銀が蓄積するのか? 第一に、水銀は我々の環境内のどこにでも存在すると言うことです。例えばそれは、我々の飲水にあります。日本では稀ですが、飲水の場合、主として陽イオン ( 1+ 、または、 2+ ) の形で存在しています。次に食材があり、魚介類は有機水銀 ( メチル基を含む水銀 )のソースとしては有名です。かなりの有機水銀は、胃腸器官系によって吸収されます。
これら2つの水銀暴露経路は一般的にも知られているもので、絶対量としてはそれほど多いものではありませんが、虫歯治療で使用されている歯のアマルガム、ワクチンに含まれているチメロサールはエチル水銀で、これによる暴露量は、水や魚介類をはるかに上回るものです。
メチル,エチル水銀は人間の神経をおかし,「水俣病」の原因物質とされています。メチル,エチル水銀による中毒症状は,知覚,聴力,言語障害,視野の狭窄,手足のまひなどの中枢神経障害を起こし死亡することもあります。メチル水銀はきわめて毒性の強い元素であり,水俣病のような神経系統の疾病の原因は,主としてメチル水銀を多量に蓄積した魚介類を長期にわたって反覆摂取することによって生じることが判ってきました。また,人体への直接的影響は,大量に摂取すると吐き気,嘔吐,激痛,下痢,手のふるえなどの徴候を示します。

口腔内のpHバランスが崩れること、また、アスコルビン酸(ビタミンC)をタブレット、顆粒、液体で摂取することで、口腔内にアスコルビン酸が一時的に滞留し、歯のエナメル質が溶解し、歯に詰めたアマルガムが水銀蒸気として析出されます。この水銀は、容易に胎盤を横切るということが知られています。
妊娠中の母親では、上記の理由によって水銀蒸気が母親の歯のアマルガムから析出し、血液中に流れ込み、胎盤を通過して胎児体内に簡単に入りこみます。ひとたび水銀が細胞内に入ると、陽イオンの形に変換し、容易にタンパク質や酵素の硫化水素と強力に結合します。細胞内に入った水銀がこの工程で強力に結合してしまうと、長期間体内に蓄積されることになります。
水銀が脳に与える影響についてはここをご覧ください。
また、歯のアマルガムから出てくる水銀についてはここをご覧ください。
by nutmed | 2010-12-17 16:34

第967回 うつ病ではない男性更年期症状

アメリカ出張から帰国して、年末にかけての仕事が溢れかえっていて、何から手をつけていいやら多忙な毎日です。
さて、今日は先日カウンセリングで出会った50代前半の男性クライアントさんについて紹介したいと思います。
8か月ほど前から精神的に滅入ることが多く、やる気や活気が失せてしまっていたこの男性は、雑誌を見たり、周囲の知人からのアドバイスで、ひょっとすると自分はうつ病かもしれないと思いこむようになっていました。
話を聞くと、精神科に行くことを勧められたり、それとなく読んだ雑誌に書かれていた症状を見ると益々自分はうつ病ではないかと思いこんでしまったようです。
この男性は知人からの紹介で神尾記念病院にカウンセリングにいたっしゃいました。
ここ数か月間の状態や症状を聞く限りでは、確かにうつ病の症状に重なるところがありましたが、いわゆるうつ病のそれとは異なるところがあり、男性ホルモン(テストステロン)の生産と分泌の低下による、男性型の更年期症状ではないかと感じ、念のために男性ホルモンと女性ホルモンの血液検査をオーダーしてもらい、結果を待ちました。 先日検査の結果が戻ってきたので確認したところ、私の感はあたっていたようです。
テストステロン自体は極端に低いわけではありませんが、本来体内で活性を持ち、アクティブに働くフリーテストステロンが低いことと同時に、女性ホルモンのエストラジオールが高い状況にありました。
テストステロンとエストラジオールのことについては今年の10月末のブログで詳しく解説していますので、そちらを見ていただきたいと思いますが、腹部を中心に蓄積される脂肪細胞に含まれるアロマターゼと言う酵素によって、テストステロンが女性ホルモンのエストラジオールに不必要に変換されてしまう原因によって、アクティブなテストステロンが低下してしまう状況がこの男性にはあったようです。
加えて、今年の春にタバコをやめて以降、食べ物が美味しくなり、食欲も増して体重が一気に増えたという背景があり、男性の症状が出始めた時期に一致します。
この男性には、私の方から食事指導をするとともに、神尾記念病院から天然型のテストステロンクリームを処方してもらうことにして、1カ月ほど症状の様子を見ることにしました。
本人も今まで、今の症状の原因がわからず、場合によっては精神科へも行こうかと考えていたようなので、原因の背景が理解できて安心はしてもらいました。

以前、男性肥満とテストステロンのテーマのときにも書きましたが、この男性と同じように、50代以降の男性でうつ様症状を持ち、その原因背景に男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れることによる症状を持つ男性が想像以上に増えています。
症状そのものは確かにうつ様症状が現れることが多いですが、安易にうつ病の改善薬を処方される前に、主治医に男性ホルモン(総テストステロンとフリーテストステロン)、女性ホルモン(エストラジオール)の血液検査をしてもらうことをお勧めします。

