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1昨日に掲載お知らせしました栄養療法塾の募集につきまして、掲載から2時間あまりで16人の方から応募申込があり、その後も申し込みが続きまして、本日募集定員になりましたので、募集は締め切りとさせていただきます。
来年には第二期の開校も予定しておりますので、今回受講が叶わない方は次回の募集をお待ちください。
by nutmed | 2012-09-28 12:24
ここ数日、台風に刺激されて北上してきた秋雨前線の影響もあってか、ひと雨ごとに肌寒くなってきましたね。この20年ほどは、秋の訪れを空気の温度や草木の変化よりも以前に、我家の飼い猫が、膝の上に飛び乗ってきて体を丸くすることで感じるようになっています。今年も3日前から昨年から我家の一員になった猫が、読書をしている私の膝の上に飛び乗ってきたので、そろそろ本格的な秋の到来かなと感じたところです。

さて、今日は私の師匠デモあるTAHOMA ClinicのDr.ライトのMy Best Functional Herbsのリストにもラインアップされており、私自身も5年前からお気に入り素材の1つとして常備している、ブドウの種子の抽出エキス(GSE:Grape Seed Extract)の構成成分であるOPC:Oligo Proanthocyanidins)オリゴメリック・プロアントシアニジンについて紹介します。
日本ではあまり馴染みのないOPCですが、フランスをはじめ欧米では40年ほどの歴史のある機能性素材でもあります。分子量が一般的なバイオフラボノイドよりも大きいのが特徴で、赤ワインを生産するブドウの種子からフランスのボルドー大学の研究者が見つけた素材で、ブドウの種子のほか、フランスの西海岸に生育する松の樹皮からも抽出されています。日本ではピクノジェノールやフラバンジェノールという名称で商品が紹介されています。
OPCには強力な抗酸化作用があることが報告されているほか、花粉症アレルギーの背景となるヒスタミンの放出を抑える作用などが報告されています。しかし、GSEなどOPCの最大の作用は、末端にある毛細血管を流れる血液量の促進作用だと思います。おそらく、GSE、ピクノジェノール、フラバンジェノールなどのOPCの作用として紹介されている中野90%は、OPCが持つこの毛細血管の血流量促進による微小循環機能の向上によるものだと考えます。
毛細血管の血流量を促進し、微小循環システムの向上改善が有効な症状は、2型糖尿病性の神経障害、黄班変性、白内障、緑内障のほか、脳や心臓の梗塞、アルツハイマー性痴呆、レイノー症候群、リーキーガット症候群
過敏性腸炎、潰瘍性大腸炎などの腸の症状など、微小循環システムが停滞することによって起きる様々な症状の改善には有効な素材がOPCと言えると思います。
by nutmed | 2012-09-28 11:34
先週末、名古屋で開催されていた日本高血圧学会の中で、興味深い報告があったので紹介したいと思います。9月22日に同学会で国立国際医療研究センター病院から発表された、重症の低血糖症状を発症した人では、高率に高血圧症状が発症するという報告がされています。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2012/201209/526896.html
これは欧米でも以前から報告されていた内容ではありますが、今回の報告内容をみる限りでは、同病院に救急搬送され、重症低血糖診断された患者の搬送時の血圧をレトロスペクト(過去に遡って)調査した結果として、高血圧と診断できる患者が有意に多かった。また、その原因は、血圧を上昇させるカテコールアミンの分泌量が増えたことによるものと考えられると結論付けています。
私の中で、低血糖症状の人で血圧は高くなる背景には、以前から紹介してきた副腎疲労がその背景にあるものと考えています。副腎が疲弊し副腎の働きが低下する(実際には副腎疲労の初期段階では一時的に副腎機能更新状態になる)しますが、このときに、副腎皮質ホルモンで電解質(ナトリウムとカリウム)のバランスをコントロールするアルドステロンの分泌量と働きにも影響があり、血圧を上昇させるナトリウムが細胞中に増加するためだと考えています。もちろん、全てではないにしても低血糖症状の多くが、そのスタートを副腎疲労からきることも背景になります。
既に、低血糖症状持っている方は、定期的に受けているであろう血液検査でナトリウムとカリウムの数値とバランスを確認してみることをお勧めするとともに、症状が重症化し血圧が高くならないよう予防することも重要です。
by nutmed | 2012-09-26 14:28
今日は、かねてより計画をしており、周囲の方からの強い要望もありました、「実践 栄養療法塾」の開校骨子が決定しましたので、告知をさせていただきたいと思います。原則として受講対象者は一般の方ではなく、医療従事者またはパラメディカル従事の方に限定させていただきます。
授業内容は、6カ月間で毎月1回のスクーリングによる講義および教材によるEラーニングとなります。 カリキュラム内容は以下を参照ください。基本的に栄養素やサプリメントの基礎からの講義は省略し、即実践で使える具体的なスキルと知識を中心に進めます。 6カ月の修了時には栄養医学研究所の認定による修了証書を授与します。 開校日と一回目の講義は平成24年12月9日(日曜日)午前9時からとなります。
教室の関係もあり募集人員は20名とさせていただいております。募集中に定員になり次第募集は修了とさせていただきます。

