臨床栄養士のひとり言

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第1276回 鳥インフルエンザの予防にはビタミンD3を!

今から6年前にも、日本を巻き込む鳥インフルエンザの感染が社会的な問題になりました。当時のウィルスと今回の中国のウィルスでは型がことなるようですが、感染初期の措置を誤ると命の危険に至ることは同じです。1昨日台湾でも感染者が確認され、いよいよ中国国外への感染拡大がはじまったとみるべきです。
6年前の時には明確に人から人への感染は確認されませんでしたが、今回のウィルスについては、人から人への感染経緯の可能性も考えられる症例があったとWHOも報告していることから、ウィルスの遺伝子の変化は想像以上に早いとみる専門家も少なくありません。一方で、感染後症状が現れる初期段階でタミフルなどのようなインフルエンザ治療薬の効果は高いということが包奥されているので、初動措置に問題がなければ通常のインフルエンザウィルス感染の対応で十分だということです。

しかし、予防対策は最も重要な初動対応であることも事実ですから、まだ日本での感染例は報告されていませんが、人の移動が激しくなる連休中は特に予防管理を積極的に行うことをお勧めします。

・予防策として講ずるべき最低の心得
1、鳥類のフンや羽には厳重な注意を払い近づかない
マンションのベランダなどでよく目にするハトですが、ハトが近寄らないような工夫を講じると同時に、フンをされないようにすること。またハトのフンや羽を掃除する際には必ずマスクをし、フンに水をかけて乾燥したフンが飛散しないようにすること。
2、洗濯物は十分にはたいてから取り込む
干しておいた洗濯物や布団に鳥のフンが付着していた経験をされた方は少ないないでしょう。もし、このような場合には再度洗濯するか、最悪の場合捨てることも辞さない。
3、鶏肉には必ず熱を通してから食すこと
4、人混などへ外出する際にはマスクを着用すること
5、室内を適度な湿度で保つこと
加湿器を使用するのであれば熱で暖めたお湯を用いる加湿器を使うことをお勧めします。超音波などで水を微細にして加湿するものの場合水のタンクに菌が繁殖する可能性が少なくないため。
6、オキシフル(過酸化水素水)による加湿
薬局やドラッグストアで販売されているオキシフル(過酸化水素水)を10-20倍に薄めてスプレーボトルにいれ、1日数回部屋に吹いて加湿することでウィルスの増殖を抑制することができる
7、抗酸化素材を積極的に摂取する
ビタミンC,亜鉛、マグネシウム、ポリフェノール、ビタミンE、オメガー3必須脂肪酸、グルタチオン、オリーブの葉
8、水分を多めに飲む

そして最後に鳥インフルエンザを含むウィルス感染の予防に最も有効と思われるビタミンD(D3)を積極的にサプリメントで摂ることともに、毎日最低でも10分は肌の何処かに日光を浴びて皮下でビタミンD3を合成するようにこころがけましょう。ビタミンD(D3:コレカルシフェロール)は人間の1000種類にも及ぶ遺伝子の発現に深く関わっており、その中にはウィルスやバクテリアが体内に侵入してきたときに感染しないように戦ってくれる役目を持つ貪食細胞(マクロファージ)の遺伝子発現に深く関わっているので、外部からのウィルスやバクテリアの親友感染予防する働きがあります。

最近では日本でもビタミンDが話題になっていて、1日あたり25マイクログラム(1000IU)が推奨されていますが、鳥インフルエンザの感染予防を考えた場合、成人男女では1日で最低でも125マイクログラム(5000IU)が推奨できる摂取量です。カプセルや錠剤がのめない乳幼児小児の場合、また嚥下が低下する高齢者の場合には、腕のひじまで福をあげて皮膚を露出させてあげ、1日に15分は咲いてでも日光浴をさせてあげると有効です。ガラス越しの屋内での日光浴でも十分です。
食材としてはタラやムツなどの魚、特に肝臓にはコレカルシフェロールが豊富にふくまれています。

明日からゴールデンウィークで海外、特にアジアにでかける方も多いと思いますが、おでかけの際には予防のためにぜひビタミンD3を今晩からでも積極的に摂ってみてはいかがでしょうか。
by nutmed | 2013-04-26 16:56

