2010年 01月 15日
第725回 ビタミンDのトピックス 神経にかかわる働き#2
さて、今日はビタミンDがどのように水銀の体外排泄にかかわっているのかを説明します。今日も難しい内容になるかもしれませんが、理解していただくことで日常生活と体内環境の向上には非常に有用な内容ですから、ついてきてくださいね。
前回紹介したように、水銀の蓄積がいくつかの自閉症の症状の間には、チメロサール(水銀)が防腐剤として使われているワクチン接種が増えた時期から著しく増加している統計数値から何らかの因果関係があることはほぼ間違いのないことでしょう。一方で「なぜワクチンを接種した全ての小児で自閉症の症状を発症しないのか・・」を含め今まで明確な根拠らしきものが報告されていなかったことも事実でしたが、2000年以降に発表されているビタミンDと重金属の排泄、自閉症症状に関する研究報告によれば、ビタミンD不足が水銀などの重金属の排泄の働きを低下させること、またそれによって脳神経の働きに影響を及ぼし、自閉症を含む脳神経の働きにかかわる症状にかかわっている可能性が高いことがわかりました。
ビタミンDが脳神経の働きに影響を及ぼす原因には大きくわけて2つの背景があります。
その1つは脳の働きその者にかかわる背景です。
実はビタミンDが脳神経の働きに深くかかわっていることがわかったのはそれほど昔ではないことと、医師を含む多くの医療従事者がいまだにビタミンDの主要な働きが、骨の密度などカルシウムの調整にかかわることであると考えていることも事実です。
世界中のビタミンD研究者が感心を持ち、影響を与えた研究が2006年に日本の神戸薬科大学と2007年にフィンランドから発表されていますが(1-2)、これらの報告の中で活性を持ったビタミンDには脳が作りだすホルモン(Neurosteroid Hormone)と同じ働きがあり、脳の様々な働き、特に行動にかかわる働きに直接影響を持っていることを報告しています。この活性を持ったビタミンDは「カルシトリオール(calcitriol)」と呼ばれる物質で、食物に含まれたビタミンDや紫外線によって皮下で合成されたビタミンDが肝臓を経由して、腎臓で合成される活性を持ったビタミンDになります。以前からこのカルシトリオールは合成されたものが医薬品として骨粗鬆症の改善、成長障害などの治療に使われています。
つまり、食材からのビタミンD摂取が少ない場合や紫外線をあまり浴びないことによって体内にビタミンDが不足し、腎臓で合成されるこのカルシトリオールが不足し、行動を司る脳の働きに直接的に影響を及ぼすということです。また、2004年にオーストラリアの統合失調症研究所が発表した報告(3-4)によると、妊娠直前の女性にビタミンD不足があった場合、妊娠中の胎児においてカルシトリオールの合成が低下する可能性が高く、妊娠を予定している女性が積極的に摂取するべきビタミンの中にビタミンDをリストアップするべきであることを強調しています。
今日はこの辺で・・次回はビタミンDが持つ間接的な解毒作用について
1.Nakagawa K. Effect of vitamin D on the nervous system and the skeletal muscle. Clin Calcium. 2006 Jul;16(7):1182-7.
2.McGrath JJ, Feron FP, Burne TH, Mackay-Sim A, Eyles DW. Vitamin D3-implications for brain development. J Steroid Biochem Mol Biol. 2004 May;89-90(1-5):557-60.
3.Kalueff AV, Minasyan A, Keisala T, et al. The vitamin D neuroendocrine system as a target for novel neurotropic drugs. CNS Neurol Disord Drug Targets. 2006 Jun;5(3):363-71.
4.Kalueff AV, Tuohimaa P. Neurosteroid hormone vitamin D and its utility in clinical nutrition. Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2007 Jan;10(1):12-9.


