日曜日にイタリアから帰国し、昨日月曜日から仕事に復帰しましたが、肌を刺すような暑さと、まとわりつくような湿気に怖気づいています(笑) 連日深夜から早朝にかけてのロンドンオリンピックの観戦で、睡眠不足、食欲不振、体力低下による体内環境の激変が知らず知らずのうちに進んでいる方が多いこの夏だと思いますが、今日のテーマは、水分の摂取バランスについてです。
連日のように熱中症、日射病の予防対策としての積極的に水分補給する必要性がメディアでも叫ばれているところですから、すでに多くの皆さんは水分補給を意識していることと思います。 海の向こうアメリカでは猛暑の夏になるとメディアと連邦政府が盛んに「Drink Water for your life」と、水分補給を意識させる啓蒙を行っていましたが、最近では「Water Loading」=積極的に水分を摂取する、ことを啓蒙しています。
人間の体は水でつくられている、などと表現されることがあるように、人間を構成する物質の中で水は最大量の物質です。その量は年齢、性別、骨密度、筋肉量及び体重によって個人差はありますが、多少幅はあるものの、全体重の50%~75%を構成すると言われており、体脂肪率が低い若い男性ほど体重に占める水分量は多い傾向にあると言われています。
ここで、その水が体内の何を構成しているのかについて少し紹介しておきます。
以下のグラフは、平均的な体脂肪率を持つ成人男女の体内に存在する構成水分量を示したものです。
d0070361_1531227.jpg

d0070361_15312238.jpg

間質液とは、文字通り細胞と細胞の隙間を埋めている液体で、細胞の緩衝液として働くほか、細胞内への栄養、酸素の供給、老廃物、異物を細胞外へ運搬する役割を担っています。細胞通過液は、消化管内の液体、関節を支える関節液、眼球内の液体などです。人は基本的には体内に必要な水を蓄積することができませんので、上記のグラフを構成する体液の機能だけでなく生命を維持するために、常に水分の補充を継続しなければなりません。一般的には体内の総水分量の1-2%が低下すると、脳、消化管のホルモンの作用及び腎臓の刺激によって喉の渇きという現象を起こすことになります。体内の総水分量の1-2%と言うと、仮に体重45kgの女性の場合では、総水分量が60%(27リットル)と考えると、わすか300-500ccの水分になり、70kgの男性の場合では、総水分量が70%(49リットル)と考えると、500-1000ccの水分が低下することで、体は水分の補充の必要性を感じて喉の渇きを促します。
下のグラフは、70kgの成人男性の1日あたりの平均的な水分摂取量と水分排泄量を表したものです。
d0070361_15555731.jpg

このグラフを診てもらうとわるように、1日あたりの水分の出納量はほぼ同量と言えます。尿から排泄される水分量は1000-1500cc、汗や呼気から排泄される水分量は500-700cc、便とともに排泄される水分量は100-200ccですが、最近のような猛暑の日では、発汗による水分排泄量は予想以上に増加することと、意外に盲点なのは、水分の蓄積ができないために、補充した分の水分量だけ排泄も促進されるということです。したがって、水分補充量が増加し、それに伴い水分排泄量も増えるため、ナトリウムやカリウム等の電解質の排泄も通常よりも積極的に増えることになります。 熱射病、日射病の症状のほとんどが、この水分のバランスが著しくかつ急激に崩れるために起こり、頭痛、吐き気、体温上昇、動悸、異常発汗、めまいなどの症状が現れることになります。 高齢者の場合には、体内の総水分量の1-2%が低下して喉の渇きの刺激が起きる速度は、年齢が若い人に比べて鈍化するため、1日中屋内にいて安静にしていても、排尿や呼吸によって自然に失われる水分の排泄に加えて、暑さからくる発汗増加によって、意外にも熱射病の症状が現れるまでの時間は早いとも言えます。 
水分の補給のお勧めの方法を以下に紹介しますので是非お試しください。
1、補給する水は吸収を考慮して冷たい水ではなく、25℃前後の水が望ましい
2、起床後に体重×70%×1%量の水をゆっくり飲む
3、通常の生活リズムの場合には、1日を通じて1時間に100-150cdの水を飲む
4、ジムなどで運動する場合には、運動の1時間前に体重×70%×1%量の水+電解質を補給し、運動開始後30分おきに100cc-150ccの水を補給する
5、屋外での2時間以上の運動を行う場合、運動の1時間前に体重×70%×1%量の水+電解質を補給し、運動開始後15分おきに100cc-150ccの水+糖分を補給する。精製漂白された糖分は空腹感を促進させるので、糖分としてはマルトデキストリンのような多糖類がお勧め。
注意点
猛暑の屋外での労働や運動に際しては、過剰なたんぱく質の摂取が血中の尿素合成を促進し、水分の排泄を促進させるため。事前にプロテインの摂取は避けるべきです。したがって、サッカー少年、野球少年のお弁当のおかずの内容も過剰なたんぱく質は水分の排泄を促進する可能性があるので注意してあげるといいと思います。

