臨床栄養士のひとり言

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第1397回 代謝タイプについて

皆さんは「代謝」という言葉についてはご存じだと思いますが、今日のテーマに入る前に、代謝とは何かを簡単に説明しておきます。代謝とは、飲食によって摂取した食物を、様々な化学変化のプロセスを経て、体の細胞臓器が活動するために必要なエネルギーを得ることです。このプロセスで重要な役割を担っているのが「燃焼」または「酸化」というプロセスです。
この代謝でエネルギーを得るための食材の対象は、炭水化物・たんぱく質・脂質の3台栄養素になりますが、どの栄養素をエネルギー源とするのが得意なのか不得意なのかのタイプが人間にはあるらしいことがわかりはじめてきました。 アメリカやカナダでは、エネルギー獲得のために、自分がどのタイプなのかを知ることが、健康管理、ダイエット、症状の改善に有効であることが報告され始めています。
大きく分けると、炭水化物タイプ」「たんぱく質タイプ」「ミックスタイプ」の3つに分けられ、さらにミックスタイプは「炭水化物傾向」と「たんぱく質傾向」の2つに分けられます。
わかりやすく説明すると、たんぱく質タイプの人は、強力な火力のハイカロリーバーナーを持ち、炭水化物タイプの人は火力はそれほど強くないカセットコンロを持っていると考えると理解しやすいかもしれません。
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代謝タイプは、エネルギーを得るために、食物を燃焼)酸化)させる能力が速いタイプと遅いタイプのどちらであるかを知るということでもあります。
たんぱく質、脂肪は酸化(燃焼)に時間がかかり、炭水化物は酸化(燃焼)に時間はかからないということです。
たんぱく質タイプ
酸化(燃焼)が速いタイプ=Fast Oxidizer
エネルギーを生産するためには高たんぱく質、高脂肪、低炭水化物の食物が最適。  常時エネルギーを作り出すためには燃焼に時間のかかるたんぱく質と脂肪を速く酸化(燃焼)させることが要求される
炭水化物タイプ
酸化(燃焼)が遅いタイプ=Slow Oxidize
エネルギーを生産するためには高炭水化物、低たんぱく質、低脂肪の食物が最適  エネルギーの供給が途絶えることで細胞の働きに影響がでるため、すぐに燃焼してしまう炭水化物を時間をかけてゆっくり酸化(燃焼)させることが要求される

代謝タイプを知ることのメリットは、自分がどのタイプなのかを知ることで、効率的なエネルギーを得ることができることです。 炭水化物の食材は言ってみれば、ティッシュペーパーや新聞紙のようなもので、弱い火力でも燃やす(燃焼)ことができますが、複雑な構造の大木のようなたんぱく質を燃やす(燃焼)ためにあ、強力な火力でなければいつまでたってもエネルギー源の糖分を得ることができません。つまり、炭水化物タイプの人が肉や脂肪ばかりを食べていれば、なかなかエネルギーを得て代謝することができない、逆にたんぱく質タイプの人が、すぐに燃えてしまうティッシュペーパーのような小麦や米ばかりを食べていれば、どちらもエネルギーの枯渇状態になり、疲労感、集中力、記憶力の低下、パフォーマンスの低下につながる可能性が高くなります。
by nutmed | 2015-05-27 10:07

大1396回 副腎疲労改善に「仁丹」

身近で使える副腎疲労改善の商品を1つ。副腎の日内変動を見ればわかるように、副腎は早朝から昼頃をピークに機能が上昇します。言ってみれば早朝に車のエンジンをかけるのと似ています。副腎が疲弊してその機能が十分果たせない理由の1つとして、副腎が作るホルモンのコルチゾールの生産能力が低下するため、キーを回してもエンジンがかからない状態と同じです。このような副腎疲労の改善方法野1つとして、栄養療法では甘草(カンゾウ)を朝一番で飲んでもらう指導をすることが少なくありません。通常は甘草のお茶やタブレット上に固めたものを使うことが多いですが、身近にある素材で甘草を摂ることができます。それが「仁丹(ジンタン)」。
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最近ではお目にかかることはなくなりましたが、高度成長期から平成になる前頃までは、仕事と接待で頑張るお父さんの背広のポケットには、丸いプラスティックの仁丹ケースが必ずと言っていいほど携帯されていたかもしれません。朝の通勤電車の車内に漂う臭いと言えば、仁丹の臭いと柳屋のポマードか、バイタリスの整髪料の臭いでしたよね。
昔は液のkioskで購入できた仁丹も最近ではkioskにすら置かれていないようです。私も仁丹を購入するときに街のドラッグストアで購入しましたが、若い店員さんに「仁丹はどこにありますか?」と聞いたところ「仁丹てなんですか?今店長に聞いてきます」。最近は仁丹使う人がいないのでしょうね。仁丹を当時愛用していたお父さんたちの目的は、飲み過ぎ、食べ過ぎで荒れた胃壁の粘膜保護ですが、甘草には殺菌作用もあります。
朝、疲労感が募って起きられない、午前中は能力が上がらない、ストレス耐性が低くなったと感じるような人は、朝食事前に仁丹を3-5粒だ液で舐め溶かして使ってみるといいかもしれないです。甘草には血圧上の作用も報告されているので、日ごろから血圧が高めの人は使用に注意してください。
by nutmed | 2015-05-21 09:16

