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第665回 逆流性食道炎と胃酸

この3連休、皆さんはどのように過ごしましたか。全国的に快晴の3日間でしたね。我が家のキンモクセイも先週の台風を逃れ、3日間秋らしい香りを届けてくれました。私は来春に向けて久々に花壇にチューリップを咲かせようと思い、土作りをしてました。

さて、今日のテーマは胸やけと胃酸についてです。
最近カウンセリングやメールでいただく体調の悩みで意外に多いのが逆流食道炎(GERD:Gastro-esophageal reflux disease)です。GERDは加齢とともに多くなる症状で、食道と胃の堺付近にある食道括約筋(LES)がうまく働かなくなり、胃と食道の弁を閉じることができにくくなることで、胃の中にある消化途中の食物、酵素、胆汁と胃酸が文字通り食道に逆流して苦しい思いをする症状です。GERDの症状を持つ人の中にはたまに食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニアと言って、胃の一部が横隔膜よりも上に飛び出して空洞を作っている人もいます。
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このGERDが最近は若い人たちにも増えていることです。
GERDは食道の括約筋を緩ませるような作用のある食材(チョコレート、トマト、生のタマネギ、ニンニク、黒胡椒、酢、ペパーミント、フライやてんぷら、炭酸飲料、アルコール飲料など)をたくさん食べたとき、喫煙、アスピリン服用時やぜんそく治療薬を服用したときなどに起こりますが、これにストレスや早食いなどの条件が加わることで頻繁にGERDが起こりやすくなります。
軽いGERDの症状の場合、私は以下のアドバイスをしていますが比較的効果はあります。
1、食後、少なくとも1時間は横にならない
2、寝るときの枕の高さを自分の目線で胃よりも5cmほど高くして寝る
3、不用意に胃酸を止めたり中和する胃薬は飲まない


GERDの主な症状が胸やけなので、頻繁に胸やけを起こす人が起こす最初の行動は、薬局へ行き自分の判断で胃酸を止めてしまうような薬(H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害剤)を購入するか、薬剤師に胸やけがすると相談すると、最近の多くの薬剤師は胃酸を止めてしまうような薬(H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害剤)や胃酸を中和させてしまう薬を勧めてくれるでしょう。確かにGERDによって食道に逆流してくる液体で胸が焼けるようにジリジリする痛みや、すっぱいものがこみ上げてくると、いわゆる胃酸が多かったり胃酸が出すぎているように思うので、これを改善するために胃薬が有効かもしれません。
しかしここで考えなくてはいけないのは、上の図にあるGERDの原因を作る食道括約筋(LES)が閉じるためには、胃液に含まれる胃酸が引き金になるということです。食事をして胃の中に食物が入りぜんどう運動がはじまり、酵素や胃酸、胆汁が混ざり合いはじめると、胃液の酸の働きによってこの食道括約筋が刺激を受け食道が閉じ、逆流を防いでいるわけです。
つまり、酸を止めてしまうことで食道と胃の境目にある括約筋が開いた状態になり逆流が起きやすくなるということです。

過剰なストレスや食道ヘルニアなどの背景もあるのですべてのGERDが同じ原因とは言いませんが、私の師匠であるDr.ライトが今まで診てみたケースや、私が日本でカウンセリングした数少ないケースを見ても、胃酸が多かったり、出すぎでGERDになるケースよりも、逆に胃酸が適切なタイミングで適切な量出ていないことのほうが多いと思っています。
胃薬を飲むと確かにすっぱいものがこみ上げてくることやジチジリすることはなくなりますが、GERDによる食道の炎症の多くは、皆さんは胃薬で止めてしまったり中和してしまう胃酸による影響よりも、タンパク質や脂質を消化分解してしまう消化酵素と胆汁の逆流によって潰瘍などの炎症を作ってしまうことが少なくありません。
自覚症状としての胸やけは胃薬によって改善されますが、GERDの原因と背景を正しく突き留めずに、胃薬で楽になったと思っている背景で、消化酵素と胆汁によって食道に潰瘍を作ってしまうということは無い話ではありません。
by nutmed | 2009-10-13 16:34