by nutmed | 2012-07-31 15:08

d0070361_14112881.jpg

イタリアからの2回目もフィレンツェからです。フィレンツェの郊外に街を一望できる丘があり、昨晩は暑気払いを兼ねてこの丘にフィレンツェの夜景を見に出かけました。空のコントラストが何とも言えず美しいです。
今日のテーマに入る前に、皆さんの多くが鉄のサプリメントを摂るときにはビタミンCを一緒に摂ったほうがいいことをそれとなく知っているのではないでしょうか。
その理由はご存じですか? 中にはpHが関係していると思われる方もいるのではないでしょうか。確かに直接的ではないものの、pHも関係はしていますが、鉄の体内への吸収や輸送のために必要となるパートナー、つまり運び屋であるリガンドという物質の1つがアスコルビン酸(ビタミンC)になります。リガンドについては難しくなるのでここでは割愛しますが、VCのほかアミノ酸(ヒスチジンやフェニルアラニン)、糖類が鉄の働きには必要なパートナー(リガンド)になります。つまり、ビタミンCは、鉄の吸収を導いてくれるリガンドなので、鉄とビタミンCは一緒に摂ったほうがいいというわけです。
まず、日本で市販されている鉄のサプリメントの多くは、非ヘム鉄の硫酸第一鉄です。胃薬には胃酸の生産分泌の根元を止めたり、抑えてしまうような薬(H2ブロッカーまたはプロトンポンプインヒビター)と、酸をアルカリ性物質で中和させてしまう、いわゆる制酸剤があります。
酸を中和させる制酸剤に配合使用されている物質は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、重曹といった強力なアルカリ性のミネラルです。つまり、胃酸が分泌しているいないに関わらず、胃の中のpHをアルカリ性方向にしてしまう薬です。
1976年ノルウェーの研究者が、市販されている液体タイプの胃薬(アルミニウム、マグネシウムが配合されたもの)を飲んだ場合に、サプリメントで摂った鉄(硫酸第一鉄)の吸収にどれほど変化が表れるかについて調査した研究が報告されています。これによると、胃薬を飲んだ場合には鉄の吸収が平均で38%低下したことが報告されています。その後、アメリカ、イギリスでも同様な調査研究がこの30年ほどの間に行われていますが、いずれも同様に、強アルカリ性の胃薬は、サプリメントで摂った非ヘム鉄(硫酸第一鉄など)の吸収に影響を与えることが報告されています。
端的に言えば、食後にこのようなアルカリ性ミネラルを主成分とした胃薬を飲むことで、食材やサプリメントから摂取できる鉄の吸収は著しく低下するということです。
ここまで、来て「そう言えば・・」と思った人は私のブログをしっかり購読してきた人ですね。カルシウム、マグネシウムは何も胃薬に配合するためだけのミネラルではないですよね?そう、カルシウム、マグネシウムのサプリメントは数多く市場に出ています。これらのアルカリ性ミネラルが配合されたサプリメントの飲むタイミングを間違えると、同じミネラルの鉄の吸収を妨げることになるということです。もちろん鉄欠乏性の貧血傾向にある方は、胃薬を不用意かつ安易に飲まないように注意したほうがいいということでもありますね。
by nutmed | 2012-07-27 14:02