第1275回 アトピー性皮膚炎の改善のための脂肪酸

従来からアトピー性皮膚炎の患者では、必須脂肪酸(EFA)とプロスタグランジンの代謝に変調を来たしていることが多いことが報告されています。実際、い くつかの臨床研究では、アトピー性皮膚炎患者の血漿、赤血球、白血球中の脂肪酸量の変化が見られます。これらの患者の多くでは、オメガ-6系脂肪酸のγ- リノレン酸(長鎖多過不飽和脂肪酸)、アラキドン酸、長鎖オメガ-3脂肪酸、EPA、DHAが不足減少傾向にあり、逆にリノール酸は過剰傾向にあります。
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(図が見難い場合は図をクリックすると拡大します)
ア トピー性皮膚炎の患者は、γ-リノレン酸の摂取量が少ない、または何らかの原因でデルタ6脱飽和酵素の活性が低下していると考えられますが、デルタ6脱飽 和酵素が正常に働くためには、亜鉛だけでなく、ビタミンB6とマグネシウムが必要になります。これらが不足しているためにこの脱飽和酵素が低下しているの であれば、これらをサプリメントなどで補えば症状の多くは改善します。一方、直接γ-リノレン酸が不足している場合に、月見草オイル(EPO)、ボラージ オイル、黒スグリオイルの摂取が効果的なケースは少なくありません。EPOについて言えば、1日あたり3,000mgのEPO(γ-リノレン酸量として約 270mgに相当)摂取によってアトピー性皮膚炎の症状改善効果が現われています。
しかし、私が今までに扱った150例ほどのアトピー性皮膚炎患 者の栄養カウンセリングとDr.ライト(私の師匠でタホマクリニック院長)が過去に扱った数千のケースの実情は異なっていて、EPOよりもオメガ-3(フ ラックスまたはタラの肝油)を1日あたり3,000-5,000mg摂取させたほうが、よりアトピー性皮膚炎の症状改善効果が高いケースが多い事実もあり ます。実際、米国でアトピー性皮膚炎に対するEPOの効果は期待する以上に低いという報告があります(Bjorneboe A, Soyland E, Bjorneboe GE et al. Effect of dietary supplementation of eicosapentaenoic acid in the treatment of atopic dermatitis. Br J Dermatol 1987;117:463-469)
オメガ-3(フラックスまたはタラの肝油)は、アトピー性皮膚炎の患者の中でも特にプロス タグランジンの代謝異常、デルタ6およびデルタ5脱飽和酵素生産不良(このほとんどが亜鉛、ビタミンC、ナイアシン、ビタミンB6、マグネシウムの摂取不 足)の患者には効果的で、日本人のアトピー性皮膚炎には最も多いケースがこれです。
最近の研究によると、アトピー性皮膚炎の脂肪酸のパターンを調 べたところ、血漿中およびリン脂質に含まれるオレイン酸とリノレン酸量を比較するとリノレン酸のほうがオレイン酸よりも圧倒的に多く、このパターンは健常 人では見られないパターンであることがわかりました。加えて、アトピー性皮膚炎患者の多くでオメガ-3とオメガ-6の比が非常に低いということです。この文献(Sakai K, Okuyama H, Shimazaki H et ai. Fatty acid compositions of plasma lipids in atopic dermatitis/asthma patients. Arerugi 1994;43:37-43)を見る限り、アトピー性皮膚炎患者の血漿中およびリン脂質のジホモ-γ-リノレン酸とアラキドン酸が極端に低下していることから、従来から言われているようにデルタ6およびデルタ5脱飽和酵素の生産不良などの背景があるでしょう。
最近の研究報告によると、オメガ-3としてのDHA、EPAについて、アトピー性皮膚炎の改善を目的とする場合には、1日あたりEPAは1600mg、DHAは1000mgが推奨量と考えられています。この量を食材から摂ることを考えると、本マグロのトロの握り1貫、マアジの刺身1匹、マイワシの刺身1匹、天然ハマチの握り1貫、サケ1きれ半、サバの水煮缶詰1缶になります。食材で摂取できない場合にはDHA、EPAのサプリメントで補うことも考えるべきでしょう。
by nutmed | 2013-04-19 17:34

