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昨日は週に1どの神尾記念病院での栄養カウンセリングでした。昨年暮れから対応してきた2人の男性の症状に嬉しい変化がありました。今日はその1人の紹介です。
1人目は高齢の男性で、いくつかの症状の背景がありますが、本人が一番つらいことは、指先に針を刺されたときのような痛みが続いていることと、咳と痰がきれないことでした。この男性のことは以前にも少し紹介していると思いますが、指先に残る針で刺されたときのような痛みについては、ビタミンB12の筋肉注射をパートナーのドクターにお願いして、毎週2回継続してもらった結果、ほとんど痛みが出なりました。一方、咳と痰については、一般的に処方されている咳止めと痰を切る薬を1年ほど使ってきたようですが、薬が強すぎて使いたくないという要望があったので、1カ月ほど前のカウンセリングの時に、「蓮根(レンコン)」の搾り汁を飲むことをお勧めしておきました。 
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レンコンは中国漢方、日本の生薬、そして欧米のハーブ療法で、咳と痰を治める素材として重宝されてきた素材です。レンコンには空気が通る気管の粘膜の働きを向上し、痰が切れやすくするだけでなく、気管の収縮と拡張を良好にする作用があります。
この男性には、30gほどのレンコンを摩り下ろしたものをガーゼに入れて搾った汁を水で割って、毎日飲んでもらいました。飲み始めてから1週間ほどで気管支が楽になって咳の回数が少なくなり、呼吸も以前よりも格段に楽になったそうで、痰の切れも良くなったようです。
私はこれまでに咳や痰、気管支炎、ぜんそくで悩むクライアントにレンコンの搾り汁やレンコン茶をお勧めしていますが、ほぼ100%に有効でした。
かなりしつこい咳、咳で眠れないとき、痰が切れにくい時などは、生のレンコンの搾り汁を水やジュースで割って飲んでもらうことをお勧めします。 
咳が始まる予感があるとき、空気の良くない環境に長い時間居るようなとき、タバコを吸う人、倉庫や温室などの閉塞された空間で長い時間作業する人、埃や風塵の飛ぶ環境で作業するような人などには、レンコン茶をお勧めします。
レンコン茶の造り方
準備するもの:レンコン(1.5-2kg)、塩、水、ショウガ搾り汁小さじ1杯
1、よく洗って土を落としたレンコン1.5-2kgを皮をむかずに搾り、搾り汁をつくる
  (おろし金ですりおろしても、ジューサーやフードプロセッサーにかけてガーゼで漉し搾る)
2、搾り汁、水1リットル、塩ひとつまみを鍋に入れて火にかけ沸騰する直前で火を止める
3、5分おいてからショウガの擦りおろした汁小さじ1杯を鍋に入れる
できあがり!

このままカップに入れて熱いレンコン茶として飲んでもいいし、ガラス容器に入れて冷蔵庫で保存し冷たいレンコン茶を飲んでも結構です。
咳が出て困っているお子さんや高齢者にもお勧めです。
by nutmed | 2011-03-31 11:11

今回の地震が自然界のイベントであるならば、今朝我が家の庭の桜の木に咲いた花もまた、同じように自然界のイベントだと考えると、少し複雑でもありますが、心休まるイベントでもあります。

さて、今日は読者からの問い合わせへの公開回答ですが、栄養医学研究所で行っている爪分析検査についての質問です。
「佐藤先生のブログを知ったのはツイッター仲間からの紹介でした。薬剤師という職業柄、医療人として薬の調剤に携わっています。大学の授業では、人間の体のしくみや働きについて多くを学んできたつもりですが、栄養やその必要性のこと、不足欠乏すると何が起こるかについては、ほとんど知らない自分が怖くなることがあります。
佐藤先生のブログは、薬剤師の私でもときどき辞書や大学の時の参考書を引っ張りださないと理解できないことが紹介されていますが、不思議と最後には難しいことは何1つないほど、理解できることばかりで、これを目からウロコが落ちると言うのだと自分なりに納得しています。 先日の東北大震災に続く福島の原発の放射能の問題が毎日の話題になっていますね。私の勤める調剤薬局にくる患者さんの多くが、やはり放射性物質のことが気になるようで、様々なことを質問されます。中でも1番多い質問が、話題になっている放射性ヨウ素やセシウムのことで、いったい自分の体内にはどれほどの放射性物質が溜まっててしまったのかを知る方法と、それを体外に排泄する方法のことです。以前のブログの中に、栄養医学研究所で爪を使って体の中にたまっているミネラルの分析ができることが紹介されていますが、この検査では溜まってしまったヨウ素やセシウムの量を分析することはできるのでしょうか?」


この方の調剤薬局と同じように、栄養医学研究所にはここ数日。行政の組織や病院、個人を含めて毎日のように、爪分析の問い合わせが増えています。 その内容はこの方の質問と同じものばかりです。
連日のように官邸や自治体から公表されている放射性物質についての数値の信憑性については私もわかりませんが、日本人がかつて経験したことのないことなので、余計に不安は募り、自分の体の中にどれだけの放射性物質が蓄積してしまったのかを知りたい、確認したいという気持ちになるのだろうと思います。

さて、結論から先に言いますと、現在栄養医学研究所で受託している爪分析検査では、ヨウ素はもちろんですが、人間が必要とする必須ミネラル、水銀、鉛などの重金属に加え、ウラニウムやジルコニウム、ストロンチウムも分析をして報告しています。最近までセシウムについては報告していませんでしたが、私の師匠の1人でもあり、爪分析検査をお願いしているドイツのDr.Buschからの強いアドバイスもあり、セシウムについても近々に報告をするようにしています。 Dr.Buschによれば、今後、早ければ5月末から6月末ころに爪または毛髪でミネラル分析をした日本人、特に東京以北の人では、ヨウ素もセシウムも高い数値が分析されはじめるだとうと言っています。