栄養療法実践講習塾「CNS」の案内
1、受講対象者:医師、歯科医、栄養士、看護師、薬剤師、歯科衛生士、カイロプラクティクス、整体師、鍼灸師、マッサージ、アロマセラピスト、スポーツトレーナーその他現在メディカル、パラメディカルに従事している方

2、スクール期間:6カ月間
        基本的に月1回の講義(3時間)+Eラーニング
3、募集人員 :第一期 20名
4、授業料  :入学金 ¥12000
      授業料 ¥ 8000/月
5、開校場所  :東京都中央区日本橋蛎殻町1-15-5
         東京メトロ半蔵門線「水天宮前」下車6番出口より徒歩5分
         東京メトロ日比谷線「人形町」下車A2出口より徒歩5分
6、開校日程(予定)  :毎月第2日曜日 午前9時から午後12時
7、予定カリキュラム
  ・スクーリングカリキュラム
   ①消化分解吸収とサプリメントの形状
   ②症状確認のための簡易検査
   ③副腎疲労とその改善
   ④代謝タイプの確認と栄養指導
   ⑤脂質異常症の改善
   ⑥食事指導凡例と実践ロールプレイング
  ・Eラーニングカリキュラム
   ①疾患別栄養療法
   ②症状確認のための簡易検査
   ③食事指導の実際
   ④サメントの使い方
   ⑤アミノ酸と必須脂肪酸
   ⑥食物不耐性(レクチン不耐性)


受講申し込みは以下の内容を記載の上nutmednst@gmail.comまでメール送信ください。
メールの件名は「NST受講申し込み」と記入してください
・お名前:
・ふりがな:
・〒:
・住所:
・ご職業:
・連絡メールアドレス:

by nutmed | 2012-09-25 11:07
今日は、テーマとして扱う内容が決まっていたのですが、先ほどからケルセチンについて電話とメールでの問い合わせが殺到していて、何でだろうと思ったら、今朝の「はなまるマーケット」でケルセチンの特集があったとのことです。ケルセチンは私のブログでも扱ってきたテーマとしてはTOP3に入るほど、力説してきた非常に機能性の高い素材ですし、栄養医学研究所でも非常に質の良いケルセチンのサプリメントを扱いはじめて10年になりますので、どんな方法であれ、国民に認知されることは嬉しい話ではあります。
そこで、相乗りというわけではないですが、ケルセチンについて今日は再び紹介したいと思います。

