第720回 ビタミンDについて その1

年初、以前から長い間探していた1970年代に作られたレトロな石油ストーブがようやく見つかり、昨晩自宅に届きました。もともとのオリジナルはアメリカ製で、それをノックダウンして日本の林製作所が作った「パーフェクション」というストーブです。いまどきのファンヒーターとは異なり、ホヤがガラス製でオレンジ色の炎が淡く部屋中を暖めてくれるストーブで、部屋を暗くすると炎の揺れにしたがって影ができ心まで暖めてくれる逸品です。
昔の日本ではどこの家庭でもこんなストーブが活躍していたんですよね。

さて、今日から数回にわたってビタミンミDについて書いてみたいと思います。
ビタミンDについてはこのブログでも過去に幾度も紹介してきたビタミンですが、2009年はアメリカでもっとも話題になったビタミンがこのビタミンDと言ってもいいでしょう。アメリカで2007年からはじまったビタミンDを巡る論争、研究報告は、1日あたりの推奨摂取量RDA(Recommended Daily Allowance)を含め、2009年には医学会、栄養学会を含めてビタミンDはアメリカで大きな話題となり、今までと異なる方向性が出始めた年と言えます。
ビタミンDの詳細については過去のブログ(1、、)を参考にしてください。

ビタミンDの話題の中で2009年に最もフォーカスされた内容は、やはり1日あたりの摂取量(上限)です。
アメリカではビタミンDのRDAは・・・
乳幼児から50歳までの男女:200IU(5μg:マイクログラム)
51歳から70歳までの男女:400IU(10μg:マイクログラム)
71歳以上の男女:600IU(15μg:マイクログラム)

日本では厚生労働省が 「第6次(平成12年度から16年度の間使用)改定日本人の栄養所要量について」の中で、18~49才の年齢層についての推奨摂取量として、男女ともに100IU(2.5μg:マイクログラム)、上限摂取量を2,000IU(50μg)としています。確かに代謝や体格の違い、それに皮膚の色も違う人種ですから摂取量が異なることはあるとしても、現代の食生活を考えると、白人でも日本人でも、とくに若い世代では大きな違いはないと私自身は考えています。
アメリカでは実際の食生活やライフスタイル、天候(日照時間)を考慮すると、このRDAでさえも少ないと言われはじめたのは2000年ころでした。ビタミンDはビタミンという名称がついていますが、その作用を考えるとほかのビタミンとは異なります。脂溶性ビタミンのビタミンDはむしろホルモンに近いホルモン様物質と考えられていますから、大量に摂取することによる毒性が長い間危惧されてきました。
しかし、この5年ほどの間にビタミンDの食材からの摂取状況、紫外線に浴する時間、特に女性の紫外線予防のためのUV化粧品の使用頻度、天候、サプリメントへの配合量と、ビタミンDの体内での働きに影響を与える毒素、化学物質だけでなく、その他のビタミンやミネラルの摂取量、加えてビタミンDの不足・欠乏が関わる症状を詳細に調査をし、合わせてボランティアを募って血液中のビタミンD(25-OH-ビタミンD)を検査してみると、従来から言われてきたビタミンDの摂取量では少ない、また摂取していても体内環境やその他のビタミンやミネラルの摂取量などから来る影響によって、ビタミンDが体内で作用していない傾向があることがいくつかの研究によって報告されはじめました。
アメリカでは2003年ころから栄養療法を行っているクリニックでは日常的に血液中のビタミンD(25-OH-ビタミンD)が検査されるようになり、2008年当初から一般のクリニックや病院でも検査されることが増えてきました。それを裏付けるようにアメリカの民間検査センターにおける2008年の血液中25-OH-ビタミンDの検査受託数は2000年に比べ20倍ほど増加しています。
日本では血液中のビタミンD(25-OH-ビタミンD)を骨軟化症、骨粗鬆症の管理、経過観察で検査されることがありますが、日常的な栄養管理や症状改善の目的で検査する施設やドクターは非常に稀だと思います。

次回は血液中25-OH-ビタミンDについて・・
by nutmed | 2010-01-07 12:38