さらなる結論を言うと、爪分析でヨウ素やセシウムの量が分析できたとしても、残念ながらそれらのミネラルを体外に積極的に排泄させる効果的な方法は皆無であるということです。
だからと言って、分析をして体内に蓄積したミネラルの量を知ることが全く意味のない話ということではありません。 なぜなら、放射性を帯びたヨウ素やセシウムが体内に蓄積することで、体内からの被ばくという問題はありますが、それと同等、もしくはそれ以上に、ヨウ素やセシウム、ストロンチウムが長期間、体内に蓄積することによって、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅などの必要不可欠なミネラルの吸収だけでなく、それぞれの働きに影響を及ぼすこと、またビタミンやアミノ酸の吸収代謝にも影響を及ぼすということがあります。
放射性を帯びたミネラルの排泄を促進することは難しい面がありますが、それらの量を知ることは、必要なミネラルの過不足の積極的な改善を行うことができるところに意義があります。

分析を紹介して勧めている私が言うのもおかしいでしょうが、爪分析検査は有意義な検査であることは間違いありませんが、目的を明確にせず、また対症方法の目途もたてないままで、いたずらに分析をしても、はっきり言って意味はないと思います。
by nutmed | 2011-03-29 18:03

相変わらずヨーロッパやアメリカ、カナダ、オーストラリアに住む友人たちからは、連日のようにメールがひっきりなしに飛んできます。その内容のほとんどが「放射能汚染は大丈夫か?」「そろそろ日本を離れたほうがいい」などです。心配してくれることは嬉しい限りですが、彼らをここまで駆り立てる背景には、日本と海外では、情報源と分析能力に大きな違いがあることだと思います。そして、今回の原発周辺の避難距離や対応を見ても、日本以外の全ての国が、「まず最悪のシナリオを考えて対応する」ことに対して、日本の場合には「現状のシナリオに則した対応をする」という違いがあると感じます。海外の対応は初期段階で事の次第が大きくなりがちですが、対応が後手に回ったり市民の不安を掻き立てることはないでしょう。今回の震災後の国民、政府、メディアの対応を見て、日本のと海外の対応には大きな違いがあることを感じるとともに、情報鎖国の状況を痛感しました。

さて、今日は、震災後に私が懸念するもう1つの体内環境の変化と、その対応方法についてです。
東京を中心とする1都6県では、連日のように生鮮食品の品薄状態も徐々に緩和され始めているようですが、ここにきて、原発の放射性物質の水に対する影響が市民の不安を募る状況です。 このような状況の中で、今後懸念される体内環境の変化の1つに、骨の成長に関わる影響があると私は懸念しています。
前回のブログでリンの過剰摂取の影響を紹介していますが、リンが過剰になることで、結果として体内のカルシウムの排泄が進む可能性が高くなります。これに加えて、カルシウムが豊富な魚貝類、海藻類の品薄状態が続いていることで、カルシウムの摂取量もにわかに低下すること。放射線被ばくの不安が、屋外にでることを躊躇させ、紫外線によるビタミンDの合成を低下させること、特に成長期の乳幼児、小児がビタミンDの合成が低下すること。食品の放射線物質の影響の不安から、生および乾燥を問わずビタミンDが豊富なしいたけが敬遠される可能性など、骨を造る素材と機能性物質の不足を助長するような背景が、今後徐々に増える可能性が心配です。
このような状況の中、成長期のお子さんがいるご家庭の方は、まずお子さんの日光浴を意識していただきたいと思います。1日に10-15分程度で結構ですし、窓を閉めた状態でも結構です。直接の紫外線でなくても、間接的紫外線でも結構です。これによって、お子さんの皮膚でビタミンDの合成をしてくれ、骨を造る働きが向上します。こういう時期なので、食材の選択にも神経質になることは理解できますが、過剰に神経質にならず、カルシウムだけでなく体内環境に不可欠な栄養素が豊富な食材を意識して摂ることを考えてください。

高齢者に対しては、サプリメントなどを上手に使い、食材から摂取できないビタミンDを補ってあげるといいと思います。特に高齢者の方は、今回の震災とその後の生活への影響が想像以上にストレスとなっているはずで、落ち込み、不安、不眠、血圧の上昇などの症状として現れているかもしれません。私が高齢者のビタミンD不足にお勧めする素材はタラの肝油です。タラの肝油にはビタミンDのほか、DHA/EPA、ビタミンA、ビタミンEが豊富に含まれており、以下のような働きも確認されています。
・血圧の抑制(血圧の安定化)
・骨および歯の形成促進
・視力低下の改善
・カルシウムとマグネシウムの吸収を促進
・アルツハイマー性認知症の予防
・記憶力、集中力の向上
by nutmed | 2011-03-28 12:42

東電、自衛隊、警察、消防、福島県の職員など、原発の前線で作業する皆さんの頑張りっもあり、原発の施設における最悪の状況は改善されつつあるようです。しかし、一方で放出されているヨウ素やセシウムと言った放射性物質の残留濃度が日常生活に及ぼす影響がではじめました。 