ケルセチンはフラボノイド類の中でもエビデンスの数も、機能も医薬品と遜色のない機能性素材です。
アメリカで2003年から継続されてきているケルセチンと糖尿病の治療に関するロングランな研究の最終段階の報告が、2009年1月に報告されていたのでそれを少し紹介しましょう。
この研究はアメリカの厚生労働省にあたるNIH(National Institutes of Health、国立衛生研究所)で2003年にスタートした研究で、肥満傾向にある血糖値が高い、いわゆる2型糖尿病の予備軍と判定された19歳から65歳までの32人の男女のインスリンに対する抵抗性が、ケルセチンによって抑制される可能性の確認研究です。
1日あたり1500-1700カロリーの制限食と1日20分間の軽いウォーキングに加えて、1日あたり2グラム(2,000mg)のケルセチンを服用した場合とそうでない場合を、3か月ごとに同じ人間で繰り返し検討を行った結果では、明らかにケルセチンを服用した場合のほうが血糖値の下がる反応は良く、つまりインスリンが十分に機能していると考えられる結果が現状までに出ています。
カナダのトロント大学のケルセチンに関する症例報告の中に、このNIHの研究に似た症例報告があります。
ぜんそくの治療で来院した26歳の男性の場合、体重が105kg、身長170cmで明らかな肥満に加え、空腹時血糖値が157ありましたが、ぜんそく症状を改善する目的で1日あたり1500mgのケルセチンを4ヶ月間摂取した結果、ぜんそくの症状が軽減したと同時に、空腹時血糖値が97まで安定するようになっていました。

ケルセチンがインスリンの抵抗性を抑制する詳細なメカニズムはNIHの今後の研究報告に期待するところですが、研究チームでは、小腸におけるグルコーストランスポーター(GLUT:glucose transporter)の働きに何らかのかかわりがあるのではないかとしています。