第1395回 逆流性食道炎の根本原因の1つは低胃酸

私の師匠でもある、米国シアトルのTAHOMA CLINICのDr.ジョナサン・ライトが、現代医療ではあまりにも胃酸の分泌に注目して患者のケアをしていないと言い、私も彼に徹底的に消化分解、吸収の基本となる胃酸の生産能力と分泌について叩き込まれて20年近く経ちます。そのDr.ライトが「逆流性食道炎(GERD)」は医薬品メーカーのキャンペーンで、胃酸過多が原因であり、治療には胃酸を止めてしまう薬(プロトンポンプ抑制剤、H2阻害剤)を処方させられてきたと声高々に説明していました。Dr.ライトが胃酸と体内環境への影響についての本を出版して早12年がたちます。
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この本は私の栄養療法のバイブルでもあり、従来から私が各地で行っていセミナー、講演会、今年で4回目を迎える栄養療法塾の1回目の講義テーマが胃酸であることも、Dr.ライトから学んだことでもあります。
彼がこの本の中で、胃酸が少ない「低胃酸」の状態が、逆流性食道炎をつくる最大の原因であることを説明していますが、当時からつい最近まで、逆流食道炎は胃酸が過多になっているから起こる症状だと、通り一遍等の考え方、報告が日本だけでなく、世界中の臨床医の大半を占めていたことは間違いありません。
アメリカやカナダで栄養療法、歯科医、自然治癒療法、カイロプラクティックやホリスティック医療に従事する専門家の間では、逆流性食道炎の原因の最大の背景が、胃酸が少ない、または胃酸のpHが十分に酸性に傾いていないことにあることは熟知しているはずですが、依然、臨床医は多いです。そんな中、最近では米国のMayo Clinicなどの臨床医の中にも、逆流性食道炎の原因の多くに、低胃酸症が存在することを報告しはじめているグループが見られるようになったことは、大きな前進だと思います。
それでは、Dr.ライトを始めとする栄養療法に従事する臨床医、栄養療法医師らふが、逆流性食道炎の原因の多くが低胃酸にあることを簡単に説明すると下の図のようになります。
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1、低胃酸=胃酸の分泌が少ないまたはpHが十分に酸性になっていない
2、低胃酸は膵臓で生産される炭水化物を分解する消化酵素「アミラーゼ」の生産スイッチが入らない
2、低胃酸によって小腸での細菌(おもにグラム陰性菌)の繁殖
  SIBOとはSmall Intestie Bacteria Overgrowthの略で「小腸における細菌の異常繁殖」
3、SIBOによって異常繁殖、異常発酵したガスの増加
4、腹腔内圧がガスで上昇
5、胃内部圧力上昇し、胃内容物と胃液が食道下部括約弁を押し広げ逆流食道炎を発症


SIBOシーボまたはサイボと発音)については、日本ではまだまだなじみのない呼称ですが、私が行っている栄養カウンセリングに来られる方の40%くらいが持つ「腹部膨満感」の背景にこのSIBOは深く関係しています。
SIBOについてはいずれ別テーマで特集したいと思います。
アメリカの栄養療法を実践する歯科医の多くが、逆流性食道炎には注目をしていますが、その背景には「はぎしり」の原因と逆流性食道炎には密接な関係があるからで、初診ヒアリングの際には、がy区流星食道炎の原因ともなる胃酸の分泌状態をチェックするのはそのためです。
by nutmed | 2015-05-20 16:18

第1394回 ナスが皮膚がんの予防に有効

今日はナスに含まれるソラソジン配糖体(Solasodine Glycosides)という成分が皮膚がん(扁平上皮および基底膜細胞)の治療に効果があるという話題です。もともと紫外線による皮膚がんが多いオーストラリアで1990年に発見されたソラソジン配糖体は、デビルスアップル(下の写真)というフルーツから抽出されました。

このデビルスアップルに含まれるソラソジン配糖体は皮膚がんの細胞の増殖を強力に抑制しますが、正常な細胞の増殖には影響を与えません。ソラソジン配糖体を配合したクリームが開発されていて、「BEC5」という名前でインターネットの通販でも販売されています。オーストラリアとイギリスで行われたBEC5を使用した72人の皮膚がん患者の治療効果の研究では、1-13週間という驚くほどの速さで、なんと72名(100%!)の患者の皮膚がんが治癒していると報告されています。日本でも九州大学薬学部研究室がこのソラソジン配糖体のがん細胞抑制作用の報告をしています。
ソラソジン配糖体はデビルスアップルに豊富に含まれていますが、このほかナスにも含まれていることがわかっており、ナスを積極的に食べることが扁平上皮がんの予防にもつながることが期待されています。

扁平上皮がん細胞は皮膚がんのほか、食道、喉頭、口腔、膣、陰茎、陰嚢、外陰、上顎、子宮けい部、肺などの組織に発生するがんです。
これから食卓のメニューにナスを積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか・・・
by nutmed | 2015-05-13 10:00