セシウムやストロンチウムといった放射性物質は、今話題になっている放射性ヨウ素と異なり、長いものでは30年近い時間を経ないと、放射線放射の機能が半分にならない、逆を言えば、30年経ってようやく作用が半分になるということです。 
大雑把な言い方をすると、私が描いている最悪のシナリオは、震災と原発の影響によって、日本の食糧事情はもちろんのこと、そこから影響を受ける栄養状態にも深刻な影響をもたらす可能性ということです。日本の伝統的な食文化にさえも影響を与える可能性も否定できません。
皆さんの多くは、国産で賄えなくなった食材は、古米を拠出したり近隣諸国からの輸入で賄うことができると考えているかもしれませんが、今から18年前の1993年に起きた冷夏による戦後最大の米不足のときのことを覚えているでしょうか。古米の拠出が限界に来て、中国、タイなどから緊急的に米の輸入をしました。しかし、幸か不幸か、味覚に厳しい日本人の口には中々あわなかったことがありました。
おそらく今後しばらくは、レトルト食品や冷凍食品などの加工食品の流通量が増え、やむを得なくそれらの加工食品を摂らざるをえない状況がはじまるでしょう。これらの加工食品には、強化剤や製造用剤として多くのリンが添加されていることが少なくありません。 また、水道水の放射能汚染の影響が続くことで、清涼飲料水の摂取が増えるかもしれませんが、これらの飲料水にもリンが添加されているものが少なくありません。リンというミネラルは日本人にとって日常的に不足することは考えられないミネラルの1です。リンの過剰な摂取によって体内環境に起きる可能性の最大のものは、腎臓の働きへの影響です。常時過剰なリンを摂取することで、リンの腎臓からの排泄が促進し、これが慢性化することで腎不全のような症状があらわれることがないわけではありません。 腎臓の排泄機能に変化がおきると、体内のカルシウムの排泄が進み、カルシウムバランスが影響を受け、その最大の影響は甲状腺の働きへの影響です。
今、上へ下への大騒ぎになっているヨウ素ですが、放射性ヨウ素131が甲状腺に吸収されることは防ぐことができます(逆に言えば甲状腺に吸収されるヨウ素131の予防にしか有効ではない)が、実は、知らず知らずのうちに、放射性物質とは無縁のところに甲状腺の働きに影響を及ぼす落とし穴があるわけです。
また、慢性的なリンの過剰摂取は、カルシウムとマグネシウムのバランスに影響を与えますので、インスリンの分泌に直接的に影響があり、血糖のコントロールに影響を及ぼすことになります。 子供の場合にはいわゆる多動症状との関係があると言われています。

このような状況を招かないようにするためには、日本全国で言われているように「冷静な判断と冷静な行動」であることは間違いありませんが、こんなときだからこそ、サプリメントを有効利用することを考えてみてもいいと思います。
放射能で汚染された食材の出荷停止と風評被害によって、旬の新鮮素材をはじめ、食材の選択肢はさらに狭くなることが予想されます。また、長引く被災地での復興と、避難地での生活は想像を絶するストレスを蓄積することになるでしょう。その意味から、この2点を予防改善する以下の栄養素がこの時期に必要であり、これらをサプリメントを使って積極的に補助することを考えるべきだと思います。
・ビタミンB群(B1,B2,B3,B5,B6,葉酸、B12):精神神経の働きと新陳代謝に必要なエネルギーの源
・ビタミンD:免疫力向上と骨の新陳代謝向上
・マグネシウム:糖代謝とストレスコントロール
・銅:糖代謝とストレスコントロール
・ビタミンC:ストレスコントロール
・必須脂肪酸:新陳代謝とストレスコントロール

by nutmed | 2011-03-24 16:54

被災地の復興に向けた動きが徐々に見え始めたようで、多少安心しています。TVでは、ツイッターやmixi、などのデジタル情報が、災害地救済、支援に活躍していることを報道しています。これは私も同感ですが、これからどれほどの時間がかかるのかはわかりませんが、被災地の復興も、災害に遭った人たちの心の復興も、人の力にかかっていると思います。 日本人全員が、彼の地の復興に向けて心を一つにすることが大切だと思います。

さて、先日のブログで紹介しました、ヨウ素の摂取について、私のドイツの師匠から連絡がありましたので、再度紹介しようと思います。
まず、人の甲状腺が代謝できるヨウ素の形は、「安定型ヨウ素」であることは間違いありません。したがって、現在福島県の避難地域からの避難者に、原発から放出された放射性ヨウ素131の影響を予防するために、厚生労働省が対応配布しているのは安定型のヨウ素(ヨウ化カリウム)です。

一方、ルゴール、イソジンなどに含まれるヨウ素は安定型のものではないため、吸収されてもそのままでは代謝され難い状態ですが、皮膚からの吸収を前提として、これらの安定していないヨウ素が皮膚に接触することで、安定型のヨウ素に変化するようです。その比率は条件によってもことなりますが、平均して25%ほどは皮膚から吸収された後に安定型ヨウ素として代謝されるとのことです。


ここでわたしたちの周囲にあるヨウ素について説明しておきます。

①医療分野で使われるよすヨウ素
・ヨード欠乏症治療安定型ヨウ素(ヨウ化カリウム)
・バセドウ氏病・甲状腺がん等治療薬品
・CTスキャン造影剤
・消毒薬(ヨードチンキ・ポピドンヨード)
・口腔洗浄剤(うがい薬・ルゴール・のどスプレー)
・一部の感冒薬
・ヨードシャンプー(獣医科用)
②化学分野のヨウ素
・写真薬(フィルムの感光乳剤)
・洗剤
・除草剤
・肥料
・偏光サングラスの皮膜
・実験用ヨウ素液
・防カビ剤
③飼料などのヨウ素
・養鶏用(ヨード卵光は有名)
・愛玩小鳥用(補助飼料のボレー粉など)