d0070361_0265618.jpg

この日曜日に日本を出発し、当初予定だったドイツ、マストリヒトでの研究会学会が急遽ローマ開催されることとなって昨日までローマのおりました。連日の夏日のローマではセッションや討論会が全て午前中の涼しい時間帯(午前7時30分スタート!)で進められてきました。3年に1回開催されるヨーロッパを中心とする毒素ミネラルに関する臨床研究会学会ですが、今回は日本を出る前から昨年311の福島原発の件が話題になることは想像に難くはなく、案の定2日目のセッションでは日本政府の対応だけでなく、国民の食生活、特にセシウム、ウラニウムなどの放射線ミネラルの蓄積と蓄積による細胞のDNAへのダメージの予防と対応について、日本からただ一人出席していた私への質問が集中し、正に責められているような辛い場面がありました。ランチタイム中もドイツ、インド、ポルトガルから参加の旧知ドクターたちからも、今回の原発事故の影響はすでに日本だけに限らず、大気汚染を含め世界中波及していることへの日本国民の認識の低さと自覚のないことに沢山苦言をいただき食傷気味になったのは事実でした。この件については、帰国後に改めてテーマとして扱う予定です。
出張後半は自己啓発と称してイタリアの食や栄養事情に触れる旅をスタートさせ、昨日にはルネッサンスの聖地でもあるフィレンツェに移動してきました。フィレンツェは言わずと知れたメディチ家繁栄の拠点でもあり、家紋にユリの花同様医薬品の錠剤の形状が使われるなど、医療とも深い関係を持つイタリアのかつての首都です。
d0070361_0265873.jpg

フィレンツェにはイノシシ薬局など世界的有名な薬局のほか、アロマ素材、フラワーエッセンスなどを扱う有名な専門店がいくつかあります。今日はその中の1軒「Spezierie palazzo Vecchio」というポンテベッキオ橋のそばにあるアロマ素材とサプリメントを扱うショップを覗いてきました。このショップ日本でも知る人が多いそうで、私が訪れた時にも、関西かやってきたアロマテラピーを行っているアロマテラピストの数名のグループが素材をどっさり購入していました。私が驚いたのは、サプリメントの棚の中に、オメガ-3オイルのフラックスに、多くの国では医薬品扱いの脂質改善薬スタチン系のリポスタチンを配合した脂質異常症改善サプリメントは堂々と販売されていたことです。国が変われば・・・とは言いますが、それにしても究極コンビネーションサプリメントに間違いないでしょう。パスタ、ピッツアなど小麦粉の消費量が莫大な国民なのに、イタリア人セリアック病や小麦グルテン不耐性が話題になったという話は耳にしませんね。
by nutmed | 2012-07-26 23:46

私事ですが、22日から1週間、臨床ミネラル学会とセミナー出席のため、ドイツとイタリアに出張します。来週はこの2つの国からのブログ投稿になると思います。

さて、今日はアルツハイマー症繋がりで、脳の働きに影響を与える原因の1つでもある、脳細胞の脂質の酸化についてです。
脂質はフリーラジカルが最も好む恰好のターゲットであることはご存じだと思います。
脳は人間の体内で肝臓に続いて最も脂質(脂肪酸)が多く集中している細胞組織と言えます。その一方で肝臓や他の細胞組織のように、抗酸化システムが手薄で脆弱な細胞組織でもあります。
これが脳の働きに多大な影響を与える原因の1つである、脳細胞の脂質の酸化(または過酸化)の背景です。脳の周囲には脳膜(硬膜・クモ膜・軟膜)がありこの膜が脳細胞を保護していますが、この脳膜の構成成分には多くの脂質(リン脂質)が含まれています。

脳がフリーラジカルの攻撃を受ける最初の最前線がこの脳膜になります。たった1つのフリーラジカルが脳細胞から連鎖的に電子を奪い取る間に、正常な脳細胞が8-10個も破壊されという研究報告もあります。パーキンソン病、アルツハイマーなど脳細胞が退化したり形が変化してしまうことによって発症する脳の病気の多くは、この脂質の酸化によって引き起こされます。
たとえば、パーキンソン病の場合、最初に現れる現象は、脳内のドーパミン生産にかかわる細胞の約70%が死滅してしまうことが報告されていますが、この原因にリン脂質がフリーラジカルの攻撃を受け続ける結果であると推測されています。逆にいえばパーキンソン病の症状が現れるまで脳細胞が攻撃を受け続けますが、70%もの細胞が死滅するまで精密検査をしなければ見逃してしまうともいえます。
多くぼ場合、脳膜のリン脂質をはじめ脳細胞の脂質が攻撃を受けるフリーラジカルの基になるのは、化学物質でしょう。トルエン、ガソリン、アセトン、アルコールなど、皆さんの日常生活環境内に深く浸透している物質ばかりです。

