臨床栄養士のひとり言

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第1237回 塩による慢性疲労の症状改善報告例

アメリカの東海岸は近年まれにみる巨大なハリケーンの来週によって、丸2日感ほぼすべての都市機能が失われています。先週私がいたアメリカ西海岸もこの時期には珍しい連日の雨雲発生も、実はこのハリケーンの間接的な影響があったそうです。世界的に大都市が自然の猛威にはなすすべがなく、脆弱な状態を露呈した結果になりましたが、その気象の変化の背景にもわれわれ人間の影響があることを忘れてはいけないですね。

さて、今日の話題は先日紹介した塩による慢性疲労症状の改善の続報を少し紹介したいと思います。
北海道在住の女性で、以前から自己免疫疾患とアレルギー症状を伴う体調不良、特にエネルギーの枯渇感や慢性的な疲労、便通障害などで長期間悩んでいる方です。かかりつけの病院で症状の改善を進めてきていますが、期待する状態までにはいたっていない状況でした。以前の私のブログをたどっていくうちに、自分の症状が小麦グルテン不耐性による症状に類似していることがわかり、独自に小麦(グルテン)食材を避ける食生活をはじめたところ、従来から残っていた気になる症状のいくつかに改善が見られ、さらに小麦食品除去を続けていくことで体調もよくなってきたとのことです。ただ、完全に体調が良好な状態、期待する状態までには至っていないことから、直接メールでの相談をいただきました。
この女性の小麦除去食生活による症状の改善を見る限り、多かれ少なかれグルテン不耐性が背景にあることは濃厚で、直接的にも間接的にも副腎の働きに影響が出ていることから、エネルギーの枯渇感や慢性的な疲労、睡眠不良などがあるものと考えられたので、以前ブログで紹介しあようにナトリウムとカリウム、その他のミネラルのバランスの良い自然塩を、副腎の機能が立ち上がり、スパークが入る早朝に水に溶かして飲んでいただくようにアドバイスをしました。
先々週のアメリカ出張前夜にこのアドバイスをして、吐き気、めまい、むくみなどの症状に注意しながら1週間継続して早朝の塩水接種を続けてもらいました。この月曜日にこの女性からメールをいただき、塩水を飲み始めてから、いつも辛いと感じていた通勤途中の坂道が無理なく平気で登れるようになり、仕事後に1時間ほど歩いて買い物もできるようになり、何よりも睡眠の質が向上し、ぐっすり眠ることができるようになって、エネルギーの枯渇感や疲労感もかなり少なくなってきたということです。
おそらく、この女性の場合には、長期間グルテンに対する過敏状態が続いてきたことで、腸の働き、神経、特に自律神経機能への影響が慢性化してきたことで、副腎の働きを左右する電解質ミネラルのナトリウムとカリウムがアンバランスになった可能性が考えられます。
最近では塩分に注意する食生活を送っている国民が多くなっているので、にわかに自分がナトリウムとカリウムのバランスが崩れていると感じる人は少ないと想像します。しかし、私の経験と実感では、この10年ほど日本人の中にも明らかな副腎披露や慢性疲労が増えており、その原因の1つに電解質のナトリウム過剰と、それを招くナトリウムの過剰摂取があると思っています。 ナトリウムの摂取源としては確かに食塩、テーブルソルトなどの合成された塩が多いと思いますが、意外に侮れないのは、毎日皆さんが食べる加工食品の添加物として使われているナトリウムでしょう。スナック菓子やファストフード、炭酸飲料水、最近ではエネルギードリンクなんていうたぐいもその1つです。
by nutmed | 2012-10-31 09:55