ヨードを含む食材
・コンブ、ワカメ、ヒジキ、モズク、天草など
・焼き海苔、生のり、海苔の佃煮
・天草加工品→寒天、ところてん、羊羹、その他寒天使用食品
・昆布加工品→佃煮、おぼろ昆布、昆布茶
・昆布だし汁、昆布エキス→うまみ調味料、ダシのもと、各種合わせ調味料、インスタント味噌汁、だし入り醤油・味噌
・たら(特に豊富)→干したら、魚肉練り製品(かまぼこ、はんぺん、ちくわ等)
・貝、エビ→関連加工物
・青魚(さば・いわし・かつお・ぶり・にしん)
・赤魚(まぐろ・さけ・ます)→左記魚介類の加工品、缶詰、ツナ缶詰
・海水から作った塩(日本で一般的な塩)
・ヨード添加塩(ヨーロッパなどで流通)
・牛乳
・ヨード卵
そのほかヨウ素が含まれている食材
・清涼飲料水 昆布エキスが含まれているもの
・加工ヨーグルト
  甘味の加えられたヨーグルトの一部には、とろみを出すために寒天が添加されているものがある
・その他昆布エキス、うまみ調味料の入ったもの
  もはや日本では入っていないものを探すのが困難な状況。インスタント味噌汁やポン酢、各種タレ類は勿論、カップラーメンやスナック類にも。
・ヨード塩を含む外国食材
  ヨーロッパなどの内陸国では、一般に岩塩を使用する。しかし岩塩にはヨウ素が含まれていないことに加え、日本と違って海藻を日常的に摂取する食習慣が乏しいため、深刻なヨウ素欠乏症に陥りやすい(モンゴルやアルプスなどが有名)。そのためヨウ素含有塩が一般に流通し、使用されるようになってきた。だから塩分を多く含む食品には(サラミ・ベーコン・ソーセージ・ポテトチップスなど)微量のヨウ素が含まれている場合が多い。

by nutmed | 2011-03-22 12:17

今日は昨日に続いて、放射線被ばくの対処方法の2回目ですが、その前に昨日のヨウ素の経皮吸収による、放射性ヨウ素の甲状腺への影響予防の方法について、読者の方からメールをいただきました。
ヨウ素は、ヨウ化カリウムなどの安定型でなければ、吸収されても甲状腺の機能障害や甲状腺腫を予防することができないのではないかという内容でした。確かに通常は、甲状腺が利用できるヨウ素の形は安定型ですから、放射性ヨウ素の影響を防ぐためには安定型ヨウ素を経口で服用しなければならないと思います。ただ、経皮で吸収されたヨウ素(エレメント)の場合には、同じことが言えるのか否かについては、今朝一番で私の師匠でもあるドイツのDr.Bucshと、ジュネーブに本部を置く、国際医療用重金属学会に問い合わせをしていますので、情報が届き次第ブログで紹介します。

また、ヨウ素を経口または経皮から摂取吸収することによって、放射線被ばくのすべての影響が回避できると誤解されている人が多いようですが、ヨウ素の摂取吸収は、放射性を帯びたヨウ素が体内に吸収された後、甲状腺に影響を与えることを防ぐ効果しかありません。つまり、他の臓器や細胞組織に放射性ヨウ素が与える影響を防ぐことはほぼできないということです。

そのほか、昨晩いただいたメールの中に、栄養学的に放射能物質の人体への汚染を少しでも防ぐ方法がないかという内容のものが非常に多かったですね。

私は、放射線や放射能物質の内容については専門家ではないのでわかりませんが、原子力を利用した、つまり核反応を利用した発電や兵器が爆発したり、融解をして大きなダメージを受けた場合、そこから放出される放射性物質には多くの種類があります。もちろん、エネルギーを得るために使っている素材によっても放出される放射性物質は異なるようです。
国際原子力機関(IAEA)と原子力資料情報室(CNIC)の情報によれば、今回の福島原発ではウラニウム(3号機はウラニウム+プルトニウムをつかったプルサーマル)を燃料源としています。よほどのことがない限り、ウラニウムそのものが放出汚染されることはないようです。 放出される放射性物質の中には、セシウム137、ヨウ素131のほかにも、キセノン、クリプトン、イットリウム90、ジルコニウム90、ストロンチウム90といった放射性があります。
ウラニウムやストロンチウムは、炉心が崩壊し、爆発などの最悪の状況とならない限り大気に放出されることは少ないようですが、確実に放出される物質の1つでもあります。

ドイツのDr.Buschら国際医療重金属学会のメンバーが、チェルノブイリ原発事故の直後から、当時のヨーロッパ各国で進めてきた、ストロンチウムとウラニウムの体内への吸収阻止に有効な、ビタミンやミネラル、機能性物質の摂取プログラムを紹介します。

1、ストロンチウム
カルシウムの摂取:元素としてのカルシウム量、1,000-1,500mgを1日3回にわけて食前に摂る
ビタミンDの摂取:ビタミンDを25-30μg/回を1日3回食後に摂る

2、ウラニウム
体内環境をアルカリ性に傾倒させることでウラニウムの吸収を阻害させる。
重曹(ベーキングパウダー)を小さじ1杯、コップ1杯の水に溶かして、空腹時(食後3時間以上経過)に1日2回飲む。
湯の入った湯船に50gの重曹(ベーキングパウダー)を入れ、20-30分入浴

by nutmed | 2011-03-16 15:32

この数日の官邸からの原発の状況報告は、刻々と芳しくない方向に向かっているようです。原発のある福島および近県に住まう人たちへの、行政による対応も進んでいるようです。最悪のシナリオまで至らないように、原発の作業員、自衛隊の関係者には頑張っていただきたいと思います。
そんな中で、ネットやチェーンメールで、被ばく予防のための誤った情報が流れ始めているようで憂慮しています。中には、うがい用のイソジンを毎日飲むことが有効などというようなものがありますが、決してそのようなことはしないように注意してください。