ケルセチンはアレルギー症状、気管支炎などの炎症をともなう症状の緩和に働く抗炎症作用は医薬品の抗炎症剤に匹敵する作用を持っていることは200以上の研究報告が世界中で報告されていますし、実際の臨床現場でも抗炎症剤の代わりに処方されたり、同時に使用されることも決して珍しいことではなくなってきました。
ケルセチンは日本ではまだ汎用性の低い機能性成分ではありますが、副作用が非常に少なく、的確に炎症や痛みを抑える作用をもった数少ない成分であると考えます。
アメリカでは医薬品メーカーもケルセチンの薬理作用には非常に高い関心をもっており、政府にプレッシャーをかけてケルセチンを「医薬品カテゴリー」に入れようとする動きも見え始めているのが非常に気がかりではあります。
by nutmed | 2012-09-20 10:36
来月、10月14日に開催される私が講師を務めるセミナーのチラシができ、配信されてきましたので、掲載させていただきます。事務局の方の話では、参加申し込みも増え始めているとのことですので、ご興味がある方は是非おいでください。
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さて、今日は私のブログではもうお馴染みの副腎疲労の症状の1つでもあり、最近栄養カウンセリングや健康相談でもにわかに増えている気がする症状の1つ「光が眩しい」と感じる症状についてです。
私が毎週水曜日と隔週木曜日で行っている栄養カウンセリングに来られるクライアントの訴える症状の中で、この数年増加傾向にあるのが「太陽の光や蛍光灯、車のヘッドライトが眩しくて辛い」というものです。例えば、クライアントの年齢が50歳を超えているような場合には、白内障、2型糖尿病や加齢性の黄班変性の可能性も考慮する必要があるでしょうが、このような症状を持ってくる方の年齢は決して高いわけでもなく、20代、30代の方が圧倒的に多いように感じます。私は自分でもそうであると同時に、周囲の友人や知人には、外出の時、特に春から秋の外出の時には必ずサングラスをかけて紫外線による網膜への影響を予防するようにアドバイスをしています。このような症状を持った若いクライアントの多くは、あるときから突然、光が眩しく感じられるようになったり、視界が真っ白になるホワイトアウトのような状態になることが少なくありません。
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太陽の光や蛍光灯の光が眩しいと感じるような症状を持ったクライアントに確認してみると、他にも不眠が続いている、朝起きるのが辛い、筋力と運動能力が低下したと実感する、そして疲れが中々抜けずに慢性化しているというような症状を併せ持っている人が多いことに気がつきます。これらの症状は以前から何回も扱ってきた副腎疲労の症状と重なるものばかりです。実際に、ストレス、ウィルスや細菌感染、薬の服用、重金属汚染、アレルギーなどによって、副腎疲労のシナリオがスタートし、ドミノ倒しのように体内環境の仕組みがバタバタと倒れ機能しなくなる状態になって出てくる症状の1つに、今回紹介する光が眩しく感じる「光過敏」の症状があります。これは、化学物質過敏や臭気過敏の症状にも似たメカニズムだと考えられます。
何故、副腎の疲労が光に対する過敏反応を現すようになるのでしょうか?2008年1月のブログで長期テーマとして扱った副腎疲労の中で、副腎疲労状態の自己チェックテストの紹介をしていますが、その中で瞳孔反応による自己チェックの方法を紹介していますが、目が光に対して反応して、網膜に届く光の調節をしている瞳孔の大きさを
調節している虹彩の働きと副腎の働きは密接な関係を持っています。因みに、虹彩は副腎だけでなく人間の様々な臓器組織の働きと密接な関係をもっていて、虹彩の形、色などを診ることで臓器組織の働きを観察する「虹彩学(IRIDOLOGY)」という学問がドイツ、インドを中心として古くから発展してきています。
光が眩しく感じる光過敏の症状を持っている方は、一時的なものではなくその症状が継続しており、上記のような副腎疲労の諸症状を併せて持つ様な場合には、その光過敏の症状が副腎の疲労からくるものである可能性を考慮して症状の改善アプローチを進めたほうがいいと思います。
まず、お勧めすることは砂糖、小麦粉などの精製漂白された単純な炭水化物の摂取を控えることと、現在クリニックまたは病院で症状の治療改善を行っている場合には、血液検査で電解質ミネラル(ナトリウム、カリウム、クロール)の数値を確認することをお勧めします。また、症状が出始めてから血圧が少し高くなり始めていないかどうかも確認して診ることは有効です。私が栄養カウンセリングで経験したクライアントのケースでは、副腎疲労の初期段階に多いタイプの人で、副腎が昼夜問わず全開状態でフル回転の状態の人が多く、血中カリウムは4以下、ナトリウムは145以上、クロールが110以上で、ナトリウムが過剰でカリウムとナトリウムのバランスが不均衡状態であることがほとんどです。このような症状の改善にはカリウムが豊富な食材、これからの季節なら、リンゴ・ブドウ・なし・栗・芋など、カリウムに富んだ食材がお勧め食材であると同時に、日常的に使う塩についてはナトリウムの含有量が95%以上の食塩、テーブルソルトではなく、カリウムほかのミネラル成分も含有される海塩や岩塩、藻塩などがお勧めです。 光が眩しくなる症状が頻繁に出て辛いような場合、このような塩分を少し摂ってみて症状が軽減するようであれば、副腎疲労の状態はナトリウムとカリウムのアンバランスから来ている可能性が考えられますね。
by nutmed | 2012-09-19 16:39
週末に沖縄、九州で猛威をふるった台風の影響で、近畿、東海は今朝から大荒れの天気だそうです。水分を大量胃含んだ南風が台風の東側から巻き込んでくるので、今後関東、東北も大雨と風邪と気温の上昇で荒れ模様の予報ですから、十分注意してください。