第1236回 アメリカのダイエット素材事情

1週間のアメリカ出張から昨日無事帰国しました。 アメリカ西海岸は例年になく雨が多く、特にロスアンジェルス近郊でも連日数時間の雨模様の天候で、こんなところにも異常気象の影響があったのかと思った次第です。
今回の出張では予想以上に収穫が多く、興味深い素材と商品にたくさん巡り合ってきました。
その中の1つが今日紹介する、アメリカでもも最近にしては珍しく大きな話題になっているダイエット素材の「Green Coffee Beans Extract」つまり、未成熟の緑色のコーヒー豆から抽出されたポリフェノールです。アメリカの昼帯で毎日放映されている情報番組に登場するDr.OZ(ドクターオズ)という医師がサプリメントの紹介する番組で取り上げられた途端に、1分間に10万本の注文が殺到した素材です。この数週間で、どこに行っても、ネットで検索しても売り切れ続出の人気商品にまで上り詰めたGreen Coffee Beans Extractですが、動物だけでなく人間による臨床検討もそこそこでており、減量の有効性は高いと考えられています。
Green Coffee Beans Extractの成分に含まれる減量効果をもたらすポリフェノールはクルルゲン酸(chlorogenic acid)と呼ばれる物質で、脂肪の代謝(燃焼)を促進することが分かっています。日本でもクルルゲン酸についての研究報告はあり、大腸癌、肝癌、肝硬変などの肝疾患の予防効果、2型糖尿病の予防効果、活性酸素の除去作用によるコレステロール抑制、胃液分泌を増やす作用が報告されています。
クルルゲン酸はコーヒー豆の他にもキクイモ(ヤーコン)等に含まれる成分ですが、含有量では圧倒的にコーヒー豆に多くふうまれていることが確認されています。
日本でも過去からこの手の商品は後を絶たない状況があり「飲むだけでOOkg減量!」などというキャッチコピーが飛び交ってきましたね。Green Coffee Beans Extractが従来の素材と多少なりとも異なるのは、動物実験だけでなく人間の臨床検討もある程度行われ、そこそこ効果が確認されていることでしょうか。
ここまで書くと、Green Coffee Beans Extractのいいことずくめの紹介ばかりになりますが、他の天然素材成分と同様、Green Coffee Beans Extractにも要注意点はあります。
第一にGreen Coffee Beans Extractに含まれ、脂肪の代謝向上を促進する成分でもあるクロロゲン酸には強力な金属キレート作用があり、主に鉄、銅、アルミニウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルと結合するキレート作用があります。このキレート作用によって、これらのミネラルが体外に排泄を促されるだけでなく、これらのミネラルが補酵素として働く栄養素の働きにも影響が出る可能性があります。その1つとして鉄欠乏性の貧血傾向の人は、Green Coffee Beans Extractに含まれるクロロゲン酸によって鉄の吸収が抑制され貧血症状が悪化する可能性、クロロゲン酸がビタミンB1およびビタミンB2を破壊することで吸収が阻害される可能性があることです。
今までのサプリメント市場の歴史と同様に、遅かれ早かれGreen Coffee Beans Extractのサプリメントが上陸し、話題になることが予想されますが、誤った使い方をしないように、また自分は飲んでもいいのか悪いのかについての情報も自己責任で収集し、上手に使ってもらいたいですね。
by nutmed | 2012-10-29 14:55

第1235回 アメリカのサプリメント業界に動きアリ

アメリカ出張最終日の今日は、丸1日オフで、朝からゆっくりしています。
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もうそこまで11月がやってきていると言うのに、南カリフォルニア沿岸気候特有のドライな晴天、そして日中は26℃超える陽気が続いています。朝晩は多少気温は下がるものの、インディアンサマーが続いているような毎日です。
さて、この数日の仕事で面談したサプリメント業界の人達との会話の中で、アメリカのサプリメント業界に少し動きがあることを感じ取りました。その1つは、薬品メーカーの動きで、従来以上に国民医薬品離れが激しく、医薬品の売り上げが低迷しており、その原因も一端がサプリメントにあって以前にも増して医薬品メーカーのサプリメントメーカーへの風当たりが強くなり、医薬品メーカーのロビーストによる政府への働きかけによってサプリメントメーカーの締め付けが厳しくなりつつあることです。そしてもう1つ動きはアメリカのサプリメントメーカーの多くが今後「賞味期限」表記を順次辞める方向だということです。この背景にはやはり医薬品メーカー保護政府政策が見え隠れしており、FDA(米国食品医薬品局)はサプリメントメーカーが賞味期限表記する場合には、配合成分全て各々について成分の腐敗試験を行うことが義務付けられるようになりました。この試験には1成分当たり数百ドルの費用がかかるだけでなく、そのコスト消費者に請求することはできないためです。確かに昨日アーバインにあるサプリメントショップでアメリカの大手サプリメントメーカーの商品を幾つか手にとって確認したところ、既に賞味期限が表記されていない商品がありました。この影響が日本に波及することはないと思いますが多くの日本人がアメリカのサプリメント通販で入手するようになった状況考えると多少なりとも影響はあるのではないかと思います。
by nutmed | 2012-10-26 10:14