日本は欧米に比べてフリーラジカルによる細胞組織の酸化に対する国民の関心は高いほうだと思います。事の良し悪しは別としてマスコミ、メディアが散々「細胞がサビる酸化・・」をPRしてくれたおかげだと思います。残念なことはその関心の中心が「若返り」や「老化抑制」に向いていることですね。決して悪いことではありませんが、介護の問題など、ますます高齢化する日本社会を考えると、細胞、特に脳細胞の酸化についてもう少し地に足のついた関心を持ってもらいたいと感じます。
by nutmed | 2012-07-19 13:14

今日は上尾記念病院で栄養カウンセリングの日でしたが、連日の猛暑で来院するクライアントさんも大変です。

さて、今日はアルツハイマー(Alzheimer's)の予防にニコチン酸(ナイアシン)アミド:ビタミンB3が有望視されているお話を紹介します。
アルツハイマーの原因背景にはタウタンパク(Tau Protein)という物質(ここでは難しくまた長くなるのでタウタンパクの説明は省かせていただきます)が深くかかわっていることはすでに多くの研究者が動物および人の臨床実験でも証明報告をしているところです。もう10年以上もまえにカリフォルニア大学(アーバイン校)の研究チームが、動物実験によってナイアシンアミドがタウタンパクの発現を560%近く抑えることを証明し,その後人においても同様の結果が報告されました。
実際に私の師匠のDr.ライトのタホマクリニックではアルツハイマーの症状改善と予防にナイアシンアミドをポピュラーに使用していますし、アメリカの栄養療法だけでなく西洋医学のドクターの多くが今日、ナイアシンアミドをアルツハイマーの治療に取り入れて成果をあげています。
ナイアシンアミドはアルツハイマーの改善予防だけでなく、うつ病、パニック症候群、不安恐怖症など多くの精神神経症状の改善に有効であることが報告されています。

ただし、ナイアシンアミドの使用量に際しては留意する点があり、インスリン抵抗性を持った人の場合には、通常量よりも必要量が多いということです。インスリン抵抗性はアルツハイマーのリスクが高くなるという研究報告がいくつか発表されています。2型糖尿病を発症した人の多くがインスリン抵抗性を持っていることが報告されていますが、アルツハイマーのリスクファクターともなる2型糖尿病の人では、1日あたり500-800mgのナイアシンアミドを3回に分けての摂取が有効であると思います。加えて、現在2型糖尿病は発症していなくても家族の中に2型糖尿病を持つ人がいる場合には同様と考えてもいいと思います。
一方でインスリン抵抗性を持たない人の場合には、1日あたり50-100mgを3回に分けての摂取が有効であると思います。
ちなみに私はすでにインスリン抵抗性があり、両親が2型糖尿病であるため、2年ほど前から1日あたり650mgのナイアシンアミドとそれに伴ってその他のビタミンB群のバランスを考えて飲んでいます。

ナイアシンアミドはいわゆる「flush」という顔や皮膚の紅潮が少ないナイアシンのタイプでもありますが、これだけの大量服用に際しては他のビタミンB群の摂取のこともあるので、専門家の指示に従って服用をすることが望まれます。
by nutmed | 2012-07-18 16:08

海の日から見のこの連休は全国的に猛暑が本格的な火ぶたをきりました。昨年同様、節電意識の中で、この猛暑とどう付き合っていくかが今後の課題ですね。 まずは当たり前の話ですが水分補給は小まめにしてあげることは決して忘れないようにしましょうね。

さて、今日は有機酸についてです。
有機酸とは生物の生命活動において作り出される酸のことで、人の体の中でも生成される有用な酸です。一般に窒素を含まない炭素化合物のことを有機酸と言い、酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸が有名です。有機酸は微生物が増殖することを抑える働きをもっています。有機酸のひとつであるクエン酸は、酸性に傾きやすい体を、弱アルカリ性に保ちます。

