臨床栄養士のひとり言

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第T86回 栄養医学トピックス 乳・卵巣がん予防にアピジェニン その2

d0070361_1134661.jpg 日本海側から群馬、茨城を通過して太平洋岸に至る地域は、昨日午後からの豪雨で大変な被害を受けたようです。同じ低気圧はその前日から朝鮮半島でも猛威をふるって多くの死傷者がでたようです。この10年ほど、この時期になると気圧の急激な変化がもたらす豪雨が、以前よりも増えました。ゲリラ豪雨という言葉ができ、日常的に使われるほどです。 これも明らかに地球規模で環境が変化していることが原因なのでしょうが、私自身は単純に二酸化炭素(CO2)の排出量増加、温暖化ということだけでは解決できない、自然界の大きな渦が巻いているように感じています。

さて、今日は昨日のテーマに続いてアピジェニンについて、今日は乳がんとアピジェニンです。
2011年4月のCancer Prevention Research誌で、アメリカUniversity of Missouri-Columbia循環器研究センターの研究チームが、セロリ、パセリ、リンゴなどに含まれるアピジェニンが、ホルモン療法(HRT)で使われる合成黄体ホルモン(プロゲスチン:Progestin)による、乳がん発症リスクの抑制に有効であることを発表しました。 彼らはラットを使った動物実験で、合成黄体ホルモンのプロゲスチン(商品名:プロベラ、ヒスロンH、プロゲストン)が引き金となって細胞ががん化する可能性の高い乳がんの発症リスクを、アピジェニンが抑制することを確認しました。
彼らは、発がん物質を注射したラットと、正常なラットの2グループを準備し、さらに両グループのラットを各2つに分け、アピジェニンを与えたグループと与えないグループにわけ、3週間にわたって観察しています。
結果として、発がん物質を注射して植えこまれたラットでは、アピジェニンを与えたラットのほうが明らかにガン細胞の増殖スピードが抑えられていることを確認できました。
前回の卵巣がんとアピジェニンでも同様ですが、アピジェニンには炎症の原因となるCOX-2を抑制する作用だけでなく、ガン細胞のたんぱく質構成を変えてしまう可能性、女性ホルモン(エストロゲンおよびプロゲステロン)の血中濃度を下げる可能性、そして、体外から侵入する発がん物質によるDNAの突然変異などによる細胞のがん化とその増殖を抑える作用がある可能性が強いものと考えられます。

乳がんも卵巣がんもそうであるように、細胞組織にはホルモンが原因でがん化する細胞組織がたくさんあります。ホルモンはそれ自体ではほとんど機能することはなく、特定の組織の細胞(卵巣や乳房、子宮、甲状腺、睾丸など)に働くことで機能をしますが、それぞれの細胞組織にはこのホルモンを受け入れる鍵穴のような受容体というものが存在します。ホルモンはこの受容体と結び付くことでスイッチが入り機能するわけですが、何らかの原因によって、受容体にホルモンが結び付き、スイッチが入ることで細胞ががん化してしまうことがあります。アピジェニンだけでなく、レスベラトロール、γ-マンゴスチン、イソフラボン、ケルセチン、ケンフェロール、クルクミン、クリシン、フムロンなど、天然の動植物が持つフラボノイドには、単に強力な抗酸化作用があるだけでなく、たんぱく質の形を変えたり、DNAの損傷を予防したり、ホルモンそのものを抑制したりと言った、何らかの抗がん作用があることが徐々に解明されはじめています。

その中でもアピジェニンの持つ抗がん作用は強いと期待されています。私がお勧めする卵巣がん、乳がんの予防のためのアピジェニンレシピは、パセリとセロリのトマト仕立てスープですね。
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アピジェニンは熱にも強いので、コンソメで薄味をつけたスープに、セロリ30gほど(筋をとらない)を2mmほどにスライスしたものと、トマトソース(缶詰でもいいでしょう)を加え、いただく前にパセリと大葉のみじん切りを10gほどちらして。 夏は冷性スープで、冬はこれにニンニクやカイエンペッパーを少し加えて温性スープで召し上がってみたらいいですね。 できれば週に2-3回は食してほしいですね。

