臨床栄養士のひとり言

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第1370回 予防医療診断士の認定講座について

以前にもこのブログで紹介しましたが、今年の7月に、予防医療の正しい知識とスキルを備えた、真の予防医療を実践する「予防医療診断士」を育成を目的とする、一般社団法人日本予防医療協会が今年の6月に発足しました。
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この協会が主宰認定する予防医療診断士の講座は、ベーシック、アドバンスコースともに、1回目が好評のうちに終了し、数多くの予防医療診断士が輩出されました。
来年の講座が1月2月に大阪と東京で開催されます。私もアドバンスコースで3時間の講義を受け持っています。即実践で使えるカリキュラムに沿った講師陣も充実しています。ご興味のある方は協会のサイトをご覧ください。

因みに、1回目の認定講座の参加者で、最も多かった職業は、ライフプランナーとファイナンシャルプランナーの人たちで、高齢化が進む日本において、Face to Faceでクライアントの人生設計のサポートをするに際して、予防医療のスキルとノウハウを持つことによって、ワンランク上のクライアントケアが、講義の翌日から可能であったと、多くの参加者から好評をいただきました。

私も以前から、医療、予防、健康に関わる資格認定講座の講師を務めてきましたが、この予防医療診断士のカリキュラムは、座学ではありますが、講義の翌日からでも即実践的に活用できるスキルと知識が満載の講座であり、各講師が自ら実践体験してきたノウハウと知識を、惜しげもなく参加者に開示していくところが、従来の講座との大きな違いだと思います。

協会自身も、医療関係者だけでなく、ライフスタイルコミュニケーションが要求されるような職業にある方にも是非受講していただきたいと考えています。
by nutmed | 2014-10-27 13:44

第1369回 サプリメントの取り扱いについて

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今日はいきなり最初からおぞましい画像でご勘弁ください。
これは、最近の日本では当たり前のように、サプリメントや健康食品に使われている、植物性セルロースを原料とするカプセルを使ったサプリメントです。 どうしたらこんなグロテスクな状態になるのだろうと思っている方がおおいのではないかと思いますが、この手の植物性セルロースカプセルの扱い方、保存方法を間違えると、短時間でこのような状態になるという見本です。
100%あり得ないとは断言できかねますが、まず製造段階でカプセルがこのように、焼け焦げたようにくっついてしまうことはあり得ないことだと思います。 この焼け焦げたようなカプセルの状態は、実は熱でこのようになったわけではなく、水でこのような状態になったものです。 通常、サプリメントの製造工程内で水を使う工程はないので、製造段階でこのような状態になることは考えられませんが、購入された方が、日常サプリメントをボトルやアルミ袋等の容器から取り出す際に、濡れた手で扱ったりすることによるものでしょうか。
このほか、容器を冷凍庫で保存する方が少なくないと思いますが、冷凍庫に保存して、室温の場所に取り出すことで、温度差によって容器の周囲だけでなく、容器の内側に結露することは少なくありません。
日本では、植物性セルロース素材のハードカプセルの普及率は高いと考えます。日常的に使っているサプリメントのカプセルがこのような素材である場合には、購入者自身も取り扱いと保存については注意をすることは、内容成分の安定的な使用にも繋がります。
サプリメント愛用者の皆さんは、このような点についても細心の注意を払って欲しいと思います。
by nutmed | 2014-10-23 16:01

第1368回 ビタミンEについて

ビタミンEは最も有名なビタミンの1つであることは皆さんも同意していただけるでしょう。最近でこそ、ビタミンEと言えばトコフェロールといわれるように なりましたが、相変わらずビタミンEはビタミンE単体として捉えられていることが少なくないです。ビタミンEの詳細な内容成分を見てみると、トコフェロール以外に「トコト リエノール」という成分がビタミンEを構成する成分として存在しています。
トコフェロールとトコトリエノールは非常に似た物質ですが、体内ではそれぞれ異なる働きをすることもわかってきました。例えば吸収について言えばトコトリエノールのほうがトコフェロールよりも早く優れていることや、抗酸化作 用については、トコフェロールよりもトコトリエノールのほうが勝っていることが最近の研究でわかりました。
α-トコフェロールは市販されているビ タミンEの主要成分として多く使われていますが、2005年にアメリカ栄養学学会誌で発表されたTanらの研究によると、α-トコフェロールはト コトリエノールの吸収を阻害することが報告されています。また、1996年にニュートリションジャーナルで発表された研究によると、トコフェロールにはコ レステロールを抑制する作用はほとんどなく、トコトリエノール(特にデルタ-トコトリエノール)にはその作用が多く存在していることが発表されています。
従来からビタミンEの抗酸化作用と、コレステロール(LDL)抑制作用が心筋梗塞などの循環器系疾患の予防に有用であることが叫ばれてきました。しかし、市販されているビタミンEサプリメントの多くがα-トコフェロールを中心とするミックストコフェロールを配合した商品で、トコトリエノールが配合されたビタミンEは非常に少ないのが現状です。
私の師匠のDr.ライトや多くの栄養療法に従事するドクターは、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症などいわゆるメ タボリック症候群の改善のために、患者に処方するサプリメントの中には、必ずビタミンEをラインアップしていますが、彼らのビタミンEは、日本で市販されている多くのビタミンEとは異なり、トコフェロールとトコトリエノールを成分配合した、いわば「フルスペクトラムビタミンE」とよばれるビタミンEです。
2002 年にQureshiらが発表した人による臨床研究によると、LDLコレステロールの抑制作用についてトコフェロールとトコトリエノールで比較した ところ、α-トコフェロールでは15-20%の抑制作用であったのに対して、β-δ-トコトリエノールでは60%の抑制作用があったことが報告されていま す。