有機酸を分析することによってミトコンドリア内でのクエン酸回路の機能についての重要な情報を得ることができます。クエン酸回路は9個の有機酸、8個の酵素から成り、食事からのエネルギー源である炭水化物、たんぱく質、脂質の中心となる代謝経路です。クエン酸回路での酵素の不足は有機酸中間性生物の非能率的な循環を引き起こします。実際に一つの酵素の不足がエネルギーの生産と適切な代謝を作り変えてしまいます。クエン酸回路生体機能に必要なエネルギーを供給しているためにこれを分析することは重要な健康状態の手がかりにもなります。

異常な有機酸の代謝物は、多くの栄養素が不足している場合、または栄養素が有効に使用されていないことを示します。ここで重要な概念は酵素活性の不足です。酵素の活性不足には多様なレベルがあります。酵素の活性不足の理由のうちのいくつかは加齢、消化不良、酸化、薬の副作用、不適格なビタミン,ミネラルの使用です。適切かつ的確なビタミンおよび栄養素を摂取することにより不均衡になってしまった代謝経路のバランスを維持することができます。いくつかの有名な代謝の不均衡によって引き起こされる症例は、カルボキシラーゼ不足、巨赤芽球性貧血、メチルマロン酸尿症、ビタミンB6性貧血があり、これらの症状はビタミンの服用量によって改善されます。比較的高用量のビタミンと補酵素により、酵素活性を回復し、そして欠乏、もしくは吸収不良である栄養素でも効率的に使用することができます。
by nutmed | 2012-07-17 16:14

関東地方は梅雨らしい雨がないままに、海の日を迎える来週には梅雨明け宣言がでてしまう予報です。
一方では九州、四国では観測史上最高の1日あたりの降雨量を記録するなど、全国的にアンバランスな気候が続いています。

さて、アブラナ科植物が持つ機能性成分についてです。アブラナ科に属する植物には、皆さんがほぼ毎日どこかで食べている素材ばかりです。キャベツを筆頭に.カブ、大根、からし菜、カリフラワー、京菜、クレソン、ケール、小松菜、すぐき菜、タアサイ、カイワレダイコン、高菜、チンゲンサイ、菜の花、野沢菜、白菜、パクチョイ、二十日大根、ブロッコリー、ホースラデッシュ、ルコラと、これだけの野菜がアブラナ科なんですね。
これらのアブラナ科の植物に含まれるのがグルコシノレート(Glucosinolates)と呼ばれる配糖体で、アブラナ科植物の葉、茎、根、および種子に広く存在している物質です。グルコシノレートには強い抗がん作用があることが世界中の研究機関から報告されています。グルコシノレートの抗がん作用には、がん細胞の成長を抑制する作用のほか、肝臓の解毒作用を促進強化することで発がん性物質の解毒促進作用があることが報告されています。抗がん作用ということでは、同じアブラナ科のブロッコリー、キャベツ、芽キャベツが以前から注目されていますが、その作用は、グルコシノレートが同じくアブラナ科植物が持つ酵素(ミロシナーゼ)によって分解されたインドールやイソチオシアネートと呼ばれる物質によるものが報告されています。日本でも一時期、カイワレ大根やブロッコリが乳がんや前立腺がんの予防食として話題になったことがありますが、もとをたどるとこのグルコシノレートになるわけです。グルコシノレートの含有量で言えば、アブラナ科野菜の中でもホースラディッシュに含まれているグルコシノレートの量はブロッコリー、キャベツ、芽キャベツの10倍以上と言う報告があります。
現在までに報告されているグルコシノレートの抗ガン作用については、動物、人による検討を含め多数報告されていますが、対象となっている臓器組織は、肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんで、特に乳がんでは、女性ホルモンのエストロゲンが関与するがん細胞の抑制作用が注目されています。
グルコシノレートには抗ガン作用のほかにも鼻の通りを浴する作用があり、ホースラディッシュの根をすりおろしたもは、欧米では古くからハーブ療法でも使用されていて、特に鼻炎(アレルギー性)、鼻詰まりの症状の改善には非常に有効で、私の親友でコネチカットで開業する栄養療法のドクターもヘイフィーバー(Hey fever:日本で言う花粉症)の鼻炎にはホースラディッシュの瓶詰を購入させて、それを小さじに半分取り、早朝と昼の食事前に水で薄めずにそのまま飲ませ、飲んだ後は少なくとも10分間は食事をしないように指示しています。私も鼻炎がひどくなると今でもホースラディッシュをこのようにして飲んでいますが、涙がでることがすくなくないですが非常に効果はあり、5分もすると鼻の通りが良くなり1日中爽快な気分を保ってくれます。
また、ホースラディッシュには強い抗菌作用があり、尿路感染症や細菌による気管支炎には有効です。明確な報告はありませんが、ホースラディッシュに含まれる強い抗菌物質と酵素が腎臓、膀胱を経て体外に排泄される経路の中で、尿路感染の原因菌の殺菌をすることと、この酵素の働きで利尿作用が強まり、腎臓・膀胱で炎症物質が強制的に排泄促進されるのではないかと考えられています。 事実、ドイツ(The German Commision E:日本の厚生労働省に相当)ではホースラディッシュを尿路感染症の治療処方薬として承認しているほどです。
日本のワサビにも同様な作用があることが国内の大学や研究機関から報告されているので、日本のワサビにも鼻炎の改善や尿路感染症改善効果があるのではないでしょうか。