明日から週末、もう7月も終わりですね。 
皆さんよい週末を!
by nutmed | 2011-07-29 13:22

第T85回 栄養医学トピックス 乳・卵巣がん予防にアピジェニン その1

d0070361_1531516.jpg 2週間ほど前の猛暑に比べると、幾分夜も過ごしやすくなり、寝汗をかいて起きてしまうこともなかった今週ですが、来週にはまた熱波がやってくるようですから、熱中症には十分注意してください。
我家の近くの森で、今年もひぐらしが夕方と早朝に鳴きはじめました。今年はダメかなと思っていたので、何か心の中で嬉しくなりました。あのどこか物悲しくもあり、哀愁さえ感じる鳴き声を、いつまで聴くことができるのかと毎年思っています。
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さて、今日は前回の乳がんの予防つながりで、乳がん・卵巣がんの予防に有効である可能性が見えてきたフラボノイドの1つ、アピジェニン(Apigenin)について紹介します。
アピジェニンは。セロリ、パセリ、シソの葉、カモミール、トマトソース、赤ブドウに含まれるフラボノイドで、細胞や末梢の血管、神経で炎症を起こす際に関わる、COX-2(シクロオキシゲナーゼ‐2:cyclo-oxygenase)を抑制する強力な作用を持つことが確認されています。COX-2を抑制するフラボノイドには、最近TVの健康番組でも話題になった、レスベラトロール(Resveratorol)、果実のマンゴスチンから抽出されるγ-マンゴスチン(γ-Mangostin)、プロポリスから抽出されるクリシン(Chrysin)、ビールホップから抽出されたフムロン(Humulon)があります。

2009年にハーバード大学の研究チームが、医学雑誌(International Journal of Cancer)で発表した内容によると、1141人の卵巣がんと診断された女性と、1183人の健康な女性(両方の女性の平均値玲51歳)を対象にして食事内容のアンケート調査を行いました。調査集計の結果、卵巣がんと診断されている女性グループでは、健康な女性のグル―プに比べ高カロリー食摂取の傾向が見られた。また、カリフラワー、レーズンなどのフラボノイドリッチな素材を日常的に意識して食べている女性では、卵巣がんの発症率が低いことがわかりました。
さらに、セロリ、パセリ、カモミール、トマトソースというアピジェニンが豊富に含まれる素材を、毎日食べている女性では、卵巣がんの発症率は明らかに低くなり、そうでない女性たちに比べ28%低くなっていることがわかりました。
統計学的な研究調査ではありますが、アピジェニンには、がん細胞の発現を含めた炎症の原因となるCOX-2の抑制効果が高いことを裏付ける報告だと思います。

次回はアピジェニンと乳がん予防について・・
by nutmed | 2011-07-28 17:10

第T84回 栄養医学トピックス 魚油と乳がん治療

d0070361_6442421.jpg 昨日のニュースで、茨城で作られた腐葉土から、高濃度のセシウムが検出され、メーカーが自主回収に入ったことが報道されました。私の疑問は、少なくとも昨年以前に生産された同じ腐葉土のセシウム濃度がどのくらいなのかをなぜ公表しないのか?です。果たして、311以前に生産され販売されていた腐葉土からは、セシウムが検出されないのでしょうか・・



