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第751回 食物過敏症について レクチン不耐性 その6

週末に無事帰国しました。最終日のロスが気温20度だったので、成田に到着したときの冷たい雨は体にこたえました・・・今回はたくさん収穫があった出張で、これからが楽しみです。
さて、しばらくお休みしていた食物過敏症を再会しますが、今日はレクチン不耐性のおさらいをしてみたいと思います。
今まで紹介してきたようにレクチンの多くは、腸の粘膜に結合することによって様々な症状を引き起こします。吐き気、ガスの発生による暴満感などの急性の胃腸症状を招くだけでなく、栄養素の消化吸収を妨げることが少なくありません。また、大腸菌などの増殖を招くことがあります。
栄養の吸収障害においては、たんぱく質と炭水化物の吸収障害が顕著に起こることが知られています。たんぱく質の吸収障害が起こる原因は、レクチンが小腸の粘膜に結合(以前に説明したABOマーカーが腸の粘膜上皮にも存在するため)することによって炎症を引き起こし、たんぱく質を分解する酵素の1つであるエンテロキナーゼ(enterokinase)の生産を阻害することによるものです。たんぱく質の分解が阻害されると、たんぱく質から得られる窒素の吸収が低下し、この状態が慢性化すると細胞の成長に影響を及ぼすこととなり、特に成長期の小児にこのような状態が継続することで、成長不良、成長障害が現れることが少なくありません。尿中や便中の窒素を分析検査して窒素量が高い場合には、先天的な原因を除き、たんぱく質の吸収障害が起きている可能性が高く、その背景にはレクチンによる影響であることが少なくありません。
一方、炭水化物の吸収と代謝にもレクチンは影響します。レクチンは腸における糖の取り込みを平均で50%抑制します。特にナタマメ(Jack Beans)に含まれるレクチンの1種であるコンカナバリンA(Concanavalin A)や小麦胚芽に含まれるアグルチニン(Agglutinin)は細胞に存在するインスリンレセプター(インスリンの受容体)に結合し、糖の代謝をも阻害します。以前、日本でナタマメを原料とした健康食品が「血糖を下げる効果がある」と紹介され話題になったことがありますが、これはかえって逆効果になる可能性はあります。

ナタマメと聞いても皆さんの多くは「そんなマメ食べたことがない」と言われるかもしれませんが、少なくともカレーが嫌いな人でなければ1度は食べたことはあるはずのポピュラーな食品に使われている素材です。そう「福神漬」です。福神漬はナタマメを輪切りにしたものなんですよ。
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by nutmed | 2010-03-08 16:43