すでに東京や横浜、千葉、埼玉などで測定された放射線量は、福島の原発の影響によるものであると考えられるという報道も流れ始めていますが、日本でも放射線の専門家や大学の研究チームから、この量であれば、多少の期間継続被ばくしたとしても、健康被害には至らない量であると言っていますので、冷静になっていただきたいし、メディアも不安を煽る報道は避けていただきたいですね。

栄養医学研究所にはこの月曜日から、放射能の被ばくに対する相談が毎日50通にもなりますので、今日は被ばく対処方法の1つを紹介しておきます。
この数日、私が勉強していたアメリカ、カナダだけでなく、ドイツmイタリア、ポルトガル、オーストラリア、カナダ、ブラジル、台湾、インド、イギリスをはじめ数十カ国の恩師や友人のドクターや研究者から、連日のように心配のメールが寄せられています。その中で、ドイツの医療用重金属の専門家でもあるDr.BushとアメリカのDr.ライトから、今の日本の原発の状況を憂慮して、放射線の被ばくの対症方法のメールが届きました。
被ばくによる放射性ヨウ素の吸収予防には、かなりの放射線被ばくをする状況では、ヨウ化カリウム(ヨウ化カリウムは医薬品ですでに厚労省が出荷規制を引いている薬)の服用を考慮するべきだが、原発よりも遠隔地であって、それほどの被ばく量でなければ、ヨウ化カリウムで予防をするよりも、副作用を考えると経皮からのヨウ素吸収を目的とした液体ヨウ素がいいというアドバイスをもらいました。
今の日本で液体に溶解しているヨウ素の商品はいくつかあり、手指消毒用のポピドンヨード(イソジン)の場合、1ml中に有効ヨウ素量が6mg程度、ヨードグリセリン(ルゴールやのどぬーる)では1ml中に有効ヨウ素量が2ー12mgほどだと思います。

予防のためのヨウ素量(成人で35mg、3-13歳で成人の半分量、生後1カ月から3歳で成人の30%量)を考慮すると、含有ヨウ素量が多いルゴールがいいと思います。ルゴールの場合、1ml中に12mgの有効ヨウ素量が含まれるので、成人の場合には3mlの原液(有効ヨウ素量36mg)を30ccの浄水で希釈し、スプレーボトルなどに入れて、足の甲、ふくらはぎ、手の甲などに1日2-3回(1回あたり片方の手または足に3スプレー)噴霧してすりこみ、1-3日で30ccの希釈液を使いきるようにすればいいでしょう。


*注意事項:甲状腺機能の症状を持っている方、甲状腺疾患の治療を行っている方、ヨウ素にアレルギー反応を持っている方は、使用に際して主治医に相談してください

相当量の被ばくをするような地域でなければ、この方法で皮ふからヨウ素を吸収し、放射性を帯びたヨウ素の体への吸収を予防することができると思います。
by nutmed | 2011-03-15 13:47

今しがた午前11時過ぎ、福島第一原発3号機が水素爆発したようだとの報道が流れました。
20km圏内にお住まいの方は自治体や関係団体の支持に従っていただくようにしていただきたいと思いますが、それ以外の方は、変に慌てることなく、冷静になっていただきたいですね。
TVの報道を見ていても、「放射能漏れ」を必要以上に強調し、不安を煽るような状況が見えますが、あえて、東大の早野教授のチームがまとめてサイトでアナウンスしています、原発と放射性物質のことについての正しい知識を掲載します。

1. 被曝について
Q. いま現在,報道されてる程度の放射線量でも被曝するものなのでしょうか?
A. 放射性の原子が数十~数百個皮膚に付着しただけで,ガイガーカウンターで被曝が検出されます.今回の被曝程度は分かりませんが,被曝の検出感度は非常に高いものです.
⇒健康に影響が出始める被曝量より少ない量になることが,発電所周辺の放射線監視施設からの情報から推定されますので,ご安心ください.放射線検出の感度(被曝の有無を確認する方法)の精度は非常に高いです.


Q. 間接的な被曝などについては心配したほうがよいのでしょうか.たとえば近海で獲れた魚とかには気をつけたほうが良いのでしょうか?
A. 漏れた放射性物質の量が,いま報道されているレベルなら心配ありません.自然界にも放射線を出す物質は沢山あります.
⇒周辺地域の農作物,近海の魚,酪農などの環境への放射性物質の混入の影響は,今得られる情報からは微弱であると考えられます.加えて,状況が落ち着いた後に,しっかりとした調査も当然されると思います.


Q.「外に出ない」ということが防御策となりますか?

A. 原発の近くに行かないことが第一です.政府の避難指示20kmが目安です.そして外気に触れないことです.
⇒原子力施設からの直接の放射線や突発的な放射性物質の放出による影響は多く見積もっても2,3キロメートルです.放射性物質から身を守るためには,外気に触れない事が大切です.そのためには屋内退避が効果的です.


Q. 20km以上離れれば安全ということですが,外気に触れないというのは,東京でも同様でしょうか.
A. 福島と東京のあいだは250km以上離れていますので心配無用です.
⇒放射性物質は距離が離れるほど,急激に薄まりますので,問題ありません.