ただ、グルコシノレートの摂取については注意をすることもあります。グルコシノレートが酵素変化によって作られる物質にゴイトリン(goitrin)という物質があります。ゴイトリンは甲状腺でヨウ素の取り込みを阻害するので,甲状腺ホルモンの合成が抑制されます.したがって,グルコシノレートが含まれる大量のアブラナ科野菜を継続して食べることで甲状腺ホルモン量が低下するので、潜在的に甲状腺ホルモン低下の背景がある方はアブラナ科野菜の食べすぎには注意してください。
逆に、最近体重が急に増えた、動悸がするようになった、エネルギー不足を感じる、体温調節がうまくできない、憂鬱などのような症状が気になる方は、食生活でアブラナ科の食材を食べ過ぎていないかを確認してみることも症状の原因を探るきっかけになると思いますよ。
by nutmed | 2012-07-12 14:43

以前何回か取り上げたザクロのブログを参考にさせていただいたことへのお礼ということで、福岡にあるザクロジュースを扱っている会社(ザクロ屋さん)からいただいた、濃縮タイプのザクロエキスを使って、ザクロ歯磨きを自作してみました。
d0070361_11322130.jpg

栄養医学研究所に出入りしている容器メーカーさんにお願いしてポリカーボネート製のチューブ容器をいただいて、市販の歯磨き粉を1本分とザクロエキス1包(20ml)を入れて十分撹拌混合したのち、チューブのお尻の部分を専用のパウチマシンで熱処理止めをしました。色は純白の歯磨きクリームがザクロの深紅が混ざることで淡いベージュ色になります。実際に食後にクリームでブラッシングをしてみましたが、思ったよりも味は悪くないので、これなら毎晩使えそうです。ザクロが口腔ケアに優れている点についてはここを参考にしてください。

