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第756回 食物過敏症 セリアック病 その2

今朝の東京は朝から気温がグングン上昇中です。昨夜の強い風も未明にはやみ、今日は初夏の陽気の1日になりそうです。それにしても東京の空はいつも「青空」というには程遠い空ですね・・・。同じ大都市でもロスアンジェルスでは午前10時を過ぎれば青空がのぞくのですが。

さて、今日はセリアック病の2回目です。実は以前からセリアック病のことは取り上げる予定ではいたのですが、今回取り上げた背景には、高校生の女の子からの1通のメールがありました。受検勉強中の彼女は、セリアック病という診断を受けたものの、自分の体内で何が起きているのか今ひとつ理解納得できずに、受検勉強に集中できない日々を過ごしていたようです。専門ドクターのいる遠方の大学病院へ受診し、グルテン除去食の指導を受け、それを実践していたものの、次から次へと体内環境に予期せぬ変化が現れ、心配になっていたようでした。彼女のケースは特別なケースではなく、おそらく日本中に彼女と同じような症状で悩んでいる人たちがいるのだと思います。それもこの10年ほどでかなり増えているのではないかとも思っています。セリアック病は前回説明したように、食材に含まれるグルテン(グリアジン)が原因でスタートする症状ではありますが、人間の体の免疫のしくみと栄養素の吸収不良が複雑に絡みあっているため、グルテン以外にも原因を作ってしまう背景がないとは言えない症状でもあります。 ただ、はっきりと言えることは、吸収に大きく影響を及ぼす症状なので、体に必要不可欠なビタミンミネラル、アミノ酸、糖分、たんぱく質などの栄養素が不足することは疑いの余地がなく、その背景を理解し、正しい対応をすることで、症状の悪化を防ぐことは可能でもあります。

人間の口から肛門までは先に説明したように1本の管になっていますが、この管の内側は外界と触れている状態(これは理解できますね?)でまだ体内の内側ではありません。したがって外界から侵入してくる細菌やウィルス、有害な化学物質や重金属などが「体内」に侵入しないようにしつつ、栄養素は体内に吸収する非常に繊細な臓器組織でもあり、敏感な細胞です。グルテン(グリアジン)によって炎症が始まると、人間の体はその炎症を抑えて改善するために様々な働きをしますが、白血球が作る「抗体」もその1つです。抗体はいって見れば外界からの異物(インベーダー)を駆逐して攻撃する兵隊で、人間が炎症を抑える働き(免疫)の最初に活躍するのがこの抗体です。通常の炎症はこれら免疫のしくみの活躍によって納めることができますが、セリアック病のように、食物に含まれるグルテン(グリアジン)によって、知らず知らず炎症が継続、慢性化することで、これらの免疫軍の兵隊が炎症が起きている患部に継続的に襲いかかり、次第に正常な細胞が損傷を受けるようになります。さらに人間にはこれらの兵隊が仕事を終えた後に、仕事を終えた兵隊(抗体)と炎症と戦って死んだ細胞を回収するためにアメーバーのような形をした白血球の仲間のマクロファージを炎症患部に送ります。このマクロファージは死んだ細胞などを溶かすために酵素を作って放出しますが、この酵素によって患部の細胞がさらに影響を受けて炎症が激しくなっていきます。例えて言うなら、火事で燃えている家に消防車が水をかけて消火している現場を想像してもらうといいでしょうか。放水によって火が消えて消火が終わった後の家の状態はどうのようになってますか?
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黒こげになった柱や屋根の残骸で、もはや人間が住める状態ではありませんね。これがセリアック病のスタートだと思ってください。
by nutmed | 2010-03-16 09:53