さて、今日はトコフェロールの話題についてです。
ビタミンEは最も有名なビタミンの1つであることは皆さんも同意していただけるでしょう。最近でこそ、ビタミンEと言えばトコフェロールといわれるようになりましたが、相変わらずビタミンEはビタミンE単体として捉えられていますね。ビタミンEの詳細な内容成分を見てみると、トコフェロール以外に「トコトリエノール」という成分がビタミンEを構成する成分として存在しています。
トコフェロールとトコトリエノールは非常に似た物質ですが、体内ではそれぞれ異なる働きをすることもわかってきました。例えば吸収について言えばトコトリエノールのほうがトコフェロールよりも早く優れていることや、抗酸化作用については、トコフェロールよりもトコトリエノールのほうが勝っていることが最近の研究でわかりました。海外の研究者の中には、従来から一緒に扱われてきたトコフェロールとトコトリエノールを別物として明確に分けて考え、扱うべきだと主張する人も少なくありません。実際に私もそう感じている1人です。
トコトリエノールが豊富に含まれる素材原料は多いですが、代表的な素材はココナッツ(パーム)、米、そしてアナトー(Annatto)と呼ばれる熱帯性植物の種です。アナトーは茶褐色の天然食品着色料として日本でも使われています。
α-トコフェロールは市販されているビタミンEの主要成分として多く使われていますが、2005年にアメリカ栄養学学会誌で発表されたドクターTanらの研究によると、α-トコフェロールはトコトリエノールの吸収を阻害することが報告されています。また、1996年にニュートリションジャーナルで発表された研究によると、トコフェロールにはコレステロールを抑制する作用はほとんどなく、トコトリエノール(特にデルタ-トコトリエノール)にはその作用が多く存在していることが発表されています。
最近、アメリカでアナトーから抽出されたトコトリエノールが、強い抗がん作用を示すことが話題になっていますが、その背景にはデルタとガンマのトコトリエノールが持つ強力な抗酸化作用およびがん細胞のアポトーシス(細胞が死ぬプログラム)に関わる酵素(カスパーゼ)の活性を向上させることによるものだと考えられています。
また、トコトリエノールにはコレステロールの合成に関わる酵素の働きを抑制することが分かっており、心臓病などの循環器疾患の予防だけでなく治療にも有効な素材と考えられています。
従来からビタミンEの抗酸化作用とコレステロール(LDL)抑制作用が心筋梗塞などの循環器系疾患の予防に有用であることが叫ばれてきました。しかし、市販されているビタミンEサプリメントの多くがα-トコフェロールを中心とするミックストコフェロールを配合した商品で、トコトリエノールが配合されたビタミンEは非常に少ないのが現状です。2002年にドクターQureshiらが発表した人による臨床研究によると、LDLコレステロールの抑制作用についてトコフェロールとトコトリエノールで比較したところ、α-トコフェロールでは15-20%の抑制作用であったのに対して、β-δ-トコトリエノールでは60%の抑制作用があったことが報告されています。
by nutmed | 2012-09-18 15:15
今日は朝から予定とおり人間ドッグ入りです。午前中の胃カメラはなんの異常も確認されずいたって健康な胃の状態を確認して終了しました。このあと、大腸スコープ検査があるので2リットルの下剤と格闘中です(^^;;
さて、今日は、うつ症状では頻繁に処方されるSSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)と呼ばれる薬に関して以前から私が持っている疑問についてお話しします。

トリプトファンは主に脳内で神経伝達物質(ホルモン)であるセロトニンに変化をします。セロトニンは気持ちの抑揚、情緒、眠りおよび食欲のコントロールをしている物質です。繰り返しますがセロトニンはトリプトファンというアミノ酸から合成され変化した物質でその過程を簡単に表すと以下になります。
ここは今日の話の中で重要なポイントなのでよく理解しておいてください。

