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第663回 エストロゲンと乳がん その4 グルカル酸

今も台風の暴風雨圏にある東京はときおり突風が吹いています。今朝未明からの豪雨で目が覚めた方も多かったことでしょう。東海地区の台風の爪あとも時間野経過とともに明らかになってきたようです。
ニュースで報道されていたほど風は強くなく、雨台風なのかと思ったら、午前8時過ぎからここ東京も風が強まり、電線だけでなく路地に置かれているゴミバケツが突風で飛ばされるほどの強風です。公共の乗り物にもかなりの影響が出ているようです。

さて、今日はエストロゲンと乳がんの最終回になります。
最終回の今日紹介するのは「グルカル酸」と言う機能性物質についてです。似た物質にグルコン酸、グルクロン酸がありますが同じ糖の仲間ですが正確にはそれぞれ異なる物質です。
人間の体は毎日のように発がん性物質の暴露にさらされていると言っても過言ではないでしょう。それは食材に含まれる化学合成物質であったり、農薬、殺虫剤、タバコ、カビ、排煙排気ガスなど数えきれない物質にさらされています。
発がん性物質については賛否両論があると思います。確かに水際で食い止めることが最も重要な課題であることに異論の余地はありまが、私は以前からの持論として、これらの毎日の生活にドップりと浸透してしまっている物質を100%完全に食い止めることは残念ながらもはや不可能に近いことであり、60兆個の細胞の働きを維持することと、発がん性物質を徹底的に排除することに囚われすぎ十分な栄養素が摂取できなくなることを天秤にかけたならば、私は仮にそこに発がん性物質が含まれていたとしても、自らの60兆個の細胞の働きを維持するために必要なあまりある栄養素をそこから摂取することを選択します。その一方で、自らの体が持っている、こうした発がん性物質を体外に排泄するいわゆる解毒の機能を常に高めることを怠りません。この点については皆さん個人個人の考え方があるでしょうからここではこの辺でとどめておきましょう。

人間の体内には営みに必要としない、または存在することによって明らかに細胞の働きに障害が生じる物質を排除しようと働く機能が備わっています。また、自然界には発がん性物質の解毒を促してくれる働きを持った植物性の機能性物質(フィトケミカル)がたくさんあります。
今日紹介するグルカル酸(D-glucarate)もその1つです。グルコン酸はグレープフルーツ、リンゴ、オレンジ、ブロッコリ、芽キャベツに豊富に含まれている物質です。グルカル酸は体内に侵入してきた発がん性物質によって、損傷を受ける可能性の高い細胞のDNAの変異を抑制する作用を持つことがわかっているほか、水溶性のグルカル酸が発がん性物質と結合することで体外への排泄を促す作用を持っています。
1995年にイスラエルの研究グループが行った乳がんと発生率とグルカル酸の摂取の関係調査によると、グルカル酸を摂取していた女性のグループでは乳がんの発生率が50%抑えられていると報告しています。
グルカル酸(グルコン酸、グルクロン酸も同様)には発がん性物質の排泄を促進するだけでなく、乳がんの原因にもなる過剰なエストロゲンの排泄を促す作用があることもその後の研究で報告されています。

I3C(インドール-3カルビノール)と同様に、グルカル酸には乳がん予防のための作用があることから、両者を豊富に含むブロッコリ、芽キャベツを積極的に食材に取り込むことは「食からの予防」のために非常に有効であると思います。

今回で最終回になりますが、紹介しきれなかった乳がん予防のための優秀な素材は他にもたくさんあります。フラックス(亜麻)もその1つです。最後に2005年にトロント大学外科グループが発表したフラックスのすばらしい作用を紹介しておきます。いままで紹介した機能素材が予防を中心にした素材であるのに対して、フラックス(オイルではなくフラックスの実)には乳がん細胞の委縮効果があることが報告されています。32人の乳がん摘出手術を待つ女性に、1日25グラムのフラックスの実を食べてもらったところ、32人全ての女性で術後のがん細胞の再発増殖が平均で61%抑制されていることが報告されています。

日本人女性にとって乳がんはある意味では現代病と言っても過言ではないほど、この数十年間の食生活の変化と環境汚染によってもたらされた影響は大きいと思います。その意味では、早期発見のための乳がん検診とともに、日常の食生活に予防を叶える食材を積極的に取り入れることは意味のあることでしょう。
by nutmed | 2009-10-08 11:36