第1234回 最近の慢性疲労の隠れた原因

昨日から1週間の予定でアメリカに来ています。今日はスッキリしたカリフォルニア晴れの1日でした。先週、西海岸で初の出店を果たしたユニクロのコマーシャルが目立つ昨日今日で、往来するバスの胴体、BARTの中釣り広告、ユニクロの広告を背おった飛行船が1日中サンフランシスコの空を遊覧していました。
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今日は必須脂肪酸に関わる研究会で13年振りに再会した栄養療法のドクターと旧交を温める中で、彼から聞いた最近の慢性疲労の背景に関わる5つの原因を紹介します。
1、脱水症状
体内の水分が不足し、脱水状態になることで、記憶力、集中力が低下し、思考能力低下、頭の中に霧がかかったような状態を作り出す。
2、携帯電話、スマホ
脳に近いところで使用するこれらの機器から発生する電磁波によって、睡眠に関わるホルモンのメラトニンの合成量低下し、気がつかない間に睡眠の質が低下する。
3、薬剤の副作用
薬剤の副作用、特に抗うつ剤、頭痛薬(βブロッカー)、血圧降下剤の中には睡眠に影響を与える薬が少なくない。
4、過剰な運動
筋肉負荷をかける運動は、しばしば疲労の原因つながる副腎の働きのリズム崩すことがある。特に、30分以上のジョギング、ウェイト負荷による筋力トレーニングは、副腎が作り出すステロイドホルモンコルチゾールを上昇させ、副腎のテンションを不必要にあげることで、ストレス耐性が低下する。
5、鉄の不足
体内の細胞に酸素と栄養を運搬する赤血球機能が低下することによって、細胞組織に疲弊を来す。赤血球の正常な働きを維持するための鉄分が十分量摂取できない状態であったり、摂取した鉄分の吸収が正しく行われない。
カリフォルニア州サクラメントにある彼のクリニックでは、慢性疲労(CFS)を訴え来院するクライアントには、まずこれら5つの背景の可能性有無を確認し、生活食事指導を行うことで、CFSの症状の40%ほどが改善させることができていると教えてくれました。
これらの5つの生活環境改善はそれほど難しい内容ではないものもあり、自分で生活環境改善を行って見る価値はあると思います。
by nutmed | 2012-10-22 12:17

第1233回 タラの肝油のすすめ

昨年の311以降ひかえていた1年半ぶりのアメリカへの出張で明日からしばらく留守にします。今回の目的はLサンフランシスコ郊外のコンコードで行われるLGSのワークショップ参加と南カルフォルニアのアーバインでサプリメント工場の視察と新たなサプリメントの開発打ちあわせです。

さて、今日はタラの肝油のすすめです。先日のブログでもノルウェー以北で捕獲されるタラの肝油にはDHA/EPAが豊富に含まれていることを説明したばかりですね。
日本ではサプリメントとしてあまり馴染みのないCod Liver oil(タラの肝油)ですが、タラの肝油に含まれる脂質は、多価不飽和脂肪酸(PUEFA)と言って、オメガ-3系脂肪酸であるEPA、DHAが非常に豊富に含まれる油です。PUEFAにはコレステロールが含まれていないだけでなく、血液での有害な脂肪を減少させ働きがあります。タラの肝油にはPUEFAだけでなく、ビタミンA、Dが豊富に含まれており、視力および免疫力の向上のほか、骨や歯の形成、アレルギー性疾患の改善にも作用します。
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1、タラの肝油の働き
①血液の凝固を抑制し血液の流れをスムースにする
②血圧の抑制(血圧の安定化)
③血中中性脂肪を抑制し血液の粘度を抑制
④骨および歯の形成促進
⑤視力低下の改善
⑥皮膚の炎症改善、皮膚の細胞の再生を促進
⑦妊娠中に摂取することにより胎児の脳細胞形成促進と若年性糖尿病の予防
⑧リュウマチの炎症緩和と鎮痛作用
⑨血糖値抑制作用
⑩白内障の予防
⑪カルシウムとマグネシウムの吸収を促進
⑫過敏性大腸炎の症状改善
⑬アルツハイマー性認知症の予防
⑭記憶力、集中力の向上