第1274回 スキンケアの季節を迎えて

ようやく気温が兵船並みになりはじめ、紫外線の気になる季節、つまりはスキンケアの重要な季節に突入しました。日本でもスキンケアにはビタミンCというシナリオがほぼ定着していて、スキンケア商品の70%近くにビタミンCがかかわっているそうです。
ビタミンCが重宝される背景の1つには、紫外線による肌細胞の抗酸化目的がありますが、最大の理由は肌の細胞の土台となるコラーゲンの生産にはビタミンCが不可欠であるからにほかなりません。
ビタミンCは加齢とともに利用可能な量が少なくなってきます。その理由は吸収のメカニズムにもかかわっていると考えられていますが、いまだに明確な理由はわかっていません。俗に「肌年齢(スキンエイジ)」と言われますが、コラーゲンの生産能力の低下とその量の低下が肌の老化につながっていることも事実です。そのコラーゲンの生成にビタミンCがどのようにかかわっているのでしょうか?
人間の体内は何千種類ものタンパク質で構成されていますが、コラーゲンもその中の1つです。コラーゲンは何千種類も存在するタンパク質の中でも3番目に多いタンパク質で、人間の皮膚の75%はコラーゲンで作られています。 ほとんどのタンパク質がそうであるようにコラーゲンもアミノ酸がいくつもつながった鎖状となって構成されていますが、コラーゲンはグリシン、ヒドロキシプロリン、プロリンのわずか3つのアミノ酸で構成されています。
ビタミンCはこの3つのアミノ酸が絡み合ってコラーゲンタンパクを形成するいくつかの工程では必ず必要になるビタミンなんです。3つのアミノ酸がいくつかのステップで変化をしながらコラーゲンを合成していきますが、ここに数種類の酵素が必要になります。これらの酵素のサポートをするのもビタミンCの役割です。以前ブログデモ紹介しましたが、ここでもう1つ縦横名役割を担っているミネラルがありますが、それはケイ素です。

さて、ここからがきょうのトピックスのメインテーマになりますが、2001年にアメリカで発表された人間による臨床試験研究報告によると、コラーゲンの生成を高め肌の抗酸化能力を向上させる目的でビタミンCを摂取するためには「サプリメントのように口から経口で摂取するよりも、クリームやジェルなどに配合して直接肌に摂取させたほうが効果は高い」という報告がありました。実際にこの研究報告内容を見ると、経口でサプリメントから摂取したよりもビタミンCが配合されたクリームを塗ったほうが約58%の人でコラーゲン生成量が増えたということです。同様の数値は複数の皮膚科医からも報告されています。
私の師匠Dr.ライトが女性のスキンケアをするときには同じようにビタミンCが配合(5-10%)されたクリームを処方するのと同時に、体内からビタミンCの働きを向上させるために緑茶に含まれるカテキン(EGCG)とケルセチンを同時に処方していますが、サプリメントで処方するビタミンCはあくまでも皮膚から与えるビタミンCの働きを補うもので、クリームから摂取させるビタミンCを上回ることはないと言っています。
by nutmed | 2013-04-16 15:12