日本でも昔から処方されてきた「パキシル」といううつ病改善薬(抗うつ剤)があります。アメリカでは1992年にFDAが認可しその8年後の2000年に日本でも承認された薬です。この薬は不安症、パニック症候群、非社交的症状、生理前の情緒不安などにも適用されている薬で、その働きは放出されたセロトニンが再び神経細胞に取り込まれてしまうことを阻害する作用を持っています。
セロトニンが何かの情報を持って神経細胞の間を行き来するためには、セロトニンの受容体(Serotoninn Receptor)を介して情報を受け渡しをしますが、この受容体と巡り合わなかったセロトニンは再び神経細胞に取り込まれてしまうため、パキシルのようなSSRI薬によってその取り込みを邪魔することになります。最近では第2世代抗うつ剤としてSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)も処方されはじめてはいます。
つまり、多くのドクターは、うつ症状を持った方だけでなく、情緒不安定、不安感、不眠などのトラブルを抱えている方の多くはこのセロトニンの生産能力またはセロトニンを合成する元となるトリプトファンが何らかの原因で少ないまたは不足していると考えているわけです。実際にパキシルなどの抗うつ剤を処方しているクリニックのホームページをのぞいてみると、 「セロトニンは、神経細胞内で作られ、神経伝達物質として放出されると同時に、同じ神経細胞に再度取り込まるという性質があり、正常であればこのバランスが保たれているのですが、セロトニンが低下してくるとバランスが崩れ、思考面や感情面で様々な症状を引き起こすとされています。パキシルは神経伝達をスムーズに行う役目があり、服薬を続けていくことで、神経伝達物質の機能が正常化し、症状が改善されていきます」と書かれています。
ここが臨床栄養学を学んできた私の疑問でもあります。セロトニンはもともとアミノ酸のトリプトファンから作られる物質であるわけですから、SSRI薬を使ってセロトニンの再とりこみを邪魔する以前にセロトニンの元であるトリプトファンに着目することがスタートラインではないかと思うのです。トリプトファンが豊富に含まれる食材やトリプトファンを正しく吸収するための環境などをアドバイスするだけでなく、実際に体内にトリプトファンがどれほど存在しているのかを検査してみることも重要な手がかりになります。
もう少し詳しく言えば、トリプトファンから5-HTPを経てセロトニンが合成されるプロセスではいくつかの酵素とビタミンB6(ピリドキシン)が必要になります。
私の師匠でもあるDr.ライトがタホマクリニックで行っているうつ症状を持った方への治療における第一選択肢はやはりトリプトファンを中心に考えたもので、専門の栄養士によるトリプトファンの食事からの摂取方法や5-HTPとビタミンB6、マグネシウムのサプリメントの処方で、尿検査によって体内のアミノ酸総量を分析することも欠かせません。
最近では日本でも食事療法を積極的に取り入れたうつ病治療を行っているドクターも見られるようになりましたが、この2年間でパキシルやその他のSSRIを処方されているクライアントに行った栄養カウンセリングでは、トリプトファンや食事内容などについては主治医から指導をされていない方が圧倒的に多いことは残念でした。
SSRIでセロトニンを有効に使うことはいいとしても、そのセロトニンの元になるトリプトファンを増やし、効率的かつ適切にセロトニンの合成を増やすことが先決であるはずです。
by nutmed | 2012-09-14 13:17
明日は年に1回の人間ドッグ検診で、1日で午前中に胃カメラ、午後に大腸スコープを行うことになっており、本日のランチから消化器を音の得るメニューに入ります。この10年毎年行っていますが、7年前から銀座数寄屋橋にある「みゆき通りクリニック」の梶原先生にお願いしています。梶原先生は消化器の専門で栄養療法にも理解があり、いつも適切なアドバイスをいただけるドクターとして絶大な信頼をおいています。