さて、今日は再び最近の栄養医学にまつわるトピックスの紹介で、魚油が、乳がんの治療成果を向上させる可能性についてです。
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2011年4月、アメリカペンシルバニア州フィラデルフィアにある、がんの治療と研究に関しては世界的に名のある、Fox Chase Cancer Centerの研究者らが、乳がんの治療に使われるタモキシフェン(Tamoxifen)という抗がん剤の効果を上げるために、魚油に含まれる必須脂肪酸が安全で有効であると発表しました。
タモキシフェンは、抗エストロゲン作用を示すことによって抗腫瘍効果を上げる抗がん剤で、日本でも乳がんの再発予防などにも使われる薬です。
彼らが行ったラットによる動物実験では、魚油とコーン油、それにタモキシフェンを添加したグループとそうでないグループの4つのグループで、タモキシフェンの抗がん作用効果を8週間にわたって検討しています。
検討の結果、タモキシフェンと魚油のコンビネーションを与えたラットの、乳がん細胞の遺伝子発現率は明らかに低くなっていることと同時に、ガン細胞の分裂を抑える作用も確認できたことを報告しています。

タモキシフェンは、20年以上前から乳がん治療の主要薬として使われてきた歴史があり、外科的な術後の再発予防の目的で広く処方される薬です。
最近では、乳がんの治療にホルモン療法の選択肢も増えており、その主流がこのブログでも以前に紹介しているアロマターゼ阻害成分です。乳がんに対しては、早期発見、早期治療が従来から叫ばれてきており、それは間違いないことです。加えて、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量によって発現する乳がんが少なくないことから、遺伝的な背景を持っていたり、ホルモンバランスの変化が大きい(エストロゲンが常時高い傾向)場合には、予防のために、アロマテーゼの働きを抑える食生活を意識するとともに、今回の発表にもある魚油やオキアミなどの素材から優良な必須脂肪酸を摂ることも考えるといいと思います。
by nutmed | 2011-07-27 07:20

第T83回 放射性セシウム

d0070361_1565043.jpg 今日は最初から心配を助長するような話題になると思いますが、ご容赦ください。
栄養医学研究所で受託している爪分析検査ではじめてセシウムが高いクライアントが1人現れました。ただ、お住まいが今回の原発に近いわけではなく、311以降に福島県などの方面に旅行したわけでもなく、件の稲わらの問題が発覚する以前に爪を提出された刀ので、セシウムが高値で検出された背景が不明の状況です。
臨床ミネラル学の私の師匠で、爪分析を委託しているドイツのDr.ブッシュにメールで確認してみたところ、39種類が確認されているセシウムの放射性同位元素の中で、最も安定している形のセシウムはセシウム133で、いわゆる半減期は110日、生理学的には、ごくわずかな量であれば人間には無毒とのことです。一方、1986年のチェルノブイリ原発事故や今回の福島原発事故で放出されるセシウムの同位元素は、主にセシウム134(Cs134)とセシウム137(Cs137)で、不安定で半減期も長いことは最近のメディアで報道されているので、皆さんもご存じでしょう。メディアでは今回の稲わらと牛肉から検出されたセシウムの情報量は多いですが、このセシウム137が、ガンの治療用だけでなく、工業製品、特に厚さや質量を測定する計測器(レベルゲージ)などに使われていることは私自身も知りませんでした。

また、セシウム137を調べて行くうちに、独立行政法人農業環境技術研究所が平成19年に「黄砂とともに飛来する放射性セシウム(137Cs)」という報告書を公表しています。この報告を見る限りでは、1896年のチェルノブイリ原発の影響によるセシウム137の飛散が、東に向かい、モンゴルやウイグル地方から中国に至る広範囲で高濃度に検出されていて、少なくとも同研究所が平成19年に黄砂に付着していたセシウム137が、青森県で高濃度に検出できており、セシウム137に限って言えば、今回の311以前にも、日本への飛来が確認され、農作物だけでなく、日常生活の周囲に検出されていた可能性は高いことが考えられます。

幸か不幸か、今回の福島原発事故によって、多くの国民が放射性物質のことがわかり、十分に理解できないまでも、ストロンチウム、セシウム、ヨウ素の数値に過敏反応を示すようになってしまいました。しかし、311以前の大気に飛散していた、また農作物から検出されるセシウムなどの放射性物質の数値については、全く蚊帳の外であると同時に、理解すらしていなかったと言ってもいいでしょう。
栄養医学研究所の爪分析でも、セシウムを検査分析しはじめたのはこの6月からですので、過去10年間のセシウム濃度については、日本人の平均的な数値がどのくらいかは不明です。