2、臨床評価
①タラの肝油はリュウマチにおける軟骨組織破壊と関節痛を抑制
2002年2月に発表された英国カーディフ大学のカターソン教授らの臨床研究報告によると、タラの肝油に含まれるオメガ-3脂肪酸がリュウマチ患者の関節痛を緩和することを発表しています。この背景には、軟骨組織に存在するコラーゲンを分解し、軟骨組織を破壊する酵素の働きを抑制する作用があるためであると報告しています。カターソン教授は、関節痛またはリュウマチの予防のために20歳代からのタラの肝油の積極意的な摂取を推奨するとともに、既に関節痛などの症状が現れている場合でもタラの肝油を積極的に摂取することが望ましいとしています。

②乳児のアレルギー予防は妊娠中から
2003年12月米国の「アレルギーと臨床免疫」誌(Journal Allergy Clinical Immunology December, 2003;112(6):1178-84)報告によると、自身が何らかのアレルギー症状を持った妊婦に、妊娠20週から出産までの間、毎日オリーブオイルとタラの肝油を飲んでもらいました。出産後の臍帯血を採取して検査したところ、タラの肝油を摂取していた妊婦の細胞膜にオメガ-3脂肪酸が豊富に存在することが認められ、オリーブオイルを摂取していた妊婦から生まれた乳児に比べてアレルギー症状を引き起こす可能性が低いと報告しています。この研究者は、これはタラの肝油に豊富に含まれるオメガ-3によって胎児の細胞膜強化が図られたためであるとコメントしていますが、妊娠中は体内環境の変化が著しいことから、精製された品質の良いタラの肝油を摂取することが望ましいとしています。また、出産後の母乳中にはオメガ-3が含まれていますが、若い時から積極的にタラの肝油を摂取することで授乳期に十分なオメガ-3を乳児に与えアレルギー症状を予防することができるとしています。

③3種混合などの予防接種前にタラの肝油を
2000年4月のバージニア医科大学小児科メガソン助教授の研究報告によると、百日咳、破傷風、ジフテリアの3種混合ワクチンを接種する1ヶ月ほど前から子供にタラの肝油を飲ませておくことで、ワクチンの成分から起こる可能性が高いとされる多動症状、自閉症症状などを予防または改善することができると報告しています。メガソン先生によると、3種混合ワクチンが小児の5感(触感、臭覚、味覚、視覚、聴覚)と記憶、集中などの働きを低下させる可能性が高いと報告しています。人間の5感や記憶、集中の働きにはタンパク(Gタンパク)が関与していますが、通常はレチノイド(ビタミンA)やホルモンなどがこのタンパクを介して5感や記憶、集中の働きのスイッチを入れます。
3種混合ワクチンは、長期間にわたり百日咳、破傷風、ジフテリアの各ウィルスに感染しないようにするためのワクチンですが、人間の体が長い間これらのウィルスに対して免疫力を維持するためにはビタミンA(レチノール)が必要になります。通常、小児でもある程度のビタミンAは摂取されていますが、3種混合ワクチンを接種することによって、体内に蓄積しているビタミンAの多くが、ウィルスに対して免疫力を維持するために使われてしまい、人間の5感や記憶、集中の働きに必要なタンパク(Gタンパク)のスイッチが入り難くなる可能性が高いと報告しています。メガソン先生によると、多動症状、無感動症状、自閉症症状を持つ子供や成人に天然のビタミンA(レチノール)を豊富に含むタラの肝油のカプセルを2-3週間継続して飲ませたところ、8割に症状の改善が見られたということです。メガソン先生は、3種混合ワクチンだけでなく、ワクチンを接種する場合、特に小児や高齢者の場合には、ワクチン接種の前後で十分なビタミンAを食事またはタラの肝油などのサプリメントで補うことを勧めています。


