2010年 01月 12日
第722回 ビタミンDについて その3
さて、今日はビタミンDの3回目です。
前回は体内のビタミンDの蓄積量を血液中の25-OHビタミンDで検査するところまで説明しましたね。
アメリカの一般的な医療施設では体内のビタミンDの適切な維持量として血液中の25-OH-ビタミンDの下限数値を30ng/mlとしているところが多く、また栄養療法を行うクリニックでは下限を50ng/mlとし、少なくともこの数値以上を維持することが健康管理には必要と考えています。
体格の違い、食生活の違い、日照時間など、人種差はあるものの、現代人の摂取食材内容を考えると、私自身は日本人がビタミンDにかかわる体内環境の変化をクリアにするために維持するべき血液中の25-OH-ビタミンDの下限数値は40ng/ml前後ではないかと考えています。
ビタミンDの体内での半減期(量が半分になるまでにかかる時間)はおよそ20日、その後腎臓で活性型のビタミンミDに変わった後の半減期は短く、だいたい10-15時間くらいになります。
最近の日本のビタミンDに関する研究論文を見ていても、1日あたり10,000IU(250マイクログラム)まではビタミンDの毒性はないという報告が見られますが、アメリカでは25,000IU(625マイクログラム)までは毒性はないという報告もあります。
さて、血液中の25-OH-ビタミンDを40ng/ml前後に維持するためには、1日あたりどのくらいのビタミンDを摂取すればいいのでしょうか。
2008年3月から2009年9月までの18カ月間におよぶ13892人のアメリカ人を対象にした興味ある研究報告がありますので紹介しましょう。
この報告によると、血液中の25-OH-ビタミンDを検査したところ全体の83%の人が40ng/ml以下で、そのうち10ng/ml以下の人が38%もいて、ビタミンDの不足にかかわる症状を持った人が少なくなかったようです。
この研究の中で、10ng/ml以下の659名に1日あたり5,000IU(125マイクログラム)のビタミンDを1日3階にわけて摂取してもらったところ、6カ月後の血液中の25-OH-ビタミンDの数値が40-50ng/mlにあがっていました。中には骨密度が低い高齢者、乾癬の症状が大幅に改善している人もいたという報告です。
この研究報告を考慮すると、日本人でも血液中の25-OH-ビタミンDを40ng/ml前後に維持するためには、1日あたり3,000-5,000IU(75-125マイクログラム)のビタミンDを摂取することが必要だと思います。
日本ではインターネットや書籍を見ても、「成人男女で1日あたり5マイクログラム(200IU)」と書かれていることが多いようなので、1日あたり125マイクログラム(5,000IU)なんて量は過剰摂取になるのではないか?思われるかもしれませんね。ビタミンDだけでなく、多くのビタミンミネラルの最適な摂取量、または今ある症状の改善に必要な量を考えるときに、「日本人は欧米人に比べて毎日の食生活でビタミン、ミネラルが含まれる食材を食べているから・・」ということを言われる方が少なくありません。確かに、ジャンクフードや加工食品の摂取量が多い欧米人ではありますが、ここでビタミンDが豊富に含まれる食材を考えて見てください。
脂溶性のビタミンDが豊富に含まれる食材には以下のような食材があり、これらの食材100gに含まれているビタミンDの量をみると・・・
鰹の酒盗(120マイクログラム:4,800IU)
すじこ(60マイクログラム:2,400IU)
きくらげ(乾燥)(43.5マイクログラム:1,740IU)
きくらげ(茹でたもの)(40マイクログラム:1,600IU)
サ ケ (32.5マイクログラム:1,300IU)
メカジキ(25マイクログラム:1,000IU)
カレイ(22.5マイクログラム:920IU)
しいたけ(乾燥)(17マイクログラム:680IU)
ウナギ(14マイクログラム:560IU)
サ バ(11マイクログラム:440IU)
サンマ(11マイクログラム:440IU)
カツオ(10マイクログラム:400IU)
サワラ(9.5マイクログラム:380IU)
さて、皆さんはこれらの食材を日常的に食べる習慣があるでしょうか?おまけに100gの食材にこれだけのビタミンD量ですから、100gと言えばかなりの量にはなりますし、ビタミンDを摂るためにすじこを毎日100g、うなぎや乾燥しいたけを100g食べる方は稀、というよりも塩分やコレステロールの過剰を懸念することが先に来てしまうのではないでしょうか。小学生から大学生にいたる若いひとたちの食生活を見れば、さらにこれらビタミンDが含まれる食材の摂取は少ないでしょうし、おまけに屋内でのTVゲームによって紫外線を浴びないことを考えるとなおさらのことでしょう。
そしてさらにさらに、以前から言い続けているように、多くの日本人は食材で食べるもの、サプリメントや健康食品で摂取する栄養素はすべて体内に吸収されると思っている方が非常に多いということです。
上記の食材100g中に含まれているビタミンDでも同じで、食べる皆さんの消化分解の働きと、それを吸収する働き、すなわち胃と腸の状態が正常で正しく消化分解、吸収できるということが前提であることを忘れてはいけませんね。
次回はビタミンDの働きを阻害する栄養素について