さて、今日はセロトニンについての3回目です。セロトニンは痛みのほかいろいろな情報を伝達するための神経伝達物質で、脳内での神経機能には重要な働きを持っています。セロトニンは脳以外でも合成され働く物質で、実は脳で合成される量は体内全体の約2%で、そのほかその多くは小腸で合成され腸の筋肉の運動(ぜんどう運動や毛細血管の収縮)にかかわっています。また胃酸の分泌を抑える働きもあります。
セロトニンの生産量と作用する量が大きく関わるうつ症状や睡眠、集中力、記憶力に影響する症状を持った人の中に、便秘や慢性的な下痢、鉄や亜鉛の吸収不足などの腸の働きが良好でない背景を同時に持つ人が多いのはこのためです。
体内に吸収されたトリプトファンがセロトニンに代謝変化される過程で2つの重要な酵素があります。1つは肝臓で働く酵素でTDO(tryptophan 2,3-Dioxygenase)と肝臓外で働く酵素のIDO(indoleamine 2,3-Dioxygenase)という酵素です。
トリプトファンが含まれる食材を沢山食べたり、トリプトファンの含まれるサプリメントを飲んだ後、血液中のトリプトファン濃度が高くなると肝臓で働く酵素のTDOが活躍しはじめます。TDOは血液中に存在する過剰なトリプトファンを酸化させ、二酸化炭素、水およびATP(アデノシン三リン酸)に分解しトリプトファンの過剰を防ぎます。一方、肝臓の外で働く酵素のIDOは少し厄介な酵素で、トリプトファンが血液中に過剰ではなく、逆に少ない状態でもトリプトファンを酸化させ活性を低下させてしまう働きをもっています。
いずれにしてもTDOとIDOの酵素が働きはじめると、トリプトファンがセロトニンに変化することは容易ではなくなります。ここまで書くと、うつ、慢性疲労、肥満を改善するために、セロトニンの源となるトリプトファンを積極的に摂取することは有効だけれども、このTDOとIDOの酵素によって、仮に大量のトリプトファンを摂取してもセロトニンに変化したりタンパク質を合成する前にトリプトファンが酸化されてしまうということがわかっていただけるでしょうか。つまり、トリプトファンをいくら大量に摂取しても皆さんが想像しているほどセロトニンには変化していないということになります。
「それではうつ、慢性疲労、肥満を改善するためにトリプトファンが豊富に含まれる食材を積極的に食べても意味がないではないか・・」という声が聞こえてきそうですが、そうでもないんです。この体内のメカニズム、特に酵素の働きに注目し、摂取する方法と補うべきビタミンを考えれば副作用なく、トリプトファンを効率的にセロトニン(メラトニン)に変化をさせることが可能なんです。
その方法は次回に紹介します。
by nutmed | 2012-09-13 12:08
今日は「脳内セロトニンの生産向上」についてです。
セロトニンと食欲は深い関係にあり、セロトニンが正しく合成され満たされることで食欲が湧いてきます。セロトニンが不足をすることによって炭水化物、それも短時間で糖分に変わるGI値の高い単純な構造をした炭水化物の欲求が高くなり、結果として脂肪が増えることになります。この背景はセロトニンを作る源になるトリプトファンが少ないために、トリプトファンの吸収代謝を増加するために起きる現象と言ってもいいでしょう。これは第589回の章を見ていただければ原因がおわかりいただけると思います。
海外の研究論文を見ても、私のクライアントさんの状況を見ても、肥満や過食の根本原因の1つにはこのセロトニンの不足があることは間違いないと思っています。
2007年にオーストリアの研究グループが行った報告を見ると、肥満の方の多くは体内のどこかで慢性的な炎症と免疫システムが過剰反応していと報告しています。日本のドクターが行っているかどうかはわかりませんが、この2-3年の間に欧米では肥満の治療の際にこの炎症の有無を確認するために血液検査でCRP(C反応性タンパク)という炎症の有無の確認検査を行うことがポピュラーになってきました。炎症を引き起こすタンパク質(サイトカイン)は脂肪で作られ分泌されますが、このタンパク質はトリプトファンの働きに影響を及ぼすIDO(indoleamine 2,3-Dioxygenase)という酵素で、このタンパク質(インターフェロンγ)によってIODは活発に働くようになります。このIDOが活発になるとトリプトファンが影響を受けセロトニンの合成量が少なくなるということになります。セロトニンが不足すると炭水化物、それも短時間で糖分に変わるGI値の高い単純な構造をした炭水化物の欲求が高くなり、結果として脂肪が増えることになります。
実際にトリプトファン(L-トリプトファン)を食事の1時間前に1回あたり1000-2000mg飲んでもらうことで、食欲を抑えられることは少なくありません。
もちろん現在何かの薬、特に神経の働きにかかわるような薬や睡眠導入剤を処方されている場合には主治医に相談することは言うまでもありませんが、なかなか思うように減量効果があらわれない方にはトリプトファンを摂取することを考えてみるといいと思います。その際にはまずはヒマワリの種からスタートしてみるといいでしょうね。
by nutmed | 2012-09-12 09:28

栄養・健康・食に関する気ままな日記


by nutmed