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第758回 食物過敏症 セリアック病 その4

週末から3連休ですね。明日の土曜日は以前から紹介していますように私の初の一般講演会です。限られた時間ですが、参加の皆さんに何を話そうか今から楽しみです。直前ではありますが、席を増やしたために若干の余裕があるそうですので、本日中に申し込みいただければ参加はできるそうです。

さて、今日はセリアック病の4回目です。今日は、セリアック病がどのように進行し、グルテン(グリアジン)だけでなくその他の食材にも反応をしてしまう可能性の背景を紹介します。
通常は、腸の表面の突起(絨毛)を作っている細胞は5-7日で再生をし、新しい細胞が生まれ変わりますが、炎症が進んで火災現場の跡のようになった腸の粘膜細胞は再生が難しくなります。
少し難しくなるかもしれませんが、腸の粘膜細胞の損傷を引き起こすのはサイトカイン(ガンマ-インターフェロン)というもので、これが作りだす化学物質によって炎症がさらに進みます。炎症が進んだ組織細胞は、グルテン(グリアジン)だけでなく、グルテンに近い物質、消化分解が十分でない食材、重金属、たんぱく質など、様々な食材や物質にも敏感になり、炎症を起こしている組織の中にある細胞(プラズマ細胞)がグルテンだけでなくこれらの食材や物質に対しても抗体を作りはじめます。個人差はあるものの、セリアック病の人がグルテンだけでなく、徐々に色々な食材や物質に反応をしはじめ、腸の状態が悪化するのはこのためと考えられています。また、腸の働きが後退することで腸内細菌の環境も悪くなり、普段は静まっている大腸菌などが腸の症状の悪化に拍車をかけてくることも少なくありません。
このような状態の一方で、栄養素を吸収し、異物は侵入させない腸の突起(絨毛)にも変化が出てきます。
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上の写真と図を見ると分かるように、正常な絨毛がタワーのように高く伸びていて、この状態が栄養素を正しく吸収できる状態です。
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一方、この写真と図のようにセリアック病の人の腸の絨毛は、先のほうが削られたようになって平らに委縮してきます。絨毛がこのような状態になると栄養素は正しく吸収できなくなり、慢性栄養吸収障害が激しくなるだけでなく、糖の吸収やインスリンの出方にも影響がでます。
セリアック病の人の多くは糖尿病(Ⅰ型またはⅡ型またはⅢ型)を併発することは少なくありません。むしろ血糖が高くなって糖尿病が先に診断されて、その背景にセリアック病があったことが後でわかることが少なくないほどです。日本ではセリアック病と血糖の状態のことについて詳しい医師や病院が少ないので、血糖が上がればすぐに血糖効果剤を処方されて糖尿病の治療に入ってしまうケースがほとんどでしょうね。通常は、食べた食材に含まれる糖分を細胞に取り込むためにインスリンが働きますから、食後にインスリン量が増えますが、血糖が安定せずに低血糖になったり高血糖になったりとバランスがわるくなる原因(低血糖が多い)は、糖分を吸収するための腸が炎症を受けているので、食べたものが消化分解はできていても吸収ができないため、糖分も吸収できずにインスリンの作用で血糖が低くなることにあります。セリアック病の人の多くはこのような背景から、最初低血糖症状が現れることが多いでしょう。血糖が低くなることで疲労感が激しくなり、不眠、記憶力や集中力が低下してきます。病院に行って空腹時血糖を検査すると低血糖になっているので、高たんぱく質食や1日5-7回にわけて食事をする頻回食を指導されます。本人はグルテンに反応することがわかっていますからグルテンフリーのGF食を多く食べるようになります。GF食なので腸の炎症を誘発することはなくセリアック病の主な症状は治まりますが、GF食なので、ある程度吸収ができるため、一時的にインスリンの分泌も正常になりますが、ここで一気に血糖はあがります。
by nutmed | 2010-03-19 09:56