Q. ではなぜ20kmに拡大したのでしょうか?
A. 政府の判断基準はわかりませんが,アメリカで1979年に発生したスリーマイル島の原発事故の時は16km以遠には影響が及ばなかったとされています.このデータから推測すると,政府の避難指示は適切だと思います.
⇒スリーマイル島の際には,16kmでした.今回はそれに習い,万全を期す為に,20kmに設定したものと考えられます.もちろん,16km以内にいると健康に害がでるという訳ではないです.


Q.一時的に放射能の量が上下しましたよね.その理由はなんですか?

A.容器の内圧を下げるため排気していて,その時に放射性のキセノンやヨウ素が出たと考えられます.現在の状況では格納容器を守るほうが重要なので,これは避けられないものであったといえます.
⇒私達も,早野先生のコメントの通りであると考えます.


Q. 最悪の場合はどうなるのでしょうか?
A. どうなるかは,放出量と天気で決まります.ヨウ素131は空気より重いので,風が弱ければあまり遠くまで拡散しません.半減期も8日と短いです.
⇒原子力発電所の設計時の安全評価で,最悪の場合でも周辺住民に健康影響が出ないように対策されています.(立地審査指針より)


Q. 放射性物質の半減期はもっと長いのかと思っていました.
A. キセノン137の半減期は3.8分であり,半減期が30年のセシウム137に変化するおそれがあるので,油断はできません.
⇒半減期(放射性物質の量が半分になるまでにかかる時間)は放射性元素の種類によって,短いものあれば長いものもあります.半減期が短いものはすぐに減ります.ただし,短期的には多くの放射線を出すので,皮膚への接触や吸い込みを極力避けることが必要です.一方,半減期が長いものは,放射線をほとんど出さずに安定です.ただし,長期的に緩やかに放射線の放出が続くので,影響がないか継続的な調査が必要になると考えられます.


Q. 1 時間で放射能が1/100 に落ちるというのが,ちょっと解せません.風向きとかでしょうかね.
A. 放出されるのは,キセノンやクリプトンなどの希ガスの短寿命放射性同位元素が多いのです.たちまちレベルが落ちたなら,放出は長時間に及ばなかったと推測されます.
⇒原子力発電所からの放出が少なくなれば,①放射性物質は自然と崩壊し,放射線の量は減衰します.また,②大気中に拡散して薄まるという効果もあります.主にその2点のくみ合わせで,放射線の量が減少していきます.寿命の短い物質(半減期が短い物質)の場合,①の効果で「放射能が(急激に)落ちる」ということになります.


Q. 第一原発付近の双葉厚生病院にて被曝者が出ているようなのですが?
A. 第一原子力発電所の北北西4kmあたりのところにある,双葉厚生病院のグラウンドで自衛隊のヘリコプターによる搬送を待っていた三人が被曝したようです.除染(まずは体を洗う)が必要ということは,ここでの被曝とは原発から風で運ばれた放射性同位元素が体に付着しているという意味のようです.
⇒外気にさらされている部分が汚染されている可能性があるので,先ずは服を取り替え,手や顔を洗ってください.洗えば放射線物質は落ちます.


2. 純水・海水での冷却について

Q. そもそも地震直後に運転停止はなぜできないのでしょうか?
A. 「運転」は停止しています.制御棒を入れ,核分裂連鎖反応は止まっています.しかし,核分裂で生じた放射性同位元素が燃料棒にあるので,その崩壊熱で温度が上昇しますから,冷やす必要があるのです.
⇒「制御棒」とは,原子炉内に挿入することで,緊急時に核分裂反応を制御したり止めたりするための棒です.この制御棒は地震直後に挿入されており,既に連鎖的なウランの核分裂反応は止まっています.

原子力発電では,中性子による核反応を制御することが,安全な運転のために必要になります.原子炉では核分裂反応によりエネルギーが放出され,発電ができますが,同時に中性子も発生するので,その中性子を利用して次の核分裂反応を起こすことができます.このように連鎖的に核分裂反応がおこることで,大量のエネルギーが発生して発電ができます.

制御棒はその中性子を吸収する材料で,これを燃料の間に「入れる」ことで,中性子を吸収させて中性子の数を減らし,原子力発電炉の中で生じる連鎖的な核分裂反応を制御したり止めたりすることができます.

ただし,燃料の核分裂により生じた生成物がさまざまな反応を起こしており,その反応による発熱を除去しなければ,燃料本体の温度上昇につながります.

今問題になっているのは,その温度上昇の抑制機能が,一部の号機に失われていることです.


Q. 海水で満たすというのは最後の手段ですか?仮に失敗した場合はどうなるのですか?

A. 決断したからには,何としてもやり遂げて格納容器内を冷やさねばなりません.現場の方々の御努力に期待します.
⇒これについては既に福島第一原子力発電所1号機で実施されました.今では,原子炉への海水注入作業が完了し,圧力容器(「4」の回答部分を参考にしてください)が満水状態になっていますので,作業は成功したと言えます.


Q. 今後の容器の崩壊は免れたのでしょうか?
A. 現在は無事ですが,海水を入れて格納容器内を冷やすことが必須ですね.
⇒「現状では無事」というのが正確な認識だと思います.全ての原子炉の核燃料の温度が十分に下がり低温で安定化すれば,「崩壊は免れた」と結論でき,それを目標に最善の対策が練られていると思います.