今回爪検査でセシウムが高い数値で報告されてきたクライアントについては、もちろんセシウムを分析するのは今回が初めてですし、そのセシウムがセシウム133由来なのか、134由来なのかまたは137由来なのかは確認できないだけでなく、蓄積した背景は今後のカウンセリングで詳細を探っていくことになると思います。
by nutmed | 2011-07-25 18:10

第T82回 栄養医学トピックス 飛蚊症の改善

d0070361_1131183.jpg 大型台風のマーゴンは中部圏を中心に爪痕を残し、日本の南東方面に去り、台風一過の週末になりました。この週末は再び猛暑が戻ってくる予報です。しかし、週末の天気予報図を見ると、南東に下っていった迷走台風マーゴンは、再び鎌首を持ちあげるように北に進路をとり、この週末にかけて北上する進路です。このおかげで、福島原発から依然放出している放射性物質の飛散が広範囲にわたり、西は名古屋近辺から、新潟、山形に至るまで広範囲に飛散する予想がドイツ気象庁のシュミレーションで発表されています。もちろんこの範囲の中に東京、神奈川、埼玉、群馬、千葉を含む関東もすっぽり入ることになり、放射線量は上昇するとみられます。週末の外出時は注意してください。


さて、今日はパソコンの普及にともなって増加傾向にあるとも言われる、飛蚊症(Floarters)の改善について、私の体験を含めて紹介します。
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飛蚊症とは?
飛蚊症は、視野の中に糸くずのようなものが浮かんで見える症状を言いますが、黒いものであったり、半透明であったり、または白かったり形や色は様々のようです。加齢によるものや、紫外線量の強い環境と考えられてきましたが、近年のパソコンやゲーム機、テレビの使用頻度が増えることによって、中高年の人だけでなく、10代、20代でも飛蚊症の症状を訴える人が増えています。原因には、老化、慢性的な眼精疲労、糖尿病、高血圧、活性酸素、目の殴打などがあります。これに加えて、紫外線や刺激の強い波長の光を受けることによる発症もありますが、多くの原因の背景には「活性酸素」があると考えられます。糸くずのように硝子体に浮遊するものの多くは、網膜からはがれたたんぱく質や血液の塊です。 年齢は若い時にはプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)や抗酸化作用を持った栄養素や機能性成分によって、、これらの物質を分解することも、抗酸化作用によって酸化を防ぐこともできますが、加齢とともにこれらの酵素や栄養素、抗酸化物質の吸収および代謝の低下によって、飛蚊症の症状が出やすくなると考えられています。

飛蚊症の症状改善方法
通常の眼科で行われる症状改善および緩和には、外科的手術のほか、セラペプターゼというたんぱく質分解酵素を配合した点眼薬を処方するなど、様々な治療方法があります。栄養療法では、硝子体の酸化の抑制を目的に、ビタミンA,C,Eの抗酸化ビタミンに加え、マグネシウム、セレニウム、タラの肝油(オメガ3必須脂肪酸)、タウリン、リジン、ルテイン、ジアキサンチン、またハーブ療法素材として、ギンコ、ショウガ、リコリス(甘草)、ブルーベリー、ブラックベリー、ドンクアイなどを使います。これらの栄養素、機能性素材のほかに、食材としては抗酸化能力の強いパプリカ、オレンジ、ブロッコリー、ニンジン、ブドウなど、「原色」の濃い素材を意識して摂ることも有効です。