さて明日はここ川越で「川越祭り」が開催されます。すでに郷の午後から各町内会で管理する山車が倉庫から道路に引き出され、今晩遅くに川越のメインストリートに曳航される準備がはじまっていますよ。
私は明日からアメリカ出張なので残念ながら見ることはできませんが、時間と興味のある方は是非見物にきてみてください。因みに明日土曜日のテレビ東京系列で午後9時から放送される「アド街ック天国」は本川越がテーマで、子の中で川越祭りが紹介されるそうです。
来週はアメリカからの投稿になりますのでお楽しみに。そして皆さんよい週末を!
by nutmed | 2012-10-19 14:03

第1232回 卵巣がんの予防

今日は定例の栄養カウンセリングで神田淡路町の神尾記念病院に来ていますが、今朝は今シーズン一番の冷え込みで、家から外へ出るとひんやりとした空気が立ち込めて、身が引き締まる朝を迎えました。 先週末から漂いはじめたキンモクセイの香りもあって、私はこの季節が一番好きですね。

さて、今日は卵巣がんの予防に有効な素材についての紹介です。
日本でも年々少しずつではありますが卵巣がんの発症数が増加を続けているようです。この状況は日本だけでなく、世界的にも同様の傾向にあって、生活習慣、食生活などもかかわっているものと考えられています。
今回このテーマを選択したのは、最近再びビタミンDの文献検索と整理をしていたところ、ビタミンDの不足が卵巣がんと強い因果関係があるという論文がたくさん見つかったことからでもあります。また、卵巣がんはほかのがんに比べ、ステージがある程度進まないと見つけることが難しいがんの一つでもあって、積極的な予防が卵巣がんの発症リスクを下げることにもなるからです。
まず、ビタミンDと卵巣がんの予防についてですが、ビタミンDについてはこのブログでも何回も特集していて、その中でがんの発症リスク、特に大腸がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がんの発症率とビタミンDの不足の関係が濃厚であるという報告は多数発表されています。その詳細な背景は、ビタミンDが代謝され、腎臓において水酸化酵素(1-α水酸化酵素)の働きによって合成される、1-α,25(OH)2ビタミンDという、ステロイドにも似た強い活性をもつビタミンDが、がん細胞の増殖を抑制するためと考えられています。乳がん、大腸がん、前立腺がん、卵巣がんはすべて同じ仲間で、組織の種類でいうと腺組織に由来するがん「腺がん」と呼ばれており、一般に化学療法、放射線療法が効きにくいがん細胞で、早期発見とともに積極的な予防が重要になります。卵巣がんなど、腺がん細胞の増殖を抑える作用を持つ、1-α,25(OH)2ビタミンDを合成するために必要な1-α水酸化酵素は、腎臓をはじめとする、胸部、前立腺、大腸、卵巣などの腺細胞組織に存在することが報告されています。つまり、腺細胞のがん化を予防するためには、充分な1-α,25(OH)2ビタミンDを常に合成することであり、ビタミンDが不足しないようにすることでもあります。そのためには、食生活でビタミンDが豊富に含まれた食材(おもに動物性蛋白質に豊富)を積極的に食べることと、日光浴も欠かせないでしょう。また、サプリメントでビタミンD(コレカルシフェロール)を補充することも大切だと思います。私がお勧めするビタミンD(コレカルシフェロール)はタラの肝油です。

次の卵巣がん予防の素材は、フラボノイドの1つであるアピジェニンです。
アピジェニンについては以前のブログでも紹介しています。
アピジェニンは、セロリ、パセリ、カモミール、トマトソースなどに豊富に含まれるるフラボノイドです。統計学的な研究調査では、アピジェニンには、がん細胞の発現を含めた炎症の原因となる物質(COX-2:シクロオキシゲナーゼ‐2:cyclo-oxygenase)の抑制効果が高いことが報告されています。COX-2はアレルギー症状、関節痛、リウマチなどの炎症にもかかわる物質なので、炎症を抑える目的でアピジェニンが豊富な食材を摂ることは有効です。
私がお勧めする卵巣がん、乳がんの予防のためのアピジェニンレシピは、パセリとセロリのトマト仕立てスープですね。
by nutmed | 2012-10-17 12:59