第1273回 低速回転ジューサーのここがお気に入り

先日の土曜日、私が1年半ほど前からお気に入りで愛用している、低速回転タイプのジューサーに関するセミナを東京で開催しました。従来から使用していた、けたたましいモーターの高速回転音とともにジュースを絞ってくれるタイプのジューサーとの違いについては、ネットや雑誌ではまことしやかに「低速回転タイプでは素材の酵素が活性されたまま摂れる・・・」という内容を目にしてきました。しかし、酵素活性については、酸や紫外線、そして熱が加えられることで好悪その活性が失われることはあっても、ジューサーの回転数の違いでその活性が失われるほど高熱になるとは考えにくいわけで、それなら低速回転タイプのジューサーの利点はどこにあるのかを自分なりに検証してみようと、昨年秋に愛用しているジューザーの発売元「オデオコーポレーション」さんに協力をお願いし、栄養医学研究所で分析をしてみました。分析したポイントは、酸化還元能力で、ジューザーを愛用する多くの人が、絞ったジュースに期待する「抗酸化機能」の基本となる能力がこの酸化還元能力になります。
特殊な分析器を使い、一般的に市販されている高速回転タイプのジューサー2機種と、低速回転タイプのジューサー2機種で、トマト、オレンジ、リンゴの素材を使って分析してみました。結果としてわかったことは、高速回転タイプのジューザーでは、ジュースを絞るコアの部分となるステンレスの回転部分と素材が高速で回転して接触するために、摩擦熱ではなく、プラスの電子を荷電する状態、つまり静電気をためる状態と同様の環境をつくることによって、素材が本来持っている抗酸化能力の根源となるマイナス電子が逆に奪われてしまうことです。一方、低速回転タイプのジューザーではこのような環境を作らないために、素材の持つ抗酸化能力をかなり維持した状態でジュースとして供給できる点が利点の1つです。
もう1つの利点は、高速で回転することによる微細な泡(マイクロバブル)が発生する高速回転タイプのジューザーでは、絞った素材の果実野菜の断のp細胞表面に、この空気を包み込んだマイクロバブルがたくさん付着することが確認された研究結果が、最近フランスで報告されました。
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この画像が報告された論文の中に掲載されたもので、高速回転タイプで絞ったトマトの細胞にはマイクロバブルがビッシリと付着しており、この泡がはじけることで細胞が酸化作用を受けることにもなるわけです。
ご自宅でも簡単にこのマイクロバブルのジュースへの影響を確認することができますが、低速と高速のジューザーそれぞれで同じ素材を絞り、コップに入れたジュースを12時間ほど放置して、コップの中のジュースがどのように変化するか確認してみるとわかると思います。
by nutmed | 2013-04-10 09:45

第1272回 悪魔の爪と呼ばれるハーブ

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桜の開花が異常に早かった今年は、その後の気温が思うほど上昇性なかったこともあってか、、比較的永い時間観賞することができているようです。これは我が家から5分ほど歩いた河川にある1kmほどの桜並木ですが、郊外であることもあってか週末でも人ごみなることはなく、町内会がしつらえた提灯でライトアップされた夜桜は絶景です。川面に映る差ライトアップされた夜の桜は神聖さえ感じます。

さて、今日は「悪魔の爪(Devils Claw)」と呼ばれるハーブについてです。
「デビルズクロー」何とも恐ろしい名前をつけられてしまっているこのハーブの歴史は300年ほど前に遡ります。私がデビルズクローという植物を知ったのは映画監督の羽仁 進さんが製作した「動物に学ぶ-生きる」というアフリカの大地や動物のドキュメンタリー映画でした。確かカラハリ砂漠付近だったと思いますがジャッカルの足に刺さっていた鎌のような形をしたものがデビルズクローの種でした。その後、再びデビルズクローと出会ったのはロスアンジェルス郊外でハーブ療法を行っている友人のドクターのクリニックでした。
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彼女のクリニックでは、痛みや痺れなどを伴なう疾患のペインコントロールや炎症抑制の素材としてこのデビルズクローを頻繁に処方しています。最近日本でも症例が増えており女性に多く発症する多発性硬化症の手足の痺れ、リウマチ痛には非常に効果があり、最近の研究では、痛みのコントロールだけでなく血糖抑制作用の可能性に大きな期待が寄せられています。デビルズクローにはハルパゴサイドというイリノイド配糖体が含まれており、これがデビルズクローの作用効果の背景になっています。このクリニックでは主にデビルズクローの種子をハーブ素材として使用していますが、根には植物性のステロールも多く含まれていることから、女性のPMSや月経困難症、更年期関連症状の緩和にも処方されています。
私の臨床ミネラル学の師匠でもあるドイツのDr.Eleonore Buschが、ドイツでは50年前からハルパゴサイドについての研究が盛んで、コルチゾンやフェニルブタゾンに匹敵するほどの強力な抗炎症を認める報告があったと教えてくれたことがあります。日本でも最近デビルズクローの名前を目にすることが多くなってきましたが、ペインコントロールと炎症抑制作用は期待できる素材だと思いますが、他のハーブ同様、使用に際しては十分な知識をもっていただきたいと思います。
by nutmed | 2013-04-02 14:07