さて、今日は読者の方からいただいた、砂糖の摂取が骨を弱くするのではないかということについて教えて欲しいという質問に回答したいと思います。
皆さんの中にも、砂糖の過剰摂取が骨や歯を弱くするという話を聞いたことがある人が少なくないと思います。砂糖が骨に与える影響は、すなわち砂糖(精製漂された炭水化物も同様)がカルシウムに与える影響と言うことになります。砂糖や精製漂白された炭水化物は、体内のカルシウムとリンのバランスを崩し、尿からのカルシウムの排泄が向上することで、血液中のカルシウム濃度を上昇させます。上昇したカルシウムがどこからやってくるかと言えば、骨(体内のCaの99%)、歯、筋肉から引き出され尿から排泄され低くなった血液中のカルシウム濃度を一定に保持しようとするためです。このような状況を防ぐためには過剰な砂糖t精製漂白された炭水化物を摂取しないことと、リンのバランスに影響を与える、リンが大量に添加されている炭酸清涼飲料水を飲まないようにすることです。
砂糖の摂取の目安は、我々の祖先の食事内容を参考にするのがいいかと思いますが、私は食事指導の時には1日あたりの砂糖の摂取上限は5g(こさじ1杯ほど)に抑えるように勧めています。5gと聞くと結構多いかなと思われるかもしれませんが、多くの日本人が毎回の食事で食べる食材の調理(調味料を含む)で使われている砂糖や飲料水に含まれる砂糖の量を平均すると、現代人の食生活では1日あたり30gの砂糖を知らずに摂っているという報告があります。
食材やサプリメントから摂ったカルシウムが体内にどのくらいの量吸収されるかということがよく話題になります。世界中の研究者によって動物、人による検討結果がいくつか報告されていますが、カルシウムそのものの性質、田のミネラル、特にマグネシウムとリン、ナトリウムとの皇后関係、糖分や酸性食材の摂取など、様々な条件と、現代人のストレス、生活環境を総合すると、残念ながら摂ったカルシウムの100%が吸収されることはありません。いくつかの検討報告を参考にして最大でも30%、平均すると15%ほどとされています。カルシウムの吸収量に影響を与える要因としての砂糖の過剰摂取は想像以上に大きいようで、サプリメントと言えばカルシウムに代表される日本人のサプリメント事情を考えると、摂ったカルシウムを有効に使える状態にするための吸収量の改善を真っ先に考えるべきだと思います。
そのための方法をいくつか紹介します。
1、フィチン酸への注意
フィチン酸はカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などの必須ミネラルと結合することで吸収を阻害するので、フィチン酸が含まれた食材(大豆を含む多くの豆類、穀類)を食べる時には前処理を十分に行うこと
2、ナトリウムの過剰摂取の注意
ナトリウムの過剰摂取によって血中のナトリウム量が増えることによってカルシウムの尿からの排泄を促すので注意。ナトリウムは清涼飲料水のほか、加工食品の添加物に頻繁に使用されます。
3、最適なビタミンD量の維持
カルシウムの吸収だけでなく、骨の石灰化にも作用するビタミンDの不足のないような食生活お飛び適度な日光浴にyるビタミンDの皮下での合成を向上させること。
4、小麦グルテンに対する不耐性をつくらないように注意する
明確な原因は不明ですが、グルテン不耐性による小腸におけるカルシウムおよびビタミンDの吸収が抑制されるという報告があります。
5、リンの過剰摂取に注意
血液中のカルシウムとリンがアンバランスになることでカルシウムの排泄が促される。リンは炭酸飲料水や加工食品の添加物として広く使われています。
6、適度な運動を継続して行う
カルシウムの吸収を向上させるためには、体内でのカルシウムの需要を刺激させることも重要です。そのためには軽くてもいいので一定の時間(20-30分)の適度な運動による筋肉と骨の刺激をすること。
by nutmed | 2012-07-10 12:12

今日は早朝は日もさす状態でしたが、すでにこの時間は、関東全域が雨雲の中にすっぽり入った状態です。
このあと雷雨になり激しく雨が降るようです。

さて、今日はうつ症状の改善のアプローチに有効と思われる食事のポイントについて紹介します。
うつ病の原因背景には、神経たんぱく質(セロトニン)の不足、ストレス性のものやホルモンのアンバランスなどが知られていますが、食物アレルギーおよび真菌(カンジダ菌、イースト菌など)、胃酸の分泌不足によることが少なくありません。うつ病の改善薬は効果がある反面、依存性が強くなることもありますので、食生活の改善も心がけていただくことが重要です。
今までにご自分の体が反応してしまうアレルギー抗原の検査を行ったことがなければ、1度病院などでアレルギー検査を行ってみることをお勧めします。
また、真菌(カンジダ菌、イースト菌など)が慢性的に腸内で繁殖しているかを確認するために、同様に病院などで便による細菌検査を行い確認することをお勧めします。
アレルギーを誘発するような食材として精製漂白された砂糖と小麦、カフェイン、合成糖分(アスパルテームなど)、MSG(味の素など)を避ける食生活も必要です
うつ病改善のために、神経たんぱく質(セロトニン)の脳内での合成と働きを高めてあげる以下の栄養素を積極的に摂取することを考えてください。
・ビタミンB3 ・ビタミンB6 ・ビタミンB12 ・葉酸 ・マグネシウム ・ビタミンC ・ビタミンE ・トリプトファン(アミノ酸)
これらの栄養素をサプリメントで摂取することも考えられますが、これらの栄養素を豊富に含む食材としてアボカドをお勧めします。 2日で1個を目安に食べるといいと思います。
また、胃酸の分泌が不足していないかを以下の方法ご自分で確認してみてください。

