第686回 尿のpHが教えてくれること その2

昨日は神尾記念病院のカウンセリングの日でしたが、以前からカウンセリングを見学したいと申し出をうけていた女子栄養大学で栄養カウンセリングをしている管理栄養士の女性が見学に来ました。おそらく私が行っているような栄養カウンセリングを見るのは彼女にとっても初めての経験だったと思いますが、安易にサプリメントに頼らず可能な限り自分の体内環境、特に消化分解と吸収の働きを改善、向上させてあげることを考えた栄養指導と食材選択、食事の仕方、特にストレスをためないような環境をつくることの重要性については理解してくれたのではと思います。彼女の強い要望もあって、今月下旬には女子栄養大学の管理栄養士の有志の方を対象に栄養療法とカウンセリングの実践についての勉強会を行うことにもなりました。
日本でもこのような若い管理栄養士の人たちが臨床に近いところにどんどん進出してもらえることは私も期待するところです。

さて、今日は尿のpH、アシドーシスについてです。

アシドーシスとは酸性に傾く状態のことを言いますが、ここでは尿のpHが酸性に傾いた酸性状態のことを指し、何かの理由で体内が過剰に酸性になる状態をアシドーシスまたは酸性症と言います。
アシドーシスは主に2つあって、血液中に酸が溜まりそれを中和するためにアルカリ性の重炭酸塩が失われる代謝性アシドーシスと、感染症などによって肺の働きが低下したり、呼吸が通常よりも遅くなることによって血液中に二酸化炭素が蓄積する呼吸器性アシドーシスがあります。重炭酸塩というと難しいかもしれませんが、「重曹」と言えばわかりますね。日頃から、生あくび、便秘、下痢、頭痛、消化不良、疲労感、脱力感、眠気などを感じていて、尿のpHを検査したときに6.5未満であるよな場合にはアシドーシスになっている可能性がありますので、病院やクリニックへ行き血液のpHと重炭酸塩、二酸化炭素濃度を検査してもらうべきです。
アシドーシスの傾向が長い間続くことによって、硫黄、リン、塩素などの酸性ミネラルの蓄積が増加し体内のミネラルバランスが崩れる可能性があります。
アシドーシスになる原因
①腎不全、腎臓の機能不全、糖尿病、乳酸の過剰蓄積
②食事内容
肉や卵、アルコール、砂糖、カコーヒーなど直接的に強い酸性を持った食材の食生活
③食品添加物
添加物として最も多く含まれるリン酸などの酸性ミネラルによる影響
④体温の上昇
風呂、シャワー、サウナ、猛暑など体温が上昇することよって体内に酸が蓄積する
⑤喫煙
喫煙によって体内に過剰な二酸化炭素が蓄積

  
アシドーシスの改善
尿のpHが酸性に傾いてしまう原因のほとんどは外的な要因によることが多いので、その原因をつかむことで症状は改善することができます。

急性、または重いアシドーシスではなく、アシドーシスの傾向を改善するために日常の食生活、生活習慣の改善を考えてみましょう。
①食材のバランス
アシドーシスの傾向を改善するためにはアルカリ性食材を80%、酸性食材を20%を考えた食材選択の目安とする。(一般的にはアルカリ性食材を60%、酸性食材を40%)
②低たんぱく質・高炭水化物食
肉類を減らし、漂白精製されていない玄米や小麦、豆類など消化分解に時間のかかる複雑な炭水化物を積極的に摂る。
③清涼飲料・ワインは避ける
350mlあたりに平均2-6gの精製漂白糖が含まれる清涼(炭酸)飲料水や、ワインは避け、トマトジュース、グレープジュース、緑茶、ミネラルウォーターを飲む。

このほかにもストレスが過剰になることで尿が慢性的に酸性になることがあるので、やはりストレスをためこまない生活を心がけることも大切です。
by nutmed | 2009-11-12 11:53