Q. 冷却に成功すれば大惨事は回避出来たと考えていいのでしょうか?
A. はい.現場の方々のご努力に期待します.
⇒現状のニュースを見る限りでは,回避できていると考えています.


Q. 冷却水がどこかから漏れていたということは,海水を入れてもどこかから漏れてしまい,満たすことができないと思うのですが.だからこそ,圧力容器ではなく格納容器ごと満たそう,ということでしょうか?
A. 確かな回答が出来るだけの情報がありません.「漏れていた」といいうのは,水面低下データにもとづく推測です.
⇒現状では十分な情報がなく確かなことは言えません.「漏れていた」というのは,①原子炉内の冷却水の水位が大幅に低下したこと,②蒸気の意図的な放出が始まる前の12日明け方から発電所敷地における放射線の量(モニタリングポストによる測定値.モニタリングポストとは,放射線の定点観測装置.概観は四国電力のホームページ参照:http://www.yonden.co.jp/energy/atom/word/page_02.html)が上昇していたことなどに基づいて推測されたものと考えられます.


Q. 冷却水の循環が止まった結果沸騰して水蒸気になった可能性はあるのでしょうか.

A. 水を圧縮しても体積は減らないので,水蒸気圧力上昇で水面が大きく下がることはありません.やはり水がどこかから失われたと考えるのが妥当だと思います.
⇒原子炉内は大気中よりも圧力が高く,水は容易には沸騰・蒸発しません.(富士山の頂上では圧力が低いため,水が100℃より低い温度で沸騰しますが,圧力が高い原子炉内ではその逆の現象が起きます.)つまり,原子炉内では,水の沸騰・蒸発によって水位が大幅に低下する状況は考えられません.そのため,早野先生が指摘されている通り,「水がどこかから失われた」というのが現状でわかる範囲の正確な認識であると思います.


3. ホウ酸について

中性子捕獲に有効なのは質量数のホウ素原子核です.ホウ酸はホウ素を含む水溶性の物質.これを海水に混ぜて,冷却水として原子炉に注入しています.

⇒ホウ素(原子番号:B)は核分裂反応の維持に必要な中性子を吸収する性質を有します.ホウ酸(H3BO3)はこのホウ素を含む水溶性の物質です.現在,福島第一原子力発電所1号機ではこれを海水に混ぜて,冷却水の代わりとして原子炉に注入しています.通常では,核分裂連鎖反応を抑える役割は主に制御棒が担っていますが,今回は燃料の一部が溶けている可能性があり,設計外の形で存在する核燃料の反応を抑えるため,ホウ酸を注入しているものと考えられます.


Q. ホウ酸には,どのような効果があるのでしょうか?

A. 原子炉内で中性子を吸収するのに有効です.一応,制御棒は入っていますが,燃料が制御棒の守備範囲の外に出てしまった場合,ホウ素を入れておけば核分裂の連鎖反応が始まるリスクを抑えられると考えられます.つまり制御棒による核分裂防止を補強するものです.

Q. 海水・ホウ酸投入ということは,事態が収まった後も炉をつかえなくなるということでしょうか?
A. 燃料棒が破損していることは明らかなので,事態が収まったらすぐに運転再開などということはあり得ません.
⇒A. 燃料棒が破損していることは明らかなので,事態が収まったらすぐに運転再開などということはあり得ません.この点に関しては状況が安定した後にまた報告があると思います.


4. 爆発について

Q. 何故福島第一原発は水素爆発したんでしょうか.格納容器と建屋の間に水素が充満していたという事ですか?
A. 核燃料はウランをジルコニウムという物質で包み込み,原子炉内に設置されます.このジルコニウムは高温になるほど水と反応し,水素を発生させます.水素は配管などを通じて格納容器の外に漏れ出し,建屋内に溜まっていたとみられています.この水素が酸素と反応し爆発したとみられています.
⇒ジルコニウムは,次の質問のコメントにある「第2の壁:丈夫な金属の被覆管」というものです.「格納容器」や「建屋」についても,その役割は次の質問へのコメントで確認してみてください.


Q. 爆発によっても格納容器は壊れていないということですが,水素の爆発によるエネルギーが,格納容器を破損するほど大きくないということでしょうか?
A. はい.建屋は壊れますが,格納容器は丈夫です.これが原子炉の重大事故を防ぐ最後の砦です.格納容器は破壊されなかったらしいので,ひとまず安心です.格納容器が守られていれば,大惨事にはなりません.
⇒以下に,どのように原子力発電所で放射性物質が閉じ込められているかを,関西電力のホームページから引用します: 「ウランが核分裂すると放射性物質がつくられます.そのため原子力発電所では,放射性物質を閉じ込めるため5重の壁でおおい,万が一の異常の際にも放射性物質を閉じ込められるように,安全確保に備えています.」(http://www.kepco.co.jp/bestmix/contents/16.html)


この中で福島第一の1号機については,第1,2の壁および第5の壁が破られている可能性があります.ただ,第3の壁と第4の壁については現状では守られていると考えられています. この2つを守ることが重要で,現在全力をあげて対応が行われています.


5. 原発の稼働状況等について

Q. 「いわゆる原子炉の暴走」って何ですか?

A. チェルノブイリ事故のように,核分裂が制御不能になり,原子炉出力が標準的な運転出力の10倍にもなってしまう場合のことです.ただし今回の場合は,原子炉としては運転を停止しているので,意味が違います.それでも,冷却水のレベルを下げないようにすることは必要です.
⇒「原子炉の暴走」とは核分裂反応が人間のコントロールできる範囲を超えて急激に進行する状況のことを指します.その点,福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所では,原子炉内での核分裂は地震直後に正常に停止しているため,「原子炉の暴走」状態にはありません.現在問題になっているのは,ウランの燃えカスがさまざまな反応を起こす際の発熱です.