第1231回 DHAはオメガ-3系脂肪酸最強の抗炎症脂質

昨日の日曜日は池袋で一般講演会があり、口腔ケアから始まる栄養療法のテーマで喋ってきました。一般の方に加え、カイロプラクター、医師、栄養師、栄養士育成専門学校の方などが出席いただき、あっという間の1時間30分でした。今月から年末までは、12月1日の私の定例セミナーを含め毎月講演会、セミナーが目白押しで、まさにそのまま師走に突入の年末になりそうです。

さて、今日は今年の8月にテキサスのヒューストン大学の研究チームによって発表された、オメガ-3系脂肪酸の抗炎症作用に関する報告を紹介します。
彼らの検討では、オメガ-3系脂肪酸の中で、魚油のDHA(ドコサヘキサエン酸)が最も抗炎症作用が強い作用をもつことを報告しています。炎症のメカニズムの中で主役を映じるのがホルモン様物質のプロスタグランジンE2ですが、オメガ-3系及びオメガ-6系脂肪酸には、この炎症を起こす物質であるプロスタグランジンE2の生成を抑えると同時に、プロスタグランジンE2によって細胞組織に炎症が起こす際に働く、プロスタグランジンE2の受容体の働きを抑える作用があることは多くの研究者によって報告されてきたところです。
今回のヒューストン大学の研究者らの検討では、オメガ-3系脂肪酸の中でも魚油の持つ抗酸化作用のほうが植物性のオメガ-3に比べ強力であり、その中で炎症を抑える作用が最も強い成分がDHAであることを報告しています。彼らが検討に使用したオメガ-3系脂肪酸は、魚油のほかオリーブオイル、キャノーラ油、フラックスオイルおよび胡麻油で、それぞれの脂が大なり小なり抗炎症作用を見せる者の、魚油のDHAが最も強い抗炎症作用を見せたと報告しています。一般的な健康維持のための魚油の推奨摂取量は成人で1日あたり1-3g、アレルギー、じんましんをはじめ、何らかの炎症反応を伴うば場合には4-6gと考えられています。これだけの魚油を摂取した場合、DHAはどのくらいの量が摂取できるのか、またDHAはどの程度摂取すればいいのかということがしりたくなるところですね。
下の票を見てもらうとわかりますが、魚油でも魚の種類や季節がことなれば、含まれるDHAおよびEPAの量も変わってきます。
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一般的な健康維持のためのDHAの推奨摂取量は成人で1日あたり50-400mg、アレルギー、じんましんをはじめ、何らかの炎症反応を伴うば場合には100-560mgと考えられています。
私が最もお勧めする魚油は上の表にもあるタラの肝油で、それもノルウェー以北で捕られたタラの肝油です。
ただし、注意点もあり、血液の抗凝固剤を服用している人は魚油の摂取の前に主治医に必ず相談してください。また、オメガ-3は糖尿病性の神経障害の改善にも有効だという報告がたくさんありますが、人によっては魚油を摂ることで血糖値が高くなる可能性のある人黄班変性いるので血糖値をモニターしながらの摂取を心がけてください。
by nutmed | 2012-10-15 11:58

第1230回 ミネラル分析で銅が増える背景

今朝の川越は秋を思わせる雲が点々と見受けられますが、スッキリと晴れて気分がいい麻を迎えています。
いよいよ来週、10月20日と21日は年に一度の川越最大の川越祭りがあります。
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各町内会が持つ山車が29台、旧市街を引き回される姿は、京都の祇園祭にも匹敵する祭りだそうです。初日の20日18:00からは宵山があり、山車の提灯とともにお囃子でもりあがることでしょう。川越に移転して初めての川越祭り体験のはずでしたが、残念ながら20日からアメリカ出張のために来年までお預けです。近郊の方は是非川越祭りに繰り出してみてください。

さて、今日は、栄養医学研究所で受託している爪による体内ミネラル分析の中でも、この数年目立つようになった銅が高くなる人の背景について紹介します。この数年、女性から受託した爪分析検査の項目で、銅が高くなる人が少し増えているおうに感じています。
現代の食および生活環境を考えると、銅が高くなることは少なくありません。銅は脳と肝臓に蓄えられるミネラルで、体内に銅の蓄積濃度が高くなると以下のような自覚症状が現れることが報告されています。
・頻繁な頭痛・低血糖・のぼせ・尿量の低下・不眠症・脱毛(女性に多い)・多動(小児)
・注意欠陥(小児)・うつ状態・心臓の鼓動増加

