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第691回 腹部肥満とインスリン

今日の深夜から明日の早朝にかけてしし座流星群がピークを迎えるのですが、なんとかギリギリで明日の早朝午前4時ころには流星群を見ることができるかもしれませんね。 私も今夜は早々に就寝して明日の早朝に備えるつもりです。

日本のマスコミメディアがあれだけ大騒ぎし、国民も固唾を飲んでこれからどうしようかと気をもんだメタボリック症候群の話題も、今はどこへ?と言った感じすらするこの頃です。もっとも今までの歴史の紐を解いて日本人の性格を考えれば、これも仕方のないことなのかもしれませんね。それでも、皆さんの多くがメタボをキーワードに、食生活や食事の仕方に留意するようになったことは、少なからずいいきっかけであったことは間違いのないことだと思います・・
さて、今日は今更ではありますが、そのメタボリック症候群の中でも最大のやり玉にあがっていた「肥満」とその背景にあるインスリンの関係について紹介したいと思います。季節はこれから冬、人間が熱量を確保するために秋に収穫された炭水化物と脂肪がたっぷりの素材を口にする機会が多いこの季節だからこそ、「冬肥満」には注意してくださいね。
メタボリック症候群で話題になっていた肥満は、いわゆる「腹部肥満」と言ってお腹の周囲に溜まる脂肪のことですが、この腹部に溜まる脂肪が増える大きな原因の1つがインスリンです。ご存じのように、インスリンは食事で摂取した糖分がいつまでも血液の中を流れていることによる弊害を防ぐことと、その糖分からエネルギーをつくるために、すい臓で作られ血液中に分泌されます。このインスリンの働きによって血液中の糖分は中性脂肪(トリグリセライド)に変換されます。ほとんどの中性脂肪はお腹の周囲に蓄積し、その後に必要となるエネルギー源として使われることになりますが、エネルギーを必要とすること、つまり運動などのよって消費されることがなければいつまでたっても蓄積された中性脂肪が減ることはありません。インスリンの別な働きには、食欲を増進させ、肝臓に働きかけて、ホルモンの源となったり、細胞の損傷を修復するための脂肪を作るよう刺激を与え、この脂肪の1部もまた腹部脂肪として蓄積をしはじめます。インスリンの分泌が増えることによって腹部の周囲に蓄積する脂肪が増える背景には、少なくとも2つの経路が影響を与えているということになります。一方で肝臓にはインスリンの分泌を抑える働きもあるので話は少し複雑になります。
お腹の周囲に脂肪が増える肥満の人では、肝臓の周囲に脂肪がつく、いわゆる「脂肪肝」の人が多いですが、この脂肪が肝臓につきすぎることで肝臓の働きが低下するため、インスリンの出すぎを抑制する肝臓の働きが低下しはじめ、さらにお腹の周りに脂肪が溜まり、結果として体重が増えるようなことにもなります。年齢が35歳を超えたころから、この状態が慢性的に続くようになると、インスリンに対する抵抗性が高くなりはじめ、インスリンがいくら分泌されても血液中の糖分が細胞に取り込まれなくなり、血糖値が高くなる、いわゆる2型糖尿病の状態を作り始めることになります。
私は以前から2型糖尿病予防のためには炭水化物、特にでんぷん質の過剰な摂取には注意することを警鐘してきましたが、同時に炭水化物は何が何でも控えなければいけないとは言ってはいません。炭水化物は人間が生きていくためには重要なエネルギー源でもあるわけですから、単純に単糖類に変わってしまうような精製漂白されたいわゆる「白モノ」の過剰な摂取は控えるべきだということです。

中性脂肪を中心とした脂肪群を蓄積しておくための細胞を「脂肪細胞」といいますが、お腹の周囲にある脂肪細胞はその他の脂肪細胞とは性格と働きが多少異なります。
お腹の周囲にある脂肪細胞を流れている血液は、すぐそばにある肝臓を流れ循環をしていますが、女性が最も気になる下半身やお尻につく脂肪が蓄積している脂肪細胞を流れている血液は、心臓と各組織との間をめぐる血液の流れ(大循環)で循環しています。
つまり、同じ肥満でも「腹部肥満」の人は、いわゆる「下半身肥満」の人に比べて肝臓の働きに負担がかかる分、インスリンの分泌を抑制する働きも低く、インスリンに対する抵抗性の高くなりやすいということになります。
一方、それほど体重は多くはないし、肥満のカテゴリーには入らない人でも、病院、クリニックや検診で行う血液検査で、中性脂肪が慢性的に高く、肝臓機能の値が高め安定になっている人では、インスリンに対する抵抗性が高くなりやすい予備軍であることも自覚して食生活や飲酒、薬の飲みすぎには注意する必要があると思います。

メタボリック症候群の対策として、フィットネスクラブや雑誌が腹筋運動を推奨したり、週に1-2回のジム通いを奨励することがありますが、血液の循環システム、お腹の周囲の脂肪細胞に溜まる脂肪の性格を考えた場合には、腹筋運動や週に1-2回の運動をするよりも、軽い負荷でもいいので全身に負荷がかかる運動を毎日継続的に行うことのほうが、腹部肥満を改善し、インスリン抵抗性を高くすることを防ぐことになります。

その意味で以前にもこのブログで紹介したような、いつでもどこでもできる軽い負荷運動や、ペットボトルに水を満たし風呂の中で湯船につかりながらこれを上げ下げする運動は効果的ですね。
by nutmed | 2009-11-17 16:18