私自身も飛蚊症でMSMを使っています
実は私自身、この2年ほど前から飛蚊症の症状が顕著になりはじめ、バイクや車の運転の際、また読書の際にはうっとおしい状況がありました。そこで、この6月初旬からアメリカのテネシーで栄養療法クリニックを開業している、20年来の友人のドクターから、MSMの点眼剤を取り寄せて使いはじめています。彼は、以前から飛蚊症の症状改善に、上記のビタミンミネラル、アミノ酸に加えて、日本でも食品として扱われるようになってからそれほど時間が経っていない、MSM(Methyl Sulfonyl Methane)をこの10年ほど処方しており、効果を上げています。 

MSMとは?
MSMは人間でも副腎で作られる硫黄成分を基質とする機能性成分で、すべての酵素とアミノ酸に硫黄を供給し、ビタミンB5、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、セレン、カルシウム、マンガン、CoQ10が作用するためには不可欠な物質です。また、MSMは細胞膜を栄養素、水分、酸素が透過しやすくするために、常に膜を柔軟に保つ働きをしていおり、眼球表面の膜に対しても同様の作用があると考えられています。事実、白内障の治療に強力な抗酸化作用を持つグルタチオンとともに点眼薬として使われたり、眼球の圧力が高くなることで障害を起こす緑内障の治療にもMSMは使われています。 言ってみれば、MSMが持つ細胞膜の損傷改善作用と、膜の透過性向上作用によって、糸くずのようなたんぱく質(血液など)を分解するとともに眼球から排除することを促進する働きがあると考えられています。

効果のほどは?
この6月からMSMの点眼を使っていますが、明らかにMSMの点眼を始めた6月以前よりも、目の中をさまよい浮かぶ糸くずのようなものは減っています。いわゆる「なんとなく少なくなったような気もしないでもない・・」というような曖昧なものではないことは間違いありません。特に左目に浮かぶものが多かったのですが、うっとおしさを忘れてしまうほど、視野からは明らかに減っています。起床と同時に最初の点眼をし、就寝前までほほ1時間おきに点眼をします。忘れてしまうこともありますが、習慣づけて点眼することが大切だとテネシーの友人ドクターから言われていたので、家とオフィスに同じものを常備してわすれないように心がけてきました。もちろん、MSMの点眼だけでなく、6月以前から、ビタミンA,C,Eに加え、マグネシウムの足浴、原色野菜の摂取、グルタチオンの静脈注射と点眼を定期的に行ってきましたが、この6月のMSM点眼以降ほどのインパクトのある症状の改善は感じられなかったことを考えると、私の飛蚊症の改善にはMSMの点眼が非常に有効だったと考えています。

これからも、今回のように自身の栄養療法経験を少しずる紹介していきたいと思います。私も人生半世紀を過ぎて、パーツに加齢性の影響も出始めているのは自然の摂理だと思ってはいますが、やはり改善できるのであれば改善し、その成果を皆さんにも紹介できればと思いますしね。

さあ、明日から週末ですが、冒頭話したように今週末は放射性物資の飛散量が多く、特に東京方面への飛散量は多くなると思われますので、外出時は注意をしてください。

それではよい週末を!
by nutmed | 2011-07-22 17:20

第T81回 栄養医学トピックス ブルーベリーがダイエットに有効

d0070361_12331462.jpg 台風マーゴンもオホーツク海高気圧のおかげで、東海関東には上陸できずに、ひとまず大平洋東沖に逸れてくれたようですが、天気図を見ると迷走は続けているようで、まだ予断は許されない状況のようです。 某週刊誌で、福島市内に住む子供10人の尿から、セシウムが検出されたという報道があったようです。 行政の対応に怒りを通り越して、不快な吐き気をもよおします。理由はどうであれm非人道的かつ卑劣とも思える、この数カ月間の行政と東電の対応に憤り以上のものを感じてやみません。