体内に蓄積する銅が高くなる原因の1つとして食材や薬に含まれるホルモン(エストロゲン)があり、成長を促進させる目的で牛や豚に与えられてきた経緯があります。このホルモンは脳や肝臓に溜まる銅の濃度を増加させる作用があり、そのような肉を頻繁に食べた場合には体内の銅濃度が高くなる可能性もあります。このホルモンは食材だけでなく、避妊用ピル、更年期の改善で使われるホルモン剤などにも含まれています。
体内の銅が高くなると、タンパク質を消化するために必要な酵素を作る際に重要な亜鉛の吸収が悪くなることも報告されています。これは、銅と亜鉛を受容する細胞(レセプター)が同じ細胞であるためです。
銅の濃度が高い人には、タンパク質(動物の肉、魚、穀物など)を食べなくなり、炭水化物ばかりを好んで食べるようになる人が少なくありませんが、これは上記のような理由でタンパク質の分解酵素が不足するためです。
改善方法としては、現在の食生活を見直すこと、特に消化分解の働きを向上させるために場合によってはサプリメントで消化酵素を使用することも考えてみるべきです。またエストロゲンが含まれる薬を処方されている場合には医師に相談してみてください。

明日から週末です。この14日(日)、私は池袋で医療健康セミナーがあり、口腔ケアから始まる栄養療法をテーマに講演をします。すでにブログ読者の方の何人んかが申し込みいただいていると聞いていますが、いつものようんい目からウロコを落としていただく話をするつもりですので、お楽しみに。
それでは皆さん、良い週末を!
by nutmed | 2012-10-12 10:58

