2010年 01月 20日
第728回 ビタミンDのトピックス 乳幼児のクル病
さて、今日もビタミンDのトピックスです。
皆さんはクル病(Rickets)という病気をご存じでしょうか? 最近では骨軟化症と同義語で使われるようですが、世界的にも相変わらず発症数の多い、特に乳幼児に多い骨の形成に関わる症状をともなう病気です。日本でも戦後の栄養不良が日常的な時代には大きな問題となりました。
主な症は骨の形が変わってしまうことで、多く見られる症状としては足のO脚やX脚ですが、歯のエナメル質がうまく作られずに歯の形が変形してしまうこともあります。
死語とまでは言いませんが、今ではクル病の名前さへ目につくことが少なくなり、妊婦さん向けの雑誌にもあまり登場することがなくなったようです。妊娠が確認された後に産科や、妊婦手帳をもらう頃にはクル病の名前と症状についてのレクチャーを受けることはあっても、多くの女性が自分の子供とは無縁だと考えているのではないかと思います。
その乳幼児のクル病がここ最近にわかに増えているという報告があります。
クル病の原因のほとんどは、ビタミンDの不足と活性型ビタミンDの代謝障害で、骨の基になるリンやカルシウムが骨の石灰化を妨げることにあります。
今までにビタミンDのテーマの中で説明してきたように、ビタミンDという物質はほかのビタミンに比べて体内環境だけでなく細胞や臓器の働きに直接的に影響を及ぼす、ホルモンにも似た生理活性をもったビタミンですから、ほかのビタミン類の不足や欠乏と同じような理解ではいけないビタミンの1つでもあります。
アメリカの小児学会では、かなり昔からビタミンD不足とクル病の関係を国民、特に妊婦に対して強力に説明をし、以下の点を強調しています。
1、妊娠中期以降からの妊婦は積極的にビタミンDを補充することと。
2、少なくとも生後12カ月間は母乳を与える
3、毎日十分な日光浴をさせる
4、場合によっては乳児に対してビタミンDを与える
日本でも小児科の中にも、母親と乳幼児に対するビタミンD不足の喚起を行っているドクターが多く、マスコミメディアでは話題にはならないまでも、確実にクル病が増えている現状があるようです。
ここへきて乳幼児のクル病が再び増えている背景には、やはり食生活と生活習慣の影響があると思います。
特に、この数年、インフルエンザをはじめとする感染症の問題が大きな話題になり、親が乳幼児を外出させることを避けることが増えていることもその一因になっているのではないでしょうか。
十分に日光浴で適度な紫外線を浴びさせていても以下のような原因背景によって、肝臓、腎臓でビタミンDが代謝されずに、クル病の症状を現すこともあります。
1、先天的または後天的に腸における脂肪の吸収がよくない
2、先天的または後天的に肝臓、腎臓の働きが低下している
3、抗てんかん薬の長期服用によって肝臓でビタミンDの合成が著しく低下する