さて、気持ちを変えて、今日はブルーベリーが脂肪蓄積を抑制するという話です。
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今年の4月に米国のワシントンDCで行われた科学者が集う会(Experimental Biology, 2011)でTexas Women's Universityの研究者が、マウスの実験によって発表したものですが、ブルーベリーに含まれるポリフェノールを与えたマウスでは、脂肪細胞における脂肪の形成が抑制されることがわかりました。これはブルーベリーのポリフェノールが、脂肪細胞の増加(分化)に影響しているものではないかとコメントしています。実験の結果、最大で74%の脂肪形成抑制効果がみられ、なおかつこの作用はポリフェノールの量に依存することがわかり、ポリフェノールの摂取量が増えることによって、脂肪細胞が減ることもわかりました。

とかく目の機能性果実として日本でもポピュラーになったブルーベリーですが、この実験結果から想像するに、人間の脂肪細胞の形成抑制効果も十分見込めれるのではないかと考えます。
ただし、人によってはブルーベリーのポリフェノールの1つでもあるアントシアニンが、胃を刺激しすぎて胃痛を起こすこともあるので、量には十分留意してほしいですね。
by nutmed | 2011-07-21 13:08

第T80回 栄養医学トピックス VDと黄班変性

d0070361_7205761.jpg 台風6号の影響は、想像以上に大きいようです。今回の台風は速度もゆっくりで、勢力も衰えずに巨大な低気圧を維持したまま、太平洋岸を舐めるように進んでいるため、人口密集地域への被害も多く、また交通網への影響も出始めています。進路に近い住民の方は注意してくださいね。




さて、週をまたぎ、今日は栄養医学トピックスの2回目、ビタミンDが黄班変性の発症リスクを軽減するという報告です。2011年4月に眼科の専門雑誌(Archives of Ophthalmology. 2011 Apr; 129(4):481-9)で発表されたもので、ビタミンDの摂取によって、年齢が高くなるにつれ発症頻度が高まる、加齢性黄班変性(AMD:Age-related Macular Degeneration)の発症リスクが低下するという報告です。黄班変性については、このブログでも過去に何回かテーマに揚げていますので、そちらを参考にしてください。
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1313人のボランティア女性(日本では、男性は女性よりも約2倍、黄斑変性症にかかりやすいといわれていますが、欧米では、女性のほうが黄斑変性症にかかりやすいと言われています)を対象に行われたこの調査では、全員の血液中のカロテノイド、ビタミンDを含むいくつかの項目が検査されています。ビタミンDについては、血液中ビタミンD(25-OH vitamin D)の検査および、日常の食生活からどれくらいのビタミンDを摂取しているかのヒアリングアンケートを行っています。
調査の結果、黄班変性の症状が出始めた初期段階、特に50歳前後の人では、ビタミンDの体内の濃度および摂取量には、顕著な関係は見出せませんでしたが、黄班変性の進行状況とビタミンDの摂取には深い関係があることがわかりました。年齢が75歳以下で、黄班変性の症状が現れはじめた段階から、ビタミンDを積極的に摂取することで、その後の黄班変性の進行を防ぐだけでなく、若い段階からビタミンDを意識して摂ることによって、加齢に伴う黄班変性の発症リスクを抑えることができると考えられます。
ちなみに、の数値が、15ng/ml(38nmol/l)よりも低い状態が継続している場合には、黄班変性の発症リスクは高まるということです。

この手のテーマを取り上げた後には、必ずと言っていいほど読者の方から「それではビタミンDをどのくらい飲めばいいのですか?」「お勧めのビタミンDはありますか?」というメールが押し寄せてくるので、事前に紹介しておきますが、以前ビタミンDを長期テーマで取り上げた時にも書いていますが、ビタミンDは紫外線に浴することによっても人間の皮膚の下でつくられるビタミン、と言うよりもホルモンに近い物質です。したがって、サプリメントや食材から摂取するビタミンDを考慮するのと同時に、1日にどのくらい紫外線(直接間接を問わず)にを浴びるかということも考慮する必要があります。この点を考えると、黄班変性の発症予防や進行抑制を目的に、ビタミンDを摂ることを考えるのであれば、まずやるべきことは、血液検査で確認し、現在のビタミンDの状態を確認することです。すでに眼科で黄班変性の治療をされている方であれば、主治医に相談して血液中ビタミンD(25-OH vitamin D)を検査してもらうことをお勧めします。
by nutmed | 2011-07-20 08:14

