今日は胃酸について少し変わった切り口からの説明です。
pH(酸性アルカリ性)のスケールは水素の量で決定することはご存じだと思います。世間でいうところのアルカリイオン水は水素イオンの量が多い水のことでもあります。したがって、水素の量が増えるとpHはアルカリ性に傾向してしまうため、食後3時間はアルカリ性に傾向することは望ましい環境ではありません。一方で、胃酸が生産分泌されるときに、カリウムとともに必ず必要になるのも水素(イオン)です。
アルカリ性(7.365以上)のまま私たちの体は、アルカリ自体を維持するための自然なメカニズムを有しています。食べ物を消化し、細菌やウイルスを殺菌するためには、私たちの胃の内部は3.0-4.0の酸性に維持されます。 私たちは食べ物を食べ、水、特にアルカリ性の水(水素水)を飲むときに胃の内部のpH値が上がりアルカリ性に傾向します。 このとき胃の中ではフィードバック機構のスイッチが入り、胃の内部のpHを3.0-4.0に戻すために、ph2.0-3.0の強酸性の胃酸を生産分泌し、胃内部のpHの平衡を維持しようとします。 つまり、アルカリイオン水(水素水)を飲むことは、ある意味では逆説的に胃酸の生産を増加させ胃内部のpHを最適な食物分解濃度を維持するためのメリットはあるといえます。ただし、元来胃酸分泌能力が低い状態であったり、常時大量のアルカリイオン水を飲むことはかえってpHそのものを慢性的にアルカリ性に傾向させてしまう可能性がありますので注意が必要です。
せっかくなので少しトピックを紹介しておきます。
通常消化分解を終えて十二指腸に贈られる時に、強酸性のままでは十二指腸に穴をあけてしまうことになります。この問題を回避するために、膵臓が膵液と呼ばれるアルカリ性ジュースを作ります。 このジュースは炭酸水素ナトリウム(重曹)であり、ドロドロに溶けた酸性食物が胃から出る前に混合され、pH5.5前後に希釈をしてくれます。膵臓が炭酸水素ナトリウム(重曹)を作るために、胃壁から分泌された塩酸の一部は血液中に入り循環します。食後に出るげっぷの正体の多くは食事と一緒に飲み込む空気ではなく、この重曹が酸と巡り合って反応してつくられた炭酸ガスでもあります。
また、食後3時間くらいすると眠くなる人がいますが、この背景jにも塩酸(胃酸)がかかわっています。塩酸の成分は眠気を引き起こす作用のあるヒスタミン薬の成分でもあるため、食後に眠くなる人はある意味では胃酸が作られて機能していると考えてもいいかもいしれません。
by nutmed | 2016-02-23 16:20

今日は肥満と炭水化物過剰食癖です。炭水化物過剰食癖は英語では Carbohydorate Craving,別名「Carbo Craver(カーボクレーバー)」や「Sugar Craver(シュガークレーバー)」と言います。Cravingとは「渇望」という意味でこの場合には炭水化物や甘いものを異常に食べたくなる衝動を もった人のことを言います。
1日を通して食事を含めて甘いものを渇望する人の多くでトリプトファンが不足しているという研究報告はこの10年間で あとを絶ちません。事実、私の師匠であるDr.ライトのタホマクリニックでも炭水化物過食による肥満のクライアントの血中トリプトファンを検査しています が、90%のクライアントでトリプトファンが不足している現状があります。
トリプトファンは代謝することのよって、うつ症状や情緒不安、不眠などのに関わるセロトニンと言う神経伝達ホルモンに変化します。セロトニンの量は炭水化物を摂取することによって増加しますが、この背景は、炭水化物を摂取した後に分泌されるイ ンスリンの働きによってアミノ酸を運ぶトランスポーター(運び屋)がトリプトファンをより多く血液中を運んでくれるためです。一方で、このアミノ酸の運び屋は、トリプトファンと同じ大型の中性アミノ酸(LAC:Large Neutral Amino acids)に分類されているイソロイシン・ロイシン・フェニルアラニン・チロシン・バリンと争奪戦を繰り広げ競合し合います。このアミノ酸の運び屋争奪戦に負けて、トリプトファンの吸収量が減るとセロトニンの合成も低下し、精神的機能などセロトニンの不足が関わる症状が現れることになります。このような状態になると、セロトニンの合成をあげるために炭水化物(甘いもの)を要求するようになるというわけです。
栄養療法における肥満とシュガークレイバーの治療に際して血液中のトリプトファンとヒスチジン・イソロイシン・ロイシン・メチオニン・フェニルアラニン・ス レオニン・チロシン・バリの濃度を検査してその比率を見ることがありますが、トリプトファン:他のアミノ酸の比率はかなり低下しています。
最近は 20代、30代でもよく見られるシュガークレーバーを原因とする肥満ですが、肥満傾向にある方の多くは食欲のコントロールが上手にできていないことが少な くありません。こういった人たちのトリプトファン:他のアミノ酸の比率を検査分析してみると、比率が低くトリプトファンが不足していてことが多く、結果と して食欲をコントロールするセロトニンの合成が低下していることも少なくありません。

栄養療法ではこのような症状を改善するために、食事の1時間ほど前にトリプトファンのサプリメントを1,000から2,000mg摂取してもらうことでシュガークレービングの症状が顕著に改善し、食欲コン トロールが改善されて肥満を改善させることもあります。ただ、長期間に及ぶ場合には軽い眠気、注意散漫、のぼせのような症状がでることがあるため、乗り物の運転は避けるとともに、専門の知識を持った医師やカウンセラーの指示に従うべきだと思います。
by nutmed | 2016-02-15 14:06