参考文献
Tan B. Appropriate spectrum vitamin E and new perspectives on desmethyl tocopherols and tocotrienols. JANA. 2005;8:35-42.
Qureshi AA, Pearce BC, Nor RM, Gapor A, Peterson DM, Elson CE. Dietary alpha-tocopherol attenuates the impact of gamma-tocotrienol on hepatic 3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A reductase activity in chickens. J Nutr. 1996. 126:389-94.
Qureshi AA, Sami SA, Salser WA, Khan FA. Dose-dependent suppression of serum cholesterol by tocotrienol-rich fraction (TRF25) of rice bran in
hypercholesterolemic humans. Atherosclerosis. 2002;161:199-207.
Tan DT, Khor HT, Low WH, Ali A, Gapor A. Effect of a palm-oil-vitamin E concentrate on the serum and lipoprotein lipids in humans. Am J Clin Nutr. 1991; 53:1027S-1030S.
Yu SG, Thomas AM, Gapor A, Tan B, Qureshi N, Qureshi AA. Dose-response impact of various tocotrienols on serum lipid parameters in 5-week-old female chickens. Lipids. 2006;41 (5): 453-461.
Qureshi AA and Qureshi N. 1993. Tocotrienols: Novel hypocholesterolemic agents with antioxidant properties. In L. Packer and J. Fuchs (ed.), Vitamin E in Health and Disease. Marcel Dekker, New York.
by nutmed | 2014-10-22 09:24

第1367回 葉酸というビタミンについて

葉酸と言えばかつては注目されることがほとんどない、いつもビタミンB12の付け合わせのように扱われてきたこともありますが、この10年ほどで、日本を含む世界中の女性に注目されるビタミンになりました。
そ の背景には、胎児の神経管欠損(NTD:Neural Tube Defect)を葉酸が予防してくれるという研究発表から火がついたものでした。日本でも妊娠が確認された女性に対して産科医は葉酸を摂るように勧めることが日常的になってきました。
葉酸の働きは非常に重要で、ビタミン12とともに赤血球の生産に不可欠で あるとともに、 DNAの合成にも不可欠なビタミンでもあります。
2010年、アメリカのTufts大学、チリの病院、ノルウェーの研究機関などの研究報告では、大量の葉酸を日常的に摂取することで、乳がん、大腸がん、肺 がんのリスクが最大で21%増加するというショッキングな内容が報告されましたが、結論からいえば、1日あたり400マイクログラムまでの葉酸であれば問題にはならな いと、これらの研究チームは報告しています。
葉酸には合成されたものと天然型のものが存在しますが、合成されたものは一般に「Folic Acid」、天然型のものを「Folate」と区別しています。つまり、一般にサプリメントで摂取する「葉酸」は合成されたFolic Acidで、緑黄色野菜などの食材に含まれている「Folate」とは形が異なるということです。
葉酸は1930年にビール酵母とホウレンソウから、はじめて天然型として抽出されました。 このときの葉酸は「Folate」で現在の「Folic acid」ではありませんでした。しかし、Folateは空気に触れることで安定性が失われ、不安定な形になってしまう欠点があるために、1943年にア メリカの化学薬品製造会社(American Cynamid Corporation)によって、Folic acidとして合成結晶化され現在に至ります。
このFolic acidはFolateを完全に酸化した状態の葉酸で、非常に安定した葉酸ではありますが、ホウレンソウ、酵母、緑黄色野菜、オレンジ、グレープフルーツ、ヒマワリの種などに含まれる天然型の葉酸(Folate)とは異なる物質でもあります。
私の師匠でもあるDr. ライトは、この数年、ホルモンをはじめとしてビタミンや酵素については、人間を含む動植物が持つ(または作る)ものと、人間が合成するものでは、多くの場合 その構造が異なるだけでなく、体内での働きが大きく異なることから、人間の細胞組織の働きには天然型のホルモン、ビタミンなどが最も適しているとコメントしています。Dr.ライトはこれを「Bio Identical」という言葉で表現しています。
Dr. ライトは、前述のように、天然型のFolateは確かに不安定な形ではあるが、少量のFolateでは、自然の酸化還元によって、安定した状態を保つこと ができると言います。加えて、人間が体内で利用できる(作用する)葉酸の形はFolateであることから、合成されたFolic acidはそのままの形では体内で作用する形ではなく、Folic acidは体内で再びFolateの形に転換される必要があると言います。また、体内でFolic acidをFolateに代謝転換する能力は、加齢とともに低下してくるという研究報告があり、Folic acidとして摂取した葉酸は、加齢とともに、体内で利用できる天然型のFolateに転換代謝されず、血中の葉酸(Folic acid)濃度が高くなる可能性があるとコメントしています。
Dr.ライトは、細胞組織が正しく機能するためには、Folic acidではなく、天然型のFplate葉酸を摂取することを考えるべきだ、とコメントしています。さらに、妊娠を予定しているまたは妊娠初期の女性で は、積極的に天然型の葉酸(Folate)が豊富に含まれた緑黄色野菜、オレンジ、グレープフルーツなどの食材を摂取するべきだと言います。妊婦だけでなくリウマチの治療を行っ ている患者で葉酸を処方されるケースでも同様だと思います。
by nutmed | 2014-10-08 15:25