胃酸の分泌量チェック法
簡単な方法で胃酸の分泌量をセルフチェックしましょう
胃酸の分泌量が少ないと、食べた食物を十分に消化できないだけでなく、食物の分子が大きいまま腸へ送られることになり、本来吸収されなければならない大切なビタミン・ミネラルなどの栄養素が十分に吸収できない状態を引き起こします。また、腸の壁に炎症を来たし、大きな食物分子が血液中に流れ込み、アレルギーや自己免疫疾患を引き起こす原因にもなります。 
準 備
1、生のレモンを絞り果汁液をコップに入れ、水で5倍に薄める
2、夕食時に食事を食べながら以下のように飲む
 1口食べたら1口飲む。これをレモン水がなくなるまで同様の方法で飲む
判 定
*食後2-3時間後に胃が重く、不快感を覚えた方
・・・・・胃酸の分泌はある程度十分でしょう。
 
*食後2-3時間後、いつもよりスッキリした感じを覚えたり、空腹感を感じた方
・・・・・胃酸の分泌が足りないと思われます。
 
  胃酸の分泌が足りない方へのワンポイントアドバイス!
上記のセルフチェックで胃酸の分泌が不足気味の方は、毎食時にレモン果汁と水を1:5の割合で希釈したものをコップ1杯つくり、食事中にこれを2-3回に分けて飲むことで消化を助けることができます。

明日から週末です。この週末の天気は今一つのようですが、そろそろ各地で夏の風物号時がはじまっているようです。東京入谷のあさがお祭りも今日からスタートですね。この時期、日本の良さをじっくり堪能したいものです。
それでは眠さんもよい週末を!
by nutmed | 2012-07-06 16:32

我家の物置でこの春に産まれたらしい子猫の捕獲作戦が昨夜展開されまして、5匹の子猫の内3匹を捕獲成功し、2匹は知り合いの里親に引き取っていただき、残る1匹は我が家で飼うことになりました。
d0070361_17295919.jpg

少し体格が大きくなってしまっていたので、捕獲作戦は難航し、私の両手の3本指は見事に噛みつかれ血まみれでした^^;;

さて、今日の話題は、今年の後半から密かに私が大きな期待を寄せている機能性素材のRed beet(赤カブ)について少し紹介します。
d0070361_1733121.jpg

最近、日本のスーパーやデパートでもたまにみかけるRed beetですが、私の知人の商社がこの秋からニュージ^ランド産のRed beetの本格輸入をスタートすることになりました。アメリカに旅行された方や住んでいらっしゃる方にとってRed beetは非常にポピュラーな野菜だと思います。私もカナダ、アメリカに留学していたときには散々食べた野菜ですから、少なくとも私がカナダに住んでいた35年前からスーパーマーケットではポピュラーに見かけた野菜ですね。かつて日本にもたくさん進出してきていたアメリカのステーキレストランチェーンが、サラダバーと称して盛りだくさんの野菜を自由に取って食べることができるシステムを展開していましたが、あのサラダバーの一角には必ずred beetの酢漬けスライスが置いてあり、私も大好物でした。
d0070361_17411493.jpg

ただ、この赤い色素が多少厄介で、衣服に付くと中々取れないほど強固な色素で、食べた後の舌はもちろん真っ赤になりました(笑)
このRed beetには、今でこそ日本の妊婦さんの間では妊娠初期の常備栄養素になった葉酸が非常に豊富に含まれています(147mcg/100g) そのほか、ナイアシンを筆頭にビタミンB群の宝庫でもあることや、β-カロテン、ビタミンCも豊富に含まれた野菜です。
Red beetにはフィトケミカルとしての非常に有用性の高い機能性成分であるBetaineとbetalainsもふくまれており、それぞれが強力な抗酸化作用をもっているほか、血圧の効果作用、抗炎症作用、抗がん作用も報告されており、日本人の食生活にもっと普及シテほしい素材の1つでもあります。ビタミン類の他にも亜鉛、銅、マンガン、カルシウムなどの必須ミネラル類も豊富に含まれていることから、まさに機能性素材としての有用性が高い野菜です。
by nutmed | 2012-07-03 17:51