第T79回 ストロンチウムの排泄促進

d0070361_948229.jpg 週末は群馬県松井田にある砦の湯温泉に1泊で英気を養いに行ってきました。さすがに日向は東京と変わらず猛暑ですが、湿気がないので日陰に入るととても涼しく、夜もエアコンなどいらず、熟睡できました。それにしても暑かったですね!
先週金曜日の週末歳時記でストロンチウムのトピックスを紹介しましたが、週末から今朝までに同じ内容の質問が多かったので、この場で回答したいと思います。


質問の内容はほぼ100%「溜ってしまったストロンチウムを排泄する術はないのか?」というものでした。
今回の原発事故以来、ストロンチウムは一気に悪玉ミネラルになってしまいましたが、ストロンチウムは人間の骨の形成には不可欠なミネラルであると同時に、ストロンチウム89は、甲状腺や前立腺の治療にも使われるミネラルでもあります。ストロンチウム89の半減期は約50日と短いですが、同位元素であるストロンチウム90は約28年と長いです。

ただ、体にはごくごく微量ながら必要だと言っても、実際問題としてストロンチウムの蓄積量が多くなることによって、体内環境に与える影響は少なくはありませんので、過剰に吸収しないよう水際で防ぐことと、積極的に排泄を促す方法を講じる必要があります。

ストロンチウムはカルシウムと密接な関係をもっているので、以下の方法で多少なりとも排泄を促すことが可能であると考えます。
1、吸収効率の高いカルシウムを毎食15分前に飲む。1回あたりの目安は500mg、ただし、現在甲状腺機能に関わる症状があったりお治療中の場合には主治医と相談してカルシウムの摂取を考慮してください。
2、ビタミンDを毎食後に飲む。1回の目安は15-25μg


目的を考慮するのであれば、食材から上記の栄養素を摂るのではなく、サプリメントで摂取することが望ましいでしょうね。
by nutmed | 2011-07-19 11:19

第T78回 週末歳時記 ストロンチウム

d0070361_1636513.jpg 以前のブログでも紹介しましたが、栄養医学研究所ではこの6月から、従来から受託している爪のミネラル分析検査で、セシウムの分析報告をはじめています。今年は311以降、爪分析検査の受託数が例年よりも増加しています。電話やメールでの問い合わせも日増しに増えている状況ですが、爪検査に興味のある方に、事前に理解していただきたいことがあるので、説明させていただきます。
爪分析をして検出された必須ミネラルや重金属は、元素としての金属であることは間違いありませんが、その金属が同位元素(ストロンチウム89または90など)なのかどうかということ、およびその金属がどこから体内に侵入したのかについて、確認判断することはできません。ただし、今回の福島原発のような災害によって放射性物質が飛散したことで、ストロンチウムやセシウムのような、日本においては日常生活環境の周辺にはほぼ存在しないだけでなく、食品、サプリメント、健康食品、水から摂取する可能性も極めて低い金属が、爪分析で検出された場合には、その侵入経路は原発から飛散した金属である可能性は非常に高いと思います。しかし、残念ながら爪検査がその侵入経路の因果関係の証明にはならないということです。

311以降、6月中旬までに、福島、茨城、東京、神奈川、埼玉、千葉、新潟、長野、栃木、群馬の各県からの受託が増える中、ストロンチウム、ヨウ素、セシウムが高い濃度で検出された結果は出ていませんでしたが、6月後半から、ヨウ素については13人、ストロンチウムについては6人が高い濃度で蓄積されている結果がではじめています。ストロンチウムについては、6人のうち1人は8歳のお子さんです。幸いセシウムの高い濃度蓄積の結果はまだ出ていません。