Q. 東京電力によると,モニタリングポストは,8カ所とも機能していないということですが?

A. 第一原子力発電所のモニタリングポストは動いていませんが,第二原子力発電所のものは動いています.
⇒福島第二原子力発電所のモニタリングポスト(放射線の定点観測装置.概観は四国電力のホームページ参照:http://www.yonden.co.jp/energy/atom/word/page_02.html)は,東京電力のHPからは速報値を確認できませんが,正常に作動している模様です.また,第一原子力発電所のモニタリングポストについては,定点に設置されている通常の地点は動いていませんが,車で運べるモニタリング装置や小型のポータブルな線量計を用いて放射線量の測定は行われています.その点,発電所周辺の放射線の現状は,適切に管理し切れていると言えます.


Q. リアルタイムモニターはないのでしょうか?
A. 第二発電所のモニターは動いていますが,第一のモニターは昨日(3/11)から動いていません.福島県の放射線モニターも動いていません.
⇒通常であれば,発電所周辺に設置されているモニタリングポストの測定値は,電力会社をはじめとする関係機関のHPを通じてリアルタイムで確認することができますが,現状では何らかの原因でHP上のデータが更新されない状況になっています.なお,原子力安全保安院が行った13日未明の会見では,福島県が設置しているモニタリングポストの観測データも入っており,現在では福島県設置のモニタリングポストは測定可能な状況のようです.


Q. 福島第二の状況も気になります.冷却が十分でないのは同じと思いますが,第一と同様の対応が必要でしょうか.
A. 気になりますが,3/13 21:10現在,周辺の放射線レベルは正常値です.福島第二原子力発電所の排気筒からは,放射性物質は放出されていません.
⇒福島第二発電所は,福島第一発電所と比べて制御がある程度できている状況です.そのため,第一発電所で見られたような放射線の放出は,突然には想定されないと思います.具体的には,以下に説明します.原子力発電所では,冷却系を含む安全上重要な機器は,万が一個々の機器にトラブルが発生した場合でも正常に原子炉を制御できるよう,同じ機能を持った複数の機器が設置されています.第二原子力発電所でも冷却系統に異常が発生しているということですが,現状ではバックアップの機器を用いて冷却を維持できている状況です.そのため,福島第二原子力発電所では原子炉の冷却機能は完全には喪失されておらず,その点で,既に冷却機能が完全に喪失している福島第一原子力発電所1号機および3号機とは状況が異なります.

by nutmed | 2011-03-14 12:33

時間の経過とともに悲惨な状況報告が次々と報告され続けているので、見聞きするほうも恐怖感、心身症など、精神的なストレスが溜まりつつある中、マスコミを含めて情報が錯綜している部分の多々あるようです。
関東地方の計画停電スケジュールについては、刻々と内容が変わっているようなので、お住まいの自治体のホームページなどを確認することが一番だと思います。

また福島および女川原発の状況については、テレビや行政の情報も、国民目線では十分ではないようで、かえって不安を煽るような内容であったりしているようです。
以下のサイトは、東京大学の原子力のスペシャリストである早野教授と、そのチームによって一般向けに分かりやすく原発の状況と放射能の被爆の件について説明していますので、正確な情報を得て、不安や心配をかきたてることなく、冷静な判断と行動ができるようにするために、お時間があるときに見ていただくと言い思います。
http://smcjapan.blob.core.windows.net/web/faq.htm

すでに、携帯電話のメールやパソコンのメールで、放射能漏れに対する不安を煽るようなチェーンメールが多数発信されていますが、焦ってそのメールを転送することのないように、冷静な行動をお願いします。また、ヨウ素の件についても、放射能被曝の予防のために、うがい用のイソジンを飲むとか、コンブエキスを大量に飲むと有効などのチェーンメールも届き始めているようですが、ご自分の甲状腺の機能について詳細を理解していない場合、例えば甲状腺の機能が低下している場合に、ヨウ素を大量に継続的に摂取することは非常に危険な行為となりますので、十分注意してください。

昨日、近所のホームセンターに買物に行ったときに、かつてのオイルショックの際のトイレットペーパー買占めを彷彿とさせる光景に出合いました。 昔と違って、現在は携帯電話、ツイッターなどの手段によって、正確な情報だけでなく、不確実性の高い間違った情報も瞬時に世界を回ります。 自分では気がつかないうちに、「扇動の実質的な加害者」になっていたということは少なくないので、十分注意してください。
大変だとは思いますが、常に冷静な判断と行動をお願いします。
by nutmed | 2011-03-14 08:31

第T14回 大地震

最初の揺れから1日経った今日、震源地に近い岩手、青森、宮城、そして福島、茨城の被害状況は想像を絶するものでした。たくさんの方から、「大丈夫ですか?」メールをいただき、ご心配いただいてありがとうございます。私をはじめ、周囲の人間は皆大丈夫です。
ただ、このブログの読者の中には、今回の被災地に住んで居る方が20人以上いまして、安否が気になります。電話回線が非常に混雑しているので、あえてこちらから安否確認はしていない状況ですが、もし、問題なく無事であればメールでもいただければ幸いです。

また、携帯電話のメールやツイッターなどのSNS上で、不確実性の高い情報や、明らかにデマ情報が沢山行き交っていますが、いわゆるチェーンメールの類がほとんどなので、この手の情報には惑わされないように注意し、冷静に判断行動してくださいね。また、このようなメールが送られてきても動揺したり、友人に転送するようなことのないようにしましょう。
不安を煽り、精神的なストレスが溜まるだけです。
関東以北の方は、まだ大きな余震が続き、想像以上に動悸や血圧の上昇などを経験されている方も多いと思います。 冷静に落ちついて、深呼吸をして行動を起こしてくださいね。
by nutmed | 2011-03-12 22:50