第1229回 慢性疲労、光過敏、副腎疲労の改善に自然塩

ここ2カ月間ほど、カウンセリングで対応したクライアントの症状改善に塩が有効に働くケースが数件見られました。塩と言っても、一般の家庭で汎用されたり、惣菜、加工食品、レトルト食品などで使用されるナトリウム80%以上含まれた「ナトリウム塩」ではなく、海水でつくられた塩や岩塩など、カリウムを始めマグネシウムなどのミネラルが豊富はミネラル塩です。
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クライアントの多くが副腎疲労の初期レベルから中程度レベルに顕著な副腎機能亢進状態で、この背景にはナトリウムの過剰摂取をベースとして、メンタルとフィジカルの両面のストレスが恒常的にある方です。
メンタルストレス、感染症、アレルギーなどが原因でコルチゾールの生産量が過剰になり機能亢進状態になると、電解質(ナトリウムとカリウム)及び水分の調整を担う鉱質コルチコイドホルモン(アルドステロン)の生産と分泌が低下状態になることで、細胞内のカリウムが細胞外に移動促進させ、尿からのカリウム排泄量が増加しカリウム量が低下します。結果として細胞外のナトリウムが細胞内と血液中に移動し増加することによって血圧が上昇したり、頭痛、情緒不安、光過敏、臭気過敏などの症状が現れることがあります。
このような状態の時に、食卓塩、クッキングソルトなどのナトリウムが過多なナトリウム塩を食事や飲料水から過剰に摂取することで、益々副腎の働きに負担をかけることになります。
この2カ月ほどの間に対応したクライアントには、食事でのナトリウム塩の摂取をやめ、天然塩としてのミネラル塩に変えてもらうことと同時に、毎朝コップ一杯の水またはぬるま湯にふたつまみほどのミネラル塩を入れ、起床後すぐに飲んでもらいました。これらのクライアントの共通症状として、朝、なかなか起きられない、午前中は頭がぼんやりして力が入らず集中力に欠ける、すぐに疲れて眠くなる、横になりたくなるなどの症状があります。この塩水を朝一番で飲んでもらったクライアントは6人で、内4人は2日目に体調の変化を感じています。具体的な変化は起床で、塩水を飲んだ後にいつものダルさやぼんやりする感じがなく、全身に力を感じる変化を体感したようです。
実はもう1例興味ある女性がいました。知人の女性で、少し前から疲れやダルさが中々取れず、フラフラするような症状まで出始め、病院で検査したところ、貧血が疑われ鉄剤を処方されてきたようです。ただ、その後も症状は期待するほど改善しなかったようで、久しぶりに彼女に会ってこの話を聞いた私は、何かほかに薬やサプリメントは飲んでいないかの確認をしてみたところ、最近体の浮腫みが気になっていたので利尿剤をもらって数週間飲んでいたとのことでした。この時点で彼女の症状の原因は貧血もあるかもしれませんが、圧倒的にナトリウムとカリウムのバランスに変調をきたしている可能性を考え、生理食塩水の点滴を受けてもらうようい勧めました。点滴が終わると、随分体が楽になり、ダルさや疲労感も随分軽くなったとのことで一安心でした。多くの利尿剤は浮腫みの原因となるナトリウムの吸収を阻害したり、尿からの排泄を促進させる働きのある薬ですが、ナトリウム量が低下することでカリウムが細胞外から細胞内に移動促進され、細胞内のカリウム濃度が増加します。細胞内のカリウムが過剰になると副腎の働きに影響を与えることとなり、ステロイドホルモンであるコルチゾールの生産と分泌が低下し、逆に電解質の調整を担う
コルチゾールの生産及び分泌の低下による不足が原因で副腎の機能が低下する鉱質コルチコイドホルモン(アルドステロン)の生産と分泌が増加することで、する。一方で尿からのナトリウム排泄量が増加し血中のナトリウム量が低下し、結果としてナトリウムとカリウムのバランスは更に悪くなします。この状態は副腎機能の低下状態で、最近ネットデモ話題になることが多い「バーンアウト」と言われるような、極地の疲労困憊、集中力の欠如、感染しやすい状態、傷の治りが遅い、突然の蕁麻疹、低血糖、甲状腺機能低下症などの引き金を引く可能性があります。ダイエット目的で安易に利尿剤を使う女性が増えているようですが、ナトリウムとカリウム野バランスは命にもかかわるほど影響力の強いものだということを考え、安易に使用するべきではないと思います。
もちろん、このような症状を持った人の全てに天然塩水が有効だとは言えませんが、これらの症状がある場合には、一度ナトリウムとカリウム、クロールと行った電解質の状態を確認してみてはいかがでしょうか。血圧の上下が激しい人、強い低血糖症状、腎臓機能に問題がある人では塩水の使用については注意してください。
by nutmed | 2012-10-11 15:04

第1268回 モリブデン

今朝の東京の冷え込みはすごかったですね。こうして日一日と秋が深くなり、ちゃんと冬がやってくることは、まだまだ四季のある日本も捨てたものではないことを実感させてくれます。
今日はモリブデンについてです。
モリブデンは、免疫のはたらき、細胞の酸化防止にもかかわる窒素の代謝にかかわるミネラルです。モリブデンには痛風の原因となるプリン体を尿酸に変換する重要なはたらきもあり、体内では、骨・腎臓・肝臓に貯蔵されます。
食事から摂取したモリブデンは、腸で吸収され、尿、及び、胆液によって排泄されます。
食材からのモリブデンとしては全ての穀物、豆、葉菜類、及び、もつ類。
ただし、モリブデンは熱と水分によって吸収が変化しますので、コンビニ食やレトルト食は避けるべきです。硫黄分が多く含まれる食材(タマネギ、ニンニクなど)や水は、モリブデンの吸収を阻害します。また、モリブデンが過剰に摂取されると銅の吸収が低下し血中尿酸値が高い方は痛風発作を起こすこともありますので注意してください。
体内のモリブデンが急に減少する理由はまだよく知られていませんが、その理由としては、尿酸の代謝に障害がおこり、食事や飲料水から銅、亜鉛、硫酸塩(添加物に多く含まれる)が過剰に体の中に入ることによって、モリブデンの吸収が阻害されることが報告されています。体内のモリブデンが少なくなると、インポテンス・虫歯・喘息などのほか、ガン細胞に対する免疫能力の低下が報告されています。
モリブデンは比較的意識しないと不足しやすいミネラルなので、モリブデンの豊富な食材を新鮮な状態で摂取する、または、サプリメントによってモリブデンを補給することが必要です。
by nutmed | 2012-10-10 16:44