最近日本でもTVでも特集が組まれるようになりましたが、うつ病の改善薬や睡眠薬など向精神薬の不必要な処方が問題になりつつあります。いわゆる「薬害」の1つですね。 
by nutmed | 2010-12-16 13:16

第966回 レスべラトロール 最新トピックス

毎週水曜日は神尾記念病院でのカウンセリングがあるので、朝5時に起床し6時30分には新富町のオフィスに出てアメリカやドイツなど、海外からのメールに目を通して対応してから神尾に出かけます。今朝はふたご座流星群のピークということもあって、いつもより少し早く起きて、オフィスに向かう中目を凝らして空を見てきました。
残念ながら1つも流星を見つけることができませんでした。それでも夜明けの時間が少しずつ早くなりつつあるのを感じます。

さて、今日は先日のアメリカ出張で見つけてきたレスベラトロールの最新トピックスを2つ紹介しましょう。
レスベラトロールそのものについては、このブログでも以前から幾度も取扱っていますので、こちらを参考にしてみてください。
最初のトピックスは今年2010年の6月の臨床内分泌代謝誌(Journal of Endocrinology and Metabolism)で発表されたもので、タデ科のイタドリ(Polygonum cuspidatum)から抽出されたレスベラトロールに強力な炎症を抑える作用があることを検討したものです。20人の成人男女に1日あたり40mgのイタドリから抽出されたレスベラトロールを6週間飲んでもらった後、血液検査で細胞の酸化と炎症の状態の変化を確認してみました。結果として、酸化ストレスだけでなく、炎症を作り出すたんぱく質がかなり低下していることがわかりました。 この研究チームは、レスベラトロールには従来から言われている強力な抗酸化作用だけでなく、がんや糖尿病、自己免疫疾患など、炎症をともなうような状態の改善にも効果が期待できるとコメントしています。

2つ目のトピックスは2010年7月にフランスの研究チームによって報告されたもので、冬季に起こる体重増加をレスベラトロールが抑えてくれるというものです。マウスを使った動物実験の段階ではありますが、カロリーの摂取が13%低下し、逆に代謝が29%向上することを発表しています。以前にも人間の臨床検討で、レスベラトロールには代謝率を向上させて、体重の増加を抑える作用があることが報告されています。

レスベラトロールと言えば、日本でもここ最近話題の機能性素材ですが、日本ではブドウ(赤ブドウ)がレスベラトロールを多く含む素材として有名になりました。私は以前からレスベラトロールには注目していますが、日本の山野に行けばどこでも見ることのできる「イタドリ」に含まれるレスベラトロールには特に注目してきました。今回の発表を見て一段とその関心は深まっています。
イタドリは日本では昔から親しまれてきた伝統食材の1つですが、最近では食卓に並ぶことはなくなりました。
灰汁抜きなど調理に手間がかかることは否めませんが、レスベラトロールだけでなくミネラルを豊富に含み、マイルドな便秘改善作用をもった野草ですので、皆さんもぜひ注目してほしい食材ですね。
by nutmed | 2010-12-15 07:51

第965回 夜目が利かなくなったら黒スグリが有効

昨日日本に帰国しました。成田では冷たい雨の歓迎を受けましたが、アメリカ西海岸に比べると、日本は寒いです。しかし、これが本来の12月の陽気なんでしょうね。
今年も残すところ2週間ほどになりましたが、これから師走が本格化することでしょう。

さて、今日は加齢とともに能力が低下してくる目の機能、特に夜ものが見えにくくなってきた人には有効な素材を紹介します。
シアニジン-3-グルコシド(C3G)、最初から難しい名前が出てきましたが、日本でもこれから話題になる機能素材だと思われるので、名前は覚えておくといいと思います。
C3Gはブルーベリーなどで話題になったアントシアニジンに属するフラボノイドの1つで、ブラックベリーや黒スグリなどの濃黒色の植物に豊富に含まれている成分です。このC3Gには、目の中に入ってくる光の伝達を良好にし、暗いところでも映像をはっきりと見えるようにする作用があり、これを発見したのは日本の研究者なんです。
2003年に発表されたこの報告を見ると、人の網膜の中にあり、光を吸収しやすくし網膜に映像を明確に映し出す働きを持ったロドプシン(Rhodopsin)とC3Gが結合し、ロドプシンの働きを活性促進させることが報告されています。
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ブルーベリーに含まれるアントシアニンには、夜目を利かせる作用があることが報告されて久しく、ブルーベリーのサプリメントや健康食品も日本ではポピュラーになっていますが、C3Gが豊富に含まれる黒スグリやブラックベリーにはブルーベリーを凌ぐ作用があると期待されていますので、中高年で、以前に比べて夜目が利かなくなった、暗いところでは足元が心配という人には、これらの食材は大いにお勧めですね。
by nutmed | 2010-12-14 18:43