最近、爪分析をしてストロンチウムが非常に高濃度に検出された方の数値について、私の臨床ミネラル学の師匠でもある、ドイツのDr.ブッシュと電話で話をした際に、ストロンチウムについては、ドイツでも日本でも、アメリカの一部地域のように、骨と歯の強化の目的で水道水や食品に添加されることを許可していないので、爪分析でストロンチウムが高濃度検出された人、特に福島原発から近い場所やホットスポットに住んでいる人の場合には、福島原発からの影響による可能性が非常に高いとコメントしています。 また、ストロンチウムが高濃度に検出された場合、まず生活習慣の背景を探り、、爪分析をする半年ほどの間に、以下のような背景がないかどうかを確認する必要があるということです。
1、ストロンチウムが含まれているようなアメリカ製のサプリメントや水を飲んだことがないか
2、骨そしょう症改善のための薬(ラネリック酸ストロンチウム)を服用していないか
3、歯科医で知覚過敏症の治療をしており、その中で塩化ストロンチウムを使われていないか
4、知覚過敏症改善のための歯磨きを使っていないか


そのうえでこのような経緯がないと言うことになれば、原発の影響の可能性は濃くなると思います。しかし、残念ながら、爪分析検査結果が直接その証明にはならないということです。

さて、明日から3連休の方も多いのではないでしょうか。 この3連休は全国的に高気圧が旺盛で、猛暑の日が続くようですので、熱中症対策は万全にしてください。
私は、明日の早朝に家を出て、久々にバイク仲間のオジサンたちと1泊の温泉ツーリングに出かけ、ストレス解消をしてきます^^;;

それでは皆さん、よい週末を!
by nutmed | 2011-07-15 17:13

第T77回 栄養医学トピックス その1

d0070361_1249343.jpg 先週7月10日の朝日新聞朝刊をご覧になった方は少なくないと思います。311の東北南関東地震によって損壊した福島原発から放出された放射性物質の拡散状態、特に海洋汚染の状況が、ようやく今頃になって開示されました。
d0070361_17165872.jpgこの開示内容を見る限りでは、すでに震災直後の原発施設の損壊によって放出されたとみられる放射性物質の汚染拡大は、想像以上に広い範囲に拡大していることがわかります。
d0070361_17171738.jpgここへきて、セシウムが付着していた稲わらを食べた牛の精肉から、高濃度のセシウムが検出されたことが報道されていますが、この海洋汚染状況と駿河湾沿岸にまで及ぶ高濃度汚染地域を考えると、今後の問題は魚貝類、海藻類になることは間違いないところだと思います。 5月の私のブログで、放射性物質から体を守るポイントを何回かに渡って紹介しているので、参考にしてみてください。

さて、ここしばらく間隔があいてしまいましたが、栄養医学、健康にかかわる最近のトピックスを数回にわけて紹介をしたいと思います。1回目の今日はCoQ10と乳がんについてです。
最近でこそあまり話題にはならなくなったCoQ10(コエンザイムQ10)ですが、今年の4月に、がんの疫学的研究雑誌に発表されたハワイ大学の研究チームによる、CoQ10と乳がんの発症率の報告は興味を引きました。
340人の乳がんを患った女性と、653人の謙譲な女性の血液中のCoQ10とトコフェロール(VE)の値を調べた結果、乳がん女性には血中のCoQ10が低い傾向が見られ、逆にCoQ10が高い女性では、同様に血中のαおよびγトコフェロールが高いことがわかったというものです。また、CoQ10が低い女性では、その後1年以内に乳がんを発症する率は高い傾向にあるとしています。
以前からの研究報告で、トコフェロールと乳がんの発症率にはかかわりがあることが報告されていますが、今回の報告のようにCoQ10がαおよびγトコフェロールの吸収または代謝に何らかの影響があることを示す報告はなかったと記憶しています。
by nutmed | 2011-07-14 18:12