金曜日から久々に西へ向かって出張でした。
目的地は京都、続いて神戸です。このい季節の京都は何回も訪れていましたが、今年の京都は異常とも思えるほど肌寒くて、厚手のコートを着て歩く人を見ても、決して季節はずれのようには感じない陽気でした。
懇意にさせていただいている山田豊文先生との久しぶりの会話も、あっという間の2時間でしたが、いつもながら非常に中身の濃い内容でした。山田先生も日本では数少ない日本の子供たちの未来を憂う一人で、いつもながら早く手をうたないといけないという結論に導かれていきます。

金曜の午後には一足早く神戸に移動して、久しぶりの神戸の港風景を堪能しました。
今日、土曜日は三宮にある新たに健康食品の販売を開始する会社で、健康セミナーをしてきました。
神戸もはやり肌に触れる風はこの季節に似合わぬ寒さを感じました。

震災の被害を見事に撥ね退け、復興をした神戸。ただ、心なしか三宮の街並みが寂しく感じられたのは不景気のせいなのでしょうか・・
# by nutmed | 2010-05-15 22:21

今日から週末は京都、神戸に出張です。これから新幹線に乗って西に向かいます。週末なので東京駅も混雑していますね。

さて、今日はザクロの作用効果の最終回。ザクロの食欲抑制作用についてです。

2007年6月の国際肥満学会誌(International Journal of Obesity)で、北京の清華大学の研究チームによる発表で、ザクロの葉に含まれる成分(PLE)には強力な食欲抑制作用と脂質異常症の改善効果があることが報告されています。この研究では人間ではなくマウスによる動物実験ではありますが、肥満の原因となり、コレステロールの代謝バランスを崩してしまうような高脂質食を与えたマウスに、5週間PLEを与えたところ、著しく食欲が低下し、体重、血液中のコレステロール値は低下するとともに、便中に排泄された中性脂肪の数値が高くなっていたことが報告されています。
ザクロの葉から抽出された成分には、膵臓から分泌する脂肪分解酵素(膵リパーゼ)の働きに影響をあたえるとともに、腸内での脂質の吸収を阻害する作用があるのではないかと考えられています。
確かに、私のクライアントの中にも、更年期の症状を緩和する目的でザクロジュースを飲むように勧めた女性の中の何人かは、食欲、特に炭水化物への欲求が抑えられて、体脂肪が5%ほど減った方がいます。
果糖の問題があるので、血糖を気にされている方は頻繁に飲むことには注意したほうがいいと思いますが、
1日に200ccほどのザクロジュースであれば、減量効果も期待できるのではないかと思います。
# by nutmed | 2010-05-14 08:13

梅雨入りの予行演習だったこの2日間とは一変、西からの高気圧に覆われ、ここ東京も朝から眩しい陽がさす1日になりあそうですが、肌に触れる風はまだ冷たい感がありますね。

さて、きょうはザクロとホルモンについてです。
ザクロに含まれているエラジタンニンの構成成分の中には、アロマターゼを阻害する作用が確認されています。アロマターゼは、男性ホルモン(アンドロゲン)を女性ホルモンのエストロゲン(エストラジオール:E2)に変化させる酵素です。アロマターゼ酵素は場合によっては女性の乳がん(エストロゲン由来)や男性の前立腺がんの発症、毛髪の薄毛などに働いてしまう酵素でもあります。今年の1月にアメリカのガンの研究誌(Cancer Prevention Research, January 2010)で、ザクロに含まれるの構成成分のなかの1つ(ウロリシンB:urolithin B)には、エストロゲンに反応して発症する乳がんを抑制する強い作用を持つことが報告されました。
エストロゲンに反応して発症する乳がんの治療で投薬される薬の中には、アロマターゼ抑制剤(アロマターゼインヒビター)が処方されることは少なくありませんが、ザクロの中には、これらの薬に匹敵するような機能性成分が含まれているわけです。
アロマターゼインヒビター薬は、女性だけでなく高齢男性の男性機能回復、性欲増加、腹部の脂肪抑制の目的でも使われていますが、その背景にはアロマターゼの働きが抑制されエストラジオールの量が低下して、テストステロンが増えるという理屈があります。
第785回 ザクロの作用効果について その3_d0070361_10465594.jpg

アロマターゼインヒビターのことについては昨年の5月のエンテロラクトンのテーマでも取り上げているのでこちらを参考にしてみてください。
アメリカでは、高齢男性の男性機能回復、性欲増加、腹部の脂肪抑制の目的で、ザクロエキスにリグナンから抽出されたエンテロラクトンを加えたサプリメントもあるほどです。
# by nutmed | 2010-05-13 10:47

