2009年 11月 11日
第685回 尿のpHが教えてくれること
さて、今日から数回にわたって尿中のpH、つまり酸性、アルカリ性が教えてくれる体内環境の情報についてを紹介します。
尿のpHを検査確認するためにはpH測定器が必要になります。
熱帯魚を扱っているショップなどでは上のような精度のいいおHメーターが安価で販売されていますが、毎日使うたびに準備をするプロセスを考えると、pH試験紙のほうが扱いやすいし、最近のpH試験紙はかなり精度もよくまた安価なので、家族全員で使えるメリットはありますね。
さて、尿中のpHを検査することによってなにがわかるのかと言うと、もちろん酸性アルカリ性の状態を知ることで、臓器、特に腎臓などに負担がかかっていないかを確認することなど様々な臓器の情報が得られることはもちろんですが、余分な酸を体外に排泄する能力とミネラル、特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウムとカリウムが吸収されているかを判断するために有効な検査なんです。これらのミネラルは体内のpHを一定に保つための緩衝物質(バッファ)として働きますが、これらの緩衝作用を持つミネラルが十分に体内に蓄積されていても、食生活、ストレス、環境によって体内のpHは極端に上下することがあります。酸性またはアルカリ性物質が食事、医薬品、サプリメント、飲料水によって外部から過剰に摂取された場合や、体内で過剰に作られた場合には、生命にもかかわることがあるため過剰な酸性またはアルカリ性物質を体外に排泄する必要があります。人間は、肺からの呼気や尿、便によってこれらを排泄する能力を持っていますが、中でも尿はその能力が最も高いといえます。
尿のpHを日常的に検査することで体内環境を改善して最適な健康を維持するための食生活や生活習慣の指標をつくることができます。
pH試験紙を購入して準備ができたら、まず、日常の尿pH検査を進める前に、今の自分の消化分解能力と体内環境を確認するために、3日間、朝一番の尿のpHを検査することをお勧めします。
尿の最適なpHは6.50~6.80ですが、この3日間の平均尿pHが6.50前後である場合には、体内の緩衝能力は正常な状態でアルカリ性ミネラル(カルシウム、マグネシウム、ナトリウムとカリウム)の吸収蓄積もほぼ十分であると考えられます。逆に、この3日間の平均尿pHが6.80以上である場合には、食生活、医薬品、ストレス、環境など外部からの酸性物質が過剰な状態であり、またアルカリ性ミネラル(カルシウム、マグネシウム、ナトリウムとカリウム)が緩衝能力の限界に近い状態で働いていることが考えられます。また、このときに外部から緩衝のために働くアルカリ性ミネラルの摂取が十分でない場合には、体内の骨、筋肉などの組織からこれらのミネラルが引き出されている状態である可能性もあります。
次回は酸性(アシドーシス)についてです