昨日今日は、梅雨の予行演習といった雰囲気のある天気です。午後からは東京の雨もあがるようですが、5月だというのに気温が上がりませんね。

さて、今日はザクロの作用効果の2回目。ザクロのメタボリック症候群改善効果についてです。

今日は最初から少し難しい話になりますが、ついてきてください。
人間の体内で働く酵素は、わかっているだけでも4000種類を越えますが、その中に、肝臓で合成される酵素の1つである「パラオキソナーゼ(PON)」という酵素があります。
この酵素は、有機リン系殺虫剤などのエステル物質を加水分解する酵素として知られています。PONにはいくつかの種類があり、PON-1は血液中ではHDL-コレステロールと結合している酵素で、血管壁に付着したLDL-コレステロールを掃除してくれたり、コレステロールの酸化を防いでくれる作用をもっています。PON-2はPON-1とほぼ同じ作用を持ちますが、血液中よりも細胞内で作用することがおおい酵素と言えます。
PON-1もPON-2もコレステロールの働きにかかわる酵素ですから、これらの酵素が少なくなることで、コレステロールを含む脂質の働きに影響を与え、脂質異常症(以前は高脂血症と呼ばれていました)、糖尿病、高血圧などの生活習慣病をはじめ、肥満を中心とするメタボリック症候群、また心筋梗塞などの原因背景にもなります。
この数年の間の研究で、ザクロに含まれるポリフェノールには、PONの肝臓での合成にかかわる遺伝子の発現にかかわっている可能性が高いことが報告され、またPONが増えることによってHDL-コレステロールが増加し、それによってコレステロールの代謝が良好になることがわかりはじめました。
イスラエルの研究チームの発表では、重度の動脈硬化患者に1年間、毎日200ccほどのザクロ100%のジュースを継続して飲んでもらったところ、動脈の膜厚が最大で30%減少し、またPON-1が著しく上昇し、LDL-コレステロールも低下したという報告があります。また、糖尿病(Ⅱ型糖尿病)、脂質異常症や肥満の人では、PON-1が低いことが報告されていることから、ザクロに含まれるポリフェノールの機能性は、これらの症状の改善と予防に有効であると考えられています。
ザクロ(ジュース)の継続摂取は、メタボリック症候群の改善や予防に有効であると言ってもいいかもしれませんね。
# by nutmed | 2010-05-12 07:01

週末のキャノンボールツーリングのほどよい疲労感が多少残る今日月曜日。起床後に飲んだグレープフルーツジュースがこんなにおいしく感じたことは今までありませんでした。

さて、今日はザクロについてです。今までザクロについては幾度か紹介したことがありますが、今日はメインのテーマとして取り上げてみたいと思います。
第783回 ザクロの作用効果について その1_d0070361_14471865.jpg

イランの東地方が原産地とされるザクロ(pomegranate)は、ここ10年ほどの間にアメリカ、EU諸国、そして日本でも、その機能性に注目されています。
日本では古くから盆栽などの観賞用に珍重されてきたザクロですが、以前は街をあるけばそこかしこの家の庭に植えられていた記憶があります。
秋に実る果実の種が食用にされますが、比較的酸味が強く、種の周囲にある果肉が小さく少ないことから、食べるのが面倒になることもあって、日本ではあまりマーケットの棚に並ぶことはありません。最近日本でも、ザクロの果実を搾ったジュースが話題になり、高価にも関わらず品切れを起こすことも珍しくないようです。
ザクロの持つ機能性には、人間の体内環境に多くの恩恵を与えてくれる成分が含まれています。昨年10月に紹介した前立腺がん予防効果もその1つでしょう。
今回はザクロをクローズアップして少しザクロの機能性について続けてみたいとお思います。
ザクロが持つ機能性の1つが強い抗酸化作用ですが、それはポリフェノールの1種でもある「エラジタンニン(ellagitannin)」によるものです。エラジタンニンはザクロだけでなく、赤い色素の強い植物、イチゴやラズベリー、そのほかナッツの種類にも含まれているポリフェノールです。エラジ・・・という言葉にここで反応した方は、美や健康に敏感な方かもしれませんね。皆さんは「エラグ酸(ellagic acid)」という物質の名前を聞いたことがあると思います。特に女性の方は、化粧品成分でこのエラグ酸の美白効果を謳った商品に興味をそそられたことがあるのではないでしょうか。以前、歯磨きで有名な某メーカーが、イチゴから抽出したエラジタンニンから、酵素をつかってエラグ酸を分離し、美肌化粧品の販売をしたことがあります。
最近の研究では、エラグ酸には先天的な細胞への障害を抑える働きがある可能性が分かり始めているほか、細胞が変異して起こるガンの予防、炎症を抑える抗炎症作用、LDL-コレステロールの低下、脂質の酸化抑制などの作用効果が多くの研究者によって明らかにされているところです。
女性の期になる美白についていえば、エラグ酸には、シミの原因となるメラニンを作る酵素であるチロシナーゼの活性を阻害する作用が認められていて、メラニンの生成を抑制することからシミの予防効果が期待できます。皮膚科やアンチエイジング療法を行うクリニックでシミの治療や予防で処方される「ハイドロキノン」という薬がありますが、エラグ酸にはこれと非常に似た作用効果があると考えられます。
# by nutmed | 2010-05-10 14:47